2024年2月27日火曜日

とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の裏話

  Xに、とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の原稿をアップしました。

とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の原稿



三方良し

という言葉が個人的には好きなのですが、今の時代は「ウィンウィン(Win Win)」という言葉の方が聞き馴染みが良いみたいです。


Win Winとは、相手も自分も勝つと直訳されるもので、お互いにとって利益のある関係を指します。

しかし今回の話は、ただWin Winでいようねと伝えるだけの話ではありません。

実はお互いにとって利益のある関係だけ成り立つほど、現実は甘くないのです。


むしろお互いにとって不利益となる関係だってあるのです。

不利益と聞くと、なんだかお互い損をしているようなマイナスイメージがありますよね。

でもここで言うLose Loseな関係とは、

お互いに譲り合う

という精神の大切さを訴えています。



それでは原稿をどうぞ⇩



板書 公平

判断や行動が偏っていないことを公平と言います。

人には、自分に合う人と合わない人がいるものです。

しかし、自分に合う人とだけ接していると判断や行動が偏っていきます。

では、自分に合わない人も含めて、どの人とも公平に接するにはどうしたら良いのでしょう?

今日は2つの公平な状態を紹介します。


板書 Win Win

 ウィンウィンと読みます。読んでみましょう。斉読 Win Win

どちらも得をするという意味です。例えば、目の前においしそうなバナナが1本あるとします。それをA君とB君がほしいと言った時、どちらかがバナナをもらうとどちらかがもらえない状態になりますよね。Win Winにするにはどうしたら良いでしょう。それは、バナナを半分に分ければ良いのです。

どちらもバナナをもらえるという意味ではWin Winですよね。でも、この話はもう1つ別の公平な状態だと言うことができます。

板書 Lose Lose

 それがこのルーズルーズです。読んでみましょう。斉読Lose Lose

どちらも損をするという意味です。本当は1本もらえたはずのバナナが半分無くなったという意味ではA君もB君も損していますよね。つまり、痛みを分け合うということです。


 Win WinとLose Lose。この2つを意識していくと、どの人とも公平に接する力が身に付いていきます。お互い気持ち良くなる状態を作れる人は、たくさんの人とつながりをもてる人になれます。

難しいからこそ、まずは意識することから始めましょう。


いかがでしたか。


原稿の中では、お互いに

痛みを分け合う

と表現されていましたね。


なんだか「悲しみはわり算」の話とつながりそうですね。


痛みを分け合う

お互いに譲り合う


こうした関係性は、一見損をしているように見えて、実は思いやりのある温かい関係なのかもしれません。

Win Winばかりに注目するのではなく、Lose Loseにも注目して、相手との関係構築を意識していきたいです。

公平に接することができる人は、きっと意識しているはずです。



子どもたちにもこうした精神が受け継がれるよう、語ってみてください。



ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

Win WinLose Lose

2024年2月15日木曜日

とっておきの話523「みんなで決めたから、みんなで守る。」の裏話

  Xに、とっておきの話523「みんなで決めたから、みんなで守る。」の原稿をアップしました。

とっておきの話523「みんなで決めたから、みんなで守る。」の原稿



 規則の尊重について、子どもたちにどのように語りますか?

 そもそも規則やルールって、なぜ守らないといけないのでしょうか?



 意外と教師自身が明確な答えを持ち合わせていないことがあるものです。


 私はこの「なぜ守らないといけないの?」という問いに対して、

みんなで決めたのだから、みんなで守る。

 という答えは1つの真理なのではないかと考えています。


 規則やルールに文句が出る時は、大抵次の2つのことが原因になっています。

 1つ目は、自分ではない誰かが勝手に決めて押し付けてくる規則やルールだと思っているから。

 2つ目は、自分だけが守らないといけないと言われているような気がしてしまうから。


 この2点を解消する言葉が「みんなで決めたから、みんなで守る。」なのです。

みんなで決めているんだよ。だからみんなで守ろうね。

 そんなメッセージが伝わり、規則やルールを守る大切さについて考え直すきっかけとなればと思い、創りました。



 それでは原稿をどうぞ⇩


板書 ルール

 ルールを決めるのは誰でしょう?指名

正解は…みんなです。ルールは、「みんなで決めたルール」なのです。

板書①みんなで決めたルール


 いやいや、元々決まっていたルールはみんなで決めていないよと思う人もいるでしょう。でも、今のみんなからしたら元々決まっているように見えるルールも、昔のみんなで決めたルールなのです。

これを「みんなで決めてきたルール」と言います。

板書②みんなで決めてきたルール


 ルールを変えたいと思ったことのある人はいませんか?挙手

その気持ちは自然なこと。もしかしたら、状況によってはルールが変わることもあるかもしれません。

これから「みんなで決めていくルール」もあるのです。

板書③みんなで決めていくルール



①~③の3つの言葉を見比べて、ルールについて何か気付いたことはありま

すか?…こうしたら分かりやすくなるかな?

提示

    過去 みんなで決めてきたルール…②

    今  みんなで決めたルール  …①

    未来 みんなで決めていくルール…③


 過去も今も未来も、ルールはみんなで決めるものなのです。だからこそ、みんなで守るものなのです。



板書みんなで決めたから、みんなで守る。

 これからも「みんな」を意識してルールを守っていきましょう。


いかがでしたか。


シンプルだけど深い言葉だと思います。


過去も今も未来も、みんなでルールを決め、みんなで守るのです。


さらに視野を広げていくと、この国の憲法もそうですよね。

憲法改正には、国民投票のシステムがあります。


どんなに小さなルールも、どんなに大きなルールも、みんなで決めてみんなで守るものとして存在している訳です。


だからこそ、規則の尊重が大切なのではないでしょうか。

なぜなら、みんなを構成する一人一人の人間が規則の尊重を大切にしているという大前提が無ければ、その規則は存在する意味が無いからです。


みんなで決めたから、みんなで守る。

これは言い換えると、

みんなで守れるから、みんなで決める。

とも言えます。


だから規則やルールとは、一人で向き合うのではなく、関係する人全員で向き合うものだと言えます。

学級のルールと向き合う時には、その学級にいる全員で向き合いたいですよね。

担任も含め、子どもたち全員で一緒に考え、決め、守っていきたいです。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2024年2月9日金曜日

とっておきの話522「ミラーニューロン~分かち合う喜び~」の裏話

  Xに、とっておきの話522「ミラーニューロン~分かち合う喜び~」の原稿をアップしました。

とっておきの話522「ミラーニューロン~分かち合う喜び~」の原稿


 人間という生命体は、一人で完結するものではなく、全人類で構成されている。

 もっと簡単に言うと、人は決して一人では生きていないのです。

 だからこそ、人と人は通じ合うものがあります。

 今回の話に出てくるミラーニューロンもその1つ。



 本能的に脳の仕組みとして備わっているものなんですね。

 それは、分かち合うという仕組みです。


 相手のことを分かろうとする。

 その姿勢が、お互いになされることで、分かち合うは成立します。

 この分かち合う喜びを感じられるようになっているのです。

 しかし、始めは意識的に相手のことを分かろうとしないと、分かち合う喜びに達することはできません。

 今回の話をきっかけに、意識づけをしていきたいと思いました。


 それでは原稿をどうぞ⇩


演出 あくびをしてみせる

 今、先生があくびをしたのを見て、自分もつられてあくびをしそうになった人は手を挙げてください。挙手

この現象には、こんな名前が付いています。


板書 ミラーニューロン

人間の体の中には、ミラーニューロンという「他人と自分の心を映し合う機能」をもった神経細胞があります。この細胞の働きによって、人間の脳は他人の行動を自分のことのように知覚することができます。今、先生につられてあくびをしそうになった人は、体の中のミラーニューロンが働いたのです。

提示

 A 一人でお店の高級料理を食べる

 B 家族みんなでいつもの夕飯を食べる


 みなさんは、どちらに喜びを感じますか?挙手

Aに挙げた人もいると思いますが、ミラーニューロンの働きを考えると、一人で味わう喜びはみんなで一緒に味わう喜びに比べると続かないそうです。

板書 分かち合う喜び

 このようにみんなで一緒に分かち合う喜びが生まれるように過ごしていると、ミラーニューロンが働いて喜びがどんどんと大きくなるそうです。

 一人で自由に味わう喜びも良いですが、みんなと一緒に分かち合う喜びも意識して過ごしてみませんか?


いかがでしたか。


ミラーニューロンは本能的に働くものとして備わっています。

でも、意識的に働かせることで、より働くようになるはずです。


私たちは本来、お互いを分かち合う喜びを感じられるはず。

どんなに相手のことが憎くても、恨んでも、どこかで分かち合う喜びを感じられるのではないかと模索する。

こうした感覚も大事ですね。


一人で味わう喜びもいいですが、みんなと分かち合う喜びも感じられる人に育ってほしいです。

クラスの誰もがこうした喜びを感じられるようになると、その場は間違いなく心理的安全性の保たれた場と言えるのではないでしょうか。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の裏話

  Xに、とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の原稿をアップしました。 とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の原稿 三方良し という言葉が個人的には好きなのですが、今の時代は「ウィンウィン(Win Win)」という言葉の方が聞き馴染みが...