Twitterに、とっておきの話194「すぐに答えが出ない世の中」の原稿をアップしました。
とっておきの話194「すぐに答えが出ない世の中」の原稿
線路を暴走する電車が走っています。
その先には何も知らない5人の作業員が線路上に立っています。
あなたは、線路の方向を変えるスイッチを持っています。
スイッチを変えれば、別の線路へ電車が行き、5人は助かりますが、その先に何も知らない1人の作業員が線路上に立っています。
5人を助けるか、1人を助けるか。あなたはどうしますか?
スイッチを切り替えずにいる人?スイッチを切り替える人?
では、もし1人があなたの親友で、5人は他人だとしたらどうでしょう?
もし、1人が小さな子どもで、5人がお年寄りだとしたらどうでしょう?
状況を少し変えるだけで、いろんな答えが出てくる問題は、世の中にたくさんあります。
これは、その中でも有名な「トロッコ問題」という問題です。
今回のとっておきの話を作ろうと思ったのは、当時見つけた思考実験の本がきっかけでした。
トロッコ問題の他にも、次のような思考実験が紹介されていました。
【テセウスの船】
修理を繰り返し、素材は変わったが守り続けてきた船が本物のテセウスの船なのか。
当時の素材をそのまま使って今ちょうど復元した船がテセウスの船なのか。
何をもって「同じ船」とするかという問題。
【アキレスと亀】
アキレスと亀が競走をする。
アキレスがA地点に着く頃には、亀はその少し先のB地点に着いている。
アキレスがB地点に着く頃には、亀はその少し先のC地点に着いている。
これを繰り返すので、いつまで経ってもアキレスは亀に追いつくことができないという問題。
こうした思考実験は、子どもが聞いても面白いものです。
なぜなら、
すぐに答えが出ない
問題だからです。
それと同時に、
正解が1つではない
問題とも言えるでしょう。
一時期、道徳教育界ではジレンマ教材というものが流行ったことがありました。
どちらを選べばいいのか分からない。
だからこそ、思考が刺激される。
しかし、世の中はもっと複雑です。
どちらかを選べば解決するようなものではないし、
選ばないという決断も時には必要でしょう。
本当にケースバイケースで判断しないといけないのです。
昨日正解だったことが今日不正解になることだってあります。
予測できない未来に晒され続けているのです。
まさに
すぐに答えが出ない世の中
なのです。
なので、聞き手を学校に通う子どもたちと想定した場合、次のように話を締めくくることにしました。
【(すぐに答えが出ない世の中 と板書)
世の中はすぐに答えが出ない問題であふれています。
だからこそ、学校では、すぐに答えが出る問題で、自分なりの答えを出すための訓練をしているのです。
日頃から自分なりに考え、自分なりの答えを出す訓練を忘れないでくださいね。
考える訓練をしている人は、いざという時に鍛えられた自分の頭が自分を助けてくれます。】
思考し続ける
思考停止に陥らない
大人になっても大切にしてほしいですね。
気になった方はぜひ実践してみてください。
ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。