2021年4月30日金曜日

とっておきの話121「3人のメンター」の裏話

Twitterに,とっておきの話121「3人のメンター」の原稿をアップしました。

とっておきの話121「3人のメンター」の原稿



みなさんの周りに、こんな人はいますか?


何かあったときにアドバイスをしてくれる人

知らないことを教えてくれる人

おかしなことをしていたら注意してくれる人

まねをさせてもらうあこがれの人


 こういう人のことを、「自分の先生」という意味で

「メンター」

と言います。


 メンターは、先生でなくてもかまいません。

 友達でもいい、家族のだれかでもいい、近所のおじさんでもいい、テレビの中のヒーローでも。

 

 ここでポイントなのは,

メンターは3人思い浮かべるといい

と言われています。


しかも、その3人は、それぞれちがう世界の人を思い浮かべるといいそうです。


僕にも、メンターが3人います。

一人目は学校の先生をしていた人ですが、二人目は報道キャスター、三人目はエッセイストです。

  


 メンターがいると、自分が何かで困ったり悩んだりした時の助けになります。

 何か困ったことがあると、こんな合言葉で考えることができます。


あの人だったらどうするか


 メンターの人だったらこの時どうするだろうと考えるんです。

 すると、意外と早く答えが見つかったりします。

 その時によって、頼りにするメンターは違います。

 だから、3人もつといいのです。


ちなみに、メンターをもつ時、その人の許可はいりません。

勝手にメンターにしていいのです。

あなたにとってのメンター、3人思い浮かべてみてはどうでしょう。


以上のような話です。


みなさんにとってのメンターは誰ですか?


当時,僕は池上彰さんや松浦弥太郎さんの本をよく読んでいたので,メンターにしていました。






しかし,今はまた別の人をメンターにしています。

でも,それでいいのだと思います。


メンターは絞らず流動的に設定されるものだと思います。

僕にはこうした考え方が合っています。


逆に,たった一人だけメンターを設定し,誰にも浮気せずその人だけをあこがれの人として追いかけ続けるとなんだか宗教臭くなってしまいます。


メンターになる人がすぐに見つからないという方は,

読書

をおすすめします。



読書はその人の考え方を得られる場です。

自分に合った考え方をしている方を見つけたら,メンターとして設定するチャンスです。

世の中には,本当に様々な考え方の人がいます。

その分,きっと誰もがメンターを見つけられる可能性があるとも言えます。



メンターを見つけ,困難に出合った時の乗り越えるヒント

「あの人だったらどうするか」

を使いこなしてもらいたいですね。





気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年4月28日水曜日

とっておきの話120「後ろに50人いる」の裏話

Twitterに,とっておきの話120「後ろに50人いる」の原稿をアップしました。

とっておきの話120「後ろに50人いる」の原稿



突然ですがみなさん,友達が何人いるか思い浮かべてみてください。


ではそこに,友達とまでは言えないけど知り合いだよという人もプラスしてみてください。


全部で何人になりましたか?



人にはだいたい、友達+知り合いが50人いるそうです。



人はだれかとかかわっている時、その人だけしか見ていないことが多いものです。

でも、後ろにその人とつながっている人が50人いるのです。



例えば、その人に冷たく当たったとします。

すると、後ろの50人の人はあなたをどう思うでしょう。

きっと悲しみますよね。

悲しむのは一人だけではなく,後ろの50人もなのです。


逆に、その人に優しく手を差し伸べたとします。

すると、後ろの50人の人はあなたをどう思うでしょう。

喜ぶのは一人だけではなく,後ろの50人もなのです。



相手を大切にするというのは、目の前の一人だけでなく,後ろの50人の人も大切にするということなのです。


一つ一つの出会いに感謝し、良い出会いにまっすぐ向き合える人間ほど、自分とつながる人を増やしていきます。


人とのつながりのことを、人脈と言います。人脈を増やすとは、木の枝を増やしていくのと同じようなイメージです。


みなさんはどんな人脈をつくりたいですか?


人脈の多さは,人によって違うかもしれません。

でも,誰とも関わらずに生きている人はいません。

人は社会的生き物なので,必ず後ろに人がいます。


それが50人と聞くと,みなさんは多く感じましたか?少なく感じましたか?


例えば,共通の友達や知り合いが全くいない初対面の二人が話しているとします。

すると,後ろに50人いる訳ですから,

50人+50人=100人で話していることになりますよね。



世間は意外と狭い。そんな風に思うのは,後ろの50人とどんどんつながっていくからなのです。

一人一人との人脈を大切に。

そんなメッセージが伝わるといいなぁと思います。




気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年4月27日火曜日

とっておきの話119「朝カフェから学ぶ朝ごはんの大切さ」の裏話

Twitterに,とっておきの話119「朝カフェから学ぶ朝ごはんの大切さ」の原稿をアップしました。

とっておきの話119「朝カフェから学ぶ朝ごはんの大切さ」の原稿



2010年の調査です。

男性の平均寿命の長さで全国一位になった県。みなさんは何だと思いますか?



正解は,愛知県です。




意外だと思いませんか?

なんとなく沖縄県などが一位になりそうなのに。


どうして愛知県が一位になったのか。その理由は何だと思いますか?



あるテレビで、その理由はこれだと言っていました。

朝カフェ





どうして朝カフェが長生きの理由になるのでしょう。


愛知県には、朝カフェに行くと、モーニングというメニューがあるのが当たり前になっています。

これは、コーヒーにトーストやサラダなどが付くメニューのことです。

このメニューがあるカフェ。実は全国的に見ると珍しいのだそうです。


ここまでの情報をもとに,みなさんは長生きの理由がわかりましたか?



実は、こういうことなんです。


朝ごはんは長生きにつながる




毎朝必ずごはんを食べる。
それを続けて生きてきている人ほど、長生きにつながるのだそうです。

朝ごはんを食べない日は力が出ないのはみなさん知っていると思いますが、その後の長い人生にも影響があると思うと、朝ごはんの大切さをより感じますよね。



朝ごはんの大切さを伝えるとっておきの話でした。

よく,学校では子どもたちに「早寝・早起き・朝ごはん」の大切さを伝えています。

しかし,ただ大切だと伝えるよりも,「長生きにつながるから大切」と伝えた方が聞き手は驚きをもって聞くことができるでしょう。


テレビでこの素材と出合った時,まさか朝カフェのモーニングメニューが長生きを支えているなんて思いもしませんでした。

作り手の驚きはそのままとっておきの話の素材になります。




さて,ここからは余談ですが,最近は朝ごはんを毎日食べることに疑問を唱える人も出てきました。

元々,人間は1日3食だと食べ過ぎだという主張です。

16時間断食なんて言葉もあるように,朝ごはんは抜いてもいい。むしろ抜いた方がいいなんて人もいます。


学校の常識が世間の常識ではないことは多々あります。

しかし,子どもは担任の先生の話を信じます。

だからこそ,本当に正しい情報なのか疑いながら丁寧に話を作り上げることも大切です。





気になった方はぜひ,実践してみてください。
ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年4月26日月曜日

とっておきの話118「勝ち組ではなく,価値組」の裏話

Twitterに,とっておきの話118「勝ち組ではなく,価値組」の原稿をアップしました。

とっておきの話118「勝ち組ではなく,価値組」の原稿



原稿を見た瞬間,「Twitterを素材にしたとっておきの話だ!」と驚きました。

2017年からツイートを素材にする挑戦はしていたのですね。

自分でも忘れていました。笑



勝ち組を「価値」組と言い換えただけの話。

造語ですね。

でも,当時はなんだか勇気をもらえたような気持ちになりました。


勝ち組、負け組という言葉。僕はあまり好きではありません。

みなさんは,使ったことがありますか?


使ったことのない人も、勝ち負けにこだわる時はだれしもあると思います。

でも、こだわりすぎると、勝ったときはうれしいですが勝ちばかりが大切だと思ってしまいますし、負けたときは悲しくてどうせ自分はダメなんだと思ってしまいます。

だから僕は,あまり好きではありません。


大切なのは、勝ち組になることではないのです。


披露する時には,「こんな“かちぐみ”になってほしい」と聞き手に伝えて提示します。


価値組


同じ読み方でも、こちらは価値のある組です。

自分で自分の中にあるものに価値をつける人たちです。


自分はここまでやってきたのだから大丈夫だという価値。

負けたとしても全力を出し切ったことが大事なんだという価値。


勝ち負けの結果だけではないところに、それよりも大切ないろんな価値が隠れているのです。

考え方を少し変えるだけで、価値組になれます。





勝ち組と価値組の大きな違いは,主語です。


勝ち組は,勝ったか負けたかの判定が他人に委ねられていますよね。

一方,価値組は,価値があるかどうかの判定を自分がするのです。


他人が基準の勝ち組は辛いですが,自分が基準の価値組は目指したくなる。

負け組になる恐怖もありません。


自分の価値は自分で決めていいのですから。

自分は価値のある存在なんだ。

そう思える自己肯定感。




読者のみなさんもぜひ,価値組になってください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年4月25日日曜日

とっておきの話117「責任は生き生きとしたもの」の裏話

Twitterに,とっておきの話117「責任は生き生きとしたもの」の原稿をアップしました。

とっておきの話117「責任は生き生きとしたもの」の原稿



みなさんは、「責任」と聞くとどんなイメージをもちますか?


なんだか重たいイメージだなという人がいると思います。

なぜそう思えてしまうのでしょう?



それはきっと、


「責任を果たせ」

「責任を取れ」

「責任感がない」


というように、失敗したら責められるという意味で重たく感じているのではないでしょうか。


特に学校の子どもたちの場合、学級委員や班長の仕事には、責任感が大きくて重そうなイメージをもつ子がいると思います。



でも、英語では「リスポンシビリティ」と言って、他人の訴えに応えることができるという意味が元々だそうです。


それは、「見棄てない」「手を差し伸べる」という意味でもあります。

こう思うと、責任は重たいものではなく、やりがいのある温かいもののように思えませんか。

哲学者マルティン・ブーバーは、こんなことを言っています。


「責任」は人と人とのいきいきとした関係の中で語られるべきだ と。


責任という言葉は、みなさんが思っているよりもずっと生き生きとした意味なのかもしれませんね。


どうでしょう。責任という言葉のイメージ、変わりましたか?



この話は,朝日新聞の『折々のことば』というコーナーで見つけました。




「責任」というとどうもマイナスイメージを思い浮かべる人がいます。

しかし,こうした話をすることで,やりがいのあるものだというプラスのイメージをもってもらいたいですね。


このように,日本語を英語に変換し,その語源を辿ると面白い解釈が見つかることもあります。

語源を辿る。他の単語でも試してみると面白い素材が埋まっているのかもしれませんね。




気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。



2021年4月24日土曜日

とっておきの話116「そよ風のように街に出られるか」の裏話

Twitterに,とっておきの話116「そよ風のように街に出られるか」の原稿をアップしました。

とっておきの話116「そよ風のように街に出られるか」の原稿




ある日の朝日新聞の『天声人語』に,こんな言葉が飛び込んできました。


「あんたは死んだ方がしあわせやで」




誰に向けられた言葉だと思いますか?


誰だろうと、こんなひどい言葉を言う人が信じられませんよね。


実は・・・

車いすで電車に乗ろうとした男性に言われた言葉だそうです。


障害者問題総合誌という雑誌には,障害者の体験談や問題が取り上げられています。

その中で紹介されていたエピソードの1つだそうです。


この雑誌の編集長をつとめていた人が、河野秀忠さんという人です。



 この雑誌につけられたタイトルが素敵な言葉でした。

それは,


「そよ風のように街に出よう」

です。

 

 でも実際は、先ほどのひどい体験があるように、そよ風のように街に出られている障害者はまだまだ少ないかもしれません。

 

 河野さんは新聞記者に対して、

「心のアンテナを全開状態にしないと、風のように吹き抜ける幸せをつかまえられない」

と言ったそうです。それほど、私たちが思っている以上に障害者の生活は厳しいのかもしれません。


 

 先ほどまで僕は,「障害者」という漢字を使っていましたが,最近では「障碍者」と表記されるようになりました。


 この素材を見つけたのは4年前の2017年なので,当時よりも障碍者に対する偏見や差別は少なくなってきたように感じます。

 しかし,障碍者の誰もが「そよ風のように街に出られる」世の中になったかというと,そうとは言い切れません。

 まだまだ,障碍者に対する偏見や差別は根深く残っています。


 昨年度,特別支援学級の担任をしていました。

 障碍者の子どもたちと触れ合いながら,その周りを取り巻く大人や子どもの姿も気になりました。

 「特別支援」と聞いただけで偏見を語る人がいるのです。

 なかなか理解されがたい面があるのは確かですが,決めつけられるのは悲しいです。

 担任した子どもたちが将来,そよ風のように街に出られるか・・・

保証はできません。


 「そよ風のように」という表現にこの素材の魅力を感じます。

 肩の力を抜いて,体が軽くなって風と一緒に街へ出られるぐらい,周りの目を気にせずに生きていける世の中でありたいですよね。


 そよ風のように街に出られず,びくびくしている障碍者の方はまだまだたくさんいるはず。

 そうした方の存在を知らせると共に,学校現場にいる子どもたちにも,偏見と差別無く人と接する心を培ってもらいたいと思います。


 気になった方はぜひ,実践してみてください。

 ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。



2021年4月23日金曜日

とっておきの話115「数字の中にあるもの」の裏話

Twitterに,とっておきの話115「数字の中にあるもの」の原稿をアップしました。

とっておきの話115「数字の中にあるもの」の原稿



数字は世の中に溢れています。

その中でも,ニュースで耳にする数字は実に様々です。


○○遊園地、来場者数10万人突破


○○地震によって、3000人死亡


○○事件によって、15人が殺害


○○テロによって、2人死亡


私たちはこれらの数字をどのように読み取っているでしょうか。


数字の大きさにだけ注目していませんか?

明るいニュースか暗いニュースかぐらいにしか注目していないのでは?


ある日,普段何気なく見ていた「数字の中にあるもの」へ関心が向けられる出来事がありました。


新聞を読んでいると,次の記事が目にとまりました。




詩人の川崎洋さんに「存在」という作品があるそうです。



その作品では,末尾はこう結ばれているそうです。


「二人死亡」と言うな

太郎と花子が死んだ と言え


記事では次のように続けます。

【かけがえのない一人ひとりの存在。

それを乾いた数字の中に置き去りにするなという含意であろう。】



僕はこの記事に出合った時,衝撃的でした。

一気に数字の見方が変わりました。


僕らは,暗いニュースであっても,どこか流しているところがあります。

二人死亡と聞いて,二人が死んだんだ。悲しいね。

そんな程度で数字を見ています。

でも,その二人の中には,かけがえのない二人の存在がいることを忘れてはならないと思いました。



今年度,担任している学級は37人。特別支援からの交流の2人を入れて39人。

39人の学級の子どもたち。多いなぁ。ではなくて,

〇〇くん,〇〇さん,・・・のいる学級。素敵な学級だなぁ。という見方でいたいです。


数字は便利な道具です。

しかし,数字を見る時,数字が伝えるものを本当にちゃんと見ているのでしょうか。

数字の中にある本当に伝えたいものが見えるような人でありたいものです。





ブログのPVやTwitterのフォロワー数も同じですよね。

一人ひとりの存在に感謝して,僕は今日も活動を続けます。




気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年4月22日木曜日

とっておきの話114「できるようになる唯一の方法」の裏話

Twitterに,とっておきの話114「できるようになる唯一の方法」の原稿をアップしました。

とっておきの話114「できるようになる唯一の方法」の原稿



ある日,新聞を読んでいると,「手足のない冒険家」という見出しの記事を見つけました。



 アメリカ人のカイル・メイナードさんは、生まれながら手足がない状態で生きてきた人です。

 しかし、アフリカで一番高いキリマンジャロという山に登り切ったり、レスリングの大会でチャンピオンになったり、ベストセラーの本を書いたりしている人です。

 そして、今はカメラとスキューバダイビングに挑戦したいと新聞のインタビューで話しています。


 できないことばかりに見える体をもったメイナードさんの挑戦の数々には驚きますよね。
 
 そんなメイナードさんが、できるようになる方法が一つだけあると言うのです。

 それは,「始めること」です。


【できるようになる唯一の方法は、始めることだからね】

とメイナードさんはインタビューで答えていました。



始めもしないのに言い訳ばかりして前に踏み出せない人っていますよね。

僕は〇〇がダメだから。

私は〇〇ができないから。

そんな風に悲観的になるのはもったいないです。


メイナードさんのように,まずは「始めてみよう」という気持ちが前に踏み出す力になります。

確かに,始めもしないのにできるようになることはあり得ませんよね。

まさに「始める」ことは,できるようになる唯一の方法です。



とっておきの話として紹介する時には,さらに次の言葉を付け加えて伝えることにしました。


何も始めなければ、何もできるようにはならない 


私たちがこれまで,できるようになった全てのことは,「始める」からつながっている。

始めた分だけ,できる分が増える。

なのに私たちは,「始める」ことを疎かにしがちです。


まず一歩前に踏み出す。


そんな気持ちを今回のとっておきの話を通してもってもらいたいです。

2021年4月21日水曜日

とっておきの話113「素直と信念」の裏話

Twitterに,とっておきの話113「素直と信念」の原稿をアップしました。

とっておきの話113「素直と信念」の原稿



バランス感覚って大切だと思います。


それはつまり,Aも大事だしBも大事というバランス感覚です。



今回のとっておきの話は,

「相手の意見を素直に聞き入れる」ことも大事だし

「自分の信念を熱く伝える」ことも大事

というバランス感覚の話。



教えてくれたのは,『20世紀少年』などの代表作で有名な漫画家,浦沢直樹さんです。





① 相手の意見を素直に聞き入れる

 ある日、漫画の編集をする人から、浦沢さんに漫画の中で作り直してほしい部分があるという話がきました。

漫画というのは、一コマを描き直すだけでも2時間かかることもあるそうです。

作り直すというのは、相当時間がいるはずです。

にも関わらず、浦沢さんは編集をする人からのアドバイスを聞いて良いと思ったら、たとえ時間がかかったとしても作り直すそうです。



② 自分の信念を熱く伝える

 しかし、いつも聞き入れているばかりではないのです。

漫画を読む人に伝えたいメッセージは、絶対にゆずれないと思った時、編集する人にその熱い思いを伝えるそうです。

自分の信じている大事なことは絶対にゆずらないのです。



③ 素直と信念 どちらも大事

 相手の意見を素直に聞き入れ、良いと思ったら変えてみること。

でも、自分にとって絶対にゆずれないところは曲げずに、相手にしっかりと伝えること。

どちらも大事にした生き方が素敵だと思いました。



この浦沢直樹さんのバランス感覚がステキですよね。

素直に聞いてばかりだと自分の信念がぶれてただの言いなりになってしまう。

かと言って,自分の信念を伝えてばかりだとただの頑固者になってしまう。


どちらかに偏らず,どちらも大切にするバランス感覚


様々な場面で意識できそうな感覚です。



それは,子どもたちの授業も一緒です。

相手の意見を素直に聞き、自分の意見に信念をもって発言できる人になってほしいものです。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年4月20日火曜日

とっておきの話112「失敗を恐れない」の裏話

Twitterに,とっておきの話112「失敗を恐れない」の原稿をアップしました。

とっておきの話112「失敗を恐れない」の原稿



「失敗」をテーマにした名言はいくつかありますが,今回のとっておきの話では三人のプロフェッショナルの名言を組み合わせてお話にしています。



① 野村克也さんの失敗学



野球の世界では有名な,監督の野村克也さんは、こんなことを言っています。


失敗と書いて成功と読む」。


失敗は成功のもとということわざがあります。

失敗は全て成功につながっているので、

失敗という字は成功と読んでしまおうという考え方です。



② 古澤明さんの失敗学



将来はノーベル賞を受賞するだろうと呼ばれているほど、世界では有名な科学者の一人、古澤明さん。

この人は、こんなことを言っています。


失敗を楽しめ」。

 

科学の世界では、何百、何千回と実験を繰り返します。

古澤さんが言うには、そのうちの99%は失敗だそうです。

失敗したとしても、それを楽しめばいい。

そういう人が、大きな成功をつかむのだそうです。



③ 松浦弥太郎さんの失敗学



ところでみなさんは、成功の反対が失敗だと思っていませんか?

でも、雑誌の編集者という仕事をしている松浦弥太郎さんは、こんなことを言っています。

 

成功の反対は、失敗ではなく「何もしない」こと。


失敗を恐れて何もしない人に、成功はやってきません。




以上,3人の失敗学(=失敗に対する考え方)を紹介しています。

どの考え方も,「そんな考え方もあるのか!」という驚きをもって聞けるものです。


「失敗」と聞くと,マイナスイメージの強い言葉のように感じられます。

しかし,野村さんは「成功」というプラスイメージにつなげています。

古澤さんは悲観するよりもむしろ「楽しめ」とポジティブに失敗を捉えようとしています。

松浦さんは,失敗を恐れて「何もしないこと」こそが成功から遠ざかると指摘し,背中を押してくれています。


今回のとっておきの話を聞いて,少しでも聞き手の失敗に対する考え方が良い方向に変わると嬉しいです。


気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年4月19日月曜日

とっておきの話111「手の魔法」の裏話

Twitterに,とっておきの話111「手の魔法」の原稿をアップしました。

とっておきの話111「手の魔法」の原稿




現在のようなコロナ禍のご時世には話しづらい内容かもしれません。

でも,「手で触れる」ことの効果は,まるで魔法です。


中でも注目すべき効果は,手で触れることで

相手を安心させる

ことができる効果です。


看護師以上にスペシャリストと呼ばれる専門看護師と呼ばれる仕事をしている北村愛子さんは、患者さんと接する時に必ずしていることがあります。




それは,「まず、手をにぎる」ということです。


手をにぎってお話をするのです。

本当に自然な流れで、温かく患者さんの手をにぎるので、患者さんの顔も安心した表情になります。

テレビでこの人の様子が映し出されている時、こんなに自然な形で手を握れる人になりたいと思いました。



この北村さんの姿を見て,「手には魔法がある」というテーマでとっておきの話を作ってみようと思いました。

当時,もう一つステキな素材との出合いがありました。

それがこの絵本。『てとてとてとて』です。






手には安心させる魔法だけでなく,いろんな魔法があることを教えてくれます。

福音館書店さんの紹介ページには,こんな風に紹介されています。


【手拍子をすれば手は楽器となり、身ぶり手ぶりは手話となって手をもって話すことができるし、点字をとおして手で読むことができる手。手は楽器、手で話す、手で読む、手のもつ多様な世界を描きます。また不安なときや悲しいとき、手を握ってもらうと心が落ち着きます。自分に寄りそってくれているという安心感を覚えるのだと思います。手で遊ぶ世界から、手がもっている心の世界までを楽しく描いた科学絵本です。】


気になった方はぜひ,購入してみてください。

この絵本をとっておきの話の最後に読み聞かせて締めくくることにしました。



「手の魔法」。みなさんは信じますか?

僕は信じてみたいです。何気なく使っているその手に魔法があるなんてステキな話ですよね。



ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年4月16日金曜日

とっておきの話110「終わりのない学び」の裏話

Twitterに,とっておきの話110「終わりのない学び」の原稿をアップしました。

とっておきの話110「終わりのない学び」の原稿



プロフェッショナルと呼ばれる人たちには,共通点があります。

それは,

どこまでも学び続ける

姿勢です。


一流の人は,学ぶ・考える・勉強する・修行することをやめません。

何歳になろうと,どんなに技能が上達しようと,賞を取ろうと,一位になろうと,・・・

終わりがありません。


今回のとっておきの話では,料理人の西さんと鮨職人の小野さんを紹介しています。

二人とも80歳を超えて尚,プロフェッショナルとしてその業界の最前線に立ち続けています。



西健一郎さんの言葉

 料理人の西健一郎さんは、フランス政府の選ぶ世界のレストランで第3位に輝いたことのある店を経営している凄腕の料理人です。西さんは言います。


「人間、死ぬまで勉強」




小野二郎さんの言葉

 鮨職人の小野二郎さんは、ミシュランで三ツ星レストランに選ばれるほどの店で働き、世界に名前が知られる人です。小野さんは言います。


「修行は、一生終わらない」



 

一流と呼ばれる人たちにとって,

学びに終わりはない

のです。


小学校を卒業する6年生の子どもたちも,そこから勉強しなくていいわけではありません。

大人になってからも学ぶ。

教員の僕だってそうです。

そんな視点をもってもらいたいですね。


僕は,子どものときの学びと比べ,大人になってからの学びは別の楽しさがあると思います。

より専門的に,より個人的に,より将来的に身になる学びができるからです。

西さんや小野さんも,きっと楽しみながら学んでいるのだと思います。


なので,「終わりのない学び」はプラスで捉えてほしい言葉です。

もちろん,苦しさは時としてありますが,マイナスな言葉ではありません。




気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年4月15日木曜日

とっておきの話109「リーダーは聞く」の裏話

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とっておきの話109「リーダーは聞く」の原稿



テレビ番組から素材を見つけるなら,ドキュメンタリー番組はオススメです。

僕はよく,NHKの『プロフェッショナル~仕事の流儀~』という番組を観ます。


様々な分野からのプロが登場し,その考え方を視聴者に伝えてくれる番組です。

ふとした時に名言をポロっとつぶやき,テロップが出てくる感じが魅力です。

まだ観たことのない方はぜひ観てみてください。



そんなプロフェッショナルから作ってみたとっておきの話が今回。

自動車の会社「ホンダ」でエンジニアの神様と呼ばれた藤本幸人さんは,燃料電池自動車を開発した人です。



そして,Googleで活躍している日本人。及川卓也さんは,その技術力の高さが評判です。




藤本さんと及川さん。

二人には,2つの共通点がありました。


1つ目は,二人とも,リーダー的立場で仕事しているということ。


2つ目は,二人とも,「聞く」ことを大切にしているということ。


つまり,タイトルの通り,

リーダーは聞く

を大切にしているのです。



もう少し,「聞く」を深掘りしてみましょう。


藤本さんは,こんな名言を残しています。


【技術の前では,誰もが平等】



この言葉通り,藤本さんは部下だろうと新人だろうとメンバーの話をとにかくよく聞くそうです。

「技術開発にとって,上司部下とか社長から,今日は入った新人まで,そういうの関係なく,正しい技術は正しいっていう考え方って必ずいる」

と語る藤本さん。

新人の意見も聞くプロの姿がそこにはありました。



一方,及川さんは,こんな名言を残しています。


【遠回りしても,いろんな議論をすることが大事】



この言葉通り,及川さんは何か新しいことを始める時,「全員が合意する(賛成する)」までとことん話し合うそうです。

全員が合意するまでというところに及川さんの「本気の聞く姿勢」が伝わってきます。




二人の大切にしている「聞く」は,相手が誰であってもその意見を尊重するという姿勢です。

立場を超え,一人一人を大切にしているからこそ,リーダーとして慕われているのです。



さて,学校現場の子どもたちの中には,未熟なリーダーがたくさんいます。

リーダーになりきれていないリーダー

いますよね。


彼ら・彼女らに共通して言えることは,

自分の意見ばかり押し付けてしまい,仲間の意見を丁寧に聞くことのできないリーダーです。


志は高くても,仲間の意見にも耳を傾ける心の広さも持ち合わせていないと,真のリーダーにはなれません。

そうした視点を与えてあげるのも,教師の役目です。



ちなみにこれは,教師自身にも言えることです。

子どもの意見に耳を傾ける余裕が無ければ,上手く学級経営できません。

自分の想いだけで集団はついてきません。



大人でも意外とできていない「聞く」をテーマにしたとっておきの話。

気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年4月14日水曜日

とっておきの話108「勉強より study」の裏話

Twitterに,とっておきの話108「勉強より study」の原稿をアップしました。

とっておきの話108「勉強より study」の原稿




この人をご存知でしょうか?


 

 

2008年、ノーベル賞を受賞した物理学者の益川敏英さんです。

実は、勉強が大嫌いな少年だったそうです。



そんな益川さんは、本の中でこんなことを言っています。


【人から強制される勉強は大きらい。だいたい、「勉強」という言葉に「強いる」という文字が入っているのが気に入りません。先生や親に尻をたたかれてイヤイヤやらされたり、人の顔色を気にしながらする勉強が、楽しいはずがありません。】



確かに、勉強という言葉には「強いる」という言葉が入っていて、やらされている感じがしますよね。

子どもたちの中にも、勉強はやらされているものだと思っている人がいるものです。


それは,勉強させるものだと思っている教師がいるからです。

教師は「教える人」という固定観念の話は前回のとっておきの話でもしました。



一方,益川さんは「勉強」という言葉を使いません。

studyをしよう

と言います。


益川さんは、本の中で次のようなことも言っています。


【それに対して、日本語の「勉強」にあたる英語の「study」の語源には、「知る楽しみ」という意味があるそうです。

ぼくは、この「study」にこそ、本来の学ぶことの意味が込められていると思います。

自分の知らないこと、知りたいことが理解できるようになるというのは、とても楽しいことだからです。

現にぼくはそうやって、子どものころから数学や理科を楽しんで学んできました。

ですから、ぼくはみなさんには、学校の教室を「勉強」する場ではなく、新しい知識を「study」しながら、吸収していく場として考えてほしいと思います。】


学校の子どもたちは,「知る楽しみ」を味わいながら授業を受けているでしょうか?


これは,教師にとっても戒めの問いになりそうです。

「勉強」と「study」の決定的な違いが「知る楽しみ」があるかどうかです。


だれかに強いられるよりも,自ら知る楽しみを味わう。

そんな「study」の価値に聞き手である子どもたちが気づくといいですね。


「study」は主体的な学びを促す合言葉です。



ちなみに,益川さんはマイナスに捉えた「勉強」という漢字。

個人的には別の見方もできると思っています。

「強」は確かに「強いる」と読むとマイナスですが,

「強くなる」と読めばプラスです。

「勉めて強くなる」と読んだ「勉強」ならどうでしょう?



「勉強」が0,「study」が100なんて言う極端に偏った見方は危険です。

その言葉をどう捉えるか。

柔軟な考え方で向き合いたいものです。





気になった方はぜひ,実践してみてください。
ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年4月13日火曜日

とっておきの話107「先生は一緒に学ぶ人」の裏話

Twitterに,とっておきの話107「先生は一緒に学ぶ人」の原稿をアップしました。

とっておきの話107「先生は一緒に学ぶ人」の原稿



ここは教育観の違いが問われる内容だと思いますが,

先生は「教える人」。という固定観念に囚われていると,時として子どもの主体的な学びを阻害してしまうかもしれません。

先生は子どもと「一緒に学ぶ人」。でありたいものです。



これは私の経験則ですが,先生が「教える人」として立ち続けると,子どもは受け身になります。


一方で,先生が「一緒に学ぶ人」として励まし続けると,子どもは主体的になるものです。


僕はよく,「先生でも知らないことを発見してすごいね!」とか「先生なんてみんなが協力して学び合いをしたら簡単に超えられるよ」なんて子どもたちに言い聞かせます。


すると,いつしか本当に先生を必要とせずに,子どもたちだけで学びが成り立ってしまうものです。



こうした考え方を提示する上で素材としたのが,次の言葉です。


【私たちは子どもと共に学びをはじめ,

子どもと共に学びをつづけ,

子どもと共に学びをおえる。】


これは,アメリカの医学博士であるウィリアム・オスラーの次の言葉を真似して作ったものです。


【我々は患者と共に学びをはじめ,

患者と共に学びをつづけ,

患者と共に学びをおえる。】



医師と患者の間柄には,教師と子どもの間柄に通じるものがあります。

学び始めも,学び続けるのも,学び終えるのも,子どもと共に。

そんなスタンスで教壇に立つのも大切ですよね。


このように,「教える」「教わる」の立場を超えた関係は素敵だと思います。


子どもたちからしても,先生は「教える人」という固定観念があります。

なので,この話をすると意外そうな反応を示します。


固定観念は他にも,様々な場面で存在します。


まずは教師自身が,学校で当たり前とされている固定観念を疑ってみる。

そこに新たな考え方が潜んでいるものです。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年4月12日月曜日

とっておきの話106「まずはたし算」の裏話

Twitterに,とっておきの話106「まずはたし算」の原稿をアップしました。

とっておきの話106「まずはたし算」の原稿



堀江貴文さん(ホリエモン)と言えば,お騒がせな人という印象がありますが,彼の出版している本の中に素材となるものがありました。


特に,「0に何をかけても0」「まずは0を1にする努力を一人一人がすることから」

といった言葉が印象的でした。


仲間と助け合うことは,よくかけ算で喩えられます。

しかし,一人一人の力が0では,どんなにたくさんの仲間と助け合っても0なのです。

何をかけても0は0。確かにその通りだと思いました。


0×100=0です。

しかし,1×100=100です。

同じ100を掛けるでも,その答えはこんなにも大きな違いが出ます。


信用のある仲間だからこそ,助け合った時にかけ算の積が大きくなるのです。


【掛け算を覚える前に,足し算を覚えよう。他者の力を利用する前に,自分の地力を底上げしよう。】


いきなりかけ算に頼るような人は,自分の力ではなく,他人の力に頼り切っている人だということです。


堀江さんは続けます。


【知識やテクニックを覚えるのは,イチを積み重ねたあとの話だ。最初の一歩は「足し算」であり「掛け算」を考えるのはずっと後の話なのだ。】


では,自分の力を0から1にするにはどうしたら良いのか。

素材元になった本書では,次のように述べられています。


【信用の「ゼロからイチ」は,まずは自分で自分を信じることからはじまる。】


まさに自己肯定感ですよね。

自分がまず自分を信じないと,と言っています。



学校には,自信をもてない子もいます。

こうした話を聞かせることで,

自信をもってチャレンジし,

0を1に足し算して,

その上で,仲間と助け合って掛け算をしてもらおう。

そんな気持ちになってくれたら嬉しいと思い,とっておきの話にしました。


堀江さんも紆余曲折あった人ですから,なんだか説得力があります。笑

本書のタイトルは,『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』です。





気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年4月11日日曜日

とっておきの話105「漢字の意味を考えると」の裏話

Twitterに,とっておきの話105「漢字の意味を考えると」の原稿をアップしました。

とっておきの話105「漢字の意味を考えると」の原稿



子どもたちは学校で漢字を覚える時,読み方や書き方をまず覚えます。

そこで蔑ろにされがちなのが,その漢字に込められた意味です。


例えば,「敵」という字。

本当に敵はマイナスイメージの漢字なのか,という検討がされないまま,「てき」と読む漢字だと覚えて終わってしまいがちになります。


読み方や書き方はもちろん大切です。

しかし,その他にも大切な側面が漢字にはあります。


こうした視点を気付かせてくれたのが,当時読んだ新聞記事でした。




「敵」という漢字は,広い意味では競争相手を指し,「匹敵」「好敵手」など「対等な相手」の意味もあると投稿した男性は伝えています。

「敵」は必ずしもマイナスイメージの漢字ではないのです。



とっておきの話にする際,漢字を次の4つに分け,その意味を考えさせてみようと思いました。


① プラスイメージの漢字

② マイナスイメージの漢字

③ プラスに見えるけどマイナスイメージもある漢字

④ マイナスに見えるけどプラスイメージもある漢字



「敵」という漢字は④の漢字です。

とっておきの話として披露する時は,まず①の漢字として「勝」,②の漢字として「害」を挙げています。

その後で④の漢字として「敵」を挙げることで,

本当に?

と立ち止まって考えさせるようにしています。


こうした話をすることで,子どもたちは漢字の読み方や書き方だけでなく,その意味まで興味をもつようになります。

漢字の学習の幅が広がります。


ただ単に「漢字の意味も大切だから覚えましょう」と呼びかけるよりも,

一度こうした話を挟んでから呼びかける方が子どもは興味をもって動きます。


ちなみに,意外な意味をもつ漢字を1つ紹介してみます。


・・・助ける,食事をすすめる


みなさんはこんな意味があるのをご存知でしたか?

調べてみると,大人でもびっくりする意味をもつ漢字があるはずです。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年4月10日土曜日

とっておきの話104「生きるとは△△できること」の裏話

 Twitterに,とっておきの話104「生きるとは○○できること」の原稿をアップしました。

とっておきの話104「生きるとは○○できること」の原稿



生きるとは何ですか?


と聞かれたら,あなたなら何と答えますか?


僕の好きな詩人,長田弘さんは,詩の中でこのように答えています。




生きるとは,考えることができるということだ。



どういうことだろうと思ったら,『世界は一冊の本』という詩をぜひ読んでみてください。


この詩は,こんな言葉から始まります。


【本を読もう。もっと本を読もう。もっともっと本を読もう。】


しかし,ここで出てくる「本」とは,みなさんがまず思い浮かべるような本とは意味が違います。


長田さんは,次のようにつなげます。


【書かれた文字だけが本ではない。

日の光り,星の瞬き,鳥の声,川の音だって,本なのだ。】


この後,あれもこれも本なのだという詩が続いていきます。

つまり,自分の見ている世界はみんな本になるのです。

「考えることができれば」です。


だからこそ,生きるとは考えることができるということなのです。

自分が考えることができるからこそ,世界は一冊の本として読める。

自分が考えることができるからこそ,生きている実感が湧く。

自分が考えることができるからこそ,自分の読んだ本たちは生きている。


様々な解釈ができますが,「生きる」と「考える」がこんなつながりをもつことに当時は衝撃を覚えました。


この「生きるとは考えることができることだ」の言葉の前に,長田さんは

「どんなことでもない。」という言葉を置いています。


それほど,「生きる」と「考える」は密接につながりをもっていると伝えたいのでしょうね。


この詩の素敵なところは,世界を本に喩えているところです。

私たちは,世界を見ているのではなく,読んでいるのだという新しい認識を与えてくれます。

見ると読むの大きな違いは,「考えているかどうか」だと思います。

だからこそ,長田さんは「本を読もう。」と連続して呼びかけています。


『世界は一冊の本』の詩を以下に載せておきますが,画像が小さくて読みにくい場合は検索して読んでみてください。




気になった方はぜひ,詩を読み聞かせながらとっておきの話として実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年4月9日金曜日

とっておきの話103「背伸び読書」

Twitterに,とっておきの話103「背伸び読書」の原稿をアップしました。

とっておきの話103「背伸び読書」の原稿





人生で読書を一度もしたことのない大人はほとんどいません。

それは,子どもの頃からの読書習慣が身についているからこそです。

学校現場では,「読書タイム」という時間帯が一日にある学校も多いです。

読書が得意な子だけでなく,苦手な子もとりあえず本を手に取るものです。


そんな読書に対する考え方は様々です。

本屋さんに行くと,「読書」をテーマにした本の多いこと。

ある日,一冊の読書本に出合いました。

中村邦生さんの「書き出しは誘惑する」という本の中に,こんな一文がありました。


時には少し難しいと感じられる本に挑む読書こそ大切だと思う。


これを,中村さんは

背伸び読書

と名付けています。


「背伸び」という表現が秀逸ですよね。

みなさんは背伸びってどんな時にしますか?

自分の背だと届かないような高さにある物を取りたくて,背伸びをして少しだけ高さを上げますよね。

つまり,「背伸び」という言葉を使うことで,無理なく,少しだけ難しい読書に挑戦しようというニュアンスを伝えようとしているのです。


中村さんはさらに,次のように続けます。

【口当たりのいいものだけでは,滋養にならない。歯ごたえのあるものを咀嚼するうちに,読書のスタミナがつく。】


この「読書のスタミナ」という表現も素敵ですよね。

スタミナと聞くと,持続的な運動を行う力の容量のような意味合いに感じます。

一方,運動でなくても,読書にスタミナの意味合いを込めても良いと思います。


スポーツをする時,スタミナをどうやって付けたのかというと,

いつもよりも少しだけ負荷のかかる運動を繰り返した

ことで付けています。


読書のスタミナも同じです。

いつもよりも少しだけ難しい読書を繰り返します。

すると,難しくてページ数の多い本が読めるようになっていきます。


とっておきの話の原稿では,次のように話を締めくくっています。


いつも推理小説ばかり読んでいる人、いませんか?

 いつも絵本ばかり読んでいる人、いませんか?

 いつも漫画ばかり読んでいる人、いませんか?

 自分にとっては少し難しそうな本をあえて読んでみると、中村さんが言うように、読書のスタミナがついて、人生で出会う問題に対応する力がつくかもしれません。

 合言葉は、「背伸び読書」です。みなさんもぜひ、背伸び読書、してみませんか?



「いつもよりも少し難しい本を読みましょう。」

と言うだけでは,伝わってもやらない子どもがいます。


「背伸び読書をしましょう。」

といった合言葉で伝えるからこそ,やってみようかなという気持ちになる子がいます。

合言葉って大事ですね。


中村さんは,本の中で次のように締めくくっています。

【読書の積み重ねで身につける思考力や感性の経験知は、人生のさまざまな応用問題に直面したとき、意外にタフな対応を可能にする



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。



2021年4月8日木曜日

とっておきの話102「幸せな話」の裏話

Twitterに,とっておきの話102「幸せな話」の原稿をアップしました。

とっておきの話102「幸せな話」の原稿



幸せ

をテーマにした素材を2つ組み合わせてみました。





1つ目の素材は,「辛い」に「一」を足すと「幸せ」になるという話

辛いことをがんばる先には幸せになる変化が待っていることを示唆しています。

辛+一=幸


ただ「辛」と「幸」が似ている漢字というだけで終わるのではなく,

そこにどんなエピソードを付加できるかによって見方が変わります。


「辛」と「幸」,漢字が似ているね。ふーん。。。

で終わってしまうのはもったいないです。


なぜ似ているのかな?そこにはどんな意味があるのかな?

そんな風に考えると,

「辛い努力の先には幸せになる結果が待っているのではないか」

という新しい考え方が生まれるのです。


実際の由来がどうなのかはさほど大事ではなく,

素直に面白がり,それを聞き手と共感できるようなエピソードを付加できるかを大事にしたいですよね。

「もしかしたら,こんな意味かもしれないよ?」

そんな風に提示できれば,聞き手は「本当に?」と興味をもってくれます。



2つ目の素材は,「しあわせ」という言葉は「しわ」と「あわせ」の組み合わせから来ているという話。


しわ・あわせとは,手と手を合わせること。

実際にやってみてください。

確かに手のしわが合わさりますよね。





では,このしわ・あわせの状態は,どんなポーズでしょうか?

手と手を合わせる。つまり,相手に感謝を伝えるポーズなのです。


ここで,「感謝➡幸せ」という考え方も生まれます。




これら2つの素材を組み合わせることで,

幸せには「努力」と「感謝」が関わっていそうだという考え方ができるようになります。


今回のとっておきの話をきっかけにし,実際に努力して幸せになった人の話や感謝をして幸せになった人の話を聞かせられれば,尚良いでしょう。

そのためのきっかけになる話です。


幸せになることを目指すと言われると,なんだか遠い先を目指しているかのようですが,

ほんのちょっと前よりも努力する。

ほんのちょっと前よりも感謝する。

それだけで,幸せに近づくのなら。。。


聞き手がこのように,以前よりも少しでも前に進むきっかけになればと思います。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年4月7日水曜日

とっておきの話101「トータルで考える」の裏話

 Twitterに,とっておきの話101「トータルで考える」の原稿をアップしました。

とっておきの話101「トータルで考える」の原稿



子どもたちの中には,目先の失敗ばかり気になって自信を失くしてしまう子がいます。

おれはどうせ失敗ばかりだ。。。

そんな思いを抱いている子は意外と多いものです。


そんな子に勇気を与えるような考え方。

それが今回の話で出てくる

トータルで考える

です。



こうした考え方を教えてくれたのが,世界一高い山,エベレスト登頂を成功させた登山家として有名な野口健さんです。



偉業を成し遂げた彼でも,失敗の連続だったそうです。

ある日の登頂では,命の危険に晒され,手が凍ってしまって,10本のうち7本を切断しなければならない状況になりました。

また,どれだけ自分ががんばっても,周りが褒めてくれず,自信を失くしそうになったこともあったそうです。



そんな野口さんがやってみた「トータルで考える」。

以下のように語っています。


【一回ごとに「成功」とか「失敗」といったように結論をつけるのではなく,人生をトータルで考えよう,と思いました。】


一回一回の成功や失敗ではなく,もっと全体を見渡して考えようとしたのです。

そして,次のように続けます。


【将来,いずれ死ぬ時に人生を振り返って,51%「成功」だったらよしとしよう。ならば,49%は失敗してもいいじゃないか。】


失敗がほんの少しでも,成功を下回る数字ですよね。

死ぬ時をゴールにして現在を考えることで,全体を見渡せます。


さらに,それを%を単位にして比率をイメージすることで,

「ちょっとでも成功が失敗を上回れば良しとしよう」

という考え方に変えることができます。


この考え方の素敵なところは3つあります。



① 自分が基準になる

成功や失敗の基準を他人の評価にしている人は疲れてしまいます。

他人の期待に振り回されず,自分を基準にすることで気持ちが楽になります。

トータルで考えた時,今のは失敗だったか,成功だったか。

それを判断するのは自分自身です。



② 100%を目指さない

成功100%の人生を歩んでいる人はこの世に一人もいません。

一見,完璧に見えるような人でも,数多くの失敗をしているものです。

野口さんの設定した比率は,

失敗49%でも,成功51%ならオッケー

です。

51%の成功を目指せば良い。なんだか気持ちが楽になりますよね。



③ 失敗を振り返られる

その時は失敗に見えた出来事でも,トータルで考えると,後で振り返る余裕が生まれます。

失敗を振り返った時,あの時は失敗だと思ったけど,それが現在の成功につながっていることがあります。

トータルで考えることで,失敗を失敗だと思わなくなっていきます。





学校生活においても,子どもたちはたくさんの失敗も成功も経験していくことでしょう。

目先の結果にとらわれず,トータルで考えることを大切にしてほしいですね。


気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年4月5日月曜日

とっておきの話100「意識しなければ高くとべない」の裏話

Twitterに,とっておきの話100「意識しなければ高くとべない」の原稿をアップしました。

とっておきの話100「意識しなければ高くとべない」の原稿



どこの学校でも,全校集会や式は一年のうちに一度や二度は行われるでしょう。

前任校では,毎週月曜日の朝に全校集会,入学式や始業式,修了式や卒業式がありました。


こうした集会や式の日程に必ず組み込まれているものがあります。

それは。。。



校長先生の話

の時間です。





この時間がとっておきの話クリエイターの教員としては本当に面白いのです。

上から目線のようで申し訳ないのですが,校長先生が誰かによって,話の質が全く違うのです。


何せ全校児童何百人を相手に話をするのですから,難易度は高いです。

そんな中でも,とっておきの話ができる校長先生がいるので本当に尊敬します。


また,校長先生という立場の人は常に話のネタ探しをしています。

時事ネタで話す人や本を参考にネタを真似する人もいます。

そんな中で,僕が「おっ!」と思い,とっておきの話化してみたのが今回の話。

校長先生の話も素材になる時があるのです。



前任校の校長先生は,こんな言葉を残しました。


意識するかしないかで,とべる高さがちがいます。


例えば,ボールを持ってただ落とすとします。

重力に従って落ちたボールは,それなりに跳ね返ってまたとびますよね。

でも,あまり高くとべたとは言えません。


しかし,ボールを「高くとばすんだという意識で」下に打ち付けたらどうでしょう?

跳ね返りが強くなり,ただ落とす時と比べてはるかに高くとべるはずです。





このように,学校生活では「意識するかしないか」の場面が数多くあり,意識できた数だけ成長につながる(=高くとべる)と言えます。




では,学校生活を細分化してみましょう。

学校ですることを分けてみます。


大きく分けると,授業,生活,登下校の3つ。

授業をさらに分けると,国語,算数,理科,社会,体育・・・と,その数は増えます。

生活も同じように分けると,あいさつ,給食,掃除・・・と,その数は増えます。

そして,国語をさらに分けることもできます。


どんどん細かく分けていくと・・・

学校生活ですることを全て数えたら,一日の間だけでも100以上あるのです。


つまり,学校に通う子どもたちは毎日100の「意識するかしないか」の場面に出くわしているということです。

この1つ1つをどこまで大切にできるか。

それが成長の肝だと前任校の校長先生は語っていました。




初めてこの話を聞いた時,学校生活ですることはそんなたくさんあるのだという驚きと,ボールを使った具体的例示の分かりやすさに面白さを感じました。


「意識する」という言葉が難しい場合,「気をつける」に替えてもいいでしょう。

では,どの場面で何に気をつけるのか。

その指導を,今回のとっておきの話をきっかけにして詰めていければ,子どもにすっと入っていく指導になるかもしれません。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年4月4日日曜日

とっておきの話99「顔晴れ,私」の裏話

Twitterに,とっておきの話99「顔晴れ,私」の原稿をアップしました。

とっておきの話99「顔晴れ,私」の原稿



学生の頃,AKB48にハマっていた時期がありました。

当時は発足して間もない頃で,いわゆる初期メンバーと呼ばれた人しか名前は覚えていません。

今でこそ国民的アイドルグループなんて呼ばれ,48シリーズだけでなく,坂シリーズもたくさんできましたが,その礎を支えたのは当時のメンバーの活躍があってこそだと思います。




そんな初期メンバーの中でも,「総監督」と呼ばれ絶対のリーダー的存在だったのが,高橋みなみさんです。



僕よりも少し年下ですが,彼女の言葉や行動には尊敬できる部分があり,いわゆる推しメンでした。

日めくりカレンダーを買うぐらいですから,推しメンでしょう。笑

ですが,このカレンダーの中にも思わぬ素材があったのです。


13日のページに,こんな言葉が書いてありました。




顔晴れ,私


最初見た時は,何て読むのだろう?と思いました。

なるほど,「がんばれ」と読むのだと。。。


そして,その隣に書いてある細かい字を読むと,さらにステキなことが書いてありました。



【私はがんばっている自分が嫌いじゃないです。

がんばらないのはもったいない。

がんばっている時は,ステキな顔になっているはずだから。】



人は,がんばっている時,自分がどんな顔をしているのか知らないものです。

でも,高橋みなみさんは,それは「ステキな顔になっているはず」と言います。

そして,こう続けます。


【だから今日も,「顔晴れ,私」。】


本当にがんばっている人の顔は,きっと晴れやかな顔をしているのでしょう。



「がんばれ」の漢字。

正しくは「頑張れ」です。

頑なに張ると書きます。

こう書くと,なんだか何かに我慢をしているように感じますよね。


一方,高橋みなみさんの「顔晴れ」。

漢字の字面を見ただけでなんだかポジティブな言葉という印象を受けますよね。

同じ読み方でも,当て字によって見る人の印象をプラスにする。

こうした発想は,とっておきの話の素材としてステキだと思います。


高橋みなみさんは,「顔晴れ,私」と自分に向けて言っていますが,

いろんな相手に向けて言うこともできますよね。


頑張れ,みんな。


よりも


顔晴れ,みんな。


の方が,ポジティブなメッセージとして届けられそうですね。




ここからは余談ですが,今はもうアイドルには全く興味が無くなってしまいました。

テレビに出てくる人の名前もいまいち覚えられません。。。


でも,高橋みなみさんのおかげで,アイドルを目指すような若い人たちの中にも,ステキな生き方をしている人がいて,そんなところにも,とっておきの素材は眠っているのだという学びを得ました。


年下だろうと,アイドルだろうと,学べるものは学ぶ。

我以外皆師ですね。




気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年4月3日土曜日

とっておきの話98「78円の命」の裏話

Twitterに,とっておきの話98「78円の命」の原稿をアップしました。

とっておきの話98「78円の命」の原稿



とっておきの話の素材集めとして,とっておきな場所の1つ。

それは,本屋さんです。


特に,絵本コーナーは目を惹かれる本が数多く並んでいます。

当時,ふと目に入ってきた本のタイトルに興味を惹かれました。


78円の命


このタイトルの魅力は次の3点にあります。


① 命に値段をつけるという斬新さ

② 78円という安さ

③ 安い値段の命=つまりどういうこと?を考えさせる


そして,このタイトルの下には,悲しそうな顔をした猫の絵。




さらに,帯にはこんな言葉がありました。


【大切なのは,いのちそのものではなく,いのちをせいいっぱい抱きしめること。】


いのちは大切。

誰もがよく聞かされ,意識しているはずの言葉です。

しかし,「いのちは大切」と言いながら,実際に大切にしている人はどれくらいいるでしょうか?


この絵本のテーマは「動物の殺処分」についてですが,

「動物のいのちそのものが大切」だと伝えると,大切なのは分かるけどよく聞かされ過ぎてなんだか響きません。


一方,「いのちをせいいっぱい抱きしめることが大切」という表現で提示されると,以前とは違う受け止め方で命について考えることができます。


両者の大きな違いは,「主語」だと思います。

「動物の命は大切だよ」と言うと,主語は「動物」です。

「いのちをせいいっぱい抱きしめることが大切だよ」と言うと,主語は「飼い主」になります。


聞き手(読み手)は「飼い主」を想定しているからこそ,主語が「飼い主」の言葉が響くのです。

こうした表現の工夫がこの絵本の表紙にはたくさん込められていました。


そこで,絵本の表紙を見ただけでとっておき話を作ろうと考えました。

動物の殺処分問題は今もなお,考え続けていくべき内容です。


こうした絵本をきっかけに,子どもたちにも考えてもらいたいですね。



ちなみに私は,動物をペットとして飼った経験がほとんどありません。

亀やメダカ,金魚を飼っていたことはありましたが,犬や猫はありません。


もし,みなさんが「飼い主」をしている(したことがある)のなら,その経験をもとに,この原稿をよりアレンジしてとっておきの話づくりができるでしょう。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年4月2日金曜日

とっておきの話97「親切の形は1つじゃない」の裏話

Twitterに,とっておきの話97「親切の形は1つじゃない」の原稿をアップしました。

とっておきの話97「親切の形は1つじゃない」の原稿



あれは2016年の10月,まだ大学院生だった頃。

埼玉県大宮駅へ向かう電車の中の出来事でした。


電車に乗っていると,向かいの席におばあさんが座っていました。

でも,なんだか困っている様子でした。




なんだろう?と思いながら見ていると,どうやら買ったばかりのペットボトルのキャップを開けるのに苦労しているようでした。

自動販売機で買った飲み物ってキャップが硬い時がありますよね。

なかなか回らなくて誰か友達に開けてもらうことはよくあります。




なるほど~おばあさんの手の力ではペットボトルのキャップを開けるのも一苦労だ。


そんなことを思っていたら,近くに立っていたサラリーマンの男性がおばあさんに駆け寄り,

「開けましょうか?」

と声をかけたのです。


笑顔になるおばあさん。

男性の何気ない親切によって,おばあさんは嬉しそうでした。


「ありがとうね。」

おばあさんから感謝してもらった男性も,なんだか照れ臭そうにしていました。


目の前でこんな光景を見た僕は,とっておきの話の素材にしようと思いました。

それは,こんな新しい発見があったからです。


【電車の中の親切というと,「席をゆずる」行動を大体の人が思い浮かべる。

でも,こんな親切の形もあるんだ。親切の形は1つじゃないんだ。】


これは当時の僕にとって大きな発見でしたし感動した出来事でした。




職業柄,「良い言動」「親切の形」について教える立場である教員。

ですが,「こうあるべきだ」という姿を教え込み過ぎると,それ以外の言動は絶対に許さないようなニュアンスで伝わってしまうことがあります。


今回のように,

電車の中での親切の形=席をゆずる




のみに限定されてしまうと,他の親切の形に盲目になってしまいます。


ひどい場合,「電車の中ではとにかく席をゆずればいいんだ」と,言われたことをそのまま実行する思考停止状態で動くことになります。

本来,親切は言われたからやることではなく,相手への思いやりから生まれるものです。


親切の形を1つに限定せず,自分の頭で考えて臨機応変な心遣いができるといいですね。


そのためには,話し手である教師自身が視野を広げておくことも大切です。

日常の光景の中にも,「あ,それ新しいけどステキ」といった景色が広がる瞬間があります。

見つける度に新たなとっておきの話の素材となるはずです。


自分には持っていない感覚で他人の新しい姿を発見できた時,嬉しい気持ちになります。

あなたの身の回りにも,そんな新しい発見をくれる人がいるはずです。


気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。




2021年4月1日木曜日

とっておきの話96「一発全力」の裏話

Twitterに,とっておきの話96「一発全力」の原稿をアップしました。

とっておきの話96「一発全力」の原稿



1日1回勝負!

サッカーの本田圭佑選手がCMで叫んでいました。


人生は毎日が一度きりの勝負の連続です。


学校生活においても,

一回勝負

の連続です。

それは行事であっても,普段の授業であっても。


振り返りはしても,全く同じ内容の学習を実施することはしません。

だからこそ,一回一回の行事や授業は大切にしてほしいものです。


僕はいつも,子どもたちとの勝負だなと思っています。

なぜかというと,勝負は,お互いが本気を出してこそ楽しいものになるからです。

前回紹介した「勝ち負けがあるから成長できる」に通じるものがありますよね。


だから,一回一回の勝負。聞き手である子どもたちには全力を出してもらいたいのです。

そんな時,今回のとっておきの話「一発全力」を披露します。




「一回勝負だよ?」

と言われても,まだまだ背中を押すには弱いと感じた時,

「今まであった一回勝負の出来事に,あなたは全力をつくしてきましたか?」

と問いかけることで,聞き手にドキッとさせます。

自分事だと思ってもらう工夫ですね。

そして,毎度おなじみの合言葉へとつなげます。


今回の合言葉は。。。

一発全力


きっと素材元の通信を作った先輩の先生が考えた造語だと思います。

でも,四字熟語で唱えやすく,意味がわかりやすい言葉です。


原稿では,最後にみんなで「一発全力!」と大きな声で言わせて話を終えています。

とっておきの話の中だけでなく,終わった後の日常でも合言葉として使うとより効果的です。



「勝負」という言葉からは相手を連想させます。

「全力」という言葉からは自分の力を連想させます。


一回勝負の前に一発全力を合言葉にすることで,

【自分➡相手】

という自然な流れで子どもたちの思考を促せます。


そうか,自分が全力を出し,相手も全力を出す勝負。これが一回勝負なんだ。

そんな風に感じるはずです。




新しい言葉(造語)を作ることは,聞き手が自分事として考え,無理なく思考を促せるための手立ての1つです。


合言葉になりそうだと判断できるなら,多少無理のある造語でも作ってしまえばいいと思います。

作ってみて,浸透すればそれでオッケーです。

浸透しなければ,また別の合言葉を定着させればいいのです。


既存の言葉だけに目を向け,それが綺麗な言葉だと提示しているだけだと,聞き手に届かない時があります。



世の中の言葉たちは,必ずしも万人に通じる言葉ではないからです。

だからこそ,目の前の聞き手の実態を正確に把握し,ぴったりの言葉を探す必要があるのです。



言葉と聞き手をつなぐ。

それが話し手としての大きな役割の1つなのです。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の裏話

  Xに、とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の原稿をアップしました。 とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の原稿 三方良し という言葉が個人的には好きなのですが、今の時代は「ウィンウィン(Win Win)」という言葉の方が聞き馴染みが...