2021年12月29日水曜日

とっておきの話329「一生懸命は美しい」の裏話

 Twitterに、とっておきの話329「一生懸命は美しい」の原稿をアップしました。

とっておきの話329「一生懸命は美しい」の原稿



今回のとっておきの話は、

一生懸命は美しい

という言葉に力がありますよね。


これは、自分視点ではなく、相手視点の言葉です。

本当に一生懸命にがんばっている姿は、周りの人から見ると美しく映るのです。

ここを外さずに丁寧に話すことができれば、とっておきの話となるでしょう。



それでは原稿を読んでみましょう⇩


【(山県亮太選手の写真を提示)

 


(座右の銘 と板書)

 大人になると誰でも「座右の銘」というのを持っているものです。

「座右の銘」というのは、その人にとって大事にしている言葉のことを言います。

写真に映っている山県亮太(やまがたりりょうた)選手は、日本選手権で優勝したことのある選手です。

彼の座右の銘は…

(一生懸命は美しい と板書)です。



これは、小学校の先生が口をすっぱくして言っていた言葉だそうです。

この「一生懸命は美しい」というのは、「一生懸命な自分を美しいと思え」という意味ではなく、こういう意味だと先生は思います。


(あなたの一生懸命な姿は、周りの人から見ると美しく見える と板書)


 「一生懸命は美しい」の主語は、一生懸命なその人ではなく、それを見ている人です。

 だからこそ、山県選手もこんなことを言っています。


 勝負の世界に「絶対」はない。

 でも、一生懸命な子どもたちに言葉をかけてあげたい。

 教え子には、お前は絶対に勝てるって言ってあげたい。

 本当にそう思うって、さらっと言ってあげたい。


 みなさんは、周りの人からこんなふうに美しく思ってもらえるほど一生懸命にやっていることがありますか?

一生懸命は美しい。心の中で何度もつぶやいてみてくださいね。】




いかがでしたか?


一生懸命にがんばることが大事なのは百も承知。

ですが、このようにエピソードも添えながら、視点を変えて丁寧に伝えることで、

ありふれていた「一生懸命」という言葉が本当に美しく感じてくるものです。



綺麗事になりそうな言葉ほど、とっておきの話によって新しい視点を与え、丁寧に伝えることが大切だと思います。

その子にとって「一生懸命」という言葉が、綺麗事な言葉ではなく、

自分事な言葉

となることを願って話したいですね。


このとっておきの話をした後、実際に子どもたちが一生懸命な姿を見せていたら「一生懸命は美しいね」と声をかけてあげたいです。

まずは先生がこの言葉を使いながら、子どもたちの行動を価値づけていきたいですね。



世の中には他にも、「一生懸命」と同じように、せっかく良い言葉なのに綺麗事で流されてしまいがちが言葉が無数に存在します。


逆に言えば、その言葉1つ1つをどう料理するかによって、とっておきの話がどんどんと新しく生まれる可能性があるのです。


そう考えると、人の数だけ、いや、それ以上の数、とっておきの話が作れてしまうのではないかと思いますね。

果てしなくて驚きます。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月28日火曜日

とっておきの話328「消えた○○にびっくり!」の裏話

Twitterに、とっておきの話328「消えた○○にびっくり!」の原稿をアップしました。

とっておきの話328「消えた○○にびっくり!」の原稿



今回のとっておきの話は、素材とした新聞のコラム記事だけを読み聞かせても十分聞き手に伝わるものがあります。


こうした場合は、変なテコ入れはしなくて良いです。

蛇足は避けましょう。

素材の力を信じて、余計な装飾をせず、「話す力」を意識しながら披露します。



素材となった新聞記事を紹介します↓


【10月10日付の「あだち広報」を読むと、そこには大きな字で

「消えた本、2万冊」と書いてありました。

期日を守って図書館に本を返さない人が多いため、約2万冊も本がなくなっているということを表していました。

金額はおよそ2561万円ということも分かりました。

私もよく図書館で本を借りるので、びっくりしました。

みなさんの中には、少しぐらい返却が遅くなっても大丈夫と思っている人がいるかもしれませんが、それはとてもめいわくなことなのです。

期日が過ぎると、図書館の人、次にその本を借りる人がこまってしまいます。

私も返却期日を守るように気をつけたいと思いました。

そして、借りた本は大切にあつかって、次に借りる人へわたせるようにしたいと思います。】


いかがですか?


学校に通う子どもたちにとって、図書館の本は身近ですよね。

そんな本が2万冊もなくなっているというのが衝撃ですよね。

金額にすると2561万円というのも大きな数字です。


ここに心が動いて投稿されたこのコラム記事、投稿したのは11歳の女の子です。

子どもが書いているのですね。

同じ子どもが書いていることであり、数字のインパクトもあり、話題も身近な話であり意外性がある。

とっておきの話の素材としてピッタリな要因が散りばめられていますよね。



今回のとっておきの話では、導入で「隠して見せる」ことをしています。

「2万冊」を隠し、何が消えたのかを考えるところから始めます。

その後、「2万冊って何のことだかわかりますか?」と問いかけることで、本屋さんの本ではなく、図書館の本という身近なところから本が消える衝撃へとつなげていきます。

素材となる新聞記事は丁寧に読み聞かせます。

あとは終盤に、自分事に落とせるように問いかけて締めくくります。


素材によって、とっておきの話として作りやすい時と作りにくい時はありますね。

今回の場合は圧倒的に作りやすい部類に入ります。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月27日月曜日

とっておきの話327「何を言うかよりも」の裏話

Twitterに、とっておきの話327「何を言うかよりも」の原稿をアップしました。

とっておきの話327「何を言うかよりも」の原稿



素材探しを続けていると、

自分の中には無いステキな言葉

ばかりを探している自分に気付く時があります。


しかし、もっと続けていると、今回の素材でもアンテナが反応します。


「大丈夫」心が軽くなった


普通なら素通りしてしまうような言葉。

「大丈夫」と声を掛けられた人は大勢います。

ありふれた言葉ですし、意外性もありません。


しかし、この記事を素材にしようと思った理由があります。

それは、次のエピソードが含まれた言葉だったからです。



原稿を読んでみましょう⇩


【アイスホッケー選手の大沢ちほさんは、キャプテンをしていた先輩からもらったある一言で心が軽くなったと新聞記事の中で言っています。

どんな言葉だと思いますか?(少し間をおく)

 

 「大丈夫」です。他にも、「応援しているよ」という言葉が心に残っているそうです。


 (大丈夫 応援しているよ と板書)

特別な言葉でも何でもない、みなさんも使うような励ましの言葉ですよね。

でも、言葉自体は特別でなくても、大沢選手の心には残った言葉となったのです。

なぜだと思いますか?

(しばらく間をおく)

それは、この言葉を言った先輩が、大沢さんにとってこんな人だからです。

(記事より抜粋)


 実は、一番怖い先輩だと思っていたんです。

初めて会ったのは高校生の時に入った日本代表チームで。

以来、遠征中はずっと同部屋で、その後、私は副キャプテンとして由佳さんを手伝うようになりました。

驚かされたのは、氷の上でも外でも、本当によく周りを見ていること。

小さな変化に気付き、言葉で伝えることができる人でした。

私は自分本位で突っ走ってきたので、「こういう人がキャプテンになるんだな」と思っていました。

 冒頭の言葉をいただいたのは、13年のソチ五輪最終予選の前。

私が新キャプテンになることがチームメイトに発表されるミーティングに向かう廊下で、「私、できるんですかね」って聞いたんです。

その時でした。シンプルな言葉ですが、心がふわっと軽くなりました。


(何を言うかよりもだれが言うか と板書)

 言葉だけでも力があるのは確かです。

しかし、例えどんなにシンプルな言葉でも、信頼できる憧れの人からの言葉は心に響くものです。

何を言うかよりもだれが言うかが大切なんです。

 みなさんも、言葉の力を磨くだけでなく、周りから信頼される人間になってくださいね。】


何を言うかよりも誰が言うか


これがキーフレーズとなって聞き手に伝わるものがあると判断しました。


言葉のカッコ良さばかりに目を向けてしまうと、素通りしてしまう素材も出てきます。

その言葉の奥にはどんなエピソードが含まれているのか。

背景まで見つめながら素材探しができる人になりたいですね。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月26日日曜日

とっておきの話326「キープオンゴーイング」の裏話

Twitterに、とっておきの話326「キープオンゴーイング」の原稿をアップしました。

とっておきの話326「キープオンゴーイング」の原稿



日野原重明さんは、僕が本で出会ったお医者さんの中で一番その生き方を尊敬している先生です。

生と死。人生。

人間が生きることの根本として大切にすることは何なのか。

日野原先生に影響を受けて考える機会がたくさんありました。


そんな日野原先生の訃報が届き、遺作として本が出版されることになりました。

当時の新聞広告を見て、ある言葉に目が留まりました。

実際に本書を読んでみると、まさに日野原先生らしい言葉で人生を締めくくっているような雰囲気が伝わってきました。



それでは原稿を読んでみましょう⇩


【(キープオンゴーイング と板書)

英語の言葉ですが、あえてカタカナで書きました。

どんな意味かは、これから紹介するものを見ればわかります。

(次の言葉を提示)


私の長い人生が終わろうとしているけれども、

私の人生だけではなくて、

これから人生をまだまだ長く続けていくあなた達と一緒に、

どのように受け継いでいくか……、


感謝に満ちた気持ちで、

キープオンゴーイング。


□□□□□□を、

私達は続けなくちゃならない。

みなさんの思いを合わせて、

なおこの旅を続けていこうではありませんか。


行きましょう。

キープオンゴーイング。


(日野原重明さんの写真を提示)


これは、105歳まで長生きをしたお医者さん、日野原重明さんの死ぬ前の最後の言葉と呼ばれているものです。

□の中に入る言葉が、キープオンゴーイングの意味を表しています。

日野原さんは何を私達は続けなくちゃならないと言っているのでしょう?

(少し間をおく)


□にはこんな言葉が入ります。

(前進また前進 と板書)

 何歳になっても前進し続けなくちゃならない。

実際に日野原さんは死ぬ直前まで、いろんなことに挑戦し、少しでも長生きするように努力し、世の中のために活躍し続けた人としても有名です。

みなさんも何歳になっても、前進また前進を続ける人になってくださいね。

(Keep on going! と板書)】



実際にとっておきの話として披露する際は、日野原先生が具体的にどんな活躍をされたのかも併せて紹介できると、キープオンゴーイングの背景が理解できます。

人生を全うするというのは口で言うのは簡単ですが、それを死ぬ直前まで実行するというのは感服の念しかありません。


自分は何をキープオンゴーイングしていくのか。

自分にとってのキープオンゴーイングは何か。

自問自答するきっかけとなればと思います。



キープオンゴーイング

この言葉自体、キーフレーズになっていますよね。

合言葉になりやすいです。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月24日金曜日

とっておきの話325「14歳の言葉?」の裏話

Twitterに、とっておきの話325「14歳の言葉?」の原稿をアップしました。

とっておきの話325「14歳の言葉?」の原稿



若者の力というのは時として驚かされます。

特に、まだ学生と呼ばれるような10代の活躍には目を見張るものがあります。


ある日の新聞広告で見つけた14歳の言葉を素材にしました。

当時の僕の感覚では、「まだ14歳なのに?」という印象が強かったのだと思います。


今の感覚では、14歳は十分に大人な考え方ができる人がたくさんいますね。

それだけすごい10代に出会ってきたからこそ身に付けた感覚です。



それでは原稿を読んでみましょう⇩


(次の写真を提示)

 


ある日の新聞広告に、こんなものを見つけました。

「文学界に、驚異のスーパー中学生現る!」

「14歳の誕生日に小説家デビュー!たちまちメディアで話題騒然!!」

なんとこの鈴木るりかさん、14歳で初めての小説の本を出してしまっただけでなく、その本が本屋さんでの売り上げランキング1位を勝ち取ったというのだから驚きです。


でも、先生が一番驚いたのは、別のことでした。これです。

(次の写真を提示)

 



 「       」に入る言葉は何だと思いますか?(少し間をおく)

 正解は、こちら。(次の言葉を板書)

 「どんな時でも光はある」この言葉から生まれたお話です 鈴木るりか


どんな時でも光はある。

わずか14歳でも大人をドキッとさせるような言葉から初めての小説を作り上げたそうです。

言葉に力があると思いませんか?

みなさんも素敵な言葉をたくさん使っているうちに、いつの日か周りの人をドキッとさせる言葉を使う力が身に付くことでしょう。】



いかがでしたか?

素材となった新聞広告との向き合い方を今回のブログ記事では紹介したいと思います。


元々、広告というのはターゲット層に向けて伝わりやすくなるように書かれています。

今回の素材でいうと、「文学界に、驚異のスーパー中学生、現る!」という言葉が大きく書かれています。

これは、普段から文学に親しんでいる人に向けて大きく見せたいという意図があるのですね。


しかし、とっておきの話の素材にする際、こうした目立つ言葉ではないところに素材となるヒントが隠されていることがあります。



今回注目したのは、中学生の鈴木るりかさんのセリフ、

「どんな時でも光はある」

という言葉でした。

これをまだ14歳のるりかさんが発しているということに価値があると考えました。



新聞広告全体から見ると、見逃してしまうような小さい文字。

しかし、そこを見逃さず、価値を見出すことで生まれる素材もあるのです。



素材というのは、インパクトのあるものだけではないのです。

何に出合うかは大事です。

しかし、その後どこに注目し、どう価値づけるのかも素材探しにおいて重要です。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月23日木曜日

とっておきの話324「美人はおいしい」の裏話

Twitterに、とっておきの話324「美人はおいしい」の原稿をアップしました。

とっておきの話324「美人はおいしい」の原稿



素材探しをする上で惹かれやすい表現はいくつかあります。


ギャップのあるもの

思わぬかけ算

意味が知りたくなるもの


今回は、「美人」と「おいしい」が思わぬかけ算をしていました。

美人はおいしい

みなさん、どんな意味だか分かりますか?



それでは原稿を読んでみましょう⇩


【(美人 と板書)

 みなさんは、「美人」と聞いて思い浮かべる人はどんな人ですか?

例えば、こういうきれいな人のことを思い浮かべる人がいるかもしれませんね。

(次の須田亜香里さんの写真を提示)

 



 この写真に映っている須田亜香里さんは、アイドルグループSKE48で活躍している人です。

そんな須田さんが、「美人」について研究している教授と対談をした様子がある日の新聞に載っていました。

そこで、「須田さんにとって「美人」とは?」と教授から質問を受けます。

須田さんはこの質問に、こんなふうに答えています。


 私は余裕のある人、時間に追われていない人だと思います。

最近、美人とかわいいは違うと気づきました。

味に例えると美人はおいしい、かわいいは甘い。

甘いだけを求めるのではなく、「おいしい」と思える人になれるように頑張ろうと思います。


 須田さんの言う美人とは、男女関係なく、余裕があって時間に追われていない、味わい深い人のことを言っているのですね。

ちなみに須田さん、アイドルの世界では「ブサイク」と呼ばれているそうですが、そんなことを気にもせず、「がむしゃらにがんばる」ことを大切にされているそうです。

ぜひみなさんも、おいしい美人になってくださいね。】



私は男ですが、美人とかわいいの違いを味で表現するところが面白かったです。

男女関係なく、余裕のある味わい深い人になりたいですね。


みなさんの周りには、こうした美人な方はどれほどいらっしゃいますか?

また、あなた自身は美人でしょうか?

こんな新しい視点で見つめ直すことができるのも、とっておきの話の魅力です。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年12月22日水曜日

とっておきの話323「たこやき屋さんがつくった場所」の裏話

Twitterに、とっておきの話323「たこやき屋さんがつくった場所」の原稿をアップしました。

とっておきの話323「たこやき屋さんがつくった場所」の原稿



素材との出合いは突然に。

当時住んでいたマンションのポストに、あるチラシが投函されていました。

そのチラシがそのまま素材となりました。


チラシ広告なんて気にも留めていない方も多いと思います。

しかし、素材探しを続けていると、こんなチラシ広告にも

「素材となる言葉や写真はないかな?」

と自然に探してしまうのです。

これは習慣化の力ですね。


今回素材にしたチラシ広告は、一見するとたこやき屋さん開業のお知らせです。

しかし、「何のために」開業したのかという部分で面白さがありました。

それでは原稿を読んでみましょう⇩



【ポストに入っていたある広告

 (次の写真を提示)

 


 ある日、先生が住んでいるマンションのポストに、こんな小さな広告の紙が入っていました。

 よ~く見ると、何屋さんの広告なのかが分かりますね。

□の中にはどんな言葉が入ると思いますか?(しばらく間をおく)


 たこやき屋のいくみおばさんがつくった場所、それは…

みなさんと楽しくおしゃべりできる場所 と板書)

(次の写真を提示)

 



 たこやき屋さんだから、たこやきを食べることができる場所と思いきや、どんなお客さんが来るかも分からないのに、お客さんと楽しくおしゃべりできる場所にしたいと言ういくみおばさんに驚かされました。

 みなさんは、「楽しくおしゃべりできる場所」がありますか?】



たこやき屋さんなのに開業の目的は「楽しくおしゃべりできる場所づくり」という点に惹かれるものがありました。

このご時世、おしゃべりできる場所というのは地域から消えていってしまっていないかなという不安もありますよね。

そんな背景も含め、学校に通う子どもたちにとっても「楽しくおしゃべりできる場所」を意識することは大切だと考えました。

意外と意識してみると数えられるくらいかもしれません。

だからこそ、そうした自分にとっての居場所を大切にしたいですね。



今回の素材との出合いは、非常に刹那的ですよね。

その日に投函されたチラシは、その日に見て素材としてとっておきの話にしないと過ぎていくものです。

そこをキャッチできるかどうかはなんだかとっておきの話クリエイターとして試されたような気分でした。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月21日火曜日

とっておきの話322「やさしい時間」の裏話

Twitterに、とっておきの話322「やさしい時間」の原稿をアップしました。

とっておきの話322「やさしい時間」の原稿



やさしい

と聞くと、普通は「時間」の修飾語とは考えづらいですよね。

そこをあえて

やさしい時間

という表現をしているのが今回のとっておきの話の魅力です。


なぜこんな表現をしているのか。

その理由を探るとさらに魅力が増します。



原稿を読んでみましょう⇩


【(やさしい人 と板書)

 だれのことだと思いますか?(何人か例示する)

やさしい人になりたいですか?(間をおく)どうしたらやさしい人になれるのかな?

やさしい人と似たような言葉で,面白い言葉を見つけました。

 (やさしい時間 と板書)

 これはどういう意味でしょう?時間がやさしいってどういうことかな。


 この言葉は,こんな広告に書いてありました。(広告の画像を提示)

 


その一分はだれかをきずつける一分ではなく,

だれかと笑い合う一分であってほしい。

その一秒は自分を責める一秒ではなく,

自分をいたわる一秒であってほしい。

 

そのやさしい一分一秒が積み重なることで,

この世界はやさしさを少しずつ獲得できるのではないだろうか。



他にも,こんな言葉が書いてありました。

(赤字の部分を考えさせながら,右上の言葉を提示する)

最後に,こんな言葉で広告はしめくくられています。

なぜなら時間とは,あなたそのものなのだから。


 だれかと笑い合う一分,自分をいたわる一秒を積み重ねて,やさしい時間をすごすことを大切にしている人は,それがあなたそのものとなり,やさしい人になれるはずです。

 みなさんも,やさしい時間を過ごし,やさしい人になってくださいね。】




時間とは、あなたそのもの。

つまり、時間が人に結び付いているというメッセージを伝えています。

やさしい人になりたいのなら、やさしい時間を過ごしましょう。

素材に出合うまで、こうした視点は無かったので新鮮でした。



こうした言葉に出合えたのは、SEIKOの広告ポスターでした。

さすが大手時計会社ですね。

素材に出合った場所は正月元旦の新聞広告から。

お正月の新聞は目を惹くような広告にたくさん出合えるので素材探しにおすすめです。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月20日月曜日

とっておきの話321「ファミリーヒストリー」の裏話

Twitterに、とっておきの話321「ファミリーヒストリー」の原稿をアップしました。

とっておきの話321「ファミリーヒストリー」の原稿



テレビ番組を観ていると、その番組のコンセプトそのものが素材になると感じる時があります。

今回のとっておきの話は、そんなパターンで作成した話です。

タイトルも番組名をそのまま引用しています。


みなさんは、NHKの「ファミリーヒストリー」という番組をご存知ですか?

ゲストの家族の話が出てくるのですが、その巧みな取材力によって思わぬエピソードが毎回掘り起こされるのです。


当時衝撃を受けたタカアンドトシのトシさんのご家族の話から、次のような原稿を作ってみました⇩



【(次の文章を提示)

日本が戦争で負けた頃、昔で言うソ連であるロシアの領土になっている樺太に住んでいました。まだ生き残っている日本人たちに向かって攻めてくるソ連兵たちから命からがら逃げ、船で北海道に渡ろうとしました。しかし、逃げる日本人が多すぎて、幼い1歳、2歳、6歳の子どもだけ先に逃がし、自分は樺太に残る決断をしました。その後、自分も北海道へ逃げることができ、戦争で離れ離れになった家族と再会することができました。


だれの話だか分かりますか?実は、ある人のおばあちゃんの話です。


 (次の文章を提示)

戦争中、最前線で戦うことを命じられました。敵は戦車を走らせ、周りの日本兵たちを一斉にひき殺していきました。死亡率は98%。まず助からないだろうと言われた戦場でただ一人生き残り、北海道で水産業を営みました。


 これは、その人のおじいちゃんの話です。


 いったいだれのおばあちゃん、おじいちゃんの話なのか。知りたいですか?この人です。

(トシさんの写真を提示)

 


人気コンビ芸人タカアンドトシのトシさんのおばあちゃん、おじいちゃんの話でした。

しかし、トシさんは、ある番組で知らされるまで、自分のおばあちゃん、おじいちゃんがこんな経験をしてきたとは知らなかったそうです。

その番組の名前は…(少し間をおく)

(ファミリーヒストリー と板書)

 日本語で「家族の歴史」。みなさんは、自分の家族の歴史を調べたことはありますか?おばあちゃん、おじいちゃんに聞いてみたら、びっくりするような歴史が出てくるかもしれません。

 偉人と呼ばれる人は、本やテレビの中ではなく、あなたの家族の中にもいるかもしれません。】




この話で最も伝えたいメッセージは、

あなたの家族の中にも思わぬ偉人がいるかもしれない。

ということです。



自分の家族の歴史(=ファミリーヒストリー)を切り口に家族というものに向き合った時、

「もっと家族を大切にしよう」

「自分が生まれたことに感謝しよう」

といった気持ちが育まれることをねらっています。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月19日日曜日

とっておきの話320「むきだしの臓器です」の裏話

Twitterに、とっておきの話320「むきだしの臓器です」の原稿をアップしました。

とっておきの話320「むきだしの臓器です」の原稿



今回のとっておきの話は、ポスター素材が元になっています。

メガネを作っている会社だからこその独特な表現に惹かれました。

その魅力については後述するとして、まずは原稿を読んでみましょう⇩



【(臓器 ぞうき と提示)

みなさんは,臓器と聞いて何を思い浮かべますか?

(臓器の意味がわからない場合もあるので,簡単に説明や例示をする)

胃や腸,心臓,肺などが臓器ですよね。


 こんな広告を見つけました。

 □は,むきだしの臓器です。

 □には,ある臓器が入ります。でも,みなさんが思い浮かべた臓器のどれでもないです。

(目が臓器であるとわかっている子どもは少ないことが予想される。意見として出ている場合は,「むきだし」を□にするのもあり)

 何が入ると思いますか?(少し間をおく)

 正解を発表しますね。(下の画像とともに正解発表)

 




 臓器と聞くと,体の中にあるものというイメージがあります。

 でも,目は体の外へむきだしになっています。物が当たって目が見えなくなるなんてこともあります。目をこすりすぎて傷つけることもあります。

 みなさんは,目を大切にしていますか?むきだしの臓器ですから気をつけてくださいね。

 もう一度広告を見てみましょう。ここを読んでみましょう。

(下部の言葉を復唱して終える)

みえる,をまもる。】




いかがでしか?


この素材の魅力の一つ目は、「臓器」という言葉のイメージのギャップですね。

臓器と聞いて、目を連想する人はなかなかいません。

連想したとしても、一番に思いつく人はもっといないでしょう。

だからこそ、「目は、むきだしの臓器です」という言葉に力がありますよね。




この言葉だけでも印象的なのに、魅力の二つ目としてこの絵のインパクトがあります。

がいこつにメガネがかけてある。

まさにむきだしの臓器を表現していますよね。




そして、三つ目の魅力としては「みえる、をまもる。」というキーフレーズです。

これが聞き手にとって合言葉になる可能性を秘めて居ます。

このように、細分化して見ると随所に魅力的な部分が見つかる素材もあります。

どう扱うかは作り手次第ですが、だからこそ面白い素材と言えます。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月17日金曜日

とっておきの話319「心を温めるのは・・・」の裏話

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とっておきの話319「心を温めるのは・・・」の原稿



寒いこの季節、ちょうど1年前の素材ですね。

テレビでサザエさんを観ていたら、波平さんが言ったセリフに心温まったのですね。

みなさんもテレビを観ているような気持ちで、原稿を読んでみましょう⇩



【みなさんは,サザエさんを知っていますか?


 今でも日曜日の夕方,アニメでやっています。

 このアニメを見ると,家族っていいなぁと思います。



 ある日のサザエさんの話。

 冬の寒い季節の話で,波平さんという人がコタツの中に入って一人で温まっていました。とても温かそうです。

 でも,波平さんは言うんですね。

「おい,ちょっとみんな,来てくれないか」って。

どうして家族のみんなを呼んだのだと思いますか?(いろんな意見を引き出してから)

家族が集まってから,波平さんはこんなことを言いました。

(画像を提示しながら次のセリフを提示)



コタツは体を温めてくれるが,心までは温めてくれない。

心を温めてくれるのは,みんなだよ。



 最近寒くなってきましたね。

みなさんも,サザエさん家族のように,体だけでなく,心温まる冬を過ごしてくださいね。】



いかがでしたか?

寒い時期にこそ話したい話だと思います。


まさか何気なく観ていたサザエさんから素材がもらえるとは。

コタツと聞くと、昔の物のようなイメージがあるかもしれませんが、

実は最近また流行っているそうです。


大事なのはコタツに入ること自体ではなく、

コタツにみんなで一緒に入ること。

「みんなで一緒に」を大事にすれば心が温まっていくことを教えてくれますね。


これからもサザエさんは観ていきたいです。

サザエさん一家の関係性がステキです。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年12月15日水曜日

とっておきの話318「木の実よりも虹」の裏話

Twitterに、とっておきの話318「木の実よりも虹」の原稿をアップしました。

とっておきの話318「木の実よりも虹」の原稿



とっておきの話の中には、

季節に合わせた話

というものがあります。


その時期だからこそ話したい話というのがありますよね。

今回のとっておきの話は、12月ということでサンタさんが出てくるお話が素材です。




しかし、話のオチは何も12月だからこそという訳ではありません。

時期限定の素材から始まり、普遍的なテーマに迫っていく。

そんな話の流れになります。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


【12月ですね。今日はサンタさんが出てくるお話を紹介します。

(木の実の画像を提示)




 ある日,木の実を取りに森へ出かけたサンタさん。

 森の中にはいろんな動物がいました。

 すると,雨がふってきました。

サンタさんは,自分の傘の下に動物を入れてあげました。

(虹の画像を提示)



 雨が上がると,空には虹がかかりました。

 サンタさんは,「みんなで見た虹はとってもステキだ」と言って,木の実を取らずに帰っていきました。

先生はこの物語を本で読んで,木の実を取りに出かけたのに取らずに帰っていくサンタさんの気持ちを考えたらおもしろいなぁと思いました。


 (木の実と虹を並べて提示)

 みなさんは,どうしてサンタさんが木の実よりも虹がステキだと思ったのか,わかりますか?

(いろんな意見を引き出してから)

 先生は,この違いが大きいんじゃないかなって思いました。


自分がほしかったものより,みんなと見たけしき


 このサンタさんのように,自分がもともとほしかったものを忘れるくらい,ステキな景色を仲間と見られたら,とっても幸せですよね。

 みんなとも,そんな景色をたくさん見ていきたいと思います。

 これからもよろしくね。】



木を見て森を見ず

自分のほしいものを見て周りと一緒に楽しむことを見ず


そうなってはいけないと教えてくれるような話ですね。


自分がほしいものやしてほしいことばかり考えるのではなく、みんなと一緒にできたら楽しいだろうなぁと思うことをステキだと感じる。

この感覚が身についてくると、人生もっと楽しく過ごせそうですね。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月14日火曜日

とっておきの話317「代表作は…」の裏話

 Twitterに、とっておきの話317「代表作は…」の原稿をアップしました。

とっておきの話317「代表作は…」の原稿



あなたの代表作は何ですか?

と聞かれると、過去を振り返って代表作と言えるものを探すのが普通の感覚ですよね。

しかし、俳優の岸谷五朗さんは違います。




それでは原稿を読んでみましょう⇩


【 (人生に挑戦し続ける人 と板書)

 こんな見出しの記事で紹介されていたのは、俳優の岸谷五朗さんです。

(岸谷五朗さんの写真を提示)

 

 五朗さんは記事の中でこんなことを言っています。

「『代表作は?』と聞かれたらいつも『      』と答えています」

 五朗さんにとっての代表作って何でしょうね?(少し間をおく)


 五朗さんは、こんなふうに答えています。

『代表作は?』と聞かれたらいつも『次の作品です』と答えています


 今まで俳優として演じてきた作品の中から代表作が生まれるのではなく、次の作品はもっと良い作品になるように、その次の作品はもっともっと良い作品になるように演じているのですね。

だから代表作はいつも「次の作品」だというわけです。


 みなさんも五朗さんのように、いつも次は今までで一番良くなるようにと進化し続ける人を目指してください。

例えば、テストで100点を取った後、「今までで一番がんばったテストは?」なんて聞かれたらいつも「次のテストです」なんて答えたらかっこいいのかもしれませんね。】



岸谷五朗さんは、過去ではなく未来を見ていることが分かります。

常に未来を見据えているからこそ、代表作は次の作品だと答えるのでしょうね。


現状に満足せず、未来はもっと成長していける。

未来を見据え続ける。

そんなメッセージをこの話から伝えられると思います。



新聞と聞くと、ニュース記事が載っているイメージが強いかと思います。

しかし、インタビュー記事や特集記事も載っており、そこからとっておきの話の素材を得ることもできます。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月13日月曜日

とっておきの話316「不思議なデザイン、溢れる」の裏話

Twitterに、とっておきの話316「不思議なデザイン、溢れる」の原稿をアップしました。

とっておきの話316「不思議なデザイン、溢れる」の原稿



今回のとっておきの話も、前回と同じように感覚的に「面白い!」と思って作った話です。

勢いで作った節があるので、お蔵入りなるかどうか悩んだのですが、アップすることにしました。


素材は、ある日の新聞記事。

こんな目を惹くデザインが飛び込んできたのです。



たったこれだけの素材です。

しかし、このデザインに当時の僕は衝撃を受けたのですね。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


【ある日、新聞を読んでいるとこんな写真が載った記事を見つけました。

いったいこれ、何だと思いますか?(しばらく間をおく)

実はこれ、名古屋市のとあるホテルの中にある階段なんです。

「らせん階段」と言って、ぐるぐる回りながら上ったり下りたりする階段です。


 こういうらせん階段にすることで、部屋をたくさん作ることができ、このホテルには約1万人もの人が宿泊するそうです。

こんな階段にしたのにはちゃんと理由があるのですね。


 (デザイン と板書)

 この階段のように、形や色を目的に合わせて変えたり作ったりすることを「デザイン」と言います。

最近はこういう不思議なデザインが街の中にいっぱい溢れるようになりました。

意識して探してみると、この階段にも負けないもっと面白くて不思議なデザインに出合えるかもしれません。

そして、どんなデザインにも調べると必ず理由があるものです。探してみてね。】





世の中には、思わぬ不思議なデザインで溢れているものです。

それは、自分がとっておきの話づくりにハマり、素材探しをするようになって尚更感じます。

今回のとっておきの話のように、時には感覚的に作ってしまう話があってもいいと思います。





気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月12日日曜日

とっておきの話315「自分に貼った10万枚」の裏話

Twitterに、とっておきの話315「自分に貼った10万枚」の原稿をアップしました。

とっておきの話315「自分に貼った10万枚」の原稿



当時、朝刊だけでなく、夕刊もとって新聞を読んでいた時期がありました。

ある日の夕刊の見出しに目が惹かれました。



自分に貼ったばんそうこう 約10万枚


この見出しのインパクトに惹かれ、記事を読んでみました。

すると、小さなばんそうこうの裏には、何度も何度も実際に自分の体に貼って確かめた人の努力の積み重ねがあることが分かったのです。


見出しのインパクト+素敵なエピソード

この二つが揃うことで、とっておきの話の素材として採用されました。


それぞれをもう少し深掘りしてみます。


まず、なぜ私は、この見出しにインパクトがあると感じたのか。

「自分に貼った」という点から、体を張って実験したという努力の大きさを感じられます。

また、「ばんそうこう」という物は、聞き手の誰しもが想像できる、身近にある物です。

そして何より、「10万枚」という数字の大きさがさらにインパクトを与えています。


誰しもが想像できる身近にある物の裏側に、想像を超える努力の大きさを感じられたのです。

このように、一見矛盾するように聞こえるかもしれませんが、

想定内の物事の裏側に、想定外のエピソードが隠されていることを発見すると、人は感動するのです。



次に、なぜ私は素敵なエピソードと感じたのか。

それは、見出しだけでは詳細には分からなかった努力の内容が記事に書いてあったからです。

原稿では、次のように紹介しています↓


【実はこのおじさん、ばんそうこうを開発する会社で働いている凄腕の職人さんなのです。

 記事によると、たった1回の開発で300枚以上のばんそうこうを貼って確かめるそうです。

それを30年間ずっと続けてきたのだそうです。

合わせて約10万枚。

すごい数ですよね。】


10万枚という数字の裏側には、

1回の開発で300枚以上+30年間の継続

というこれまた想定外の数字の大きさが隠されていました。


そしてこのおじさん、写真を見ると笑顔ですよね。

凄まじい努力をしていると思うのですが、なんだか楽しそうに映ります。

こうしたところも魅力的です。


とっておきの話では、次のように締めくくって終わっています。


【みなさんが何気なく使っているばんそうこうにも、こうした人の努力の積み重ねが隠されているものです。

他にも、何気なく使っている物の中に、ものすごい努力の積み重ねが隠されているものがあるかもしれません。

調べてみると、もっと一つ一つの物を大切にしたくなりますよ。】


どんな物にも、その裏側には作り手の努力が隠されている。

そうした視点で物と接する子は、物を大事にする子に育っていくことでしょう。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月10日金曜日

とっておきの話314「たぬき先生の教え」の裏話

Twitterに、とっておきの話314「たぬき先生の教え」の原稿をアップしました。

とっておきの話314「たぬき先生の教え」の原稿



先生

と聞くと、学校の先生を思い浮かべる方が多いと思います。

しかし、お医者さんも先生と呼ばれますよね。

今回のとっておきの話は、そんなお医者さんが教えてくれたエピソード素材。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


【(たぬき先生に感謝 と板書)

 こんなタイトルの新聞記事を見つけました。



みなさんは、たぬき先生はどんな仕事をしている人だと思いますか?(数名指名)

 では、答え合わせをしながら記事に書いてあった文を読んでみましょう。

かかりつけのお医者様として、子どもたちがお世話になった先生の訃報を新聞で読んだ。「たぬき先生」こと、毛利子来(たねき)先生だ。

4人の子どもが小さい頃は、毎月のように医者通いをしなくてはいけなかった。

おもちゃと絵本がいっぱいの友達の部屋みたいな待合室を、子どもたちは覚えているだろうか。

 というわけで、たぬき先生というのは「たねき」先生というお医者さんのことでした。

新聞で昔お世話になったお医者さんが亡くなったことを知り、お世話になっていた頃を思い出すあるお母さんの話が記事に載っていました。


 記事の続きを見ていきましょう。

長男が3歳のとき、風邪で診てもらいに行ったことがあった。

順番がきて、私が長男の症状を訴えようとすると、先生は長男に

「もう君はお話がちゃんと出来そうだから、君の体がどんな風だか言ってごらん」

とおっしゃった。

子どもの状態は母である私が伝えるものだと思っていたので不安だったが、長男は私が話そうとした内容を、長さは半分で、ほぼ正確に伝えていた。


 お母さんに頼らなくても、自分で自分の体の話ができた男の子。

たぬき先生はお母さんに、こんなことを言います。

「小さな子どもでも、体は自分のものだからね。自分で話させましょう。」

 

「子どもの味方だったたぬき先生は、母親にとっても本当に心強い先生だった。」

とお母さんがたぬき先生の教えを大切に思い出している記事でした。


 みなさんは保健室へ行った時、付き添った友達ではなく、自分で保健の先生に自分の体の話をしていますか?

病院へ行った時、お母さんではなく、自分でお医者さんに自分の体の話をしていますか?

私たちも、たぬき先生の教えを守って、自分の体のことは自分で話せる人になりましょう。

だってその体は、だれでもない、自分のものだからね。】



お恥ずかしい話ですが、僕は子どもの頃、自分の体のことを自分で話せない子でした。

保健係の子に任せてしまっていたし、母に任せてしまっていました。

しかし、この素材と出合ってからは、たとえ3歳という幼い子でも、自分の体のことを自分で話すことは大切だと気付かされました。


お医者さんから学べることって多いものです。

それは、学校現場にも役立つものが多いのです。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年12月9日木曜日

とっておきの話313「かっこよく新聞読む」の裏話

Twitterに、とっておきの話313「かっこよく新聞読む」の原稿をアップしました。

とっておきの話313「かっこよく新聞読む」の原稿



「新聞を読む」

というテーマのとっておきの話があっても良いですよね。


今回のとっておきの話は、自分の感覚のまま勢いで作ったような話です。

特に新聞記事で見つけた写真のインパクトと、3歳という幼い女の子に焦点を当てている点に惹かれました。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


【(かっこよく新聞読む と板書)

 こんなタイトルの新聞記事を見つけました。

さて、この記事にはどんな写真が添えられていると思いますか?(しばらく間をおく)

 ではお見せします。こんな写真です。(以下の写真を提示)




 え?新聞を読んでいるのは子ども?

記事にはこんな紹介文が載っていました。

東京都日野市の木村七菜ちゃん(3歳)は、まねっこ大好き。

積み上げた座布団に座り、5歳のお姉ちゃんのまねをして新聞を広げます。


 なんと写真に映っているのは3歳の女の子です。

それだけでもびっくりですが、3歳の女の子が新聞を読むお手本にしたのが、お父さんやお母さんではなく、たった5歳のお姉ちゃんだったとは…さらにびっくりです。

みなさんは今、何歳ですか?

3歳や5歳の時に新聞を読んでいましたか?


 実は、紹介文には続きがありました。こんなふうに続きます。

紙面でドラえもんや動物を見つけるのが楽しいようです。

 まだまともに字も読めない3歳の女の子なりの、新聞の読み方ですね。

何歳だって新聞をかっこよく読めます。

さて、みなさんは新聞を読んでいますか?七菜ちゃんのお手本になれますか?】



いかがでしたか?

新聞記事が伝えていること自体は大袈裟な話ではないのです。

ただ3歳の女の子が新聞を読むようになったという話です。


しかし、「3歳が新聞を読む」という言葉と写真が無性に惹かれるのですね。




そして、なぜこの記事を素材にしたかというと、聞き手となる子どもたちにとって

年下の子から学ぶ

ということができる話も作ってみたいと思ったからです。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月8日水曜日

とっておきの話312「自分よりも長生きしてほしいもの」の裏話

Twitterに、とっておきの話312「自分よりも長生きしてほしいもの」の原稿をアップしました。

とっておきの話312「自分よりも長生きしてほしいもの」の原稿



人間には寿命があります。

必ず死は訪れます。


しかし、自分が死んだ後も生き続けるものがあります。

生き続けてほしいと願うものがあります。


今回のとっておきの話は、とある歌手の方の願いが素材になっています。



それでは原稿を読んでみましょう⇩


(半崎美子さんの写真を提示)

 


 ある日、先生は雑誌で半崎美子さんという歌手の人のインタビュー記事を何気なく見つけました。

雑誌の記事には、見出しと言って必ず題名のような言葉がついています。

先生が思わず釘づけになってしまったその記事の見出しには、こんな言葉が添えられていました。

自分よりも、□が長生きすることを願って


自分よりも長生きしてほしいと願うものって何でしょう?

□の中に入る言葉は何だと思いますか?(しばらく間をおく)



正解は、こんな見出しの言葉でした。

自分よりも、自分の歌が長生きすることを願って

 

半崎さんはこの時36歳。

例え自分の寿命が尽きて死んでしまった後も、自分が歌手として遺した「自分の歌」は誰かの心の中で生きている。

そんな願いをこめた言葉でした。


美術館に行くと、何百年も前に描いた絵が今でもたくさんの人たちの心を動かすことがあることに気づきます。

作った本人は長生きできなくても、たとえ死んでしまった後も、その人が遺した作品は誰かの心の中で長生きしている。

何十年、何百年と生き続けている。

そんな作品を遺したいと半崎さんは言っているのですね。


(自分が遺すもの と板書)

みなさんは、自分よりも長生きしてほしいと願う「自分が遺すもの」はありますか?

それが半崎さんのように歌であっても、美術館のような絵であっても、何であっても、誰かの心の中で生き続けるものを遺せたなら素敵ですよね。】



あなたにとって「自分が遺すもの」は何でしょう?

きっとそれは、形あるものでなくてもいいのだと思います。



人は二度死ぬと言われています。

一度目の死は身体的な死。

二度目の死は、「誰からも忘れ去られた時」に訪れる魂の死。



「自分が遺すもの」をもっている方は、二度目の死が訪れることなく生き続けていくのだと思います。

自分の身体は死ぬ。

しかし、誰かの心の中に自分よりも長生きしているものがある。

それはとても素敵なことですよね。



そうなると、この限られた人生の中で何を自分は遺せるのかということを考えて生きるようになります。

そんな視点をもって生きると、人生も変わっていくかもしれませんね。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月7日火曜日

とっておきの話311「“日本一”を使い続ける」の裏話

 Twitterに、とっておきの話311「“日本一”を使い続ける」の原稿をアップしました。

とっておきの話311「“日本一”を使い続ける」の原稿”



今回のとっておきの話も、大阪桐蔭高校が2017年に春の甲子園野球で日本一に輝いたエピソード素材からの話です。


まずは原稿を読んでみましょう⇩


【(西谷浩一監督の写真と大阪桐蔭の選手たちの写真を提示)

 


 2017年、春の甲子園野球で日本一に輝いた大阪桐蔭高校。

その監督をしていた西谷浩一さんは、監督歴18年、48歳の若さで甲子園優勝5回というすばらしい記録を持つ名監督です。



そんな西谷さん、監督としてこんなことを心がけているそうです。(次の言葉を板書)

「   」という言葉を日々の練習の中で使い続ける

 「 」の中にはどんな言葉が入ると思いますか?(少し間をおく)

 正解は、こんな言葉です。(「 」の中に 日本一 と板書)

「日本一」という言葉を日々の練習の中で使い続ける

 西谷さんによると、一日に最低10回は「日本一」と口にしているそうです。

「いまのキャッチボールで日本一になれるんだろうか」

「いまのノックで日本一になれるんだろうか」

「こんな掃除の仕方で日本一になれるんだろうか」

野球のこと以外にも、「日本一」という言葉を使っていることが分かりますよね。


 同じように、「日本一」という言葉をたくさん使ってきた学校の先生がいます。

先生の先輩であるその先生は、「日本一の学級にしたい」という思いで子どもたちと話す時は「日本一」という言葉をよく使うようにしていたそうです。

その学級はどうなったか…本で紹介されるほど、すばらしい学級になっていきました。

 みなさんは、日本一の学級を目指したいですか?

そう思うのなら、まずは「日本一」という言葉を意識して使ってみましょう。

言葉に出しているうちに、本当に日本一になる時が来るかもしれません。】



いかがでしたか?

言霊の力

というのはありますよね。


日本一のチームにしたいと思うのなら、「日本一」という言葉を使い続ける。

日本一の学級にしたいと思うのなら、「日本一」という言葉を使い続ける。


使い続けたその言葉は言霊となって力を発揮する。

これは別に、「日本一」という言葉ではなくても良いのだと思います。


このとっておきの話を作成した当時、日本一の学級という言葉の響きに憧れを感じていた自分がいました。

今はもっと冷静に、日本一の学級ではない目指す学級像を考えています。

ここで大事なのは、日本一の学級を目指すこと自体ではなく、

目指す夢があるのなら、まずはそれを言語化して言葉にしていくことです。



みなさんもぜひ、言霊の力を信じて実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年12月6日月曜日

とっておきの話310「○○中も成長」の裏話

Twitterに、とっておきの話310「○○中も成長」の原稿をアップしました。

とっておきの話310「○○中も成長」の原稿



みなさんは、タイトルの中の○○にどんな言葉を想像しましたか?

今回のとっておきの話のテーマは

成長

です。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


【(西谷浩一監督の写真と大阪桐蔭の選手たちの写真を提示)


    

 2017年、春の甲子園野球で日本一に輝いた大阪桐蔭高校。その監督をしていた西谷浩一さんは、監督歴18年、48歳の若さで甲子園優勝5回というすばらしい記録を持つ名監督です。

そんな西谷さん、こんなことを雑誌のインタビューの中で言っています。

「日本一になるためには、□□に成長しないといけない」

 □には、どんな言葉が入ると思いますか?(少し間をおく)



 正解は、こう言いました。(次の言葉を板書)

「日本一になるためには、大会中に成長しないといけない」



 みなさんは、大会の日まで練習を重ねて成長し、大会の日になったら今までの練習の成果を出そうと思っていませんか?

それも大切ですが、日本一になるようなチームは、さらに、大会中も何が上手くいったか、何を直さないといけないかを考え、成長しようとします。

 練習の時だけ成長している訳ではなく、本番中も成長している。

それが、日本一と呼ばれるチームが育つポイントなのかもしれませんね。

 みなさんの部活の大会はいつですか?

毎日の練習での成長はもちろん、大会中も成長できる日本一の気持ちをもった選手になってくださいね。】




よくアニメを観ていると、同じ場面が出てくる時があります。

ドラゴンボールやワンピース、ナルトをみなさんはご存知ですか?

これらのアニメには、

「闘いの最中も成長している」

というセリフが出てきます。



普通、成長と聞くと「本番」に向けた過程の中でしていくようなイメージがありますよね。

しかし、「本番」の最中であっても、成長し続ける人こそ本物なのではないかと思わされます。



甲子園日本一に導いた名将、西谷監督はその価値に気付いていたのですね。

日本一になるためには、「大会中に成長」しないといけないと言うのです。

大会は大会として、今までの努力を出す場だという思い込みから抜け出せます。

大会中でも選手は成長できるのだと信じる監督の存在の大きさに驚きます。



教員と子どもという立場であっても、「本番」という場面はあります。

そこで、「本番中でも成長」という視点を大事にしたいですね。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月3日金曜日

とっておきの話309「休もうと思って○○している」の裏話

Twitterに、とっておきの話309「休もうと思って○○している」の原稿をアップしました。

とっておきの話309「休もうと思って○○している」の原稿



致知という雑誌をみなさんはご存知ですか?

作成当時、よく読んでいたのを思い出します。

今はもう読まなくなってしまったのですが、当時の僕にとっては魅力的に映ったエピソード素材もありました。

その中の1つ。今回のとっておきの話はみなさんの目にどう映るでしょうか。


原稿を読んでみましょう⇩


【(桑村彩さんと安野光雄さんの写真を提示)

 


 最近読んだ雑誌の中に桑村綾さんと安野光雄さんの対談記録が載っていました。

桑村さんは倒産しそうだった和食のお店を立て直した女将さん。

安野さんは有名な画家です。

その世界では一流と呼ばれる二人の対談記録の中で、桑村さんはこんなことを言っています。


「私はこれまでその道を極めたという方に何人もお会いしてきましたけれども、

みなさんに共通しているのが、「ちょっと無理したから休もう」と言って何をされているかと思ったら、

やはり○○をされている。

○○をしていることが休むことになっているんです。」


 2つの□には、同じ言葉が入ります。何だと思いますか?(少し間をおく)


 正解は、「仕事」です。

仕事をしていることが休むことになっている と板書)


 仕事をすることが休むことなんて信じられないですよね。

でも、一流と呼ばれる人たちは、その仕事でさえも楽しんで休みにしてしまうのです。

仕事を「ちょっと無理」な仕事と「休む」仕事に分ける力があるのです。


みなさんは、勉強を「ちょっと無理」な勉強と「休む」勉強に分けることができますか?

 「勉強していてちょっと無理したから休もう」と言って勉強していたら、将来ものすごい大物になっているかもしれませんね。】




原稿はここで終わっています。

仕事=休み

が結び付く人ってそういないと思います。

ふつうなら、

仕事←→休み

という関係性が思い浮かぶと思います。


語弊が生まれないように自分なりに補足すると、きっと

仕事しながら抜くところは抜いている休み方

が上手なのだと思います。

仕事の仕方を工夫することで、自分に負担をかけずに仕事し続けられる。

大切なのは持続性です。

一流と呼ばれる人は、この「続ける力」が鍛えられています。

自分に負担をかけ過ぎず、いかに持続性を保てるか。

そんな視点から学べる話ではないでしょうか。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年12月2日木曜日

とっておきの話308「千手観音の手」の裏話

Twitterに、とっておきの話308「千手観音の手」の原稿をアップしました。

とっておきの話308「千手観音の手」の原稿



千手観音の手というタイトルを読んだだけでは、どんな話なのか想像しづらいかもしれません。

実はこれ、目の見えない子どもがお母さんのことを表現した言葉なのです。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


【(千手観音の写真を提示し、 千手観音 と板書)

 


 みなさんは、千手観音の像を見たことがありますか?

写真を見ると、手がたくさんありますよね。

「千手」とは「たくさんの手」のこと。

「観音」というのは観音様と呼ばれる仏教の世界で偉い人のことを言います。

みなさんは、こんなに手がいっぱいあって普通じゃないと思いますか?


 でもね、こんな詩があります。


目の見えない子供の描いた お母さんという絵には いくつもの手がかいてあった

それを見たときわたくしは 千手観音さまの実在を はっきりと知った

それ以来あの一本一本の手が いきいきと生きて 見えるようになった

異様なおん姿が 少しも異様でなく 真実のおん姿に 見えるようになった


 目の見えない子がお母さんの絵をかくと、たくさん手がかいてあったんですね。

なぜだかわかりますか?(少し間をおく)

それは、今までお母さんの手がその子にいろんなことをしてきたからです。

さみしい時は手をつないであげ、抱きしめてほしい時は手で体を寄せてくれた。

他にも、お母さんと関わる時はいつもお母さんの手が何かをしていた。

目の見えない子にとって、それくらいお母さんの手というのは当たり前のように見えてたくさんのことをしていると感じたのでしょうね。

千手観音のたくさんの手も、今までしてくれたことを思い出せば、誰でもたくさんの手をかけてもらっているから当たり前だとこの詩は言っています。


 みなさんは今まで、どんな人からどれだけの手をかけて生きてきましたか?

だれの手も借りずに生きてきた人なんて一人もいません。

きっとだれでも、千手観音のように数えきれないほどの手をかけてもらって生きてきているはずです。

その手を感じられる人になってくださいね。

そして、みなさんも、だれかのために自分の手をいくつも差し伸べられるような人になりましょう。】



こうやって読んでみると、

愛情

がテーマのような気がしますね。

目の見えない子にとって、母からの愛情はまるでたくさんの温かい手のように感じるのでしょうね。

それだけ多くの場面で母から愛情を注がれてきたという訳です。


愛情と言えば、親子関係だけでないですよね。

教師と子どもの関係でも愛情が生まれます。

子どもへの愛情という意味では、千手観音の手のような想起がされる教師でありたいですよね。


みなさんの周りには、千手観音の手と呼べるほどたくさん愛情を注いでくれる人はいますか?

そして、あなたは誰かにとっての千手観音の手と言えるでしょうか?



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年12月1日水曜日

とっておきの話307「左手も使ってみたら?」の裏話

Twitterに、とっておきの話307「左手も使ってみたら?」の原稿をアップしました。

とっておきの話307「左手も使ってみたら?」の原稿



今回もアートたけし展で出会った素材を元にしたとっておきの話。

当時はアートたけし展が自分にとってこれだけ印象に残ったという訳ですね。

このように、自分が体験した1つの出来事からいくつもの素材を手に入れることもあります。


タイトルから想像できると思いますが、

利き手以外の手も使ってみたらどうですか?

というのが今回のとっておきの話で伝えたいメッセージです。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


【ある日、絵をかくことには全くの初心者だったビートたけしさんは、絵に詳しい人からこんなことを言われます。

左手を使って、絵をかいてごらん。

 たけしさんの利き手は右手。

なぜ、利き手ではない左手を使ってかくといいのでしょう?

(少し間をおく)

 実はこの言葉には、こんな続きがありました。

利き手ではない手でかけば、自分の思う通りにはならないから。

そういう絵が良い。

 利き手でかこうとすると、頭でいろいろと考えてしまう。

でも、利き手ではない左手でかけば、自分の思う通りにはならないからこそ、自由で発想豊かな絵がかける。

そういう意味だそうです。


 実は先生も、利き手ではない左手を使ってあることをする時があります。

何だと思いますか?(少し間をおく)

こんなことです。

(はしを使ってご飯を食べる と板書)

 利き手ではない手ではしを使ってご飯を食べる。

なぜこんなことをしたかというと、いつも使われていない頭の中の脳を使うためです。

頭の中の脳は右と左に分かれていて、右手を使っている時は左の脳が、左手を使っている時は右の脳が使われるそうです。

右手ばっかり使っている毎日を送っていた先生は、どっちの脳もバランスよく使うために左手ではしを持ってみました。

今では左手で字を書くこともできます。


 みなさんの利き手は右手か左手か、どちらですか?

利き手ではない手でいろんなことを試してみてください。

いつもと違うってだけで楽しいですし、いつの間にか、脳が鍛えられて頭が良くなっているかもしれません。】


当時、まさに自分自身が利き手以外の手を使うことにハマっていたのですね。

左手ではしを使ってみたり、左手で字を書いてみたりしていました。




今でもできますが、当時は特に毎日のようにしていました。

この時の自分とこの素材がマッチしたのでしょう。


原稿でも述べているように、利き手以外の手を使うからこそできる表現があったり、脳が鍛えられたりします。

人はいつもやっていることばかりしていると慣れが生じるものです。

利き手以外の手を使うというだけで、非日常を味わい、良い刺激になります。


気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の裏話

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