2023年6月21日水曜日

とっておきの話495「足音を鳴らし続けていると…」の裏話

 Twitterに、とっておきの話495「足音を鳴らし続けていると…」の原稿をアップしました。

とっておきの話495「足音を鳴らし続けていると…」の原稿


についての考察が止まらない今日この頃です。



みなさんは夢がありますか?

その夢は叶いますか?


最近、学校現場でプロのスポーツ選手の夢について知る機会を得ました。

そこでのゲストティーチャーの授業をもとに、自分なりに読書をして得た知識と組み合わせて新しいとっておきの話を創ってみました。


僕の好きな歌手ミスターチルドレンの『足音~Be Strong~』の歌詞が好きです。

この足音を聞いてる 誰かがきっといる

このフレーズが堪らなく好きです。




見えないところの努力であっても、実は見ている人がいる。

聞こえない足音を鳴らしていても、実は聞いている人がいる。


自分の努力している姿を見ている人とのつながり

自分の鳴らしている足音を聞いている人とのつながり


そんなつながりによって夢は叶っていくのだと思うのです。

そしてまた、そのつながりによって新たな夢が出てくる。

そしてまた、新たなつながりが出てくる。


そんな夢について深く考えるきっかけになればと思います。

それでは原稿を読んでみましょう⇩


(次を板書)

① 目的地  ② 手段  ③ メンタル


夢を叶えるために一番大切なのは、この中で何だと思いますか?

正解は、目的地とメンタルです。実は手段は後から何とでもなりますが、目的地がはっきりしていないと夢は叶いません。そして、その目的地に辿り着くためには、そこまで自分の努力の足音を鳴らし続けるメンタル、つまり心のエネルギーが必要なのです。


 これは、プロを夢見ていたあるスポーツ選手が大学生だった時の出来事です。(以下を提示)


・大学2年生でスタメン➡全国4位

・大学3年生で右足捻挫のけが

・大学4年生で左足捻挫のけが

・治ったと思ったら手首の骨折のけがで手術と入院

・けがのせいで大学最後の大会に出られなかった


 こんなにもけがが続き、選手としてとても大切な大学最後の大会にも出られなかったのです。

メンタルが崩れそうになったこの選手は、それでも自分のできる事を探し今まで支えてくださった人に感謝し、恩返しの気持ちでチームをサポーターとして支えるようになります。

そんな姿を見ていた人から声を掛けられ、夢だったプロのスポーツ選手になれたのです。



 もちろん、これまでの選手としての活躍もありますが、このようにサポーターとしての姿を見てプロのスポーツ選手になれた人もいるのです。夢が叶う手段は1つではないのです。この選手は確かに目的地に辿り着きました。メンタルを安定するには、次の3つが大切です。(提示)


① 承認  ② つながり  ③ 挑戦


 自分の存在を認めてくれる居場所にいること。つながりを意識して周りの人に感謝すること。そして何より、諦めず、自分のできる事を探して挑戦し続けていることです。そうすれば、どんな手段だろうと、夢は叶うのです。最後に先生の好きな歌の歌詞の一節を贈ります。(提示)


夢見てた未来は それほど離れちゃいない

この足音を聞いてる 誰かがきっといる


いかがでしたか?


この話は、ゲストティーチャーの授業を参観した出来事と、読書で得た知識、そして自分の好きな歌詞が組み合わさっています。


経験した出来事+蓄えていた知識+お気に入りの言葉=とっておきの話


そんな方程式が浮かんできますね。

これはあくまでも創る力の一例ですが、参考にしてみてください。


子どもたちに「あなたの夢は?」と質問すると、全員が今叶えたい夢があると答える訳ではありません。

夢が無い人や夢が思い付かない人がいます。

この理由は本人も分からないことが多いのですが、僕は最近これなんじゃないかという答えを見つけました。

それが今回のとっておきの話にも出てきた「つながり」なのです。


つながりを意識すればするほど、その人とのつながりの中で叶えたい夢も出てくる気がするのです。

つまり、つながりを感じていない子ほど夢をもち難いのでは?という仮説が立ちます。

つながりがあることで、そのつながりをより一層大事にできる夢を叶えたいと思うのです。


例えば、消防士さんになりたいと夢をもつ子は、憧れの消防士さんとのつながりはもちろん、消防士になるまでの道のりにおいて障壁になるものがないと感じるからこそですよね。

その障壁を取り除いてくれる人たちは誰でしょう?

それはいつも安心できる居場所を提供してくれる家族や友達のはずです。

ここにも確かなつながりがありますよね。


したがって、今、自分の周りの人とのつながりに安心している子ほど、夢を描こうとするのではないでしょうか。

逆に、夢を描けない子ほど、つながりを感じていないのかもしれません。

つながりを感じるには、そのつながりが当たり前ではなく、有難いと思うことが大切です。

「ありがとう」の力が、夢を叶えるのです。



さて、みなさんは夢についてどんな考察をされますか?

昨日、Twitterで夢について一人語りしていると、夢の叶え方には2つのアプローチがあるとコメントをくださった方がいました。

これも興味深いですね。

夢談義、してみたいです。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年6月17日土曜日

とっておきの話494「人生グラフに失敗無し」の裏話

 Twitterに、とっておきの話494「人生グラフに失敗無し」の原稿をアップしました。

とっておきの話494「人生グラフに失敗無し」の原稿


みなさんは、人生曲線やモチベーショングラフというグラフをご存知ですか?



自己啓発本やビジネス書によく出てくるのですが、人の気持ちを出来事と合わせてグラフ化する試みです。

道徳の授業における心情曲線も同じような意図で描かれますよね。


人の気持ちというのは目に見えないものです。

しかし、こうしたグラフ化によって、視覚的イメージが具現化し、自分はこの時どんな気持ちだったのかを残し、表現することができます。

感情を司る右脳的な要素と、論理を司る左脳的な要素が上手く組み合わさった試みだと言えます。

いかにも理系の人が考えそうなアイデアですよね。

実際に私も理系人間なので、ハマって自分も描いてみたことがあります。


今回の話では、

人生グラフ

とネーミングして子どもたちに伝えています。


大事なのは人生グラフ全体をただ示すのではなく、部分に着目させ、意味付けをしていくこと。そしてその意味付けから十分に思考を深める余地を残すことです。


それでは読んでみましょう⇩


(人生グラフ と板書)

 人生曲線やモチベーショングラフとも呼ばれますが、良い時は上がっていき、悪い時は下がっていく人生のグラフを人生グラフと言います。

例えば、みなさんの今までの人生をグラフにしたら、どんな形になると思いますか?自分の人生グラフの形を目をつむって思い浮かべてみてください。(目をつむってイメージする時間)

人生グラフの形は、どんな人も、Bのようなグラフになると言われています。



 つまり、始めから最後までずっと良いことがあり続ける訳でもなく、逆にずっと悪いことがあり続ける訳でもないのです。何度も悪いことが訪れるし、何度も良いことも訪れます。このグラフで注目してほしいのは、悪いことがあっても良いことへと変えていった矢印の部分です。

(上り調子の部分を矢印で提示)これを、「あきらめない矢印」と言います。


 あきらめない矢印は、次のようなことを意識するといつでも自分で生み出せます。(以下提示)


努力、考え続ける、行動する、挑戦する、自分にできる事を探す、人と違うことをする


 この中にみなさんのぴったりなものがあったら、意識してみてください。きっと悪いことがあっても良いことへと変えていけるはずです。


 このグラフに、「失敗」はいくつありますか?(指名)

答えは0個です。失敗は無いのです。 

(失敗とは、途中であきらめること。 と板書)


 失敗があると思うかどうかは自分次第。途中であきらめることが失敗なのです。人生はいつも途中。「あきらめない矢印」を生み出し続けている限り、失敗は無いのです。

 みなさんも、失敗の無いBのような人生グラフを描いて生きてみてください。


いかがでしたか。


あきらめない矢印


というキーワードを軸にしながら、人生グラフの中でも上がっていくベクトルに着目させていきました。


この話をしている間、「でも下がっていくベクトルも何度もある」とつぶやいた子がいました。「そうなんだ。ずっと上がり続けないし、ずっと下がり続けない。大事なのは下がっても上がることをあきらめない矢印なんだ」と切り返しました。


さらに、「グラフの中に失敗はいくつある?」と聞いてから「0個です」と答えることで、生み出したギャップから「あきらめない=失敗が生まれない」という新しい価値観について深く考えることができるようにしています。


人生に失敗は無いのです。


下がっては上がる人生グラフを見ると強く感じます。

人生万事塞翁が馬です。これは余談ですが、最終的に上がりも下がりもしないグラフになるのが究極の姿なのではないかと思いました。つまり、


何事にも動じない

という姿です。


私の学級では、この語りをした後に子どもたちにもタブレット上で人生グラフを描かせてみました。

とは言っても、まだ10歳・11歳ですので、今までの人生を描く過去バージョンの人生グラフと、これからの将来を想像しながら描く未来バージョンの人生グラフのどちらかを選んで創るように指示しました。

最初は「そんなの創れないよ~」と言っていた子どもたちでしたが、意外と「あ~こんなこともあった~」と楽しんでいましたね。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年6月7日水曜日

とっておきの話493「ウサギとカメの教訓」の裏話

 Twitterに、とっておきの話493「ウサギとカメの教訓」の原稿をアップしました。

とっておきの話493「ウサギとカメの教訓」の原稿


ウサギとカメ

と聞けば、大人の私たちからすると子どもの頃に読んだ誰もが知っている物語というほど有名な話ですよね。

足の速いウサギと足の遅いカメ。普通に考えたらウサギが勝つに決まっています。しかし、油断したウサギが休んでいる間に、地道に歩みを進めたカメが勝つのです。


なんとなくウサギが怠けていたからというような印象を受けますが、僕はそうではないと思います。

なぜならウサギは1人で全力で走っていたから。休まざるを得ない状態だったのではないかと思うのです。


このように寓話や物語の裏側について深く考察することで、思わぬ教訓が得られることがあります。

最近、何気なく白黒先生のVoicyを聴いていたら、ウサギとカメの話は

カメがすごい

のだということが分かりました。カメのすごさを2つ新しく発見したのです。

ウサギと違い、カメは何がすごかったのか。

探りながら次の原稿を読んでみましょう。


(ウサギとカメ と提示)

 『ウサギとカメ』という物語を知っている人?(挙手)

足の速いウサギと足の遅いカメが山のふもとから山頂までの道を競争し、カメが勝つお話です。ウサギは簡単に勝てると思い込んで途中のんきに休んでいる間、歩き続けたカメに抜かされてしまったのです。


 でも先生は、この物語はウサギがサボっていたというより…

カメがすごいのだと思います。


まず、二匹にはこんな違いがありました。(以下の文を提示)


ウサギはカメを見ていた カメは   を見ていた


 ウサギは競争相手のカメを見ながら走っていました。一方、カメはウサギを見ていた訳ではありません。何を見ていたのでしょう?(指名)カメが見ていたのは…(以下の文を提示)


ウサギはカメを見ていた カメはゴールを見ていた


 ゴールでした。競争相手を意識してばかりいて、肝心のゴールを見失っていると、辿り着くのは遅くなります。みなさんも他人と比べすぎずに「自分は今、何に向かって、何のために努力しているのか」というゴールを見続けるカメさんのような人になってください。



 次に、カメさんはカメさん「たち」だったという話を紹介します。


ウサギは1人 カメはこっそり隠れていた仲間とリレーをしていた


 こんな裏話があるそうです。カメさんはずるいのでなく、仲間を信じて助け合ってすごいのです。

1人で走っていたウサギは、途中で疲れて昼寝をして休みます。仲間とリレーしていたカメは、仲間を信じてバトンを渡すことで、みんなで休まず走り切ることができたのです。



みなさんもウサギさんのように何でも1人でがんばろうとせず、カメさんのように仲間を信じてチームプレーでゴールを目指すことも大事にしてみてください。

気付けば山頂にたどり着いて、大きな夢を叶えているかもしれません。



いかがでしたか?


① 競争相手ではなく、ゴールを見失わずに努力し続ける

② 1人で抱え込まず、仲間を信じて協力して成し遂げる


この2つが教訓として学べそうな話になりました。

たかが『ウサギとカメ』という1つの物語だけでも、深く考察することで思わぬ教訓を発見し、学ぶことができます。

だからこそ、この物語はこうと決め付けるのではなく、もしかしてこの時の登場人物は…と深く考察してみるのも面白いかもしれません。


特に寓話のように古くから語り継がれる話にはまだまだ私たちが見つけていない教訓がたくさん隠されているように感じます。

ぜひそこから素材を得て、とっておきの話として創り上げることにも挑戦してみてください。


気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。



※2023年3月3日に出版された拙著『こどもの心に響く とっておきの話100』(東洋館)⇩

https://www.amazon.co.jp/dp/4491050953?th=1&psc=1&linkCode=sl1&tag=tvtopiclink-22&linkId=de15ea39015

が重版を迎えました。みなさん、いつもありがとうございます。Twitterの原稿だけでなく、このブログ記事まで読んでくださる方々には特に深い感謝の気持ちでいっぱいです。これからもよろしくお願いします。

とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の裏話

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