Twitterに、とっておきの話492「壁を乗り越える」の原稿をアップしました。
読書をしていると、遭遇する素材の数々。
その中には、まさかこんな素材に出合えるとはと驚かされる素材もあります。
それはまるで、料理の本を読んでいたら、スポーツの極意を知れたようなものです。
「まさかこの本から、こんな素材が得られるなんて」という経験があるからこそ、本は開いて読んでみないと、自分にとって名著かどうか分からないものです。
最近、川上康則さん著の『教室マルトリートメント』を読破しました。
この本を読んでいたら、「学び手状態をキープするには」というテーマで乗り越えるべき壁についての図解が載っていました。
大人向け、教員向けにこうした図解を本書で掲載しているのですが、これは子どもたちに見せても面白い図だと思いました。
こんなところから、とっておきの話は生まれるのです。
それでは原稿を読んでみましょう⇩
【(学んだ と板書)
みなさんは最近、何を学びましたか?
実は、私は「学んだ」と言える状態になるまでに、人はいくつかの壁を乗り越えなければなりません。例えば、知識の壁というのがあります。(壁のイラストを提示)そのことについて知らないと、学んだという状態にはたどりつけません。この先、いくつの壁があると思いますか?
(下の画像を提示)
知識の壁を乗り越えて、頭で分かる。
納得の壁を乗り越えて、腑に落ちる経験をする。
行動の壁を乗り越えて、やってみる。
同調の壁を乗り越えて、周囲を気にせずやってみる。
理解の壁を乗り越えて、ようやく分かるレベルに。
技術の壁を乗り越えて、できるレベルになる。
継続の壁を乗り越えて、し続ける状態になる。
習慣の壁を乗り越えて、『いつもしている』状態になれる。
(子どもの実態に合わせてそれぞれ補足説明)
(壁を乗り越える➡学んだ と板書)
これだけたくさんの壁を乗り越えて、人は初めて「学んだ」という状態になります。
みなさんはもしかして、まだ乗り越えていない壁があるのに、学んだ気になっているかもしれません。今、どこの壁の前に立っているでしょうか。そして、これから、どこまで壁を乗り越えられるでしょうか。本当に「学んだ」状態を、みんなで目指していきましょう。】
いかがでしたか?
私自身、一番驚いた点は乗り越えるべき壁の多さです。
こんなにもたくさんの壁を乗り越えないと、「学んだ」状態と言えないのか、と。
この驚きをそのまま子どもたちへ伝えるような構成にしました。
まず先に、最初の「知識の壁」を例示することで、この先どんな壁があるのだろう?と想像を巡らせるきっかけを作ります。
「壁を乗り越える」という比喩表現が、イメージを膨らませやすくさせていますよね。
名曲と呼ばれる歌の歌詞にも「壁」という言葉はよく出てきます。
きっと子どもたちにとっても、イメージしやすい言葉であるはずです。
こうしたイメージしやすい言葉を抽出したり選択したりすることで、どんな素材であっても子ども向けの小話に創り変えることができる可能性があります。
「もし、子どもに話すなら…」と考える癖をつけるのです。
ちなみに、この図解はもちろん、大人や教員である私たち自身が振り返る上でも重要な図解でしょう。
つまり、「学ばせた気になっている」状態を自覚することができるのです。
自戒の念を込めて、この図解は心に留めておきたいものです。
気になった方はぜひ、実践してみてください。
ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。