2023年5月31日水曜日

とっておきの話492「壁を乗り越える」の裏話

 Twitterに、とっておきの話492「壁を乗り越える」の原稿をアップしました。

とっておきの話492「壁を乗り越える」の原稿


読書をしていると、遭遇する素材の数々。

その中には、まさかこんな素材に出合えるとはと驚かされる素材もあります。

それはまるで、料理の本を読んでいたら、スポーツの極意を知れたようなものです。

「まさかこの本から、こんな素材が得られるなんて」という経験があるからこそ、本は開いて読んでみないと、自分にとって名著かどうか分からないものです。


最近、川上康則さん著の『教室マルトリートメント』を読破しました。

この本を読んでいたら、「学び手状態をキープするには」というテーマで乗り越えるべき壁についての図解が載っていました。

大人向け、教員向けにこうした図解を本書で掲載しているのですが、これは子どもたちに見せても面白い図だと思いました。


こんなところから、とっておきの話は生まれるのです。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(学んだ と板書)

 みなさんは最近、何を学びましたか?

実は、私は「学んだ」と言える状態になるまでに、人はいくつかの壁を乗り越えなければなりません。例えば、知識の壁というのがあります。(壁のイラストを提示)そのことについて知らないと、学んだという状態にはたどりつけません。この先、いくつの壁があると思いますか?


(下の画像を提示)



 知識の壁を乗り越えて、頭で分かる。

 納得の壁を乗り越えて、腑に落ちる経験をする。

 行動の壁を乗り越えて、やってみる。

 同調の壁を乗り越えて、周囲を気にせずやってみる。

 理解の壁を乗り越えて、ようやく分かるレベルに。

 技術の壁を乗り越えて、できるレベルになる。

 継続の壁を乗り越えて、し続ける状態になる。

 習慣の壁を乗り越えて、『いつもしている』状態になれる。

(子どもの実態に合わせてそれぞれ補足説明)


(壁を乗り越える➡学んだ と板書)

 これだけたくさんの壁を乗り越えて、人は初めて「学んだ」という状態になります。

みなさんはもしかして、まだ乗り越えていない壁があるのに、学んだ気になっているかもしれません。今、どこの壁の前に立っているでしょうか。そして、これから、どこまで壁を乗り越えられるでしょうか。本当に「学んだ」状態を、みんなで目指していきましょう。


いかがでしたか?


私自身、一番驚いた点は乗り越えるべき壁の多さです。

こんなにもたくさんの壁を乗り越えないと、「学んだ」状態と言えないのか、と。


この驚きをそのまま子どもたちへ伝えるような構成にしました。

まず先に、最初の「知識の壁」を例示することで、この先どんな壁があるのだろう?と想像を巡らせるきっかけを作ります。

「壁を乗り越える」という比喩表現が、イメージを膨らませやすくさせていますよね。

名曲と呼ばれる歌の歌詞にも「壁」という言葉はよく出てきます。

きっと子どもたちにとっても、イメージしやすい言葉であるはずです。


こうしたイメージしやすい言葉を抽出したり選択したりすることで、どんな素材であっても子ども向けの小話に創り変えることができる可能性があります。

「もし、子どもに話すなら…」と考える癖をつけるのです。


ちなみに、この図解はもちろん、大人や教員である私たち自身が振り返る上でも重要な図解でしょう。

つまり、「学ばせた気になっている」状態を自覚することができるのです。

自戒の念を込めて、この図解は心に留めておきたいものです。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。


2023年5月22日月曜日

とっておきの話491「関心・意識・行動の輪」の裏話

 Twitterに、とっておきの話491「関心・意識・行動の輪」の原稿をアップしました。

とっておきの話491「関心・意識・行動の輪」の原稿



『7つの習慣』という世界的な名著をご存知でしょうか?

ビジネス書・自己啓発書の世界では知らない人はいないほどの有名な本ですよね。

世界では3000万部売れているそうで、日本では250万部。今も売れ続けています。


そんな『7つの習慣』は、昔からずっと読みたいと思っていたにも関わらず、じっくりと読み込んだのは最近のこと。

やはり古典的な名著は良いですね。

最近ベストセラーになった本たちもこの名著から影響を受けていることがよく分かります。


今回の話は、『7つの習慣』の中でも第1の習慣である【主体的である】という項目の中で取り上げられていた「関心の輪・影響の輪」をもとに創りました。



自分の場合、影響の輪をさらに細分化して意識の輪と行動の輪と名付けて3つの輪の関係性を探ってみました。

ここら辺のアレンジする・しない、するならどうアレンジするかは人それぞれ色が出るところだと思います。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


みなさんは、新しく気付いたことや気になることはありますか?そうしたことを関心と言います。ここに関心の輪があります。(次の画像を提示。青色が関心の輪)



内側はあなたにとって関心のあること。外側は無関心なことや未知というまだ知らないことの世界です。関心の輪はいくらでも広げることができます。どれだけ広げても、外側の無関心なことや未知な世界は無くなりません。だからこそ、人は学び続けることができるのです。


しかし、関心の輪を広げるだけではいけません。(以下の左の画像を提示。緑色が意識の輪)



いくら広げても、意識や行動の輪が広がらなければ、ただ「わかりました」で終わる人やいつまでもくよくよと気にしている人になってしまいます。関心をもったことは忘れずに意識し、自分なりに考え続けることが大切です。関心の輪の中で意識の輪を広げていきましょう。(右の画像)



その後、意識の輪の中で行動の輪を広げていきましょう。(左の画像。オレンジ色が行動の輪)



ただ意識しているだけでは何も変えることはできません。あなたの周りの関心のあることは、あなたが行動して初めて影響を与えて変えていくことができます。


でも、(右の画像)よく考えずに行動が先走ってしまうと空回りしてしまうことには注意が必要です。行動の前に意識を大事にしましょう。



 こうして3つの輪を大事に広げていくと、自分の関心事を増やし、よく考えて意識し、進んで行動できる人になれます。「主体的な生き方」ができる人と言われます。

ぜひみなさんも主体的な生き方をしてみてください。



いかがでしょうか。


○○の輪と図解されると関係性が一目瞭然ですよね。

こうした手法は、他のところでも広く使えそうです。

図解と聞くとフローチャートのような四角形を思い浮かべますが、こうした輪や円を使った図解も面白いですね。


気付き、考え、行動する


これはなかなか難しいことです。

気付きで止まったり、考えずに終わったり、行動せずにいたりすることはよくあります。

だからこそ、こうした視覚的イメージをもちながら意識し続けることが大切ですね。


気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年5月15日月曜日

とっておきの話490「人生は復習だよ」の裏話

  Twitterに、とっておきの話490「人生は復習だよ」の原稿をアップしました。

とっておきの話490「人生は復習だよ」の原稿


 昔出合った素材が突然思い出され、目の前の子どもの実態とつながる瞬間が時として訪れることがあります。


 最近、「人生は小学生時代の復習」という言葉が突然頭の中に浮かびました。

どこかの本で読んだ気がして、最近読んだ本を再読してみたのですが…

見つかりませんでした。


どこかで出合ったはず。そう思いながらネットサーフィンをしていると…見つけました。

それは2014年のポスターに掲載されていた広告コピーの言葉だったのです。

小学校での学校生活は、現在小学生である子どもたち自身が思っている以上に人生において重要な期間であることを知らせたいと思い、この話を創ることにしました。


魅力的な素材というのは、頭の片隅で記憶として残っているものですね。

それは何かの拍子に突然思い出されるものです。

だからこそ、出合っておくことが大切なのです。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(じんせい 人生 と板書)人生について考えると、みんなはまだまだ先の話だと思うかもしれませんね。でも、意外とそんなことは無いかもしれません。

なぜなら、こんな言葉があるからです。(次の言葉を提示)


じんせいは、《           》の復習だよ。


《》の中にはどんな言葉が入ると思いますか?



正解は、こちらです。(次の画像を提示)



人間の性格や生き方の型は、小学生時代までに作られると言われています。だからこそ、今あなたたちが小学校で学んでいることは、これから先の人生でも何度も復習していくことなのです。

嫌な思いをしたあの思い出も、苦手な教科やスポーツも、面倒くさいと感じる宿題やドリルも、全てがあなたの人生につながっています。



 あなたの人生の主人公は、あなた自身です。小学校にいるうちに、自分の力で出来ることを増やしておくと、その後の人生も主人公として自分の力で歩んでいけることでしょう。

ぜひ、自分の人生を豊かにするためにも、小学校で学んだことを大切にしていきましょう。

そして、その学んだことの復習は、いつだって出来ますよ。


いかがでしたか?


人生は小学校で学んだことの復習という言葉は、教師である私にとっても身がしまる思いのする重要な言葉です。

小学校での教育は人生の基盤の教育です。

そこに責任をもって教師として精一杯子どもたちと向き合っていきたいです。


こうした重要なキーフレーズは、何も子どもだけを対象にしなくても良いのです。

教員の研修向けにとっておきの話だって創れます。

大事なのは、誰に向けて創るのか、誰に向けて話すのか、を見失わないことです。

そこを見失わなずに創り、話そうとするうちに、今度はどうやって見せ、話すのかが見えてきます。


人生は小学校で学んだことの復習。大人の私からしても確かにそうだなと感じる節があります。何事も積み重ねなのですよね。

小学校で学ぶことは子ども園で学んだことの復習ですし。

ただ、保育は学ぶ期間ではないかもしれません。遊びから学びへと転換している期間ですから。

ただ、どの時代の学びも全部人生で復習している気がするんですよね。

うーん、そう考えるとこの言葉1つ取ってもなかなか深いですね。

道徳の授業にしても面白いかもしれません。


気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年5月14日日曜日

とっておきの話489「地球を救う穴」の裏話

 Twitterに、とっておきの話489「地球を救う穴」の原稿をアップしました。

とっておきの話489「地球を救う穴」の原稿


 先日、息子たちを連れ、家族で一緒に地本のマクドナルドのお店へ行きました。

目的は3歳の長男が欲しがっていたハッピーセットのおもちゃを買うため。


しかし、なんとそのおもちゃは既に売り切れでした。

仕方なく、ハンバーガーをいくつか買って帰ることに。


悲しみに暮れる息子の横で、私は喜びに満ちていました。

なぜなら思わぬリサイクルボックスに出合ったからです。


息子よ、すまない。父さんはとっておきの素材を見つけたのだ。

それはハッピーセットのおもちゃよりも知的好奇心をくすぐるものなのだ。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(リサイクル と板書)

 リサイクルは3Rの1つ。SDGsにもつながる活動ですね。みなさんはリサイクルと聞いて、どんな物を思い浮かべますか?できるだけたくさん想像してみてください。

(考える時間を取った後、何人か指名。「おもちゃ」という意見が出てきたら大袈裟に驚く)



 実は最近、こんな物もリサイクルできるんだ!と先生はあるお店で発見しました。そのお店とは…マクドナルドです。(マクドナルドの画像を提示)マクドナルドのお店でいったい何がリサイクルできるのでしょう?(間をおいてから)正解は、おもちゃです。(次の画像を提示)

 


 

 マクドナルドのハッピーセットでもらえるおもちゃは、プラスチックで出来ています。そのうち10%の樹脂がリサイクルできる樹脂なのです。



(地球を救う穴 と提示し、次の画像を見せる)

こんなところに地球を救う穴があったんですね。

先生もマクドナルドのお店でまさかリサイクルやSDGsにつながる物があるなんて先生も思いませんでした。

みなさんはこの地球を救う穴の存在を知っていましたか?


 意外と身近なところに、地球を救う穴は至る所に存在しているのかもしれませんね。それは「こんな物もリサイクルできるの?」なんていう意外な物もリサイクルされているのかもしれません。

 ぜひあなたも身の周りの地球を救う穴を探してみてください。

 見つけた瞬間からもうあなたは地球を救うチームの一員です。



いかがでしたか?


みなさんはマクドナルドのお店にこんなリサイクルボックスがあったのをご存知でしたか?

今回の話は、次の2つのことを教えてくれます。


① リサイクルやSDGsにつながる物は、意外と身近な場所で見つけられる。

② おもちゃという意外な物も、リサイクルできる。


SDGsやリサイクルの話は、道徳の内容項目でいうとD領域に当たります。

なかなか素材を見つけるのが難しい領域ですが、意外と身近なところから説話にすることが可能です。


身近なところに素材がある。

そして、あなたの日常の延長で素材は見つけられるのです。


私だって元々、リサイクルボックスを探しにマクドナルドのお店へ行った訳ではありません。

たまたま日常の延長線上に今回の素材があったのです。

つまり、無理して探していないのです。


自然体で素材から近づいてくるような感覚。

これは続けているとどなたでも身に付けられる感覚だと思います。


ここまでいくと、探す力はある程度鍛えられたと言えるでしょう。

そこから先は、探さなくても勝手に素材が近づいてくる面白い感覚を味わえますよ。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年5月10日水曜日

とっておきの話488「ハンバーグ事件」の裏話

 Twitterに、とっておきの話488「ハンバーグ事件」の原稿をアップしました。

とっておきの話488「ハンバーグ事件」の原稿


まずはみなさん、今回僕が体験した出来事をツイートにまとめてみましたので、そちらをご覧ください⇩

ハンバーグ事件のツイート


いかがですか?

みなさんはこのエピソード素材をどのように説話として創り上げますか?


ぜひ主体的になって私が創った今回の話を読んでみてください。

それでは原稿を読んでみましょう⇩


(「ガチャンッ」と缶を床に落とす音を流す。音源が無い場合は語り手の声で表現する)

ある日の給食の準備時間中、隣のクラスから聞こえてきました。音がする方を見ると、引っくり返った缶の中から半分以上のハンバーグが床に落ちてしまっていました。

(ハンバーグが床にこぼれている写真または画像を提示)



 みなさんならこんな状況を見た時、どんな行動を取りますか?目をつむって

なるべく必死になって想像してみてください。(間をおく)


(自分が助けられること と板書)

この時の先生はとっさに、自分ができることで何か助けになれないか必死で考えました。お休みの子がいればそれを渡せそう、半分こにすれば多くの子にあげられそう。今みなさんの中にも自分はどうしたらいいのか必死で想像した人がいたと思います。でも、自分ができることには、限界があります。その時です。こんな放送が全ての教室に流れました。

(「○年○組のハンバーグが落ちました。譲れるクラスは来てください」と提示。読み聞かせる)

 すぐに同じ棟の4年生と6年生の子たちが、余ったハンバーグを持ってやってきました。先生たちも連携し、声を掛け合いながら数の調整と指示をしていました。すると間もなく

(「みなさんのおかげで○年○組のハンバーグが足りました。ありがとうございました」と提示)無事に解決したとの放送が流れました。この放送を聞いて、ハンバーグを落としたクラスの子たちはどんな反応をしたと思いますか?(指名)


一斉に拍手が起こり、大きな声で「ありがとう!」と叫ぶ子がいたそうです。このハンバーグ事件を通して先生は思いました。自分ではない人がたくさん関わって助け合っている、と。

(みんなで助け合えること と板書)

 先生たちやハンバーグをもってきた子たち、ありがとうを伝えられた子たち、そして何よりも助けを求める放送と感謝を伝える全校放送を職員室から流して呼びかけた人のおかげで解決したのです。

 このように、自分が助けられること以上に、みんなで助け合えることはたくさんあります。自分が助けられることを必死で想像している人たちがみんなで助け合うと、問題を解決する大きな力になります。学級だけでなく、学年や学校全体で助け合えるのです。

 みなさんも、そんな大きな助け合いのチームの一員でいてください。


いかがでしょうか。


私の場合、「自分が助けられること」だけでなく、「みんなで助け合えること」があるというメッセージを主軸にして創ってみました。

そしてその助け合いは、時として学級を超えて学校全体を支える大きな力になることを子どもたちに伝えたかったのです。


みなさんはどんな説話を構想しましたか?

きっと私とはまた別の説話内容を想像された方も多いのではないでしょうか。

それでいいのです。それがあなたにとって、そして、目の前にしている子どもたちにとってのとっておきの話になります。


エピソード素材は、偉人などの名言とは違い、パワーを出すのは難しいですが、その分だけ臨場感をもって語ることができます。

まるでその場に自分がいるような感覚を味わえるよう、演出や話し方、見せ方が重要となります。

エピソード素材はこのように臨場感溢れるストーリーとして語ると、子どもたちの心に響きやすいです。


早速今日の朝、子どもたちの前で披露したいと思います。

なんと言っても昨日体験したことが素材になっているのですから。

一緒に楽しくみんなで助け合えることについて考えていきたいです。


気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年5月8日月曜日

とっておきの話487「どこまでも学び続ける」の裏話

 Twitterに、とっておきの話487「どこまでも学び続ける」の原稿をアップしました。

とっておきの話487「どこまでも学び続ける」の原稿


 最近、94歳の祖母が介護デイサービスに通い始めました。

何十年も実家で両親と過ごしていた祖母からすると、大きな変化であり、勇気のいる出来事であったと思います。

そんなおばあちゃんの新生活は、聞けば聞くほど面白いエピソードで溢れていました。


慣れない施設での入浴も慣れ、今では「極楽極楽」とつぶやいているそうです。

学校と同じように、介護施設にも連絡帳があり、そこに施設の人がその日の様子を書いてくれています。

その朱書きを読むと、介護施設でも祖母が楽しく過ごしていることが伝わってきます。


昨日、母がいくつか学習プリントを見せてくれました。

祖母が介護施設で取り組んだものだそうです。

学習内容は今の小学生が解いているようなもの。

でもなんだか一生懸命取り組んでいることが伝わってくる筆跡でした。


94歳にもなると、忘れてしまった知識も多くあります。

もちろん、問題によっては間違えているところもありました。

それでも、祖母はこうした学習プリントも楽しく取り組みます。


それは祖母の毎日の習慣である「読書」が基盤となっていると思います。

つまり、どこまでも学び続けるという姿勢から来るものなのです。


今回の話は、そんな私の祖母のエピソードを素材に創らせていただきました。

それでは原稿を読んでみましょう⇩


(以下の画像を提示)




これは最近見かけた学習プリントを撮影したものです。だれのものだと思いますか?(指名)

実は…先生のおばあちゃんです。


(94歳 と板書)

 先生のおばあちゃんは94歳です。最近、介護デイサービスという施設に通い始めました。そこでは毎日、今みなさんが見たような学習プリントに取り組んでいます。もう忘れてしまっていて問題を間違えることもあります。でも、おばあちゃんはそのことを決して苦しいとは言いません。むしろ楽しいと言います。



 そんなおばあちゃんは、94歳になっても毎日ずっと続けていることがあります。何だと思いますか?(指名)

 それは…(読書のイラストを提示)

読書です。

 毎日何冊も本を読み続けているのです。


(どこまでも学び続ける と板書)

94歳になっても毎日学びを楽しむおばあちゃんは、先生にとって憧れの人です。何歳でも、歳を取っても、人はどこまでも学び続けることができるのです。そして、それを楽しむための練習期間を、今あなたたちは学校という場で過ごしています。ぜひ学びを楽しんでください。きっと本気で学びを楽しめる人は、一生学びを楽しめる人になれます。


いかがでしたか?


実際に祖母が取り組んだ学習プリントの写真を提示することで、臨場感が出ます。

「ちょっと写真撮らせて」と母に頼み、撮影させてもらっていました。
こうした写真でのストックが、後々素材となります。

何か自分のアンテナに引っかかるものがあると、必ず写真で撮影するようにしています。
もちろん、撮影対象によっては許可を取ることは忘れてはいけません。

素材というのは、今回のようにすぐ素材として活用できることもあれば、その時はまだ曖昧な感覚ですが後々になって確かな感覚になるものもあります。

まるで発酵食品のように、寝かせておくことも大切なのです。

みなさんには、今寝かせている写真はありますか?
こうした積み重ねが探す力を鍛えていきます。


元々、私の祖母は高齢になっても毎日読書を続けているというエピソード素材がありました。

今回、介護施設でも毎日学習プリントに取り組み、毎日学び続けるというエピソード素材を手に入れ、ぜひ組み合わせてとっておきの話にしようと考えました。

ここで大事なのは、ただ取り組んでいる訳ではなく、楽しむ姿勢で取り組んでいる点にあります。
だからこそ、小学生の子どもたちが聞いても勇気が出るようなメッセージ性ある話ができるようになるのです。

このように、その話でどんなメッセージを伝えるかという点を明確にしておくと、どんな素材でもとっておきの話になる可能性が大いにあります。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年5月3日水曜日

とっておきの話486「野菜の本気」の裏話

 Twitterに、とっておきの話486「野菜の本気」の原稿をアップしました。

とっておきの話486「野菜の本気」の原稿


私たちが普段目にしている物の中で、

えっ、そんな姿をしているの!?

と驚く物というのは意外と多くあります。


なぜ驚くかというと、これはこういう姿という固定観念が定着しているからなのですね。

無意識に身に付いてしまった思考バイアスを脱ぎ捨てるようなイメージの提示は、思考を活性化させる起爆剤となります。


最近、NHKの番組「ダーウィンが来た」を何気なく観ていたら、私自身も思考バイアスを脱ぎ捨てる経験をしました。

それが、野菜の本来の姿です。

野菜は、私たち人間が都合よく改良し、まだ育ち切っていないうちに多くは成長を止められ、食べられてしまいます。

では、育ち切ったらどうなるのか。その姿をテレビで目の当たりにした時、これはもうとっておきの話として創って子どもたちにも伝えようと思いました。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(野菜 と板書)

 野菜が好きな人?苦手な人?(挙手)給食に必ず出てくる野菜。でも、みなさんは意外と野菜のことをよく知らずに食べたり食べなかったりしているかもしれません。

(野菜の本気 と板書)

 それは言い換えると、野菜の本気を知らないということです。野菜の本気ってどういう意味だと思いますか?(何人か指名)



(キャベツの画像を提示)

 これは何ですか?はい、キャベツですね。では、キャベツが代表して野菜の本気を見せます。

キャベツが本気を出すと、こんな姿になります。

(以下の上の画像を提示)本来収穫する時期に収穫せず、育て続けるとこうなるそうです。

野菜が本気を出した姿というのは、野菜の本当の気持ちを考えるべき姿です。それは、野菜とは本当はこんな姿で一生を終えたいと思っているのではないか?という姿なのです。さらに野菜が本気を出すとこうなります。(以下の中央の画像を提示)キャベツも花を咲かせるのです。キャベツ畑とは、本当はこんな景色かもしれません。(以下の下の画像を提示)






実は私たち人間は、野菜からすると「もっと生きたい!」「本当はこんな姿まで生長できるんだ!」という植物としての本気を踏みにじるように、生きている途中を食べてしまっています。動物の肉や魚と違い、植物の野菜は口に入れられるその瞬間まで生きています。そのことを理解した上で、「生きている途中で食べてごめんね」「今日もありがとう」という気持ちで野菜と向き合ってみてください。野菜の本気を知っている人は、野菜と真剣に向き合える人になれます。


いかがでしたか?


子どもたちに伝わる言葉を考えた時、

野菜の本気

というキーワードが頭に浮かんできました。


野菜は本気を出せばこんな姿になることを知ってほしかったし、野菜の本当の気持ちに寄り添って向き合うことの大切さも感じてほしかったからです。


私たちは野菜を植物だということを時として忘れています。

こんなにも身近で命につながる植物はいるでしょうか。

もっと野菜について深く考える機会が必要なのかもしれませんね。


こうした語りをきっかけに、食育をテーマにした授業にもつなげられそうです。

さらに、理科の「植物の成長」の学習にもつながりそうです。


人間という生き物はやはり残酷で、食物連鎖の頂点にいるんですね。

だから他の動植物の命をいただかないと自分たちは生きていけない動物なのです。

ただ、それを止めることは無理でも、知っておくことはできると思うのです。


私たちは野菜の生きている途中を食べている。

それを知っているだけでも、野菜について深く考えられるかどうかが変わってくると思うのです。

こうしたことはこれからも語りにして残していきたいですね。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年5月1日月曜日

とっておきの話485「動物と言葉は通じなくても」の裏話

 Twitterに、とっておきの話485「動物と言葉は通じなくても」の原稿をアップしました。

とっておきの話485「動物と言葉は通じなくても」の原稿


先日、ムツゴロウさんの訃報が届きました。

日本で最も動物を愛し、愛されたと言われた人。



今やテレビで動物番組を放送するのは当たり前ですが、その先駆者とも呼ばれる人です。

僕も子どもの頃、ムツゴロウ王国の動物たちを見て和やかな気持ちになったのを覚えています。


ムツゴロウさんのすごいところは、その行動力。

世界を飛び回り、様々な動物と仲良くなる姿から、この人は本当に生粋の動物好きだと思いました。

人間と言葉は通じない動物ですが、なぜかムツゴロウさんの手にかかると動物たちは心を許していくのです。


そんなムツゴロウさんの右手の中指が無いことを知ったのは、本当に最近の話。

過去にライオンに喰いちぎられた事件があったのです。

しかし、驚いたのはその事件そのものではなく、その時ムツゴロウさんがライオンに言ったセリフでした。

これは亡くなったムツゴロウさんに敬意を表し、とっておきの話にするべきだと考え、今回の話を創りました。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(ライオンの画像を提示)



 私たちが動物と触れ合う時、言葉は通じませんよね。でも、心は通じ合えるはずです。それは動物を本当の意味で愛し、愛されるということです。一見恐ろしく見えるライオンでも。

(ムツゴロウさんの画像を提示)



2023年。日本で最も動物を愛し、愛されたと言われたムツゴロウさんが亡くなりました。先生も子どもの頃、「ムツゴロウ王国」という動物番組をテレビでよく見ていました。2000年のある日。その日はライオンと触れ合うコーナーでした。ブラジルでライオンと出会ったムツゴロウさん。「人に慣れていないから危ない」と言う周りの声に対し、一目見て大丈夫だと思ったそうです。思った通りムツゴロウさんの顔を触ったり舐めたりするライオン。心が通じ合ったと思ったムツゴロウさんはそのライオンに「オマエ、いい子じゃないか。あとで遊ぼうな」と声をかけました。しかしその瞬間、ムツゴロウさんの後ろで人が急に動き、それに驚いたライオンが急に檻へ向かってぶつかってきました。そしてなんと…

(手指の画像を提示)檻にかけていたムツゴロウさんの右手の人差し指、中指、薬指がライオンの口の中に入ってしまいました。指を抜こうとしても抜けないムツゴロウさんはライオンに「よし、指1本やるから勘弁しろ」と言ったそうです。引き抜いた右手には…中指がありませんでした。その時、ムツゴロウさんはなんと言ったと思いますか?


 中指を喰いちぎったライオンの方を向き、「ああ、悪いことをしたなって顔をしていますね」と笑顔で言ったそうです。自分が大けがを負った状態でも、常に目の前の動物の気持ちに寄り添い続ける。動物と心が通じ合うというのは、ムツゴロウさんのような姿勢や気持ち、想像力のことを言うのでしょう。動物王国を創り上げたムツゴロウさんのように、みなさんも動物を愛し、愛される人になってください。私たち人間も、同じ動物なのですから。


いかがでしたか?


ライオンに中指を喰いちぎられても、そのライオンの気持ちに寄り添い、気遣う言葉をかけるムツゴロウさんには頭が下がります。


動物と心が通じ合うというのは並大抵の努力で叶うものではありません。

本当の意味で愛し、愛される関係を築くには、それなりの覚悟がいります。

ムツゴロウさんは温和で優しいイメージがありますが、その奥には屈強な精神やぶれない覚悟がお有りだったのだと思います。


動物愛護なんて簡単に表現できるものではないのです。


動物好きな人は世の中にたくさんいますが、ここまで覚悟をもって動物と触れ合い続けた人はムツゴロウさんぐらいでしょう。

そんなムツゴロウさんの生き方から、私たちが学べることはたくさんあるでしょう。

気になった方はぜひ、他のエピソードも調べてみてください。


ちなみに、あのさかなくんも、ムツゴロウさんに影響を受けている動物好きの1人です。

さかなくんの魚好きに対する気持ちもとっておきの話の素材になりましたね。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の裏話

  Xに、とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の原稿をアップしました。 とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の原稿 三方良し という言葉が個人的には好きなのですが、今の時代は「ウィンウィン(Win Win)」という言葉の方が聞き馴染みが...