2021年11月30日火曜日

とっておきの話306「子どもの絵にはかなわない」の裏話

Twitterに、とっておきの話306「子どもの絵にはかなわない」の原稿をアップしました。

とっておきの話306「子どもの絵にはかなわない」の原稿


子どもがもっている力

子どもだからこその良さ

子ども時代にしかできないこと


「子ども」の力は時として大人を驚かせます。

今回のとっておきの話は、子どもの「絵」の力がテーマです。

原稿を読んでみましょう⇩


【(ビートたけしさんの写真を提示)

 


 みなさんは、ビートたけしさんを知っていますか?芸人とも言えるし、世界的に有名な映画監督とも言える人です。

そんなたけしさんは、若い時の交通事故をきっかけにして、20年以上絵をかくことを趣味としてきたのは意外と知られていないことです。

どんな絵をかくのか、見てみたいですか?(少し間をおく)


 こんな絵です。(次の絵を見せる)

 



(子どもがかいたクレヨンの絵とか水彩にはかなわない。 と板書)


 たけしさんの絵のお手本は、あなたたちのような子どもの絵。

でも、どれだけ絵をかいても、子どもの絵にはかなわないとたけしさんは言っています。

 あなたたちの絵は、大人でもかなわないような発想や世界観で満ち溢れています。

子どもの今だからこそかける絵を、大切にしてくださいね。】



このエピソード素材に出合えたのは、たけしさんが開いていた絵の個展「アートたけし」でのことでした。

そんなたけしさんが

子どもがかいたクレヨンの絵とか水彩にはかなわない。

と言うのですから、面白いものです。


今の時代、インフルエンサーの大人から注目されることがきっかけで何億もの価値がつく子どもの絵も存在しています。

それだけ子どもの絵というのは、大人を魅了する力をもっているのですね。


子どもからしてみたら、何気なくかいただけの絵かもしれません。

でも、少し視点を変えると、その絵は大人から見ると

あなたにしかかけない絵

となるのです。

今回のとっておきの話をきっかけにそんな視点ができると良いですね。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月29日月曜日

とっておきの話305「その名札、必要?」の裏話

Twitterに、とっておきの話305「その名札、必要?」の原稿をアップしました。

とっておきの話305「その名札、必要?」の原稿



今回のとっておきの話は、

店員さんの付けていた名札

を素材にした話です。


名札に書いてあった言葉にいろいろと考えさせられ、素材にしようと思いました。

今までは、「いい言葉だなぁ」という入口から素材にすることが多いのですが、今回の場合はタイトルにもあるように「その言葉、わざわざ書く必要ある?」という入口から話を作ってみました。

原稿を読んでみましょう⇩



【(以下の写真を提示)

 


 ある日、美術館のミュージアムショップというお店で働くレジのお姉さんの様子を見ると面白い物がありました。これです。(次の写真を提示)

 


お姉さんの胸に名札がついていたんですね。この名札には、こんなことが書かれていました。

(心をこめてお客さんと接します と板書)



みなさんはこの名札、あった方がいいと思いますか?なくてもいいと思いますか?

例えば、「心をこめてお客さんと接します」という名札をつけているのに、心がこもっていない雑でひどいレジのお姉さんだったら、この名札をつけている意味はないかもしれませんね。

逆に、「心をこめてお客さんと接します」という名札をつけていなくても、心をこめてお客さんと接している店員さんを先生はたくさん見たことがあります。

もしみなさんがこういう名札が必要だと言うのなら、みなさんがふだん身に付けている名札にも何か言葉をつけてみませんか?

こういう名札、あった方がいい?なくてもいい?さぁ、どっちだ?】



いかがでしたか?


今読み返してみて思ったのは、ここのミュージアムショップの店員さんでなくても、店員さんが名札に何か言葉を書いてあることってありますよね。

居酒屋の店員さんも「真心こめて!」とか「いつも笑顔で」とか書いてある名札を付けているところを見たことがあります。


しかし、名札にこれらの言葉をわざわざ書く必要があるでしょうか?

書かなくても、できている人はできていますよね。

逆に、書くことによって意識化されて、できるようになる人もいると思います。


言葉の力を使うか使わないか。

上手に向き合うことで、自分の力を最大限発揮できそうですね。

この選択そのものを今回のとっておきの話で考えさせて締めくくる話にさせていただきました。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年11月27日土曜日

とっておきの話304「つついて食べる」の裏話

Twitterに、とっておきの話304「つついて食べる」の原稿をアップしました。

とっておきの話304「つついて食べる」の原稿



寒くなってきてよく鍋料理を食べるような時期こそしてほしいのが今回のとっておきの話。

この素材に出合うまで、まさか鍋をテーマにとっておきの話ができるとは思いもしませんでした。

どんな話だろうかと想像しながら次の原稿を読んでみてください⇩


【(以下の写真を提示。「コミュニケーション」の文字を隠して提示。)

 


 寒い季節になったので、土鍋を買おうと買い物に行くと、お店にこんな物がありました。名付けて「鍋十徳!」鍋の良さが10個書いてある紙でした。

栄養いっぱいとか、安い!とか、片付けが簡単とかダイエットに効果的なんてのも書いてありました。


(以下の画像を提示し、 家族の     もはかれる と板書)

 

 みなさんに考えてもらうのは6番目に書いてあったこの言葉。

家族の何をはかれるのでしょう?(少し間をおく)


正解は、こちら。

(コミュニケーション と板書)

「コミュニケーションをはかる」というのは、鍋料理をすると、家族みんなで同じ鍋をつついて食べますよね?その時に自然と会話が生まれるという意味です。

「玉子食べたいから取らないでね」とか「こんにゃくも食べてね」とか「お父さん大根ばっかり食べてる」とかね。

料理器具が鍋になるだけで、こういう楽しそうなコミュニケーションが生まれるというわけです。


みなさんは今晩、おうちで鍋しますか?】



今回のとっておきの話は、一見すると鍋の話をしているだけのようなイメージをもつと思います。

しかし、「家族のコミュニケーションをはかることができる道具」として鍋を見つめ直すことにより、「なぜはかることができるのだろう?」という疑問を引き出しています。

その疑問に対する答えを考えることで、コミュニケーションとは何だろうと考えるきっかえになります。

まさか「鍋」と「コミュニケーション」がつながるなんて。




面白いですよね。



そして、この素材に出合った場所は「地元のイオンモール」です。

買い物をしている間、ふと目に入った「鍋十徳」でした。

思い返せば、妻が鍋を買い替えたいと言わなかったら出合えなかった素材だったでしょう。

こうした偶然のめぐり逢いを楽しめるのも、とっておきの話づくりをしているからこその楽しみですよね。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月26日金曜日

とっておきの話303「星は見ている」の裏話

Twitterに、とっておきの話303「星は見ている」の原稿をアップしました。

とっておきの話303「星は見ている」の原稿



北野武さんと聞くと、芸人や映画監督のイメージが強いかと思います。




しかし、実は絵本も出版されているのです。

今回のとっておきの話は、そんな絵本「ほしのはなし」を素材にしています。



【(流れ星 と板書)

 みなさんは、流れ星にお願いをしたことはありますか?(少し間をおく)

今日は「ほしのはなし」というお話を紹介します。


ある日、男の子は、おじいちゃんからこんなことを教えてもらいます。

(だれもが自分の星をもっている と板書)

 あれはおばあちゃん、これは織田信長、そしてあれはお前の星だよ…というふうに、生きている人も死んでいる人も、自分の星をもっているとおじいちゃんは言います。

 そして、こんなことを言います。


「おまえたちは ちきゅうに ただ いきているんじゃない。

 だれしもが じぶんの ほしを もっているように、

 いつも うちゅうと つながっているんだ。

 たくさんの ひとたちが ほしになって、おまえを みているんだよ」


「だから、もし さみしいと かんじたら、よぞらを みて、ほしを さがしなさい。

いいことや いやなことが あっても、ほしを さがしなさい。

いつだって ひとりじゃないんだよ。

ほしとなって、みんなが おまえのことを ずっと みまもっているから」


「いろんな ほしが おまえを いかしているんだから」


 さて、おじいちゃんの話を聞いた男の子はその後、流れ星を見つけます。

でも、お願いごとをどうしようか考えているうちに見失ってしまいます。

すると男の子は、おじいちゃんの話を思い出して

「だれかにゆずってあげたような気がして気持ち良かった」と言います。


 みなさんも、さみしいと感じた時は、夜空を見上げて自分の星や大好きな人の星を探してみてはどうでしょうか?

きっとその星たちは、あなたを温かい目で見ていますよ。

 

最後に、種明かし。実はこの話、こんな大きな絵本なんです。

(絵本の一部を見せて終わる)】

 




締めくくりとして絵本の一番印象が強いページを見せています。

視覚的要素で訴えかけることで、聞き手に強い印象を残せます。



星は夜に出るものというイメージがありますが、実は朝や昼にも見えないだけでそこにあるんですよね。

その星の1つ1つが亡くなった人たちで自分の大切な人たちが見守っていると考えれば、一人じゃないような気になりますよね。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月25日木曜日

とっておきの話302「パパの得意技は・・・」の裏話

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とっておきの話302「パパの得意技は・・・」の原稿



みなさんには、得意技と呼べるものがありますか?

自分の得意技を考えるのは難しい。

そして、他人の得意技を考えるのも難しいものです。

今回のとっておきの話は、家族の得意技を考えた子のエピソードが素材となっています。


まずは原稿を読んでみましょう⇩


【(家族の得意技 と板書)

 みなさんは、こんなテーマで作文を書く宿題が出たら、だれの、どんな得意技を書きますか?(少し間をおく)

 これは、そんな宿題を出されてパパとママの得意技について作文を書くことになった男の子の話です。



 男の子は始めに、ママの得意技について書き始めます。

昔は砲丸投げの陸上選手だったことや、握力がすごくて手でグレープフルーツをしぼってジュースを作ってしまうことなどを書きました。

次に、「パパの得意技は…」と書き始めた男の子。

しかし、どうしてもパパの得意技が思い浮かびません。

ママも一緒になって考えますが、思い浮かびません。

パパも真剣に考えますが、自分に得意技なんてないと諦めます。

 

 やがて、パパとママは思い出話をするようになりました。

パパも短距離走の陸上選手でしたが、ケガをしてしまって途中でやめたこと。

そんな時、ママが一人で砲丸投げの練習をしていたのでパパが気付いて手伝ってあげていたこと。

大会に出る時はパパがママのマネージャーをしていたこと。

今でもママのおっちょこちょいなところをパパが助けていること。

いろんな思い出話を聞いて男の子がいよいよパパの得意技を書く決心をしました。

さて、何と書いたでしょう?

(しばらく間をおく)

 男の子は、パパの得意技について、こんなふうに書きました。


 さて、パパのほうは、運がいいことが得意わざです。

高校時代、足をケガして陸上部の選手からマネージャーになったのですが、そのおかげでママと仲良くなって、結婚できたからです。

「もしもケガをしなかったら、ママと結婚できなくて不幸な人生だった」とパパは言っていました。

ぼくも、パパとママの得意わざを受けついで、たくましくて運がいいひとになりたいです。

終わり


 みなさんには、得意技はありますか?

この男の子のように、運がいいことが得意技なんていうのもありかもしれません。

だって、みなさんは、運がいいからこそ、この世界に生まれてきた命なのですから。

 さて、みなさんにも、「家族の得意技」というテーマで、実際に作文の宿題を出してみてもいいですか?】



この原稿に出てくる「運がいい」という得意技。

誤解されて「そんなことが?」と思われるのは嫌ですね。

ここで言っているパパの「運がいい」は、ママとの出会いを大切に、ママとの日々を大切に過ごして引き寄せた運だと思うのです。

つまり、運がいいのが得意技というのはこじつけだと思うのではなく、この子どもが親の姿を見て得意技としているところに魅力を感じてもらいたいですね。



子どもから見て、自分は親としてどう見えているのか。

たまに考えることがあります。

まだうちの子は物心つく前ですが。

今回のエピソード素材も、親としては子どもからの質問にハッとさせられるような話でしたね。

私はこの話に出合った時、パパとママのお互い助け合って生きる夫婦の姿がステキだと思いました。

その姿は子どもにも伝わるのだと思います。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月24日水曜日

とっておきの話301「何からも学んだ師匠の話」の裏話

Twitterに、とっておきの話301「何からも学んだ師匠の話」の原稿をアップしました。

とっておきの話301「何からも学んだ師匠の話」の原稿



大学院時代に出会った先生。



その先生の

何にでも面白がって学ぶ姿勢

は当時の僕に大きな影響を与えました。


その姿勢そのものを素材にしてしまおうと試みて作ってみたのが今回のとっておきの話です。

原稿を読んでみましょう⇩



【(先生の先生 と板書)

 どんな学校の先生にも、「先生の先生」という人がいます。

私の話をすると、先生の先生は「何からも学ぶ天才」と呼んでもいいような人でした。


 その人はある日、道を歩いていると面白いものを見つけたと教えてくれました。

いったいどんなものだったと思いますか?(少し間をおく)

(以下の絵を板書)


 道路工事をしている近くで見つけた看板。

これが面白いと教えてくれました。

みなさんは、これの何が面白いのかわかりますか?(少し間をおく)

先生も、最初聞いた時はわかりませんでした。

でも、先生の先生はこう教えてくれました。


なぜ「キケン」とカタカナなのかを考えると面白い。

ひらがなの「きけん」は危険じゃなさそうに感じるし、漢字の「危険」は読めない子が近づくかもしれない。

カタカナだからこそ、誰でも読めて危険な漢字が伝わってくる。

これだけで授業ができる面白いものだよね


 道路工事の看板なんて、誰でも目にするものですよね。

それを面白いと思える先生の先生にはびっくりしました。


 またある日には、「この前見た授業はすごく勉強になった」と先生の先生は教えてくれました。

いったいそれはどんな授業ですか?と先生は聞いてみました。

すると、こう答えたのです。


1時間ずっと、ただテストをしている授業


 テストの時間でさえも、先生の先生から見るとそれは授業であって、勉強になるのだろうと教えてもらいました。


 (面白くないものはない と板書)

 先生の先生から一番学んだことは、「この世に面白くないものはない」ということです。

面白くないものというのは、自分の頭が面白くないと感じているだけであって、面白がろうと思えば何でも面白く見えてくるものです。

すると、つまらないことなんて無くなってきます。


 みなさんも、面白い物を見つけたら先生に教えてくださいね。】




まさにとっておきの話づくりの「探す力」に関わる話ですね。

子どもたちの前では、「おもしろ探し」という実践をしたことがあります。

先生が面白がる姿勢を見せるのも、子どもにとっては良い刺激になります。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月22日月曜日

とっておきの話300「この宇宙で一番大きいものは?」の裏話

Twitterに、とっておきの話300「この宇宙で一番大きいものは?」の原稿をアップしました。

とっておきの話300「この宇宙で一番大きい」の原稿



自分が親になって思うのは、子どもからドキッとする言動が見られることが多々あることに気付くのです。

そうした子どもの言動は、時として魅力的な素材となります。


【親子の会話

(親子の会話 と板書)

 みなさんは、お父さんやお母さんと、ふだんどんな会話をしていますか?

 お父さんやお母さんの立場からすると、自分の子どもとの会話って面白いんですよ。

なぜかと言うとね、たまに大人の自分でも「ドキッ」とするようなすごいことを自分の子どもが言ったりすることがあるからです。

今日はね、ある親子の会話を紹介します。


 こんな会話です。


男の子 「お父さん、この宇宙で一番大きなものはなんだと思う」

お父さん「ゾウさんかな」

男の子「お父さん、ちがうよ。この宇宙で一番大きいものは……」


 はい、この後男の子はお父さんに何と言ったでしょう?(数名指名)


 男の子は、こう言いました。

(「未来だよ」の前にたっぷり間をおいてから言う)

 

「お父さん、ちがうよ。この宇宙で一番大きい物は……






未来だよ





どう?ドキッとしました?こんな答え、大人でもなかなか予想できません。

もしかしたらみなさんも、何げない親子の会話の中でお父さんやお母さんをドキッとさせているかもしれませんね。

今、もしかして、ドキッとさせてみたいなぁなんて思った人がいました?】



宇宙で一番大きいものが「未来だよ」という発言、とても魅力的ですよね。

大人にはできない柔軟な発想が子どもにあるからこその発言だと思います。

面白いです。



このとっておきの話を子どもに聴かせることでねらっているのは、

親子の会話の促進

です。

親子で会話すると、そこに面白い発見があるのだということが伝わればと思います。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月21日日曜日

とっておきの話299「人生を振り返って最も後悔したこと」の裏話

Twitterに、とっておきの話299「人生を振り返って最も後悔したこと」の原稿をアップしました。

とっておきの話299「人生を振り返って最も後悔したこと」の原稿



みなさんは自分の人生を振り返って後悔したことはありますか?


他の人がどんなことに最も後悔しているかを知ることで、そうならないように動きたくなりますよね。

行動指針の1つになり得るのです。

今回のとっておきの話では、そんなアンケート結果を素材としています。


聞き手を子どもとして、次の原稿をお読みください。


【みなさんはまだ子どもですが、歳を重ねれば重なるほど、今までの人生を振り返る時があります。

特に、自分が死ぬ前は、自分の人生はどうだったかを一番振り返る時ではないでしょうか。


 アメリカに、こんなアンケートの記録が残っているそうです。

(あなたの人生を振り返って最も後悔していることは何ですか? と板書)

 死ぬ時が近づいたお年寄りたちに、こんな質問をしたのです。

 すると、お年寄りのなんと9割の人がほとんど同じ答えを書いたそうです。

 9割というとほとんど全てのお年寄りが後悔していると言っていいでしょう。

 いったいどんなことを最も後悔していると答えたのでしょう?(しばらく間をおく)

 正解は、こんな答えでした。

「もっと、冒険しておけばよかった……。」 と板書)




 みなさんはまだ子どもです。

でも、先生だって「子どもの頃もっと冒険してあんなことやこんなことにチャレンジしておけばよかった」なんて後悔することがあります。

今しかできない冒険のチャンスって毎日あります。

あなたたちがお年寄りになった時、同じアンケートを受けることになったらこうやって書く自信はありますか?

「自分の人生を振り返って後悔していることなんて…無い!」と。】



もっと冒険しておけばよかったというのが人が死ぬ前に人生を振り返って最も後悔したことだったというアンケート結果でした。


子どもの頃はまだ冒険の余地はたくさん残されていますが、歳を取れば取るほどできない冒険は増えていきます。

自分の人生を振り返った時に、やっておけばよかったと思う冒険を残して死にたくはないですよね。

どちらかというと大人向けの話かもしれませんが、子どもに向けて話しても良いでしょう。


冒険

というワード自体は意識して良い言葉です。


目の前の冒険が、後々振り返ってみると自分の人生を豊かにしてくれると思うと、さらに冒険心は湧いてきますよね。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月20日土曜日

とっておきの話298「短所はない。あるのは・・・」の裏話

Twitterに、とっておきの話298「短所はない。あるのは…」の原稿をアップしました。

とっておきの話298「短所はない。あるのは…」の原稿



僕は個人的に、物事を二分する考え方が苦手です。


今回のとっておきの話は、長所と短所について触れています。

これも二分していますよね。


しかし、本当に「長所」と「短所」にはっきりと二分されるものでしょうか?

物事は二分されるものではなく、その間を埋めるような考え方が存在します。

まずは原稿を読んでみましょう⇩



【自分は短所ばかりで長所なんかない。そう思っている人はいませんか?

 でもね、世の中にはこんなことを言う人がいます。

(人には「短所」なんてないのです。 と板書)

 信じられますか?そんなの嘘だ~なんて思ったみなさん、この人の言葉には続きがあります。

(以下の言葉を提示)

あるのは「長所」と「       」、そして「      」という3つだけなのです。

 「 」の中には「短所」ではない言葉が入ります。何だか分かりますか?(少し間をおく)


 正解は、こんなふうに言いました。

人には「短所」なんてないのです。

あるのは「長所」と「一見、短所に見える長所」、そして「少し短い長所」という3つだけなのです。

(一見、短所に見える長所 と板書)

 あなたが短所だと思っていることは、短所に「見える」だけであって、本当は長所なのかもしれません。

(少し短い長所 と板書)

 それでも短所だと言い切りたい時は、こう考えてみてはどうですか?

この短所は、少し短い長所なんだ、と。

少し短いだけなのにすごく短いように感じているだけなんだ、と。




 なんだ。自分は長所だらけじゃないかって思えばいろんなことに前向きにチャレンジしたくなります。

ほら、みなさんももっと顔を上げて、だってどの子も長所しか持っていないんだから。】





長所と短所という2つの視点があるのではなく、

そもそも短所なんてない

という考え方のもと、長所の中に様々な長所があるのだという視点がもてるのです。


冒頭で僕が物事を二分する考え方は苦手と話していた理由は、

二分すると片方がどうしてもマイナスな言葉になるから

なのです。

このとっておきの話では、マイナスな言葉として分けられた「短所」という言葉を使わずに、新たな視点を与えてくれています。



こうした考え方は「長所」と「短所」だけではなく、様々な二分された関係性に切り込める考え方だと思います。

例えば、「得意」と「苦手」もそうです。

そもそも「苦手」なものなんてないという考え方もできる訳です。



白と黒のその間に無限の色が広がってる

とMr.childrenのGIFTという歌でも言っているように、白黒はっきりと二分できるものなんてそもそもないのかもしれません。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月19日金曜日

とっておきの話297「レジ打ち場で涙」の裏話

Twitterに、とっておきの話297「レジ打ち場で涙」の原稿をアップしました。

とっておきの話297「レジ打ち場で涙」の原稿



聞き手が子どもたちだとすると、

疲れた大人

悩んでいる大人

そして、疲れや悩みを乗り越えた大人

のエピソードは意外と素材になるものです。



そこで、子どもたちに向けて次のように話し始めます。


【大人になったからと言って何でもできる訳ではないのがこの世の中の厳しいところです。

 みなさんは、仕事で疲れた顔をしている大人を見たことがありますか?

勉強が上手くいかなくて悩む子がいるように、仕事が上手くいかなくて悩む大人もいます。

でも、そんな悩んでいる大人にも一人一人に素敵なエピソードがあります。

今から話すのはある女性の話です。】



ここから話が長くなってしまっていますが、子どもたちにも分かるように話そうとすると長くなってしまいがちですね。

どんなエピソードか考えながら読んでみてください↓



【主人公は小さなスーパーで働く女の人。

別に特別な人ではありません。

スーパーマーケットに行くとレジ打ちをしているお姉さんがいるでしょ?

(レジ打ちの写真を提示)


    

 今まで転職を繰り返してきたお姉さんは、レジ打ちの仕事にも不満をもっていました。

ある日、田舎のお母さんから「実家に帰っておいでよ」と言われ、帰ると偶然子どもの時に書いた日記を見ます。

日記を読みながら、ピアニストを目指して必死だった子ども時代の自分を思い出します。

あの頃に比べたら逃げてばかりの大人の自分。

お姉さんは「もう少しここでがんばる」とお母さんに言い、次の日からレジ打ちの仕事をもっとがんばるようになります。

ピアノの鍵盤のようにレジ打ちの仕方を学び、だんだん余裕ができてきたお姉さんは、お客さんとおしゃべりするようになります。

一人ひとりのお客さんとのおしゃべりが楽しくなってきたお姉さん。

時には「今日はマグロよりカツオの方が安いですよ」なんてアドバイスをするようにもなりました。


 ある日、いつも以上にスーパーの中がお客さんで大混雑の時がありました。

みなさんもレジでおうちの人と並んだ経験があれば分かると思いますが、少しでも空いているレジを探しますよね。

(レジが混んでいる写真を提示)



でもね、この日は不思議なことが起きたんです。


なんと、5つあるレジのうち、お客さんが並んでいるのは自分のレジだけ。

他のレジには、誰も並んでいないではありませんか!

店員さんが「お客さん、空いているレジへお並びください」と言うと、お客さんの一人がこう言ったそうです。


放っといてちょうだい。

私はここに買い物に来ているんじゃない。

あの人としゃべりに来ているんだ。


それを聞いて泣き崩れるお姉さん。


実はこれ、本当にあった話だそうです。


上手くいかなくて悩むのは大人だって当たり前です。

でも、乗り越えた先には、こんな素敵な体験が待っているかもしれません。

みなさんが素敵な大人になれるよう願っています。】




このエピソード素材から学べることは、困難を乗り越えた先に待っている幸せがあるということだけではありません。

レジ打ちのお姉さんの姿勢も学べますよね。

お客さんを大事にする温かい心や前向きな姿勢がお客さんに伝わっていたからこその出来事だと思うのです。



困難を経験した人こそ優しくなれるような気がします。

お客さんの困難に寄り添えるお姉さんだったのでしょう。

これはレジ打ち場でなくても同じです。

こんな優しさができるような人でありたいですよね。


いつの間にか買い物ではなく、お姉さんとしゃべることが目的になってお客さんが来ているということは、お姉さんの人間性が惹きつけた結果の混雑ですよね。


教師からすると、次のように言われたら嬉しいのでしょう。

「私は学校に来ているんじゃない。先生としゃべりに来ているんだ。」



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月18日木曜日

とっておきの話296「究極のコーヒーを作った男の末路」の裏話

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とっておきの話296「究極のコーヒーを作った男の末路」の原稿



読者のみなさんは、タイトルの「究極のコーヒーを作った男の末路」から、

どんな末路を想像しましたか?


究極のコーヒーを作るということは、なんだか偉業を成し遂げているように感じますよね。

しかし、男の人は大切なことを見落としていたのです。

原稿を読んでみましょう⇩



【(コーヒーの写真を提示)

 



 みなさんは子どもなので、まだコーヒーのおいしさはわからないかもしれませんが、こんなコーヒーがあったら飲んでみたいですか?

(究極のコーヒー と板書)

 実はこれ、あるお話の題名です。

どんな話か、知りたいですか?(少し間をおく)


 こんなお話です。


あるところに、長年、究極のコーヒーを求める男がいました。

彼は研究に研究を重ねて、ついにコーヒーを最高においしく入れる方法に辿り着きます。

次に彼が追い求めたのは、究極のコーヒー豆。

男は究極のコーヒー豆を求めて世界中を旅しますが、満足できるコーヒー豆はどこにもありません。

絶望し、なげき悲しんでいると、目の前に神様が現れてこう言いました。


「おまえほど深くコーヒーを研究した人間はいない。

私は、お前の作る究極のコーヒーを飲んでみたい。

実は、お前が探している究極のコーヒー豆は天国にあるのだ。

おまえさえよければ、天国に来て、私に究極のコーヒーを作ってくれないか」


この言葉を聞いた男は大喜び。

「もちろんです!」と答え、あっさりと天国へ旅立ってしまいました。

さて、命を捨ててまで天国に来た男。天使から渡されたコーヒー豆はたしかに長年探し求めていた究極のコーヒー豆でした。

「これで神様に究極のコーヒーをつくることができる!」

男は、それまでの人生をかけて学んだすべての知恵と技術を使い、一杯のコーヒーを作り出しました。

「究極のコーヒーができました!」


 さて、究極のコーヒーをひと口飲んだ神様。

男に何と言ったと思いますか?(しばらく間をおく)

こんなふうに言いました。


「砂糖とミルクはどこ?」


 コーヒーに砂糖とミルクを入れる人がいますよね。

男はコーヒーのことばかり考え過ぎて、砂糖とミルクのことを忘れていたのです。

一つのことを極めるのは素敵なことですが、いつの間にか「思わぬ思い込み」にはまっていることがあるかもしれません。

相手のことを思いやる、砂糖とミルクも出せる人になってくださいね。】




1つのことに夢中になりすぎて周りへの気遣いを忘れる。

灯台下暗しとも言えるでしょうか。

今回のとっておきの話のように、何か1つのことを極めるのはステキなことですが、そればかりに集中していると盲目になってしまうという戒めを感じますよね。



普通に考えたら、お客さんにコーヒーを振る舞う時、

「砂糖やミルクはどうしますか?」

と質問するものですよね。

しかし、コーヒーにばかり集中しすぎて砂糖とミルクを忘れてしまったのです。


このような思わぬ思い込みにはまっている状態は怖いですよね。

本人は無自覚ではまっていることが多いです。

気を付けていきたいですね。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月17日水曜日

とっておきの話295「手塚治虫が描き直したもの」の裏話

Twitterに、とっておきの話295「手塚治虫が描き直したもの」の原稿をアップしました。

とっておきの話295「手塚治虫が描き直したもの」の原稿



神は細部に宿る

という言葉があります。

今回のとっておきの話は、漫画の神様の話。

この人です↓


【(手塚治虫さんの写真を提示)

 


 みなさんは漫画を読むのは好きですか?

この人は、漫画の神様と呼ばれた手塚治虫さんです。

鉄腕アトムやブラック・ジャックなど、有名な漫画を数多く作った人です。

そんな漫画の神様にも、伝説と言われるエピソードがあります。】



ここから手塚治虫さんのエピソード素材を紹介していく場面に移ります。

果たして手塚治虫さんはどんな細部にこだわったのでしょう?

想像しながら次の原稿を読み進めてみてください。



【手塚治虫さんは、締め切りのギリギリまでこだわって漫画をかく人だったそうで、ある日、印刷機がもう回っているのに編集者の人に

「やっぱり原稿を差し戻してほしい。付け足したいものがあるから」

と言ったそうです。

断る編集者さん。

それでも絶対にあきらめない手塚さん。

根負けした編集者さんは、原稿を差し戻したそうです。

そこで手塚さんが差し戻された原稿に付け足したもの。

いったい何だと思いますか?(しばらく間をおく)






 正解は、これです。

葉っぱ 2、3枚 と板書)



 たったこれだけです。そんなに違わないじゃないかと思いますよね。

でも、手塚さんはこう言います。

「創作に携わる者が、完璧を目指さなくてどうするんですか」


 神様のこだわりが、みなさんにはわかりますか?




最後の締めくくりの言葉で

神様のこだわり

というキーワードを提示してみました。



このように、短いキーワードを話の終わりに残すことで、たとえエピソード素材の詳しい内容を聞き手が忘れてしまったとしても、キーワードをきっかけに思い出せるようにしています。


「ほら、神様のこだわりっていう話があったよね」

「手塚治虫さんって漫画の神様って言われてるんだよね」

「葉っぱ2,3枚の話ってあったよね」


そんな感じで、とっておきの話を思い出すトリガーは原稿の中に必ず残しておきたいですね。



葉っぱ2,3枚にこだわった漫画の神様、手塚治虫。

あなたはどんな細部に神が宿ると思いますか?



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年11月16日火曜日

とっておきの話294「誰よりも偉いのは・・・」の裏話

Twitterに、とっておきの話294「誰よりも偉いのは・・・」の原稿をアップしました。

とっておきの話294「誰よりも偉いのは・・・」の原稿



偉い人

と聞くと、自分はなれそうにないように感じる方もいると思います。

しかし、もう既にあなたは

誰よりも偉い人

になっていると言われたら、どういう意味だか分かりますか?


どういう意味なのか考えながら、今回のとっておきの話の原稿を読んでみましょう⇩



【(織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の写真を提示)

 


 戦国大名と言えばこの3人は絶対に覚えておかないといけない歴史上の人物です。

織田信長に豊臣秀吉、徳川家康です。

ある日、こんな質問を社員にした社長さんがいました。

「信長と秀吉と家康では、誰が一番エライと思う?」

 みなさんが社員だったら、この質問にどう答えますか?(少し間をおく)


 その社長と社員さんの会話は、こんなふうに続きます。


社長「信長はエライな。うつけと言われながらも今川義元を桶狭間で破った軍略の天才。常識にとらわれない発想の持ち主や」

社員「はい」

社長「けど、秀吉はもっとエライ。信長の悪かったところに学んで、周りへの気づかいを忘れないで、雑兵から天下人に登りつめた。だから信長よりも秀吉の方がエライ」

社員「はい……」

社長「けどな、家康はもっとエライ。自分の代だけで栄華が終わった秀吉のよいところと悪いところの両方を学んで、江戸幕府が未来まで続くように経営したな。だから幕府は260年も続いた。だから、秀吉よりも家康の方がエライ」

社員「はい、なるほど」

社長「けどな、信長よりも秀吉よりも家康よりも実はボクの方がエライんやで」

社員「はい?」

社長「だってボクはな、信長と秀吉と家康のいいところと悪いところを勉強して、経営に活かしているからな」


 この社長さんの名前は松下幸之助さん。

社長をしている人にとって彼を知らない人はいないほど伝説の社長と呼ばれた人です。

実はこの会話の最後に、松下さんはこんなことを言います。

「けどな、キミの方がもっとエラくなれるんや。信長と秀吉と家康とボクのいいところと悪いところを勉強して、仕事に活かせばええんや。だからキミが一番エラくなれるんや!」】


この面白いエピソード素材を上手く使い、最後どのように締めくくろうかなと考えました。

この会話文は社長と社員のやり取りですが、教員と子どもでも同じことが言えるなと思いました。

そこで、次のように締めくくることにしました↓


【ということで、先生たちよりもあなたたちの方がエラくなれるというわけです。

意味がわかったかな?】


教員よりも偉くなれる。それが子どもです。

子どもよりも偉いのが教員ではないのです。

むしろ教員を超えていくような子どもに育てたいですよね。




さて、今回のとっておきの話の原稿を読み返して思ったのが、巨人の肩の上の話。

大学院時代、ある教授にこんなことを言われたのを思い出します。


「いいか、私たちは巨人の肩の上に乗らせてもらっているんだ。
そこから見る景色は最高の眺めだが、それは今までの偉い人たちが積み上げたものがあってこそであり、それを私たちが学んできたからこそなのだよ。」




知識を得たり、技能を身に付ける時、人は過去の人を参考にして良い所を吸収し、悪い所を戒めにして学びます。

その繰り返しによって、自分は過去の人たちの上に立たせてもらっているのです。

そう考えると、自分がどんなにこの先偉くなったとしても、謙虚な姿勢は忘れずにいたいですよね。



誰よりも偉いのはあなた。
そして、あなたを偉くしてきた過去の人たちに感謝を。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月15日月曜日

とっておきの話293「ビル・ゲイツを超えた2文字」の裏話

Twitterに、とっておきの話293「ビル・ゲイツを超えた2文字」の原稿をアップしました。

とっておきの話293「ビル・ゲイツを超えた2文字」の原稿


【みなさんは、ビル・ゲイツさんを知っていますか?



パソコンを使ったことのある人なら、この文字を見たことがあるはずです。


Windowsの開発者であり、世界でもトップクラスの億万長者です。

そんなビル・ゲイツさんを超えた伝説的な言葉があります。

どんな言葉だと思いますか?】



これが今回のとっておきの話の導入部分です。

タイトルからして想像がつく方もいらっしゃると思いますが、ビル・ゲイツを超えた2文字というのは、ビル・ゲイツさんのスピーチを超えた2文字の言葉があったというエピソード素材のことを指します。


以前、長い説明よりも短い言葉の価値について触れたとっておきの話を紹介したことがありました。

今回のとっておきの話では、もう少し具体的なエピソード素材として次のように紹介しています。


【その言葉は、リチャード・ブランソンという人が言った言葉でした。

ブランソンさんも、イギリスの航空会社の会長で有名な人です。

でも、根はシャイで恥ずかしがり屋。

吃音と言って、生まれつき話し方が独特で、「アイアム」と言う時も「アアアアアイアム」と言ってしまう人です。

そんなブランソンさんが、あの億万長者のビル・ゲイツさんと一緒にあるテレビ番組に出演しました。

そこで司会者の人が、二人にこんな質問をします。

「あなたにとって、組織とは何ですか?」

 難しい質問ですよね。

まず、ビル・ゲイツさんが組織について説明し始めました。

ビル・ゲイツさんの説明は論理的で、話している様子を見ているだけで賢い人だということが分かります。

次に、ブランソンさんが答える番になりました。

そこで、あの伝説的な言葉が生まれたのです。

彼は、こう言ったのです。


「……………ラブ」

 

その瞬間、会場は大きな拍手に包まれました。

これにはビル・ゲイツさんも圧倒されてしまいました。

ラブ。

日本語で「愛」。

たった2文字でビル・ゲイツさんを超えてしまったのです。

本当に大切なことは、賢そうな説明の中ではなく、短い言葉の中にあるのかもしれませんね。




このエピソード素材から学べることもいくつかあります。

何を言うかではなく、誰が言うかが大切。

それはよく聞く話ですが、たとえどれだけ有名な人であっても、短く集約された言葉には敵わないこともあるというメッセージ性を感じます。

いかに端的に話すか。

いかに短い言葉にまとめるか。

その力は私たちが思っているよりも大きな力を発揮するのかもしれません。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月14日日曜日

とっておきの話292「反比例していく説得力」の裏話

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とっておきの話292「反比例していく説得力」の原稿



数学が専門の教師からすると、反比例のグラフは形が特徴的であり、魅力的に映ります。


この曲線美はそのまま良い素材になるのではないか。


そんな仮説が立ちます。

子どもたちの中にも、算数が得意・苦手に関わらずグラフの形を見ただけで興味を惹かれる子はいます。


今回のとっておきの話は、そんな反比例のグラフを使って、説得力と説明の長さの関係を表しているグラフ図を素材にしています。



【(説明の長さ と板書)

 みなさんは、自分が授業中に発言する時、「長々としゃべってるなぁ」なんて思うことがありませんか?

説明が長いと、聞く側の人はうんざりしてきて、説得力がなくなるそうです。

説得力とは、「相手を納得させる力」のことを言います。

(説明の長さと説得力は反比例 と板書)

 こんな言葉があるのですが、みなさんは反比例の図を見たことがありますか?

算数で出てくるグラフの一つなんですが、どんな図か見てみたいですか?】


最初に「説得力」という言葉を柔らかい言葉で説明した上で、もったいぶるように反比例の図を見せます。

こうすることで、より反比例のグラフの形に注目させることができます。


【反比例とはこんな図です。(下の反比例の図を見せる)




  説明が長ければ長いほど、どうなるか、左から右へ移動して見てごらん。

(指さししながらわかりやすく見せる)ほら、こんなに高かった説得力がこんなに低くなっています。

こんなところなんか0に近いよね。


説明はなるべく短く、わかりやすく!でないと、この図みたいにどんどん説得力が減っていきます。

長々としゃべる癖のある人は、反比例の図を頭の中にイメージしてみましょう。】



数学的なグラフを素材にしながら、説明の長さや説得力という国語的な話題を伝えるとっておきの話でした。

視点や切り口が面白いですよね。







気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月12日金曜日

とっておきの話291「魂の励まし」の裏話

Twitterに、とっておきの話291「魂の励まし」の原稿をアップしました。

とっておきの話291「魂の励まし」の原稿



人を励ます時、みなさんは

がんばれ

という言葉をよく使うでしょう。


しかし、それは時として「がんばれ」と言えば励ましたつもりになっている側面もあるような気がします。

今回のとっておきの話の素材は、言葉としては特別でもない言葉。

「がんばれ」という言葉を使っています。

ですが、その言葉を誰が言っているのかで重みは変わってくるのです。


何を言うかよりも誰が言うか


なのです。その「誰」の部分の人が経験しているものまで見えてくると、同じ言葉や特別でもない言葉も、説得力のある重みのある言葉となるのです。



今回のとっておきの話では、話の導入で「励まし」と「魂の励まし」の違いについて触れることで、「何が違うのだろう?」と聞き手の興味を惹きつけようとしています。


【(励まし と板書)

 みなさんは、だれかを励ましたことはありますか?元気のない人を見ると励ましたくなりますよね。そんな人は素敵な人です。でも、こんな励ましもあるのを知っていますか?

(魂の励まし と板書)

 ふつうの励ましと何が違うのでしょう。(少し間をおく)

今日の話を聞きながら考えてみましょう。】



どんなエピソード素材かというと、野球の世界では有名なこの二人が主人公です。


【(長嶋茂雄さんと松井秀喜さんの写真を提示)

 


 この二人の名前を知っていますか?長嶋茂雄監督と松井秀喜選手です。

二人とも、野球界では有名な監督と選手です。

ある日、メジャーリーグで活躍していた松井選手は、試合中の事故で左手首を骨折してしまいます。

野球選手にとって手首の骨折というケガは立ち直りが難しいケガです。

復帰できるかどうかわからない状況に、いつも前向きな松井選手も落ち込みます。

そんな時、日本で野球をしていた時の監督、長嶋茂雄さんからこんな電話がかかってくるのです。

「松井、これから大変だけどな。リハビリは嘘をつかないぞ。頑張るんだぞ。いいな、松井」

 この電話が「魂の励まし」と呼ばれる理由、それは…(少し間をおく)

 2年前、長嶋さんは脳梗塞で倒れて生死をさまよい、彼もリハビリの真っ最中だった時の電話だったからです。】



長嶋さんが脳梗塞を経験されていることは野球ファンでなくても知っている人が多いと思います。

監督自身が脳梗塞で倒れた後のリハビリで辛いはずなのに、骨折した選手にわざわざ電話をして励ましているんですね。

長嶋と松井と言えば、師弟関係がステキなことで有名ですが、こうしたエピソード素材からも感じられますよね。


とっておきの話では、「魂の励まし」を合言葉にしています。

次のように呼びかけて締めくくります↓


【自分自身も辛い経験をしている真っ最中だったのに松井選手を励ました長嶋監督の魂の励ましでした。

「がんばれ」と口で励ますのは簡単です。

でも、本当にその辛さを経験したことのある人から出た言葉は、それよりもさらに相手の心に響く励ましとなって届くものです。

みなさんもこれからの人生、魂の励ましに出逢える時が来るかもしれません。

それとも、みなさんが誰かに、魂の励ましを贈るチャンスが来るかもしれませんね。】




魂の励ましができる人になりたいものですね。

気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月9日火曜日

とっておきの話290「最終回の一言」の裏話

Twitterに、とっておきの話290「最終回の一言」の原稿をアップしました。

とっておきの話290「最終回の一言」の原稿



アニメの最終回というのは観る人に感動を与えるものです。

その映像の中には、素材となるようなセリフが含まれていることがあります。


今回のとっておきの話は、「宇宙戦艦ヤマト」というアニメの話を素材にしています。





【(宇宙戦艦ヤマト と板書)

 先生のお父さんたちの世代では、「宇宙戦艦ヤマト」というアニメが子どもの頃に流行っていました。

簡単に言うと、滅亡しそうになったガミラス星という星に住んでいた宇宙人が、人類を滅ぼして地球に移り住もうとします。

しかし、ヤマトの活躍によって、宇宙人たちをやっつけ、逆にガミラス星を滅ぼしてしまうお話です。

「宇宙戦艦ヤマト」の最終回、滅亡したガミラス星の様子を見ながら、主人公の古代進という人が言ったセリフがあります。

いったい、何と言ったと思いますか?(しばらく間をおく)


 こんなことを言ったのです。

「地球の人たちも、ガミラスの人たちも、幸せに暮らしたいという気持ちに変わりはない……。

なのに。われわれは……戦ってしまった。われわれがしなければならなかったのは……、

戦う事じゃない!愛し合う事だった……。勝利か……。

くそ、くらえぇ!」


  ヤマトに乗っていた主人公の古代進たちは、本当に正義のヒーローでしょうか?

 滅亡したガミラス星の宇宙人たちは、本当に悪いやつらなのでしょうか?

 何が正しいのか、私たちが生きているこの世の中は、アニメの世界以上に複雑でわからない世界です。

 そんな中でも、自分が正しいと思う方を選ばなければならない時があります。

 みなさんは、どっちが正しいか、その時自信をもって決められますか?】





この最終回のセリフから僕が考えたのは、世の中正解と言い切れるものって実は少ないのではないかという疑問です。

きっと白黒はっきりと正しいと決められることってあまりないんですよね。

その白と黒の間に無限の正解が存在していて、ちょうど良い正解をいつも探しているんです。

だからこそ、二者択一の場面でどちらが正しいか、どちらが正義化を選ばないといけない時、自信をもって選ぶことができなくなるのです。

しかし、そういう感覚は大切にしたいです。




自分が善だと信じて疑わない時こそ危ないのです。

他方からは悪だと思われていることだってあります。

自分の判断は本当に正しかったのか、振り返ることは忘れたくないですね。






気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月8日月曜日

とっておきの話289「過去は変えられる?」の裏話

Twitterに、とっておきの話289「過去は変えられる?」の原稿をアップしました。

とっておきの話289「過去は変えられる?」の原稿


過去 今 未来



この3つのうち、1つだけ、変えられないものがありますね。

どれでしょう?


この問いは、とっておきの話の導入で行います。

大人のみなさんでも「ん?」と立ち止まって考えてしまうような問いですよね。

原稿では次のようにつなげていきます。


【今を変えることは簡単。

今が変われば、未来も変わっていきます。

でも、過去はもう過ぎてしまったことですから、タイムマシンでもない限り変えられませんよね。】


こうして一旦聞き手が答えそうな考え方を先に提示して共感すると、次に続く言葉の意外性が印象づきます。


【でも、「過去は変えられる」と言った人がいます。(少し間をおく)

 正しくは、こんなふうにその人は言いました。


「過去の事実」は変えられないけど、「過去の事実への□」だったら自由に変えられます。

 □にはどんな言葉が入るでしょう。(しばらく間をおく)


 正解は…(思い と板書)


「過去の事実」は変えられないけど、「過去の事実への思い」だったら自由に変えられます。

 

意味がわかりますか?

例えば、何か失敗した過去の事実があった時、失敗した事実そのものは変えられないけど、「失敗しちゃったなぁ」という思いを「あれは失敗だったけど良い経験になったから無駄じゃなかった」という思いに変えることはできます。


前向きに思おうとすればいくらでも自由に思いを変えることができます。

過去だろうと今だろうと未来だろうと、誰だって自由に変えられる。

全てはあなたたちがどんな思いを寄せるか次第ですよ。】




過去は変えられないけど、
過去の事実への思いは変えられる。


人は考え方次第で、今だろうと未来だろうと過去だって変えられる訳です。

今回のとっておきの話は、過去の嫌なことばかり気にして後悔しているような聞き手に話したいテーマですね。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月7日日曜日

とっておきの話288「毎年腹をこわす先生」の裏話

 Twitterに、とっておきの話288「毎年腹をこわす先生」の原稿をアップしました。

とっておきの話288「毎年腹をこわす先生」の原稿



【ある日、学校で運動会がありました。

他の友達が家族で豪華なお弁当を食べている中、一人教室でおかずのない質素なお弁当を食べている洋七くんに、担任の先生がこんなことを言います。

「おう、洋七、ここにいたのか。

あのな、先生さっきから腹のぐあいが悪くてな、お前の梅干し入りの弁当と替えてくれんか」



交換した先生のお弁当にはエビフライや唐揚げなどの豪華なおかずがたくさん入っていました。



次の年の運動会でも腹をこわした先生。

お弁当を替える洋七くん。

また次の年、担任の先生が変わっても同じことを言われ、

「この学校の先生は腹をこわす先生ばっかりだなぁ」と不思議に思っていた洋七くん。

ある日、そのことをおばあちゃんに話すとこんなことを言われます。

「それは、先生がわざとしてくれたとよ。それが本当の優しさと」


素敵なエピソード素材だと思います。

これは、ベストセラーになり、映画化もされた島田洋七さんの「佐賀のがばいばあちゃん」というお話に出てくるエピソードの1つです。


佐賀のがばいばあちゃんと言えば、

小学2年生だった洋七さんが突然、家庭の事情で「貧乏のスペシャリスト」と呼ばれる佐賀の田舎に住むおばあちゃんの家にあずけられるお話です。

貧乏だということを全く気にせずに楽しく過ごすおばあちゃんから、「お金では買えない大切なもの」を教えられる話です。


こうしたイメージをもつ方が多いと思いますが、実はおばあちゃんのエピソードとは別に、こんな温かい学校の先生のエピソードがあったのをご存知でしたか?





このエピソードが教えてくれるメッセージは、一言でまとめると次のようなことでしょう。


本当の優しさというのは、相手に気付かれずにやること。


相手に気付かれるようなわざとらしい優しさではなく、もっと自然体に優しさを与えられるような人間になりたいと、この素材に出合って思いました。

この一番伝えたいメッセージは、原稿でも話の締めくくりとして次のように使われています。


【相手に気づかれずにやること。それが本当の優しさなのかもしれませんね。】



このように、聞き手に最も伝えたい言葉を最後に投げかけて終える話の組み立て方も効果的です。

聞き手は話し手が思っている以上に話の内容を覚えることができません。

そんな中、最後に投げかけられた言葉というのは受け取る最新の言葉であるからこそ、忘れずに覚えているものです。

そこに最も伝えたい言葉を置く。

これも話し方の工夫の1つです。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月6日土曜日

とっておきの話287「ドラえもん、ひみつ道具は出さなくていい」の裏話

 Twitterに、とっておきの話287「ドラえもん、ひみつ道具は出さなくていい」の原稿をアップしました。

とっておきの話287「ドラえもん、ひみつ道具は出さなくていい」の原稿



短歌や俳句、川柳の作品応募というのは、様々な媒体を通して全国的に行われています。

掲載される作品は、選ばれた作品です。

選ばれるには理由があります。

やはりある程度の魅力を感じるからこそ選ばれる作品ですよね。

そんな作品群の中から、とっておきの話の素材として選ばれる作品もあります。


今回のとっておきの話の素材は、

ドラえもん短歌

という作品応募の中から選ばれた作品です。





ドラえもんをテーマにした短歌というだけで面白そうですよね。

こんな作品です↓


ドラえもん

話を聞いて

そばにいて

ひみつ道具は

出さなくていい


この作品を初めて読んだ時、とても感動したのを覚えています。

ドラえもんに対して「ひみつ道具は出さなくていい」と伝えるのは、一見するとドラえもんのアイデンティティを否定するような言葉ですよね。

しかし、ドラえもんの本当のアイデンティティに気付かされました。

そしてそれは、人として大切なことを教えてくれる言葉でもあります。


話を聞いて

そばにいて


これがひみつ道具は出さなくても遥かにその人にとって心の支えになるのです。





ひみつ道具を出すのはドラえもんにしかできません。

一方、「話を聞く。そばにいる。」それは僕らにもできることです。

そんな当たり前のように感じる何気ない行為が、ひみつ道具よりも大きな力を発揮するのです。

本当にハッとさせられる作品ですよね。



とっておきの話の原稿では、この「話を聞いて そばにいて」の部分に一番注目してもらうため、始めは隠して紹介しています。

次の原稿を読んでみてください↓


【みなさんは、短歌を知っていますか?五・七・五・七・七で言葉をつないでいくものです。

 そんな短歌の中でも、「ドラえもん」をテーマにした短歌をドラえもん短歌と言って、いろんな作品が応募されています。その中に、こんなドラえもん短歌がありました。

(次の短歌を、道具を出そうとしているドラえもんの画像と共に提示)

ドラえもん

□(七文字)  

□(五文字) 

ひみつ道具は

出さなくていい

□の中にはそれぞれ七文字と五文字の言葉が入ります。何だと思いますか?

ヒント。ドラえもんと言えばひみつ道具なのに、この人は出さなくていいと言っています。□の中には、ひみつ道具を出すことよりもしてほしいことが書いてあります。わかるかな?

(しばらく間をおく)】


こうすることで、聞き手は隠された□にどんな言葉が入るのか考えます。

いつの間にか注目を集めることができるのです。


そこから、正解となる言葉として「話を聞いて そばにいて」を見せます。


【正解は、こんな短歌でした。


ドラえもん

話を聞いて

そばにいて

ひみつ道具は

出さなくていい

 

話を聞いて、そばにいて。

困っている人には、ドラえもんの出すどんなひみつ道具よりも、ただ話を聞く、ただそばにいることが大きな勇気を与えるのかもしれませんね。

あなたたちも誰かにとって、話を聞く、そばにいる、そんなドラえもんにきっとなれるはず。

ひみつ道具は出さなくても、誰にだって持っている優しさを出していきましょう。】



最後の締めくくり方も気を遣っています。

あなたもドラえもんになれる。

そんなメッセージを込めています。


人のためにできることって特別なことではないんですよね。

特別なことをしなくても、話を聞く、そばにいるだけでいいのです。

でも、それだけのことすら、自然とできないのが人なのです。

私も誰かのために話を聞いて、そばにいる。

そんなドラえもんになりたいですね。

ドラえもんはそんな人のための目指す人間像のモデルとなっているのかもしれません。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年11月5日金曜日

とっておきの話286「雨降り小僧が待っている?」の裏話

 Twitterに、とっておきの話286「雨降り小僧が待っている?」の原稿をアップしました。

とっておきの話286「雨降り小僧が待っている?」の原稿



自分はそんなことをすっかり忘れて過ごしていたけど、

誰かはずっとあなたのことを待っていた。


もしかしたら、そんな人がいるかもしれません。

人の気持ちというのは見えないからこそ、時として気付かれないまま過ぎてしまうものです。


だからこそ、「もしかしたら雨降り小僧が待っている?」という意識で次の原稿を読んでみてください↓



【(モウ太と雨降り小僧 と板書)

 今日のお話にはこんなタイトルがついています。どんな話だと思いますか?(数名指名)


 モウ太とは、このお話の主人公の男の子の名前で、山奥の学校に住んでいます。

ある日、モウ太は橋の下で古い傘をかぶった妖怪「雨降り小僧」と出逢います。

モウ太が履いているブーツを欲しがる「雨降り小僧」に、モウ太は「3つの願いを叶えてくれたらあげる」という小さな約束をします。

その後、2つ目の願いまで叶えてくれた「雨降り小僧」に、モウ太は「学校の火事を消してくれ」と3つ目の願いを伝えます。

モウ太の「3つの願いを叶えてくれたらブーツをあげる」という小さな約束を信じて必死になって火事を消す「雨降り小僧」。

でも、火事になった学校はその後つぶれてしまい、突然都会の街へ引っ越すことになったモウ太は、「雨降り小僧」と交わした約束を忘れてしまいます。




 それから40年後。父親になったモウ太。

ある日、娘にせがまれてブーツを買おうとした瞬間、モウ太は「雨降り小僧」との約束を思い出します。

「まさか!まだ待っているんじゃないか?」と思ったモウ太が新しいブーツを持って約束した橋の下へ駆けつけると…(しばらく間をおく)

雨降り小僧は、40年前と同じ姿で、橋の下に立っていました。

「火事を消したらブーツをあげる」と言ったモウ太の「小さな約束」を信じて。

ずっとずっと、待ち続けていたのです。


 (小さな約束 と板書)

 自分では何気なく言った言葉、何気なくした小さな約束も、大事にしなければモウ太のように相手を40年も待たせることになるのかも。

もしかして、みなさんも、どこかに雨降り小僧のような人を待たせてはいませんか?】



40年もの長い間、待ち続けた雨降り小僧の純粋さや素朴さがなんとも愛おしい話ですよね。


とっておきの話として話す時には、導入部分でタイトルだけ知らせ、

「どんな話だと思う?」

とまず聞き手に話の中身を想像させてから話し出します。

こうすることで、素材となる物語への興味を惹きつけることができます。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年11月4日木曜日

とっておきの話285「人が一叩きする音。それが・・・」の裏話

Twitterに、とっておきの話285「人が一叩きする音。それが・・・」の原稿をアップしました。

とっておきの話285「人が一叩きする音。それが・・・」の原稿



今回のとっておきの話のテーマは、

です。


命の学習、命の授業、命の話・・・

学校では必ず行われるテーマですよね。


だからこそ、軽んじて受け取られたくないという思いがあります。

今回のとっておきの話では、命を少し変わった視点から捉えます。

そこをきっかけにして、改めてこうした命について考える機会を大切にしてほしいと思います。


だからこそ、原稿では次のような入り方をします。


【みなさんは、「命を大切にしましょう」という話を今まで何回聞きましたか?

命を大切にしないといけないことは分かっていると思いますが、今日はちょっと変わった命の話をします。

(命 と板書)

 実は、「命」という漢字をよ~く見ると、面白いんですよ。】


ここで言う面白いというのは、興味深いという意味で使っています。

語弊を生むようでしたら、別の言葉に変えて大丈夫です。


さて、ここからが本題⇩


【(人 一 叩 と板書)

「命」という漢字を3つに分解してみると、こんなふうになります。

「人」はあなたたち人間のことを言います。

「一」は数字の1を漢字にした形です。

「叩」は「叩く」という意味です。

人間が一回一回叩いている。これ、何のことだか分かる人?(数名指名)

そうなんです。これは、心臓の動きのことなんです。



あなたたちの呼吸の連続。すって、はいて、またすって…の繰り返し、これが命なんです。】


「命」という漢字を3つに分解すると、実は心臓の鼓動につながっていることが分かる。

この新しい気づきは興味深いですよね。


とっておきの話の終盤では、より命を感じられるように、黙想のような形で1分間深呼吸する時間を設けています。

「心臓のある場所に手を当てて」が特に大事な部分で、五感を使って命を捉える時間にしようというねらいがあります。


【それではみなさん、自分の命を感じてみましょう。

心臓のある場所に手を当ててごらん。

そして、目をつむって、静かに1分間、深呼吸を繰り返してみましょう。

はい、始め。(1分間深呼吸)

やめ。どうですか?

あなたの命の音が聞こえましたか?

では、改めて言わせてもらうね。

「命を大切にしましょう」】



最初のフリと最後のオチをつなげるのも、話の組み立て方や話し方のテクニックの1つです。

まとまりよく話せるんですね。





気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月3日水曜日

とっておきの話284「五十音に隠れた2つの秘密」の裏話

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とっておきの話284「五十音に隠れた2つの秘密」の原稿



今回の素材は、五十音です。



【みなさんは、五十音を言えますよね。

「あいうえお」から始まって「わをん」で終わるあれです。


さぁ言ってみましょう。

さんはい。(五十音を全員に言わせる)

さて、何か気付いた人はいませんか?(少し間をおく)

実は、五十音には2つの秘密が隠されているんです。

何だと思いますか?(少し間をおく)

 


愛から始まる

五十音は「あい」から始まりますよね。

漢字にすると「愛」です。

最初のたった2文字でもう素敵な言葉ですよね。

例えば英語の最初の2文字を書いてみると…

 ABです。

特に意味のある言葉にはなりませんよね。

でも、日本語は「愛」なんです。


恩で終わる

 五十音の最後は「わをん」。

「をん」を「おん」と読むと漢字にすると「恩」になります。

恩返し、恩送りの「恩」です。

これも素敵な言葉ですよね。

例えば英語の最後の2文字を書いてみると…


YZです。

特に意味はないですよね。


愛で始まり、恩で終わる言葉。

それが五十音で、あなたたちが何気なく使っている日本語です。

こんなに美しい言葉を使っているのですから、それにふさわしい日本人になりたいですね。】



今回のとっておきの話からは、2つの発見が得られます。

1つ目は、「あい=愛」で始まるということ。

2つ目は、「をん=恩」で終わるということ。

言われてみればそうですよね。


言っていることは何も特別な訳ではありません。

五十音の表を見れば一目瞭然ですし、「あい=愛」「をん=恩」と変換するのは見方によってはこじつけのように感じる人もいるでしょう。


しかし、日本人はこの五十音をもとに日本語を使っている訳です。

普段何気なく使っている日本語のもととなる五十音にこんな秘密が隠されていたと気づくだけでも、面白くないですか?

試しに、アルファベットのABとYZが変換できるかというと、できません。

これは当たり前で、そもそも英語圏に漢字の文化が無いのですね。


平仮名、カタカナ、漢字と変換する幅の広い日本語だからこそ、こうした言葉遊びのようなことができるのです。

しかし、ただの言葉遊びには見えないのが日本語の面白いところ。

言葉の変換次第ではなんだか意味のあるような言葉に見えてくるから不思議です。


「そんなのただの言葉遊びの延長にあるこじつけじゃん」と一蹴するのか、

「見方を変えると面白い。意味のある言葉なのかもしれない」と興味をもってとっておきの話の素材として取り入れるのか、

どちらを選ぶかはみなさん次第です。


私はどうせなら、こうした言葉遊びのような素材も楽しんでとっておきの話にしていきたいですね。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年11月2日火曜日

とっておきの話283「あいの力」の裏話

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とっておきの話283「あいの力」の原稿



今回のとっておきの話は、

あい

に纏わる素材がいくつも組み合っています。

どんな素材が出てくる話か探しながら次の原稿を読んでみてください↓


【(あい と板書)

 みなさんは、「あい」という言葉には力があるって言われたら信じますか?

(少し間をおく)

 今日は長田弘さんの「アイということば」という詩を紹介します。

(読み聞かせる)

アイ ひとが最初におぼえることば

アイ にほんごのはじまりのことば

アイ ぼくやわたしをいうえいごのことば

アイ おたがいをいみする漢字

アイ ひとりひとりのあいだのことば

アイ 愛ということば

アイ 「ああ」と息のむスペイン語のことば


「あい」にはいろんな意味がこめられていてすごいと思いませんか?


(あいうえお と縦書きで板書)

 「あいうえお」を日本語では母音と言い、母の音と書きます。

「かきくけこ」から先は子音と言って、子の音と書きます。

ちなみに、みなさんは気付きましたか?

「うえ」の上に「あい」があることを。

漢字で書くと…

(上の上に「愛」と板書)

 母の音の上の上が「愛」なんです。

平仮名ができたのは今から2000年ほど前の平安時代の時。

はるか昔から、日本人は「愛」の大切さを知っていたのかもしれませんね。


(愛 と板書)

 愛という漢字の下の部分には、「後ろを振り返る」「のけぞる」という意味があります。

後ろを振り返ると、自分の愛を欲しがっている人が待っているかもしれません。

でも、時に裏切られ、のけぞる思いをするのも愛の難しいところ。

でも、ど真ん中には「心」があります。

だから、心のど真ん中で考えるのが愛なんです。

みなさんも心のど真ん中で相手のことを思い、愛情を注げる人になってくださいね。

あいの力を信じて過ごしていきましょう。】




いかがでしたか?

いろんな素材が出てきたと思います。


まず出てきたのは、長田弘さんの「アイということば」という詩。

この詩の魅力につなげるために、最初にわざと平仮名で「あい」と板書します。

「あい」にはいろんな意味がこめられることを知れます。


次に出てきたのは、五十音の中でも「あいうえお」は母音であり、「うえ」の上に「あい」があるという話。

母の音の上の上が「愛」。

この独特な視点は、ゴルゴ松本さんの本から学びました。


最後は「愛」と漢字変換し、漢字の構成を素材にしています。

私は特に、ど真ん中には「心」があるという点がお気に入りです。


このように、言われてみればそうだという発見の連続を、とっておきの話の中で生み出そうと考え、このような話の組み立て方にしてみました。


「あいの力」とても素敵ですよね。

「あい」でこれだけ素材が出てくるのですから、他の言葉にもつなげられそうな素材がありそうですよね。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


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