2021年10月31日日曜日

とっておきの話281「その時、あなたの手はどうしていますか?」の裏話

Twitterに、とっておきの話281「その時、あなたの手はどうしていますか?」の原稿をアップしました。

とっておきの話281「その時、あなたの手はどうしていますか?」の原稿



「きき手」山猿(LG Monkees)

この歌を素材にしたとっておきの話です。


初めて聴いた時から歌詞が印象に残りました。

特に印象に残ったのが、

手にある5本の指それぞれには意味がある

ということです。


それを歌詞として短くまとめているところがステキでした。

こんな歌詞です↓


親指は誰かを褒める時に

人差し指は未来を照らし

中指は誰かに指すものじゃない

薬指はあなたの為に

小指が教えてくれた魔法は 仲直りする時に





とっておきの話として話す際は、「見せる力」も意識します。

原稿には、(教師がやってみせる)という動作が何度も出てきます。

ただ話すよりも何倍も聞き手に印象付けることができます。


【親指はグッドのポーズ(教師がやってみせる)で誰かを褒める時に使います。

人差し指は確かに未来を照らしているようです(教師がやってみせる)。

中指はこのポーズ(教師がやってみせる)、絶対誰かに指すものじゃありません。

薬指の「あなた」というのは結婚する人のことを言います。結婚指輪は薬指にはめますからね。

さて、小指が教えてくれる魔法とは何でしょう?

このポーズですよ(教師がやってみせる)。

□に入る言葉は何でしょう?

正解は、(仲直りする と板書)です。

指切りのポーズですよね。】


この「ポーズ」の視覚的効果は大きいものです。

実際に聞き手も自分でやってみることで、話の内容がより深く理解できます。

みんなでやってみることで、考え方や気持ちも共有できます。

「やってみる」を促す「ポーズ」、ステキな素材ですね。


さらにこの歌は、こんな歌詞もあります。


【生きてればそりゃ1つや2つ 見たくもない他人の痛みを知る

その時にもしもその時に あなたの手はどうしていますか?】


「あなたの手はどうしていますか?」というフレーズはそのまま聞き手への問いかけの言葉になると思いました。

とっておきの話では、次のように締めくくっています↓


【時にはあなたの周りで、誰かが苦しんでいる姿を見るかもしれません。

それは激しいけんかかもしれない、もめごとかもしれない、いじめかもしれない…その時、あなたは迷わず助けることができますか?(少し間をおく)

 この歌は、こんなふうに言っています。

優しさを振りまく事はダサい事じゃないよね?知らない振りする奴らよりも100倍はかっこよくてイカしてるって僕はそう思うんだ

 知らない振りする奴らでなく、100倍かっこよくてイカしてる人になってくださいね。】





歌詞は素材になります。

問題は、その歌詞の魅力を失わず、それでいて端的に伝える力をどう発揮するかです。

わざわざ5分のとっておきの話にしなくても、歌を聴けばそれで伝わるのではないか。

そんな葛藤と戦いながら、話づくりをします。

とっておきの話としてまとめたからこそ伝えられるメッセージを伝えていけたらと思います。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月28日木曜日

とっておきの話280「白紙の手紙でも・・・」の裏話

Twitterに、とっておきの話280「白紙の手紙でも・・・」の原稿をアップしました。

とっておきの話280「白紙の手紙でも・・・」の原稿



今回のとっておきの話のテーマは、

悩み相談

です。


【みなさんは、だれかの悩みの相談に乗ったことがありますか?

無いと言う人も、これから身近な人から、悩みを相談されることがあるかもしれません。

しかし、人の悩み相談に乗るというのは簡単なことではありません。

良かれと思って言ったことが逆に相手を傷つけてしまったり、顔は悩んでいるのに何もしゃべってくれなかったりします。】



こんな切り出しから始まるお話ですが、大人でも悩み相談に乗るのは難しいものです。

大人だって良かれと思って言ったことが逆に相手を傷つけてしまうこともあります。

だからこそ、子どもにとっては尚更難しいのでしょう。


よく教師は「子ども同士で助け合う」ことを良しとして伝えています。

しかし、今回の悩み相談もそうですが

具体的にどう助け合えば良いのかというヒント

が無いと、ただ綺麗事を伝えているだけになります。


今回の素材は、映画のワンシーンで感動したもの。



その後小説を読み返し、とっておきの話にするのを決めました。

紹介するヒントは、「一見、相手が何も反応していない悩み相談でも」こちらがどう動けば良いのかという具体的例示です。


なので、次のように話をつなげます↓

【例えばみなさんは、悩んでいる顔をしている友達が、何度聞いてもずっと黙ったままだったらどうしますか?

今日はそんな時のヒントになるようなお話を紹介します。】



小説のタイトルは、『ナミヤ雑貨店』。



ご存知の方もいらっしゃると思いますが、次のようなシーンです↓


【ある街に、ナミヤ雑貨店というお店がありました。

でも、ただの雑貨店ではありません。

お店のポストに悩みを書いた手紙を入れると、店長のおじさんが返事を書いてくれるんです。

ナミヤ雑貨店には、様々な人が、様々な悩みを書いた手紙を入れていきました。

店長のおじさんは、一つ一つ、丁寧に返事を書いてはその人たちを励ましてきました。


ある日、おじいさんが病気で倒れ、もうすぐ亡くなってしまうという時に、最後の手紙がポストに入れられました。

ある男の子が入れたその手紙は、なんと、こんな手紙でした。


(白紙の手紙 と板書)】


『ナミヤ雑貨店』の「ナミヤ」は「なやみ」を並び替えているのでしょうね。

ここまで聞くと、おじいさんにとって最後の悩み相談が「白紙」ということに驚きますよね。

普通は、白紙の手紙だったら返事なんて書かないですよね。

一見、何も悩みを書いていないように見えるのですから。

しかし、この物語のおじいさんは違ったのです。

その感動を印象付けられるように、おじいさんの返事は話の締めくくりにもってきています。


次のように話を続けていきます↓


【みなさんが店長のおじさんだったら、白紙の手紙にも返事をしますか?

白紙なので誰がどんな悩みを持っているのかもわかりません。

でも、店長のおじさんは最後の力を振り絞って、この白紙の手紙に返事を書きます。

どんな返事か知りたいですか?


こんなお返事です。(以下の文面を、ゆっくり読み聞かせる)



さて、名無しの権兵衛さんへ。

頭にむち打って考え抜いた結果、これは地図がないという意味だなと解釈いたしました。

あなたの地図は、まだ白紙なのです。

だから目的地を決めようにも、道がどこにあるのかさえもわからないという状況なのでしょう。

地図が白紙では困って当然です。

誰だって途方に暮れます。

だけど見方を変えてみてください。

白紙なのだから、どんな地図だって描けます。

すべてがあなた次第なのです。

何もかも自由で、可能性は無限に広がっています。

これは素晴らしいことです。

どうか自分を信じて、その人生を悔いなく燃やし尽くされることを心より祈っております。

悩み相談の回答を書くことは、もうないだろうと思っておりました。

最後に素晴らしい難問をいただけたこと、感謝申し上げます。 ナミヤ雑貨店


どんな悩みでも相手に精一杯寄り添う。それが悩み相談の極意なのかもしれませんね。




白紙の手紙にこの返事はすごいですよね。

おじいさんの生き様も感じられます。


ここで伝えたいのは、あくまで具体的なヒントであってテクニックを真似しろという訳ではありません。

大事なのは「どんな悩みでも相手に精一杯寄り添う」という姿勢です。


悩み相談に乗るのは難しい。

しかし、精一杯寄り添う姿勢は意識し続ければ身についてくるはずです。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年10月27日水曜日

とっておきの話279「心の中で生き続ける人」の裏話

 Twitterに、とっておきの話279「心の中で生き続ける人」の原稿をアップしました。

とっておきの話279「心の中で生き続ける人」の原稿



突然、変な質問をします。

みなさんは、どこで生きていますか?



日本で生きてる?○○県で生きてる?今ここで生きてる?

いろいろ思ったと思いますが、人が生きている場所は、今そこにいる場所だけではありません。


実は、誰かの心の中に生き続けていることもあるのです。


聞き手を子どもたちと考え、話の導入で次のようになるべく分かりやすく例示します。


【たとえば、みなさんがおうちに帰った後、先生の心の中にはみなさんが生き続けています。

どれだけ離れていても、忘れない限り、心の中にずっといます。

先生の心の中には死んだおじいちゃんも生きています。

その人がどこにいようが、死んでいようが、忘れなければ自分の心の中で生き続けることができます。】


こうした問いかけを最初にしたのには、次のエピソード素材があったからです。


【ある日の新聞に、アメリカで行われたゴルフのアマチュア選手の大会で優勝した消防士さんの話が載っていました。

その消防士さんは、優勝後のインタビューでこんなことを言います。

「タイガーウッズの存在があるからこそ、僕はゴルフをしている」

 タイガーウッズ選手と言えば、ゴルフの神様とも呼ばれた世界で有名なゴルファーでした。

 しかし、当時は薬物法違反という罪で警察に捕まったり、不倫をしたりして世間では悪いイメージがついていました。

 そんな時でも、この消防士さんはタイガーウッズを尊敬していました。

「タイガーのようなゴルファーになりたい」と努力し続けた消防士さんの心の中には、自分に夢を与えてくれた時のタイガーウッズが生き続けていたのですね。】

 




原稿では、次のように呼びかけて締めくくっています↓


【みなさんが大人になればなるほど、心の中で生き続ける人は多くなります。

でも、その分、忘れ去られていく人も多くなります。

将来、あなたはどちらになりたいですか?

みなさんには、いろんな人の心の中で生き続ける人になってほしいと思います。】




自分の心の中に生き続けている人というのは、本気で数えたら意外と少ないものです。

流行に乗って生きていた人も、いつの間にか心の中から抜けていく人になるものです。


どこかの本で、「人の本当の死は、人から忘れ去られた時だ」という言葉があったのを思い出しました。

忘れ去られない人になるためには、誰かに夢を与えたり、努力し続けたりできる人でないといけません。


そういう意味では、タイガーウッズは少なくともこの消防士さんの心の中で生き続ける人となった訳です。


自分もいろんな人の心の中で生き続ける人になりたい。


この話を聞いた子どもたちがそんなふうに思ってくれたら幸いです。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月26日火曜日

とっておきの話278「マイペース、グッドラック」の裏話

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とっておきの話278「マイペース、グッドラック」の原稿



タレントの鈴木あきえさんの話、ではなく、そのお父さんの話。



芸能人の家族の話からは、思わぬエピソード素材を得られることがあります。

ある日の新聞に、タレントの鈴木あきえさんのお父さんの話が載っていました。



写真を見ただけで優しそうなお父さんという雰囲気が伝わってきますよね。

そんなあきえさんのお父さん、毎朝8時に家族や親戚へLINEで送るメッセージがあるそうです。

毎日同じ言葉。

ここが面白いところですよね。

毎朝8時に同じ言葉を送り続けているのです。


どんな言葉だと思いますか?



こんな言葉です。


「みなさん、おはよう。今日やることは、やりましょう。マイペース、グッドラック」



この言葉の魅力を細分化しながら見ていきますね。


まず、「みなさん、おはよう。」から、家族や親戚みんなに送っていることが分かります。

「みんな」ではなく、「みなさん」としているところから、家族や親戚を大切に想っていることが伝わってきますよね。


次に、「今日やることは、やりましょう。」と続きます。

今日いろいろと不安なことや面倒くさいなぁと思うことがあるかもしれませんが、今日やるぞと決めたことはやろうという呼びかけです。

無理にやるべきことを押し付ける言葉でもなく、それでいて過度に甘やかしすぎる言葉でもない絶妙なバランスですよね。


そして、「マイペース、グッドラック」で締めくくります。



今日やるべきことはやる。

大切な教えです。

でもマイペースに。

無理し過ぎず自分のペースで大丈夫。

大切な気遣いです。

そしてグッドラック。

「幸運を祈ります」という大切な願いです。

あきえさんのお父さんは、短いメッセージの中にいろんな想いを込めているのがわかりますよね。




 この素材に出合った時、ふとこんな疑問が湧いてきました。

学校に通う子どもたちは、どんな言葉を胸に学校へ来ているのだろう?

特にそんな言葉は意識していない子が多いと思います。

しかし、それは逆に言えば、意識して学校に来ることで心の支えになる言葉もあるのではないかと思いました。



 そこで、次のようにとっておきの話を締めくくります。

【みなさんは、毎朝どんな言葉を胸に学校へ来ていますか?

「今日やることは、やりましょう。マイペース、グッドラック」。

そんな言葉を胸に学校へ来たら、素敵なことが学校で待っているかもしれませんね。】




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年10月25日月曜日

とっておきの話277「一流の空回り」の裏話

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とっておきの話277「一流の空回り」の原稿



今回紹介する一流とはこの人です⇩

 


みなさんは、この人を知っていますか?

かつてゴルフの世界で天才少年だとニュースで大きく取り上げられたプロゴルファーの石川遼選手です。


しかし、最近の大会では予選落ちが続き、ニュースでも大きな話題として取り上げられなくなってきました。

有名な選手というのは、良い結果を出し続けている間は大きくニュースに取り上げられて注目されますが、結果が出なくなった途端に注目されなくなる厳しい世界で生きています。


でも、そんな石川遼選手、予選落ちが続いてニュースにならないからと言って何もしていないわけではありません。

ある新聞記事でこんなことを言っています。


少しゴルフを忘れたらとか考え過ぎるなとか言われることもあります。

でも立ち止まっていられない。

割に合わなくても、100の努力をして1の進歩を得られるならそれでいい。

空回りに見えても、少しでも進めるなら空回りじゃないというのが僕の考え方です。


良い結果が出ているから一流の選手というわけではなく、結果に関係なく素敵な考え方をもちつづけている選手こそ一流なのでしょう。


みなさんも時に空回りするような「がんばっても報われない」時が来るかもしれません。

どうせなら石川遼選手のような一流の空回りをしてみませんか?




以上が今回のとっておきの話の中身でした。



普通、一流の人の話を素材とする時、メディアに注目されている時期の名言のようなものを素材にしようと思ってしまいがちです。

しかし、今回のとっておきの話は、

空回りしている時期

をピックアップした新聞記事を素材にしています。


僕はこの新聞記事を書いた記者の着眼点もすごいと思いました。

一流の人は、結果の出ない空回りしている時期の姿すら美しい。


「一流の空回り」がキーフレーズになると思いました。

空回りと聞くと、ネガティブなイメージですよね。


でも、空回りに見えても、少しでも進めるなら空回りじゃないという石川選手の言葉はそんなネガティブなイメージをポジティブに塗り替える勇気出る言葉ですよね。



今まさに空回りしている時期の一流選手がそんな言葉を言うのでなんだか説得力もあります。

石川選手だって空回りしている時期があるんだ。

そんな気持ちが背中を押すことがあります。


栄光の時期の記事だけでなく、今回のように空回りしている時期の記事に注目するのも面白いですよね。

どんなに一流と呼ばれる選手にも、スランプの時期はあるのですから。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月24日日曜日

とっておきの話276「スマホは命より大事?」の裏話

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とっておきの話276「スマホは命より大事?」の原稿



新聞やテレビを見ていると、ふとした時に驚くようなニュースが目に飛び込んでくる時があります。

そんなニュースも、使いようによってはとっておきの話の素材になり得ます。


今回素材にしたニュースは、スマホの話。

いきなりタイトルでドキッとした方もいらっしゃると思いますが、私たちが命より大事と危うくしてしまってはいないかと問いかけられるニュースです。


スマホが命より大事だなんてそんな訳ない。

でも、そうとは言い切れないニュースなのです。

ここら辺の落差を、聞き手にも味わってもらいます。



【(スマホは命より大事? と板書)

大事だと思う人?(挙手を促す)そこまでじゃないとしても、今は大人も子どももスマホが手離せない時代なのかもしれません。

そんなスマホについて、ある日新聞で見つけた2つのニュースを紹介します。】



このように話し始めることで、

「どんなニュースを紹介してくれるのだろう?」

と興味をもちます。


話の導入場面こそ、聞き手の興味をいかに惹きつけられるかがポイントになります。

ここから、ニュースの話に移っていきます。



【まずはこんなタイトルのニュースを紹介します。

(□歳児の20%「ほぼ毎日スマホ」 と板書)

「児」とは「子ども」という意味です。□に入る数字は何だと思いますか?(数名指名)

正解は、「0」です。

0歳児の20%「ほぼ毎日スマホ」


赤ちゃんはスマホ使えないでしょと思いますよね。

使っているのは、赤ちゃんではなく、そのお母さんです。

お母さんが赤ちゃんのそばで毎日スマホをいじっているので、赤ちゃんもスマホの画面を毎日見ているんですね。

20%ということは5人に1人です。生まれた時からスマホ画面を毎日のように見ている赤ちゃん。】


1つ目のニュースで既に衝撃ですよね。




5人に1人の赤ちゃんは毎日スマホを見ている。

これは正直、自分も親になってみて納得してしまうニュースでした。

赤ちゃんは親が見ている物と同じ物を見るものです。

お母さんが毎日スマホをしていれば、当然赤ちゃんもそのスマホを見ます。

0歳児から毎日スマホを見ているということがどんな影響を与えるのか。

今回のとっておきの話では、あえて正解は言いません。



【みなさんはどう思いますか?(しばらく間をおく)】



この問いかけだけで止めています。

時間的配慮もありますが、このとっておきの話をきっかけにじっくりと考えてほしいと思ったからです。

このように、あえて正解は言わず、「どう思いますか?」と問いかけるだけで止めることも聞き手の実態や話の内容に合わせて行うテクニックの1つです。

このテクニックは、次の2つ目のニュースを紹介する時にも使われています。


【2つ目のニュースはこんなタイトルです。(次の言葉を板書)

「親は自分よりスマホ」2割

 こちらも2割ですから5人に1人です。「時々、親が自分のことよりもスマホを大切にしていると感じている」と答えた子が5人に1人いたそうです。

みなさんはどう思いますか?(しばらく間をおく)】





さて、これら2つのニュースが提示している危機。

スマホだけの話でしょうか?

私は違うと思います。

ここで「スマホの使い方を考えよう」にするのはもったいないと考え、これからも開発されるであろう便利な機械全般に言える次のような呼びかけて締めくくっています↓


【あなたたちがいつか大人になってパパやママになった時、もしかしたらスマホよりも便利で手離せない機械が開発されているかもしれません。

そんな時、この2つのニュースを思い出してみてください。

本当に大切なのは機械ではなく...この続きは言わなくてもわかりますね。】



こうすることで、スマホだけにテーマが限定されず、広く転用できるとっておきの話になるだろうと考えました。

少しでも様々な未来の行動につながるとっておきの話になればと思います。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月23日土曜日

とっておきの話275「貧しい人にならないための少欲知足」の裏話

 Twitterに、とっておきの話275「貧しい人にならないための少欲知足」の原稿をアップしました。

とっておきの話275「貧しい人にならないための少欲知足」の原稿


貧しい人


みなさんは、「貧しい人」と聞いて、どんな人を思い浮かべますか?


きっとお金がなくて苦しい人たちを思い浮かべた人が多いと思います。

しかし、こんなことを言った人がいます。


私が思う「貧しい人」とは、限りない欲を持ち、いくらあっても満足しない人のことだ。

   

これは、世界一貧しい大統領と呼ばれたウルグアイのホセ・ムヒカさんの言葉です。





人間とは「あれがほしい」と思って満たされても「今度はあれがほしい」と次から次へと欲がわいてくる生き物です。

そうやっていくらやっても満たされない人は「貧しい人」だと言うんですね。



ではどうしたら、次から次へとわいてくる欲をおさえることができるのでしょう?


みなさんは、こんな四字熟語があるのを知っていますか?


少欲知足


「しょうよくちそく」と読みます。

「少欲」は「欲は少なく」という意味です。

「知足」は「足るを知る」もっと簡単に言うと「足りているということを知る」という意味です。


「あれが足りないから欲しい」と思った時、「本当に足りないの?意外と無くてもいいのかも」と聞いてみたり「本当に欲しいの?その欲は多すぎない?欲は少なくて大丈夫」と言い聞かせてみたりしてみませんか?

そうすると、今の自分はなんて満ち足りているんだって気持ちいい気分になりますよ。



今回のとっておきの話は、貧しい人というイメージを変えてくれる話でしたね。

ムヒカさんの言葉に出合ったことで、いつの間にか「貧しい人」に対する固定観念が生まれていることに気付かされました。


このように、新しい視点や価値観を教えてくれる素材はとっておきの話になりやすいと言えます。

話し手にとって「新しい」「斬新」「ハッとさせられる」と思った素材は、きっと聞き手も同じような感動と共に受け取ってもらいやすいです。


ムヒカさんの言葉だけでは、とっておきの話として弱いと当時の自分は感じたのでしょうね。

「少欲知足」という四字熟語も素材として組み合わせていますね。

まさかこの四字熟語とムヒカさんの言葉が組み合わさるとは思ってもみませんでしたが、組み合わせてみると面白いとっておきの話になったように感じます。


お金はともかく、心が貧しい人にはなりたくないですよね。

心豊かに生きたいです。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年10月22日金曜日

とっておきの話274「MOTTAINAI」の裏話

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とっておきの話274「MOTTAINAI」の原稿



今回のとっておきの話のテーマは、

もったいない

です。


みなさんは、「もったいない」という言葉は世界でも通じるって知っていますか?

英語でもこんなふうに書きます。


MOTTAINAI



この言葉は、環境問題について国同士で話す時にノーベル平和賞を受賞したワンガリー・マータイさんという人が注目したことで世界に広まった日本語にしかない言葉だそうです。

日本人は昔から「もったいない」と物を大切にする心があったんですね。


昨今は、SDGsをテーマにした環境の話でも「もったいない」という言葉はよく取り上げられますよね。

 


ここで話が終わってしまうと、あまり新しい発見が無く、話し手も感動がありませんよね。

私もこの時点では、まだとっておきの話として作ろうとは思っていませんでした。


しかし、新聞を読んでいると、ある記事に目が留まりました。

その記事に書かれた言葉は、


「もったいない」が「手間がかかっている」という価値に変わるんです。

平井達雄


だったのです。


「もったいない」という言葉は、自分が「もったいない」と思っているというだけでなく、「手間がかかっている」と他の人にも思ってもらえる魔法の言葉なんですね。



なるほど~と思いました。

それまで私は、自分視点でしか「もったいない」という言葉の意味を捉えていなかったことに気付かされたのです。

相手視点からすると、「手間がかかっている」という価値に変わる。

そう考えると、とてもステキな言葉に感じるようになりました。



最後に、次のように呼びかけて締めくくっています↓


【みなさんは最近、「もったいない」という言葉を使いましたか?

あなたの物を大切にする心は、「いつも手間をかけている素敵な人だね」と周りの人にきっと伝わりますよ。】




今回のとっておきの話は、今までのようにキーワードや合言葉を与える話だけではなく、

そうした言葉を使って行動していると、周りからどんな風に感じてもらえるかという

相手視点

も与える話であると言えます。


こうしたアプローチは、聞き手からするとより

相手がそんな反応をしてくれるならやってみようかな

という気持ちになります。


自分事として捉えられるようなアプローチも大切ですが、それをやったことによって相手がどんな反応をするのかもさりげなく伝えられると、とっておきの話の効果が高まります。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月20日水曜日

とっておきの話273「意外な思い出の言葉」の裏話

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とっておきの話273「意外な思い出の言葉」の原稿



家族から言われた思い出の言葉

と聞いて、あなたが思い出す言葉は何ですか?


大体の人は、1つや2つ、温かい言葉や励まされた言葉を並べることでしょう。


あのとき父がこんなことを言ってくれて嬉しかった。

あのとき母がこんなふうに励ましてくれて涙が出た。


そんな思い出の言葉を思い出すことでしょう。



しかし、ある日の新聞記事で、

えっ、そんな言葉が思い出!?

と驚いた記事がありました。


それが俳優の鈴木保奈美さんの記事でした。



どんな言葉が思い出かというと・・・



左手!


です。


言葉だけ見てもどんな思い出が込められているのか分かりませんよね。


何でこんな言葉が思い出なのでしょう?


保奈美さんは子どもの頃、食事の時にお父さんから左手を使わずに食べることをよく注意されていたそうです。



だからお父さんの口癖は「左手!」。

その頃は厳しいなぁなんて思っていた保奈美さんは大人になり、結婚して子どもができてお母さんになりました。

すると、自分の子どもにも「左手!」と無意識に言っていたことに気付いたそうです。



保奈美さんは、こんなことを言っています。

もう体に染みついているんです


つまり、子どもの頃から体に染みつくほど親に言われた言葉は、自分が大人になっても残っている訳です。

「思い出の」言葉と言われるとこの角度からの言葉は普通思いつきません。

しかし、親の子育てが自分に染みついて次の子育てに受け継がれると思えば、

「左手!」

も立派な思い出の言葉となるのです。

やはりここでも思い込みや常識が邪魔していますよね。

保奈美さんのエピソードを聞くと、「左手!」という言葉もなんだか温かみをもったように感じるので不思議です。


最後に、次のように呼びかけて締めくくっています↓

【あなたたちが今おうちの人から言われている言葉、時には「厳しいなぁ」と思う口癖があるかもしれません。

でもそれは将来、あなたたちの体に染みついて、あなたたちがパパやママになった時に役立っていきます。

あなたらしい素敵な思い出の言葉を見つけていってくださいね】



原稿では、「パパやママになった時」と呼びかけていますが、もっと違う場面でも役立っているはずです。

何が言いたいかというと、自分の体に染みついた言葉というのは、それがどんな言葉だろうと、その人にとって特別になるという訳です。

特別になった言葉は、思い出の言葉として、大人になってからもいつまでも思い出される言葉となります。

それが保奈美さんの場合、たまたま子育てをしていたら気付いたという訳です。



この現象は、教師と子どもでも言えることがあります。

学校の先生に言われた思い出の言葉と聞くと、つい名言のようなものをイメージしてしまいますが、意外な思い出の言葉があるものです。

そして、それは自分自身が教師になってから、自然とその言葉を同じように子どもへ使っているものです。

まさに体に染みついている訳です。




今回のとっておきの話のように、常識と思っていたことが覆されるようなエピソード素材は聞き手の興味を惹くにはうってつけの素材です。

かと言ってなかなか見つからないレア素材かというとそうでもありません。

意外と新聞を何気なく読んでいたら見つかるような素材です。

あなたの身の周りにも、常識を覆すエピソード素材が眠っているかもしれません。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月19日火曜日

とっておきの話272「宝物の1円玉」の裏話

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とっておきの話272「宝物の1円玉」の原稿



今回のとっておきの話も、贈り物シリーズの話でも触れたように、

物には想いが込められている

ことに気付かされるエピソードです。


出てくる物は・・・


1円玉

です。



1円では何も買えないので嬉しくもないという人もいると思います。

しかし、朝日新聞に「1円玉をもらってすごく感動したおばあちゃんの話」が載っていました。

どんな話だと思いますか?



 ある日、72歳のそのおばあちゃんは、おじいちゃんと一緒にスーパーへ買い物に行きました。

その時、レジでお金を落としてしまったおじいちゃん。

おばあちゃんは慌てて拾って買い物を済ませました。それから数日経ったある日、元気のいいレジ係の女の人がおばあちゃんに

「紙に包んだ1円玉」

を渡したのです。


「先日落としたお金です。レジの下に落ちていました!」と言っておばあちゃんに届けてあげました。

1円玉をわざわざ紙に包んで渡してあげるところが素敵ですよね。


さらにその紙は、ただの紙じゃなかったんです。

紙をよく見ると、こんなメモが書いてあったのです。


5月24日(水) いつも来るお客様の1円です!次に来た時に渡すのでおいてて(保管)下さい(落としていった)!(リサ)


 このリサさんというレジ係の女の人は、いつも笑顔でお客さんに声をかけてくれるそうで、おばあちゃんも元気をもらえて毎日の買い物を楽しんでいました。

 今回のことで、リサさんの温かい気持ちにさらに感動したおばあちゃん。

 もちろん、その後その1円玉は紙に包まれたまま使われず、おばあちゃんの宝物となりました。


 お金の価値はたった1円でも、そこにどんな思いがこもっているかで物の見え方は変わります。

 みなさんが何気なく目にしている物にも、リサさんのような温かい気持ちがこめられてそこにあるのかもしれませんね。




 今回も温かいエピソード素材だと思います。

 脱線してしまうかもしれませんが、ここに書いて残しておきたいのが

スーパーマーケットの店員さんのお気遣い

に感動することってありますよね。




スーパーマーケットと言えば、買い物をするために毎日のように利用する場所です。

自分の暮らしに根付いた場所なのです。

そんな場所で働く店員さんは、他人ではあるけどもよく顔を合わせる人ですよね。

その人がふとお客さんを気遣って親切にしてくれたら、そのお客さんは感動します。

私自身、スーパーマーケットの店員さんにしてもらった親切に助けられた経験がいくつもあります。

こうした身のまわりの暮らしに根差した場所で働く人の親切に目を向けてみると、思わぬ温かいエピソード素材に出合えることがあります。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月18日月曜日

とっておきの話271「日本語を作った男」の裏話

 Twitterに、とっておきの話271「日本語を作った男」の原稿をアップしました。

とっておきの話271「日本語を作った男」の原稿



みなさんは、朝日新聞の天声人語を読んだことがありますか?


こちらはとっておきの話の素材になりやすいエピソードや新しい知識を得られます。

天声人語でなくても、新聞のコラム欄には思わぬ発見があるものです。


今回のとっておきの話は、

この人がいなかったら、今の日本語ではなかったかも

という新しい発見を与える話です。


主人公はこの方⇩



上田万年という名前のこの人は、こんな風に呼ばれています。


日本語を作った男



実は、この人がいなかったら、今の日本語はこんなことになっていたかもしれません。


・ローマ字だけで文章を書かなければいけない

・漢字は使わず、ひらがな50音だけを使って文章を書かなければいけない


 どちらもあまりうれしく感じませんよね。

 しかし、明治時代では真剣に議論されていたことでした。

 今みなさんは、話す言葉と書く言葉の違いをそんなに感じませんよね?

 それも言語学者だった上田さんが話す言葉と書く言葉に大きな違いがないようにしようと国に働きかけたおかげなのです。


 みなさんは、自分たちが話している言葉は一生変わらないと思っていませんか?

 でも、突然「これから話す時は英語しか使ってはいけません」なんて言われるかもしれません。

 上田さんの思いが受け継がれた表現豊かな日本語を使うことに誇りをもちたいものですね。




 みなさんは、今何気なく使っている言葉、日本語を無意識に使っていませんでしたか?

 しかし、その裏には、上田万年さんの努力によって使いやすい日本語ができあがっていたのです。

 そして、今使っている日本語が脅かされる時代も未来に待っているかもしれないのです。

 こうしたことを知っていて日本語を使うのと、知らずに日本語を使うのとでは大きな差が生まれます。

 私はこの素材に出合ってから、意識的に日本語を大切に使うようになりました。




 今回のとっておきの話のように、普段何気なく見ている風景や何気なく使っているものが実は裏で努力している人のおかげであるといったエピソードは聞き手に感動を与えます。

 今まで無意識にしていたことが意識化に置かれるようになります。


 聞き手の無意識を意識化する


これがとっておきの話の効果の1つです。

無意識にしていたことが意識化に置かれた時、人は感動するのです。




逆に言うと、いかに聞き手の無意識を意識化するかは、話し手の腕にかかっています

どのような素材で、どのように料理するのかで聞き手が感動するかどうかが大きく左右されます。

だからこそ、まずは作り手の無意識を意識化する素材探しから始めてみると良いと思います。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月16日土曜日

とっておきの話270「まりあさんと根気勝負」の裏話

 Twitterに、とっておきの話270「まりあさんと根気勝負」の原稿をアップしました。

とっておきの話270「まりあさんと根気勝負」の原稿



新聞を読んでいると、様々な人が特集記事に載っていることが分かります。

世の中にはいろんな人がいるのだなぁと感動しながら読みます。


その中でも、学校に通う子どもたちと同じくらいの年齢の子が特集された記事はよく注目します。

なぜなら、聞き手となる子どもたちが「同じ年齢」という共通点から親近感をもち、自分事として話を聞いてもらいやすいからです。



今回のとっておきの話の主人公、本田まりあさん。


彼女はなんと

最年少で気象予報士に合格

という偉業を成し遂げました。

まりあさんはこの時小学6年生でした。小学生で天気予報ができるようになったんですね。


しかし、一発合格ではありません。

今までに2年間かけて、4回目の挑戦でやっと手にした気象予報士の資格だったのです。


2年間同じ勉強をずっとするのは難しいでしょう。

また、同じ試験に4回も挑戦するのも難しいでしょう。


実はまりあさん、興味を持てばとことん突き詰めるタイプらしく、こんな資格も手にしています。


・漢字検定1級合格

・英語検定準1級合格

・歴史検定2級合格


6年生でこれ程の資格をもっているまりあさん。

そんなまりあさんは、こんなことを言っています。


「あきらめずに合格できたことがうれしい。

将来どの仕事に就いても根気が大事だと思う。」



根気=あきらめない気持ち

これが今回のとっておきの話のキーワードとなります。



最後に、次のように呼びかけて締めくくっています↓


【みなさんの心の中に“根気”はどれだけありますか?

まりあさんに負けない根気をもった小学生はみなさんの中にもいると信じています。

あきらめない気持ちを大切にチャレンジを楽しみましょう。】




みなさんは、根気強いタイプですか?すぐにあきらめてしまうタイプですか?

そもそも、「根気」って何でしょうね?

もともと性格上備わっているものなのか、何かをきっかけに強くなる後天的なものなのか。

「根気」をテーマにして考えてみるだけでも、様々な切り口の素材が見つかりそうです。



私は今この話を読み返してみると、まりあさんの

「将来どの仕事に就いても」

という部分が納得いきます。

学校の先生の仕事は根気強くやらないと乗り越えられないものばかりです。

そこには難しさも苦しみも伴います。

しかし、乗り越えた先に待っている感動があるからこそ、自分も学校の先生を続けているのだと思います。


根気強く続けた先に待っている景色。

それを知っている人こそ、根気をもち続けられる人なのかもしれませんね。



さて、この話を作ったのは2017年。

今から4年前。

6年生だった本田まりあさんは、今では高校生になっているのでしょう。

今はどんなことに興味をもち、挑戦しているのでしょうね。

このように、当時出合ったエピソードから年月を経て、思いをはせる時もあります。

特に新聞記事のような素材は、その時を切り取ったものです。

その瞬間を逃さないためにも、素材探しのアンテナは高くしておきたいですね。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月15日金曜日

とっておきの話269「可愛いだけの都合の良い道具」の裏話

Twitterに、とっておきの話269「可愛いだけの都合の良い道具」の原稿をアップしました。

とっておきの話269「可愛いだけの都合の良い道具」の原稿



みなさんは、ペットを飼ったことがありますか?


犬や猫、魚、カメ、昆虫など、様々なペットがあると思います。

学校でも、猫を飼っている男の子がいたり、


犬を飼っている女の子がいたりします。


さて、今回のとっておきの話の題名

可愛いだけの都合の良い道具

って何のことだか分かりますか?


実はペットのことなのです。

ペットは「家族」という話はよく聞きますが、「道具」と聞くとなんだか嫌なイメージがありますよね。

今回のとっておきの話を聞くと、「ペット=道具」の意味が分かります。



しかし、いきなりペットは道具だと伝えても、話が飛び過ぎて聞き手に響かないかもしれません。

そこで使う力が

見せる力

です。


特に今回のように、ポスター素材は

部分見せ・部分隠し

という見せ方が効果的です。


話の導入で、次のように少しずつポスター画像を見せていきます↓


【(一番左の画像を提示)何だかわかりますか?(数名指名)クレーンゲームみたいですね。(真ん中の画像を提示)もう少し絵を見せます。何か気付いたことはありますか?(数名指名)どうして泣いているのでしょうね。実は、この絵はあるポスターの絵です。隠れているところにはある言葉が書いてありました。(少し間をおいてから)こんな言葉です。(一番右の画像を提示)どういう意味のポスターだと思いますか?(数名指名)】



そしてさらに、ポスターに書いてあった言葉も部分見せしていきます。


実はこれで全部じゃありません。みんなには見せなかったポスターの左端にはこんな言葉が書いてありました。

「鳴き声がうるさい」「言う事を聞かない」「思ってたのと違った」

彼らも私達と同じ一つの命です。人懐っこい子もいれば慣れない子もいるし、お利口な子もいれば覚えが悪い子だっています。

動物はただ可愛いだけの都合の良い道具ではありません。

飼い主には彼らの一生を背負う覚悟が必要です。

(飼う前にもう一度、しっかり考えてみてください。 と板書)

 みなさんの中にも動物を飼っている人がいると思います。これから飼おうと思っている人も含めて、動物を飼うということはその一生を背負う覚悟をもって飼いましょう。】



こうすることで、「可愛いだけの都合の良い道具」の意味が伝わりやすくなります。

みなさんもポスター素材を見つけたら、部分見せ・部分隠しをしながらとっておきの話をしてみてください。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年10月14日木曜日

とっておきの話268「親切の常識を打ち破る」の原稿

Twitterに、とっておきの話268「親切の常識を打ち破る」の原稿をアップしました。

とっておきの話268「親切の常識を打ち破る」の原稿



固定観念

というものを人は無意識に抱いてしまうものです。

それは時として「常識」とも呼ばれています。


しかし、そんな常識を打ち破る事例は世の中に溢れるほどあるものです。

意識してみると、自分が常識だと思っていたことが実はそうではないことに気付かされます。


今回のとっておきの話では、

電車の中での親切

の常識について考えさせられる作文が素材となっています。


みなさんは、「電車の中での親切」と聞いてどんな様子を思い浮かべますか?


きっと、こんな様子を思い浮かべた人が多いのではないでしょうか。






お年寄りや妊婦さんに席をゆずる

確かに親切ですよね。

しかし、これが常識だと思い込んでいませんか?


次の作文の中では、違った人が席を譲ってもらっています。

その人は作文の題名に

常識をくつがえす優しさ

と書いています。


こんな作文です↓





 みなさんはいつの間にか、「電車で親切と言えばお年寄りや妊婦さんにするもの」という常識を持っていませんか?

 助けを求めている人がいれば、中学生だろうと席をゆずる時があります。

 こういうものが親切だろうという常識にとらわれていると、いざという時に助けを求めている人に気付かないかもしれません。

 親切にも常識があるからこそ、自分の力で打ち破りましょう。



 このとっておきの話を読み返してみると、人は固定観念や常識に縛られてしまうことで、親切の幅をいつの間にか狭めてしまっているのではと思いました。


 こうした道徳的なテーマは、白黒はっきりとつけるものでも、これが常識と断定するものでもありません。

 だからこそ、自分で無意識のうちに常識だと信じ込んでいる考え方がないか、一度振り返ってみることも大切なのです。



 気になった方はぜひ実践してみてください。

 ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年10月13日水曜日

とっておきの話267「先生からの贈り物」の裏話

Twitterに、とっておきの話267「先生からの贈り物」の原稿をアップしました。

とっておきの話267「先生からの贈り物」の原稿



贈り物シリーズ第3弾。

今回は「先生からの贈り物」です。


みなさんは、先生からもらって嬉しかった贈り物やプレゼントはありますか?

先生からの贈り物って意外と時間が経っても思い出に残っているものですよね。



今回のとっておきの話では、2つの贈り物エピソードを紹介しています。


1つ目は、10円玉です。



ある日、ある先生は卒業していく子どもたち一人一人に10円玉を1つプレゼントしました。

なぜだかわかりますか?



当時、まだ携帯電話もなかった時代。

公衆電話で電話する時に10円玉を使うんですね。

先生は子どもたちにこう言います。


特に、【「君はひとりではない。どんな相談にものる。その時はこの・・・】の部分にこの先生の愛が詰まっていますよね。



2つ目は、手作りの卒業証書です。

ある日、ある先生は27歳の女の子に手作りの卒業証書をプレゼントしました。

なぜ手作りだかわかりますか?



実はこの女の子、大学受験の前に不登校になってしまい、高校に通えなくなったそうです。

それから何年か経ち、立派な大人になった女の子へ卒業証書を贈ろうと高校の先生が手作りしたんですね。

こんな卒業証書です。



「手書き」ですよね。こちらも先生の愛が詰まっている贈り物です。



どちらの贈り物にも、その先生の愛が詰まっています

今までのとっておきの話と比べると最後の締めくくりは異質だと思いますが、時には先生が自問自答しているような締めくくりも、子どもたちの心に響くことがあります。


あ、先生は僕たちのこと、こんなに想ってくれているんだ。


そんな気持ちになるとっておきの話があっても良いと思います。

次のように締めくくっています↓


【先生は、子どもたちの幸せをみんな願っています。

そんな思いが形となった時、素敵な贈り物になります。

私もみなさんに、お別れの日には素敵な贈り物をしたいですね。】



今回の話は、本心から出る言葉を紡いで話したいですね。

きっと先生が子どもを想う気持ちは、こんなとっておきの話をきっかけにしながら、少しずつ伝わっていくものです。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年10月12日火曜日

とっておきの話266「家族への贈り物」の裏話

Twitterに、とっておきの話266「家族への贈り物」の原稿をアップしました。

とっておきの話266「家族への贈り物」の原稿



前回紹介したとっておきの話のタイトルは、

家族からの贈り物

でしたが、今回のとっておきの話のタイトルは、

家族への贈り物

です。



みなさんは、家族に贈り物やプレゼントをして喜んでもらったことはありますか?

今日はちょっと変わった贈り物エピソードを紹介します。



 ある日、あるお母さんが息子のためにハンバーグを作ろうと玉ねぎを包丁でみじん切りしていると、目に染みて涙が出てきました。



すると、まだ小学校低学年の息子が

「ママどうしたの?泣いてるの?」と聞きます。

「いいえ、玉ねぎを刻むと誰でも涙が出るのよ」とお母さん。

そして、母の日に息子がプレゼントしたのが...





手作りめがね でした。



玉ねぎを刻む時に涙が出ないようにと、お母さんのことを思った息子さんの優しさが伝わってくる話ですね。



こちらも三井住友信託銀行「わたし遺産」入賞作品からのエピソード素材です↓




最後は次のように締めくくっています↓


【みなさんもこの息子さんのように、家族への思いを込めた贈り物をしてみてはどうでしょう。
何をプレゼントするかではなく、どんな思いを込めてプレゼントするかを大切にしてください。】



この素材のように、

子どもが出てくるエピソード

というのは心を動かします。

聞き手が子どもたちであった場合、自分事として考えられることが多いです。

同じ子どもが出てくるエピソードでも、次の3種類があります。


① 自分と同級生の子が出てくるエピソード

② 自分よりも年下の子が出てくるエピソード

③ 自分よりも年上の子が出てくるエピソード


それぞれ違った感覚で受け止められるようです。



この素材の物語は、半世紀近く前の話。

作者は82歳のおばあちゃんです。




82歳になっても思い出す息子との話。

親ってそういうものですよね。

何年、何十年経っても子どもとの思い出は覚えているものです。

エピソード自体は微笑ましいですが、それを半世紀近くの時を経て思い出しているおばあちゃんがとってもステキだと思いました。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月11日月曜日

とっておきの話265「家族からの贈り物」の裏話

Twitterに、とっておきの話265「家族からの贈り物」の原稿をアップしました。

とっておきの話265「家族からの贈り物」の原稿



教科書

シャーペン




と聞いて、みなさんは特別な印象をもちますか?

ありふれた物なので、あまり特別感はないのかもしれません。


しかし、ここにあるエピソードが添えられると、


特別な教科書

特別なシャーペン


となります。


今回のとっておきの話は、物が特別になる瞬間に出合える話です。


みなさんは、家族からもらって嬉しかった贈り物やプレゼントはありますか?

今日はちょっと変わった贈り物エピソードを紹介します。


【ある日、小学生の女の子が国語の教科書をなくしてしまいました。

まだ使うのにいくら捜しても見つかりません。

諦めていたその時、女の子の両親がこんな贈り物をしました。


手作り教科書


字のきれいなお父さんが文を書き、絵が得意なお母さんが挿絵をかき、本物そっくりの手作り教科書を作って渡したのです。

その後、卒業しても女の子にとっての宝物となりました。】


こちらも前回のとっておきの話でも紹介した、三井住友信託銀行「わたし遺産」の入賞作品からの作文です。

元の素材がこちら↓





【ある日、高校生の女の子は卒業する時にお父さんからシャーペンをもらいました。

シャーペンをプレゼントするのは珍しくないかもしれませんが、実はこの時、女の子は受験に失敗していたところでした。

でもお父さんは、受験に失敗したことではなく、3年間毎日休まず高校に通い続けて女の子がもらった皆勤賞をお祝いしてシャーペンを渡しました。

「お父さんは合格通知よりも皆勤賞がうれしい。おめでとう」

と言われ、女の子は涙したそうです。

その後、大学に行っても女の子にとっての宝物となりました。】


元の原稿はこちら↓



これら2つのエピソード素材から学ぶことは何でしょう?


今回のとっておきの話では、次のキーフレーズを添えて締めくくってみました。


何をもらうかではなく、どんな気持ちがこもっているか


本当に大切なことは、何をもらうかではなく、その贈り物に家族からのどんな気持ちがこもっているかなのでしょう。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月10日日曜日

とっておきの話264「花火が見えます」の裏話

Twitterに、とっておきの話264「花火が見えます」の原稿をアップしました。

とっておきの話264「花火が見えます」の原稿



人はマニュアルがあると安心する生き物です。

例えば、話型。

どのように話したら良いのか分からない子のためのマニュアルです。

0から話すのと比べ、ある程度の道筋が定まっているので乗り越えるハードルが低くて済みます。


一方、マニュアル通りに慣れていくと、臨機応変に動けなくなるのもまた人間です。

今回のとっておきの話は、そんな臨機応変な動きの中でも

機転を利かせる

を見事にやってのけた電車の車掌さんの話が素材になっています。



電車の中には、こんなアナウンスが聞こえてきます。

「間もなく~○○駅~出口は右側です。」「次は~○○駅~○○線にお乗り換えの際は~」




こうしたアナウンスの言葉は、車掌さんにとってまさにマニュアルです。

電車に一度でも乗ったことのある人なら、誰しも聞いたことのある言葉でしょう。


しかし、いつもとは違うアナウンスをした車掌さんがいました。




ある日、電車に乗っていると、こんなアナウンスが聞こえてきたのです。



皆さま、ただいま進行方向右手に花火が見えます。



花火は一瞬見えて一瞬で消えてしまうものですよね。

この車掌さんは、次の駅が何かという情報よりも、一瞬だからこそお客さんに今見つけてほしい花火を教えてあげようとしたんですね。

ちょうど仕事帰りで疲れていたお客さんは花火を見つけるとみんな笑顔がこぼれたそうです。


初めてこの素材に出合った時、東京スカイツリーや夜景ではなく、一瞬で消えてしまう「花火」を取り上げてアナウンスしたところに、車掌さんの優しさや機転を感じました。



こんな時にこんな風に言いなさいと決まっていることはたくさんあります。

聞き手が子どもたちだとすると、学校生活でそんな場面がないかを探します。

今回のとっておきの話では、あいさつの言葉を変えてみることを次のように例示して話を締めくくっています。


【たとえば、朝学校で友達に会ったら「おはよう」と言うものですよね。

でも、時にはこの車掌さんのように、いつもと違ったことを言ってみると相手の心を動かします。

「おはよう。今日は天気が晴れていて気持ちがいいね」と言ってみたり、「おはよう。あれ、髪切った?似合っているね」と言ってみたりするだけで、相手の反応が変わることがあります。

みなさんもいろんな言い方を試してみてくださいね。】



今回の素材は、三井住友信託銀行主催「わたし遺産」という作文コンクール入賞作品から得ています。

こうした作文の入選作品からも、ステキなエピソード素材を得られることがあります。

当時はひたすら入選作品を読み漁っていました。

自分の心にピンと来たエピソードを素材とし、とっておきの話としてアレンジを加えて作っています。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年10月9日土曜日

とっておきの話263「気を遣って疲れるのはいいこと?」の裏話

Twitterに、とっておきの話263「気を遣って疲れるのはいいこと?」の原稿をアップしました。

とっておきの話263「気を遣って疲れるのはいいこと?」の原稿



今回のとっておきの話のテーマは

気疲れ

です。


この言葉の印象はきっと、マイナスなイメージを抱く方が多いと思います。

人に気を遣いすぎて疲れてしまう。これが気疲れですよね。


一方、気疲れを肯定的に捉えた人がいます。

ある日、何気なくテレビを観ていたら、こんな言葉が飛び込んできました。



人に気を遣って疲れることは、いいことなんだよ。

どこまでも誠実に気を遣いなさい。


 

これは、元歌手の高田みづえさんという人が、歌手のNOBUさんに送った言葉です。




当時、NOBUさんは歌手デビューをしたのに売れず、契約していたレコード会社から見放されてしまっていました。

それまで気疲れしたことはなく、自分のこだわりだけを大切にしていたNOBUさんに、高田さんはこの言葉を送りました。

それからNOBUさんは、自分の歌を聞いてくれるファン一人一人と向き合い、気を遣っていきました。

そして、二度目の歌手デビューを果たしました。



今回の話の山場は、

気疲れがない人は気付かれない

という印象的なフレーズです。


見事な変換ですよね。

テレビを観ながら感動していました。


この感動を聞き手とも共有するために、この後の話し方に少し演出を加えています。


【みなさんは、気疲れしたことはありますか?

 気疲れしたことのない人は…(気疲れの右に ない と板書)

 気疲れない人です。漢字を変えてみると、(気付かれない と板書)気付かれない人です。】



このように、問いかけながら少しずつキーフレーズを板書することで、聞き手に伝わりやすくなります。


最後に、次のように呼びかけて終わります。


【人に気を遣うのは確かに疲れます。

でも、全く気を遣わない人は、どれだけがんばっても人に気付かれない人になってしまいます。

どうせなら、気疲れしても自分のがんばりを周りの人に気付いてもらえる人になりたいですよね。】



気を遣って疲れるのは悪いことではなく、いいこと。

気疲れするぐらい気を遣える人は、気付かれる人になる。

なるほどなぁと思いました。


一方、そこで止まらず、

気疲れしないぐらい自然体で気を遣える人になる

という次の段階もあるでしょう。


これはフォロワーの方からご指摘いただいて本当にその通りだと思いました。


本人は気を遣っていることすら気付いていない。

そこまで自然体で気を遣える人は、気疲れを超えたレベルに到達していると言えるでしょう。


そこに至るまでの過程として、今回のとっておきの話のように

気疲れする時期

というのは乗り越えないといけないのでしょう。

そんな時、マイナスイメージで捉えるのではなく、プラスに捉え直して誠実に気を遣い続けることで、いつか自然体となっていくのだと思います。



とっておきの話は、様々な方からの反応によってよりブラッシュアップされるものです。

今後も、自分以外の方からのご指摘や新しい考え方・見方もこの裏話の記事に載せていきたいと思います。



気になった方は、ぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月8日金曜日

とっておきの話262「建物からのメッセージ」の裏話

Twitterに、とっておきの話262「建物からのメッセージ」の原稿をアップしました。

とっておきの話262「建物からのメッセージ」の原稿



突然ですがみなさんは、

建物

を事細かく見た経験はどれくらいありますか?


建築業に関わっている人でもなければ、あまり意識して建物を見たことがない人が多いと思います。

建物が視界に入っていたとしても、景色の一部程度の認識でしょう。



しかし、そんな建物の中には、

そうだったのか!

と発見のあるメッセージが込められて建てられた物もあるのです。




今回のとっておきの話で紹介される代々木体育館はそんな建物の一つ。


遡ること昭和36年10月、東京オリンピックの試合会場として2年で建てようという計画が立ちました。



しかし、完成したのはオリンピック開催日のわずか39日前というギリギリなスケジュールでした。

その裏には、建築家の丹下健三さんの

「日本のオリンピックのシンボルとなるような建物にしたい」

という思いがありました。

今までにない作り方を提案し、周りの人から不可能と言われても諦めず、予算オーバーとなってしまった8億円をなんとかするため、政治家のもとへ一人で頼み込んでお願いしにいきました。

そんな努力によって作られた代々木体育館に丹下さんが込めたメッセージは、これです。


一体感


当時の日本は戦争に負けたばかり。オリンピックをきっかけに、みんなで一体となってがんばろうという気持ちをこめたそうです。


では、どのようにして一体感を出す建物にしたのか。

実は、代々木体育館には柱が1本もないのです。



私は今までこの素材に出合うまで、恥ずかしながら代々木体育館の中を見たことがありませんでした。

当時、テレビ画面いっぱいに映し出された代々木体育館の柱が1本も無いからこその内部景色に感動しました。



それは、こんな景色でした。




いかがでしょうか?

この迫力のある大空間。

まさに柱を無くして一体感を生み出していると言えます。



こうした建物からのメッセージを知った上でその建物を見るのと、知らずに見るのとでは大きな差があります。

知るからこそ感じる。

ここにとっておきの話の醍醐味の1つが含まれていると思うのです。




気になった方は、ぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月6日水曜日

とっておきの話261「使命を果たす時」の裏話

Twitterに、とっておきの話261「使命を果たす時」の原稿をアップしました。

とっておきの話261「使命を果たす時」の原稿



今回のとっておきの話のテーマは、

使命

です。


「使命」は、「命を使う」と書きますよね。

与えられた任務を果たす、もっと言えば自分の命を使ってでも受けた仕事はやり通すという意味です。


当時、まさに「使命」を全うしていると感じたエピソード素材に出合いました。



みなさんは、「地下鉄サリン事件」という事件をご存知ですか?

日本では戦後最大のテロ事件だと言われるほど、その内容は悲惨なものでした。

無差別にいろんな人が行き交う地下鉄に「サリン」という毒ガスがまかれ、13人が死亡、6000人が被害にあいました。


しかし、その事件の次の日から、地下鉄は安全に運転を再開していました。

つい昨日は毒ガスがまかれていたのに。

そこで活躍したのが、自衛隊化学学校教官だった中村勝美さんです。




当時化学学校に通う自衛隊は、戦後一度も出動した経験がなく、「悪魔の部署だ」と陰口を言われる立場でした。

そんな中村さんにとって、初めての出番となったのがあの事件だったのです。

しかも、初めてにも関わらず、チームを率いるリーダーの一人に抜擢されてしまったのです。

 

自衛隊の活躍により、蔓延する毒ガスを浄化し、地下鉄内はきれいになりました。

しかし、本当に安全に運転を再開できるまできれいになったのかは、だれも分からなかったし、そのための機械も当時はなかったのです。

サリンという毒ガスは、0.1gでも肌に触れるとすぐに死ぬほどの猛毒。

空気中にただよっていても、色もなければ匂いもないのです。


そんな中で、本当に安全かどうか確かめるために、中村さんはどうしたかというと...




自分の身体を実験台にし、深呼吸をして確かめたそうです。




自分が死ぬかもしれないのに、です。

まさに自分の命を使ってでも仕事を全うした「使命」ですよね。




このエピソードを初めて聞いた時、衝撃を受けました。

本当に自分が死ぬかもしれないのに使命を全うする人の存在に感動を覚えました。


聞き手に伝えたいのは、「使命を全うするという姿勢」です。

勘違いしてほしくないのは、命を投げ出すことを良しとしている訳ではありません。

命は大切です。使命だからと言って簡単に命を投げ出す姿勢は良しとしたくありません。

一方、使命を全うするという姿勢そのものは、前向きな姿勢として大切に伝えていきたいです。


このように、出合った素材をどのように切り取り、その絶妙なニュアンスを上手く伝えるためにどう話すかは話し手の腕次第です。

勘違いされて聞き手に受け取られないように注意しながら、熱意をもって話したいですよね。



ちなみに今回の素材、テレビ番組から入手しています。

テレビ番組には、正直「余計な時間」というものが多いです。

CMが挟まり、スタジオトークが挟まり、肝心のエピソードは長尺となります。

だからこそ、端的にまとめてとっておきの話で話すことで、自分がどこに感動したのかを整理できますし、聞き手にも分かりやすく伝えることができます。



気になった方は、ぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月5日火曜日

とっておきの話260「どの一歩だって同じ気持ち」の裏話

Twitterに、とっておきの話260「どの一歩だって同じ気持ち」の原稿をアップしました。

とっておきの話260「どの一歩だって同じ気持ち」の原稿



今回のとっておきの話も、前回に引き続き雑誌「致知」からの素材を扱っています。


主人公はこの方↓



横田尚哉さんは、日本の会社の社長の中でも、世界的にすばらしいサービスを提供した会社に与えられる「ジミーカーター経営功労賞」という賞を2017年に日本人で初めてもらった人です。



そんな横田さん、こんなことを言っています。


人生とはTodayの足し算


今日という一日一日を大切にされて生きてきた方なんだと伝わってきますよね。


さらに、老子という人のこんな言葉を雑誌の対談で紹介しています。


千里の行も足下より始まる


この言葉、千里の道も一歩から と似てますよね。

でも、「まず一歩踏み出そう」という意味ではなく「千里の道のりだってすべて一歩の集合体なんだよ」という意味だそうです。


そして、こんなふうに話しています。


最初の一歩も最後の一歩も全く同じ一歩で、その一歩を丁寧に続けているだけ。

毎日毎日、その時しかできないこと、その時だからできることを徹底していった。

まずは一歩を丁寧に踏み出す。

二歩目も三歩目も、最初の一歩と同じ気持ちで踏み出す。

背伸びもせず手も抜かず、ひたすら同じ気持ちでやり続ける。

そういう生き方が私の原点になっていると思います。




どの一歩も同じ気持ちで


今が何歩目だろうと、最初の一歩を踏み出した時に抱えていた気持ちと同じ気持ちで踏み出す。

「初志貫徹」なんて言葉がありますがまさに最初の志を忘れずに貫き通した生き方を横田さんは実現しています。


みなさんは今、何歩目まで来ていますか?

最初の一歩と同じ気持ちで次の一歩を踏み出していきましょう。



よく、一歩一歩進もうという話がありますが、最初の一歩を踏み出すことに目が行きがちです。

しかし、最初だけでなく、途中の一歩も、最後の一歩も、

同じ気持ちで

一歩を踏み出し続けていくことの大切さをこの話は教えてくれるような気がします。




そして、この横田さんの素材。

実は前回紹介したとっておきの話の素材をくださった、里岡さんとの対談記事から素材を得ています。

雑誌の対談記事というのは、ふと読んでいると思わぬ素材を得られることがあります。

さらに、対談の魅力は、一人ではなく、複数人の人の考え方を知ることができるところです。

だからこそ、とっておきの話の素材になるようなエピソードを2倍以上知ることができるような感覚があります。

雑誌の対談記事、素材探しにおすすめです。



気になった方は、ぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月4日月曜日

とっておきの話259「目配り、気配り、おもてなし」の裏話

 Twitterに、とっておきの話259「目配り、気配り、おもてなし」の原稿をアップしました。

とっておきの話259「目配り、気配り、おもてなし」の原稿



自分の作ったとっておきの話を振り返ると、当時どんな本や雑誌を読んでいたのかが一目で分かります。


今回のとっておきの話を作成した当時、致知という雑誌にハマっていました。

そんな致知の2017年11月号に掲載された記事に、あるCA(キャビンアテンダント)さんの目配り、気配り、おもてなしに目が留まりました。



彼女の名前は里岡美津奈さん。





飛行機のCAの世界では一流と呼ばれた里岡美津奈さんです。

CAの世界では、目配り、気配り、おもてなしは大切にされています。

なぜこの3つが大切か、彼女が入社6・7年目の時に経験した話から探ってみましょう。



当時チーフパーサーと言って、全てのCAと安全確認をする責任の重いリーダーの仕事をしていた里岡さん。

ある日のフライトでもうすぐ離陸だというのに一人のCAからオッケーが出ませんでした。

そのCAのもとへ行ってみると、夫婦で飛行機に乗っていたお客さんがいました。

よく見ると、奥さんの様子がおかしかったのです。


お人形と一緒にシートベルトをしていたのです。





里岡さんを呼んだCAさんは、

「緊急の際に危険ですので、お人形は隣に置いてベルトをしてください」

と何度も説明したが聞き入れてくれないと言います。


それを聞いた里岡さん、夫婦の様子をもう一度よく見て...


「お客様、本日はご搭乗ありがとうございます。

間もなく離陸いたしますので、

お子様を隣の空席に座らせて、ベルトをしてもいいですか


と言ったのです。


すると、その奥さんは「ああ、いいですよ」と聞き入れてくれたそうです。

後日、旦那さんからのお手紙で、その夫婦は子どもを亡くしていることが分かったのです。


里岡さんが「お人形」ではなく「お子様」と呼んでくれたのが奥さんは嬉しかったそうで、お人形と一緒ではなくても天国の子どもと落ち着いて向き合うことができるようになったというお手紙でした。


みなさんは里岡さんのような「目配り、気配り、おもてなし」はできるでしょうか?

普通はそこまで察して人形をお子様とは言えないですよね。


そこのアンテナが高いのは、

目の前の一人を大事にする

という里岡さんの姿勢にあります。


それを続けることで、世界を引っ張るCAになるのです。

この話は、CAに限らず、様々な世界で通じる大切な姿勢です。




気になった方は、ぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年10月2日土曜日

とっておきの話258「今に幸せを感じなさい」の裏話

Twitterに、とっておきの話258「今に幸せを感じなさい」の原稿をアップしました。

とっておきの話258「今に幸せを感じなさい」の原稿



幸せな状態を想像してみてください。

と言われると、

「こうなったら幸せ」や「ああなったら幸せ」

の景色を想像する人が多いかもしれません。



お金持ちになれたら幸せ

結婚したら幸せ

テストで100点取ったら幸せ

ほしいものが変えたら幸せ

・・・


しかし、これらの「幸せ」という言葉の使い方は間違っていると言った人がいます。

その方が、斎藤一人さんです。

 



日本の納税者ランキングで毎年のように10位以内に入っている人です。

納税ですから、今まで税金を納めた額もすごいです。

全部合わせると100億円以上になるそうです。




彼は、幸せになるコツについて、次のように語っています。


幸せになるコツというのは、「こうなったら幸せ」「ああなったら幸せ」じゃないの。

まずは、今の現状を何も変えずに、幸せと思うこと。

そうすると現状が変わってくる。たちまち幸せになってくる。



つまり、「今が幸せ」と思うことが正しい「幸せ」という言葉の遣い方だと主張しています。



この話を知った時、自分はいったい「今が幸せだ」と一日に何回言えるだろうか?

と考えました。


実は、言おうと思えばいくらでも言えるのです。


 ・私が先生をやっている今が幸せ

 ・私の話を聞いてくれる子どもがいる今が幸せ

 ・健康で仕事できている今が幸せ。

 ・生きている今が幸せ。


すると、「こうなったら幸せ」や「ああなったら幸せ」なんて考えなくても、幸せを感じられるようになりました。


いつか幸せになりたいという未来の幸せを手にする人は、「今が幸せ」を積み重ねてきた人なのかもしれませんね。



これまで、とっておきの話では

幸せ

というテーマの素材を何度も扱ってきました。



何が幸せなのかに正解はありません。

正解はありませんが、ヒントはあります。

しかも、世の中にはたくさんのヒントが存在します。

今回の斎藤一人さんの話も、あくまでも1つのヒントとして、自分や周りの人の幸せについて考えるきっかけになればと思い、とっておきの話にしました。



こうして様々な角度から幸せについて話をする中で、正解は見つからなくても「これが正解なのではないかな?」というものは漠然とでも見えてくるはずです。

最終的には、自分の納得する形の幸せを見つけられたなら、とっておきの話も意味があったと言えます。

大きなテーマだからこそ、考えるきっかけとなる種まきをするようなイメージで実践されることをオススメします。




気になった方は、ぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。



とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の裏話

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