2023年12月31日日曜日

とっておきの話510「心の対話の時間」の裏話

 Xに、とっておきの話510「心の対話の時間」の原稿をアップしました。

とっておきの話510「心の対話の時間」の原稿



またまた生井先生の語りの引き出しからインスピレーションを受けました。

やはり私自身、他の先生方のとっておきの話に興味があります。

先生に許可をいただき、今回も自分なりにアレンジして語りの引き出しを増やさせていただきました。


今回は社会科の授業での語りです。

それでは原稿をどうぞ⇩


板書 戦争

 この世界から戦争が無くなってほしいと思っている人?挙手

 うん、先生もそう思っている一人です。では、なぜ今も戦争は無くなっていないのでしょう?指名

 その理由はいろいろとあると思いますが、人はそれぞれこれをもっているからだと言われています。

板書 正義

 みなさんにも正義があるはずです。でも、その正義が他の人を傷つけることがあるのです。


提示 キリンの写真



今からこの写真をきっかけに体験してもらいますね。何に見えますか?

指名 うん、キリンですよね。2頭キリンがいますよね。でも、ある人は、これは1頭のゾウだと言って聞かないんです。さぁもう一度一生懸命目を凝らして見てごらん。ゾウに見えてきたかな?…見えてこないね。

ちょうど今、キリンにしか見えないというあなたの正義と、ゾウだと言うその人の正義がぶつかっている状態なのです。

こういう時、どうしたらお互いに分かり合えるようになると思いますか?指名

提示 情報を集めてもっとよく考える 話し合う 実際に見る 理由を聞く

 そうですね。社会科では、こういうことを大切にする学習なのです。自分が絶対に正しいと決めつけていると、争いになる。だからいろいろな情報を手に入れて、いろいろな角度から物事を考えるのです。

例えばこのキリンの写真以外の情報を手に入れてみましょう。実はこんなワイヤー作品でした。

演出 動画を見せる


 ゾウだと言うあの人の正義について、あなたは今、わかることができましたね?

 1つの考えをもったとき、別の見方はないかな、別の立場だったらどう考えるかな、何であの人はそう考えたのだろう、自分の正義が誰かを傷つけていないかなって考えて、より深く調べたり話し合ったりしたら、みなさんの力で、この世界から戦争をなくすことができるかもしれませんね。

板書 社会科の授業は、心の対話の時間

日本中、世界中、さらに昔の人たちとも、それぞれが大切にしている正義について話し合うことができる。

社会科はそんな心の対話の時間なのです。


いかがでしたか?

社会科の授業は、心の対話の時間。

なんてステキな表現なのでしょう。


子どもたちからして、戦争をなくすなんてことはきっと自分事にはなりにくいことのように思えます。

しかし、身近な人から始まる「対話」の重要性を示すことで、自分事として行動に移してみようという気持ちにさせてくれます。


YouTubeの動画(原典素材)も観てみました。

シンプルですがとても良い素材でした。

社会科だけでなく、道徳科でも使えそうな語りの素材ですね。


同じ素材を使ったとしても、語りの創り方は人によってそれぞれです。

それは同じ食材を使ったとしても、料理人によってメニューが変わることと同じです。

あなたはこの素材、どう料理しますか?



気になった方は、ぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。


よいお年を!

2023年12月29日金曜日

とっておきの話509「分からない世界までもぐる楽しさ」の裏話

  Xにとっておきの話509「分からない世界までもぐる楽しさ」の原稿をアップしました。

とっておきの話509「分からない世界までもぐる楽しさ」の原稿


 冬休みに入り、Xを眺めていると新しい出会いも生まれるものです。

最近は本を出版されるフォロワーさんも増えてきて、夢が叶う瞬間を何度も見かけてこちらも幸せな気持ちになります。

そんな本の出版を叶えた先生のお一人に、生井先生がいます。


もちろん、本の予約完了しました!


 生井先生がXに投稿されている語りを拝見し、これぞ授業で語るとっておきの話だなと思いましたので、くろぺん流にアレンジして創らせていただきました。


 それでは原稿をどうぞ⇩


提示 潮だまりのイラスト



 この大きな水たまりのようなものは何という名前でしょう?指名

 これは、潮だまりと言います。海の潮が引いた後に岩のくぼみにできる水たまりのことで、

提示 潮だまりのイラストに「天然の水族館」と書いたもの

 天然の水族館と言われるくらい、たくさんの生き物を見つけることができます。

小学校の理科は、この潮だまりみたいなものなのです。

本物の生き物を見ることができるけど、潮だまりを見て満足していたらもったいない!

提示 海のイラスト

それだけで海の全てを知ったことにはならないからです。


もっと海のことを知りたいと思ったら、本物の海にもぐった方がいいですよね。

提示 シュノーケリングの画像



 シュノーケリングを知っている人?挙手 こうやって学びの海にもぐってシュノーケリ

ングします。すると、潮だまりでは気付けなかったことにたくさん気付くことができます。

でも、それ以上に分からないことにも出合います。もっと深くもぐるにはどうしますか?

提示 ダイビングの画像



 そう。今度は酸素ボンベを背負ってダイビングをします。これまで見えなかった世界が広がり、海のほとんどが分かるようになった気持ちになります。でも、実はダイビングして海に深くもぐったつもりでも、人類はまだ海の20%程度しかたどり着いていないと言われています。残りの80%には、まだまだ誰も見たことのない世界が広がっているのです。


提示

A. 学びの潮だまりだけを見て、海の全てを分かった気になる観光客。

B. 学びの海をさらに深くもぐり、まだ分からない世界があることにワクワクできるダイバー。


みなさんは、AとBどちらの人の気持ちになって理科の授業を受けたいですか?挙手


板書 分からない世界までもぐる楽しさ

理科の授業は、分からない世界までもぐる楽しさを味わえる時間ですよ。

みんなで一緒に、学びの海へのダイビングを楽しみましょう。


いかがでしたか。


こうやって理科の授業中に語るのも良いですよね。

子どもたちが分からない世界までもぐる楽しさを味わいながら理科の授業に参加している微笑ましい姿が想像できます。


生井先生、ありがとうございました。

きっと他にもこうしたとっておきな語りの引き出しをお持ちなのだと思います。

私も今年度は教科担任制の中で理科の授業も受け持っていましたので、生井先生のご著書から学んでいきたいと思います。



ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

気になった方はぜひ、今回の語りをしてみてください。

2023年12月2日土曜日

とっておきの話508「固結びを解いて」の裏話

 Xにとっておきの話508「固結びを解いて」の原稿をアップしました。

とっておきの話508「固結びを解いて」の原稿



みなさん、お久しぶりです。くろぺんです。


本の執筆が落ち着いてきましたので、こちらの発信も再開していきます。

記録を見ると約4か月ぶりの更新ですね。

継続するというのは本当に難しいことであり、価値のあることだなと思いました。

一方、こうやって期間を置くことで、やはり自分の努力の方向性は間違っていないと再確認できたり、見直して改善点を見つける機会になったりするのも実感しました。


さて、最近 ONE OK ROCKの東京ドームでのLIVEをDVDで視聴しました。


私の好きなアーティストであり、熱くなるロックバンドです。

まさかこういう時にもというタイミングで思わぬ素材に出合えました。


普通は歌詞の言葉に心惹かれるものがあるものです。

しかし今回は、MCの言葉に心惹かれました。

ONE OK ROCKのボーカルTakaさんが、人生をひもに喩えてこんなことを言ったのです。


時には固結びを解くことも大切だと思うんだ


どういう意味だかわかりますか?

今回はそんなTakaさんの言葉からイメージを膨らませて創った語りです。



それでは原稿を読んでみましょう⇩


演出 ひもを1本見せる

 みなさんはこの先の自分の人生について考えたことはありますか?

今日はこのひもにたとえて、みんなで一緒に考えてみましょう。


 みなさんは今、叶えたい夢や達成したいことはありますか?指名

それぞれに夢や達成したいことがありますね。今は無い人も、きっとこの先出てくるはずです。

あなたたちが今思い描いている夢が叶った時、あなたの人生のひもには…


演出 見せていたひもから固結びを1つ作って見せる


固結びができます。夢が1つ叶う度に、1つ固結びができます。でも、自分のやりたいことばかり追いかけていると、確かに自分の夢は次々と叶っていくかもしれませんが…


演出 固結びをさらに4つ作り、新しく用意した結び目の無いひもと比べられるように見せる


 どちらが短いですか?指名 そうですね。自分のやりたいことばかりやっている人生は、短く感じるのです。

 だからこそ、このように時には自分のことばかり考えるのはやめて、固結びを解くことも大切なのです。すると、あっという間の人生の中でも、長く味わえる楽しみが増えていきます。



それは、こんな楽しみです。ここに、別の人の人生のひもがあります。


演出 2本のひもを使って蝶々結びを1つ作って見せる


 自分のやりたいことだけ考えて叶えた夢だけでなく、周りの仲間たちと一緒に協力して叶える夢がある人の人生には、こんな蝶々結びができます。お互いのひもを使って結び目ができるのです。すると、見てください。長さは変わりませんよね。さらに、蝶々結びなので、すぐに解けてまたお互いの人生を歩めるのです。固結びだと固過ぎて、お互いに依存していて窮屈な関係になってしまいます。この蝶々結び…


演出 どんどんとひもを増やして見せる

 自分の人生で一緒に夢を叶えたい人を増やせば増やすほど、いくらでも作ることができます。今この教室には、〇人の人生のひもが集まっていますね。いくつ蝶々結びができるか楽しみです。これこそが長く味わえる人生の楽しみです。人は自分以外の人と一緒に協力して叶える夢があるからこそ、人生を思い切り楽しむことができるのです。固結びを時には解いて、誰かと蝶々結びを作れる人になってください。】



いかがでしたか。


人生をひもに喩えることで、人と人との結びつきを見て取ることができると思いませんか?

人は一人では生きていない。必ず誰かと関係性を結びながら生きています。
そうした真理と、ひもの結び目の喩えはぴったり合うのではないかと思います。

さらに、固結びと蝶々結びを比較することで、依存ではなく、いつでも解ける状態で程良い距離感を表すことができます。


こういう時には、演出を多用しています。

ひもと口で言うだけでなく、実際にひもを見せながら話すようにします。


具体物を動かして見せることで、抽象概念も具体的にイメージできるようになります。

実際に学級の子どもたちの前でひもを結んで見せながら語ると、私の手元に視線が集まっていました。

中には「うんうん」と頷きながら聴いている子もいました。



みなさんもぜひ、具体物を使いながら語ってみてください。

口だけで語るよりもきっと聞き手である子どもたちの反応が変わるはずです。



ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

これからも「とっておきの話」をよろしくお願いいたします。

とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の裏話

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