2023年4月30日日曜日

とっておきの話484「2つの題意識」の裏話

 Twitterに、とっておきの話484「2つの題意識」の原稿をアップしました。

とっておきの話484「2つの題意識」の原稿


問題意識と課題意識の違いは何だろう?

とふと思い、最近調べてみました。


このように、自分が普段考える時に使っている言葉の中で、使い分ける際の区別が明確でない言葉って意外と多いと思います。

そんな時、その曖昧な状態をそのままにせず、言葉の意味を必ず調べるようにしています。

なぜなら、教師が間違った意味で使った言葉は、そのまま子どもたちが間違った意味で使ってしまう危険性があるからです。


教師は子どものお手本になります。良くも悪くも。

言葉に敏感でありたいです。言葉に敏感な子どもに育てたいからこそ。

言葉を磨いた人は、行動や心が磨かれます。

僕はそれを信じているので、何か曖昧だなぁと感じた言葉の意味は必ず調べるようにしています。


みなさんは違いを説明できますか?

問題意識と課題意識。

字面が似ているせいか、僕はあまり自信をもって明確に区別して使い分けできていなかったと反省しています。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(気付き、考え、行動する と板書)

 自分から進んで行動できる人になるためには、その前に自分で気付き、自分で考えることが大切です。では、何を意識したらこうした人に成長できるのでしょう?


(○題意識 □題意識 と提示)

 意識することは、2つの「題意識」です。

 ○と□には、それぞれ別の漢字1文字が入ります。何だと思いますか?


 1つ目は、(問題意識 と提示)問題意識です。今何が問題としてあるのか。自分の身の周りを見て、もっと変えていくべきことに気付く意識です。

 2つ目は、(課題意識 と提示)課題意識です。その問題を自分が解決すべき課題だと判断し、どうしたら解決できるのかを深く考え、行動につなげる意識です。

(問題意識➡課題意識 と提示)


 そもそも問題に気付かないと、自分の課題にはなりません。問題意識は課題意識をもつためのステップになっています。だからこそ、2つの題意識はどちらも意識しないと自分から進んで行動できる人にはなれません。


 では早速、みなさんの問題意識を働かせてみてください。

 今、この学級では何が問題だと言えますか?もっと変えていくべきことに気付いた人?(挙手)ここで手が挙がる人は、既に問題意識がある人です。少し近くの人と話し合ってみてください。(話し合いの時間を取る)どうでしたか?出てきた問題はそのままにせず、ぜひ自分の課題としてみんなで解決していきましょう。一人一人が自分から進んで行動できる人に成長できる学級は、問題解決がどんどん進んで学校生活を安心して楽しめる学級になれますよ。


いかがでしたか?


気付き、考え、行動する

といった子どもたちにとって聞き馴染みのある言葉から語りを入れ、その言葉と問題意識や課題意識という言葉につなげていきます。


その際もいきなり提示するのではなく、

2つの○題意識

という形で提示しています。


こうすることで、理解のスモールステップになるだけでなく、印象に残しやすくなります。

特に中学年や高学年の子どもたちは、四字熟語に興味を示す時期でもあります。

問題意識や課題意識という言葉も、印象的な四字熟語としてインプットしてもらいたいです。


ちなみに、○○意識にしても良いのですが、あえて○題意識にしたのは、漢字1文字だけを隠すという見せ方がより子どもの興味を惹きつけると考えたからです。

このように、ただ隠せばいい訳ではなく、狙いをもって隠すことで見せる力は鍛えられます。


みなさんの学級の子どもたちの意識はいかがでしょうか?

問題意識は芽生えていますか?

課題意識までもって行動できている子が多いですか?

新学期が始まって約1ヵ月が経ったこの時期から、こうした2つの題意識を伝えてみませんか?



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年4月29日土曜日

とっておきの話483「あたまよく遊べ」の裏話

 Twitterに、とっておきの話483「あたまよく遊べ」の原稿をアップしました⇩

とっておきの話483「あたまよく遊べ」の原稿


新学期、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?


最近、私はこんなツイートをしました⇩

https://twitter.com/totteokistory/status/1647512205120929793?s=20


新年度が始まって間もない時期は一日の過ごし方について子どもたちに分かりやすく説明することが大切です。その「分かりやすさ」を保障する手立ての1つが「図解」だと僕はTwitterを通して学びました。自分で創ってみると教員側の理解も深まる。


これは本当にTwitterという場で学んだ大きなことの1つです。

いくら教員側が理想的な姿を思い描いたとしても、それが子どもに伝わらないようでは意味がありません。

大人の考えていることって理想的なのですが、案外ものすごく抽象的なんですよね。

それが子どもたちからすると、非常に分かりにくいのです。


だからこそ、とっておきの話を生み出す5つの力のうち、「話す力」では「わかりやすく話す」ことが大切なのです。

抽象的なまま長々と説明しても、それはただの一方的な説教を聞かされているのと同じことです。

そんな話し方では、子どもの心に響かせることはできません。


そして、「わかりやすく話す」ことと同じくらい大切なのが「わかりやすく見せる」ことなのです。

これが「見せる力」です。


では、どうしたら「わかりやすく見せる」ことができるのか。

そんな課題意識に活路を見出すのが「図解」な訳ですね。



「わかりやすく話す」話す力と「わかりやすく見せる」見せる力。

両者が掛け合わさると、ものすごく効果を発揮します。


その1つの事例として、今回の話を読んでいただけたらと思います。

それでは原稿を読んでみましょう⇩


(遊び 学び と板書)

 よく遊べる人は、よく学べる人と言われています。みなさんは小学校に入学する前、子ども園などでよく遊んできたと思います。遊びと学びはつながっているのです。そして、小学校でも、遊びの時間はありますよね。特に休み時間は自分で遊ぶ相手や遊ぶ場所、遊ぶ方法を決められる時間です。


(あたまよく遊べ と提示)

 そんな休み時間中は、ぜひ「あ・た・ま」よく遊んでください。

(以下の画像を提示)



「あ」は安全に、安心して遊ぶです。危険なことやいじわるをせずに遊びましょう。「た」は楽しく、助け合って遊ぶです。みんなで楽しむことを大事に、困っている子を助けながら遊びましょう。「ま」はマナーを守り、間に合って遊ぶです。まわりの人に迷惑をかけず、時計を見て時間を守りながら遊びましょう。どれも意識できる人は、あたまよく遊べる人です。


 あたまよく遊べる人には、新しい友達ができます。今まで友達だった人ともさらに仲良くなれます。そんなふうにしてよく遊んでできた友達は、授業でもたくさん学び合えるかけがえのない仲間になります。ぜひそんなステキな仲間を休み時間中に見つけてきてください。あたまよく遊べる人は、あたまよく学べる人へと成長できるのですから。


いかがでしたか?


遊びと学びはつながっているというのは教育界では周知の事実だと思います。

保育と教育のつながりでもあります。

しかし、当事者である子どもたちはどうでしょうか?


遊びと学びがつながっていると自覚している子って意外と多くはないのかもしれません。

むしろ二項対立のように遊びと学びを無意識に区別している子の方が多いのではないでしょうか?

今回の話は、そんな子どもたちに新しい遊びの視点を与える効果もあります。


また、生活指導にもつながります。

学校ではよく「○○小のくらし」のような生活指導のためのプリントが配付されますが、箇条書きにされた文章1つ1つについて意味を理解しながら読める子はなかなかいません。

だからこそ、教師が説明する訳ですが、どうしても長くなり、集中力の続かない子どもの頭には入っていきません。


そこで、頭文字による箇条書きと図解を組み合わせることで、「わかりやすく見せる」効果を狙っています。

さらに、遊びと学びのつながりを意識させるような話の構成を心掛けることで、「わかりやすく話す」効果を狙っています。


「わかりやすく見せる」と「わかりやすく話す」の掛け算。

今回のテーマだけでなく、様々なテーマでやってみたくなる掛け算です。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年4月21日金曜日

とっておきの話482「未来のフツーをつくろう」の裏話

 Twitterに、とっておきの話482「未来のフツーをつくろう」の原稿をアップしました。

とっておきの話482「未来のフツーをつくろう」の原稿


たまたま通りすがりのバス広告に載っていたこの言葉。


未来のフツーをつくろう


「未来のフツー」という言葉が印象的ですよね。

普通がフツーになっているのも面白いです。


普通よりもフツーの方が「そんなの当たり前」というニュアンスが伝わってきます。

昔からすると衝撃ですが、今ではフツーになっていることは数多くあります。

今ではそんなことフツーでしょ、と思うことも、実は昔からすると「未来のフツー」になるのです。

それは別にどこか遠い話の先端技術がどうこうという話ではなく、子どもたちの身近にも「未来のフツー」だったものがあるはずです。

例えば、タブレットはまさについ最近まで「未来のフツー」だったはずです。


小学生が当たり前のように一人一台タブレットを使っている時代。

つい最近までは考えられなかった未来のフツーです。

しかし、子どもたちは当たり前のようにそれを享受し、消費しています。

そうではなく、これから先こうした未来のフツーをつくる側になる可能性に光を当ててほしいと思い、この話を創りました。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(未来の□□□をつくろう と板書)

 □の中にはどんな言葉が入ると思いますか。(何人か指名)

 ここには、「フツー」と入ります。

 (未来のフツーをつくろう と板書)読んでみましょう。さんはい。(斉唱)



 昔、未来のフツーだったものが今はたくさんあります。例えば、洗濯機なんて無かった時代は、洗濯板という板を使って服を洗っていました。その時代からすると、洗濯機は未来のフツーだったのです。それよりもさらに、つい最近まで未来のフツーだったものがあります。今、みなさんが目の前にして使っている物です。何だと思いますか?

(タブレットの画像を提示)

小学生に一人一台タブレットがあり、それを使って学ぶ時代。未来のフツーが今ここにもやってきているのです。昔小学生だった先生からするとびっくりな「未来のフツー」です。



 では、今の時代を生きるみんなから考える「未来のフツー」とは何でしょう?(画像で例示)


タイムマシンが完成している?車が空を飛んでいる?想像してみると面白いですが…

(未来のフツーをつくろう と再び提示)

 それをつくる人になれたら、もっと面白そうですよね。そのための考え方や学び方を、この学校で学んでいるのです。あなたも真剣になればなるほど近づけるはずです。未来のフツーをつくれるステキな人に。最後にもう一度みんなで読んでみましょう。さんはい。(斉唱)


いかがでしたか?

ちょうど自分が今、情報教育推進教師として仕事している傍ら、プログラミング教育やデジタルシティズンシップ教育の授業実践をしているところなのですね。

そうした実践をしながら思うのは、これからの時代は未来のフツーをどうするか、二分される時代になるなぁと思ったのです。


① 未来のフツーを享受・消費する立場

② 未来のフツーを創造・生産する立場


僕が担任している子どもたちには、①だけでなく、②の視点も大切にしてほしいと思いました。

つまりそれは、目先の楽しみだけでなく、何かを生み出す面白さを味わってほしいという願いです。

プログラミング教育的な視点からしても、未来のフツーをつくる立場として成長してほしいです。


気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の裏話

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