2023年2月26日日曜日

とっておきの話476「学力よりも学習力を」の裏話

 Twitterに、とっておきの話476「学力よりも学習力を」の原稿をアップしました。

とっておきの話476「学力よりも学習力を」の原稿



みなさんは、『けテぶれ』をご存知ですか?


葛原祥太先生が提唱され、教育界ではある種のブームを巻き起こした考え方です。

本のタイトル通り、まさに宿題革命だと唸らせる考え方だと言えます。


しかし、実際にやってみると難しさもあります。

ここで大事なのは、けテぶれ実践をする上では教師の語りも重要だという点です。

著書には、どんな語りをすればよいのか、ある程度示されています。


一方で、さらに解像度高く語れるようにしておくことで、ポイントポイントで教師の語りが入り、子どもたちもモチベーション維持できるはずです。

できれば全ての語りに合わせてパワーポイントのスライドも創っておきたいですね。

著書を再読しながら、新年度に改めて導入するため、そんなことを思って足掛けとして今回の話を創ってみました。



それでは原稿を読んでみましょう⇩


(学力 と板書)

 みなさんの中で、学力を身につけたいと思う人は手を挙げてください。(挙手)

身につけたい人が多そうですよね。誰でもテストで100点を取りたいものです。



 でも、学力よりも身につけた方が良い力があります。似ている言葉ですが意味は全く違います。

それは…(学習力 と板書)学習力です。

 みなさんはこれから、学び方を学んでいくことが大切です。それは、自分で学ぶ力を身につけるということです。もしかしたら、すぐに学力が身に付かないかもしれません。100点をなかなか取れなくても、自分で学ぶ力が身に付いてきたのなら、そこに価値があります。もしかしたら、すでに学力が身に付いているかもしれません。でも、自分で学ぶ力を身に付いていないと、これからの学力も身に付けることは難しいのです。



 (やる気のコントロール 苦手見つけ 自分に合った学び方 と板書)

 学習力とは、やる気をコントロールしたり、自分が苦手なことを見つけて向き合ったり、自分に合った学び方を見つけたりする力のことを言います。ただ、一人ではなかなか身に付けることは難しいです。どうしたらいいと思いますか?(指名)大事なのは、次の2つです。

(①  人を頼る ② マネぶ と提示)

 自分で学ぶ力を身に付けるために、たくさんの人に頼れるようになってください。お互いに頼りたい時は頼れる仲間がいる人は、学習力を身に付けていけます。学ぶはマネぶと言われるように、たくさんの人の良い学び方を真似してみてください。どんどん学び方を学べるようになります。

(学力よりも学習力を と板書)

 今日から学習力を身に付ける練習をしていきます。学力よりも一生使える力です。そのために、クラスの友達と支え合い高め合う関係をつくりましょう。それはあなたを一生支える力になります。学力よりも学習力を大切に身に付けていきましょう。


いかがでしたか?


学力を身に付けることは重要です。

しかし、それだけでは、自立した学習者として育ちません。

学力だけでなく、学習力を身に付ける。

これはわかりやすく、奥が深いメッセージだと言えます。


さて、この語りだけで十分でしょうか?

僕はそう思いません。

もっと点で語りを入れ、点と点が結ばれて線で語りを入れていくようにしないといけないと思います。

どんな教育実践も、このようにサポート的な語りがあってこそ理想的な姿として実現していくと考えます。

『けテぶれ』もそうだなと思います。


そして、語りを考えると、その教育実践への理解も深まります。

ここが本当に大事で、教育実践への理解を深めてから導入しないと痛い目にあいます。

自分自身の理解を深める上でも、サポートする語りを自分で用意することが大事ではないでしょうか。

僕は新年度に向けて、創り続け、整理したいと思っています。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年2月20日月曜日

とっておきの話475「あなたの最新刊は?」の裏話

 Twitterに、とっておきの話475「あなたの最新刊は?」の原稿をアップしました。

とっておきの話475「あなたの最新刊は?」の原稿


2023年お正月新聞広告シリーズは今回が最後となりそうです。

今回は、新潮社の広告を素材にしました。


いつだって、出会ったときが最新刊


とてもステキな言葉ですよね。

本屋さんで言われる最新刊というのは、あくまでも販売の上での最新刊。

最近作られた本が最新刊という訳ではなく、他でもないあなたが出会ったときがあなただけの最新刊の本という意味合いを感じられます。


このように、アンチテーゼのような、固定観念を崩す端的な言葉は驚きがあり、とっておきの話の素材となりやすいです。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(次の表示を提示)

1960年4月6日 初版第1刷発行


 どんな本にも、巻末ページにこのような記載があります。これは何だと思いますか?(指名)

正解は、本が出版された日付です。この日付を見ると、いつ作られた本を自分が読んでいるのかが分かります。意外とものすごく古い本を読んでいた!なんてこともあるかもしれません。



(いつだって、    ときが最新刊 と提示)

 みなさんは、新しいもの好きですか?本ならいつも最新刊を読みたいと思うかもしれませんね。でも、本を出している会社は広告の中でこんなことを言っています。

(いつだって、出会ったときが最新刊 と提示)

 新しい本だろうと、古い本だろうと、いつだってあなたがその本に出会ったときが最新刊なのです。人それぞれに今出会っている最新刊の本があるという訳です。



(あなたの最新刊は? と板書)

 今みなさんが読んでいる最新刊の本は何ですか?

お互いに紹介し合ってみましょう。(簡単に紹介する時間を設ける)

もしかしたら、自分が出会っている最新刊が、誰かの最新刊の本となるかもしれませんね。


いかがでしたか?


最新刊


をキーワードにして、始めは発行日に注目させ、中盤で隠して見せ、終盤で自分にとっての最新刊の本を紹介し合う演出を取り入れました。


このように、キーワードとなる言葉さえ決まれば、その周りにどう肉付けしていくのかというアイデアが湧いてきます。

今回は割とシンプルな構成で説話を創った方だと思います。


視野を広げておくと、キーワードとなる言葉への肉付けもスムーズにいきます。

あ、これと結び付けてみよう!という直感で行うイメージです。

その営みは何とも言えない心地よさがあります。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年2月16日木曜日

とっておきの話474「幸せな時間が生まれる」の裏話

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とっておきの話474「幸せな時間が生まれる」の原稿


お正月広告を素材にする小話。

まだまだ続きます。


今回はハウスメーカーの広告から。



個人的にハウスメーカーの広告は文章が詩のようで素材になりやすいと思います。

それは、きっとキーワードとなる言葉が含まれる可能性が高いからなのでしょうね。


僕が特に心惹かれた言葉がこちら。

「幸せな時間は、住まいの中で生まれています。」


この「住まい」の部分を変えて考えていくと、それぞれの場所の中で生まれている幸せな時間について見つめ直し、心温まる話ができると考えました。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(○○な時間が幸せ と板書)

 あなたにとって、幸せな時間と言えば何をしている時間ですか?○○な時間が幸せと答えてみましょう。(指名)

 なるほど、では、その時間を過ごしている場所はどこの中ですか?



(幸せな時間は、住まいの中で生まれています。 と提示)

 これは、先生が最近見つけたハウスメーカーの広告の言葉です。

住まいの中で生まれている幸せな時間として、次のようなものが紹介されています。(次の画像を提示)



(幸せな時間は、〇年〇組の教室の中で生まれています。 と提示)

 幸せな時間が生まれているのは、住まいの中だけではないはずです。

きっとこの〇年〇組の教室の中で生まれている幸せな時間もあるでしょう。

それをじっくりと考えてみてください。思いつく人はいますか?(指名)

ほら、もう幸せな気持ちになってきていませんか?


いかがでしたか?


幸せな時間は、住まいの中だけでなく、学校の中でも生まれていると思うんですよね。

それを子どもたちと一緒に考えることで、そこが安心できる居場所としてメタ認知できると思います。


そう。学校は幸せな時間が生まれ、安心できる居場所として認知されるものでありたい。

そこに教師がいて、子どもがいるのだから。


幸せな時間は、学校の中で生まれています。

学校という枠が広いのなら、〇年〇組の教室の中で生まれていますと表現すると焦点化されて考えやすいと思います。


ここで大事なのは、ただ幸せな時間と言うだけでは抽象的で曖昧に終わってしまうので、幸せな時間の「中身」を具体化していくことだと思います。

その空間の中で生まれる幸せな時間は、具体的にはどんな幸せな時間なのか。

ここを掘り下げて子どもたちと一緒に考えることで、幸せな時間が生まれる場所をより鮮明にメタ認知できるはずです。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年2月13日月曜日

とっておきの話473「インターネットのおかげでできること」の裏話

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とっておきの話473「インターネットのおかげでできること」の原稿



今回も2023年お正月広告から素材にしています。


特にインパクトのある素材は、部分的にタイミング良く見せることで、子どもたちにとっても魅力的に映ります。

ここが教師の「見せる力」の見せ所だと思います。


まずは素材を見てもらいましょう。こちらです。


かわいらしいアイコン絵が36個も敷き詰められています。

さらに、見出しが面白いですよね。

「こんなにたくさん!」とただ書くのではなく、「こ」の後に横棒を限りなく伸ばしていく。新聞広告の特性を活かしながら、周りをぐるっと囲っています。


では、どの部分を切り取って見せ、どのタイミングで見せていくと小話として成立するのか。

その点に注目しながら、原稿を読んでみてください。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(次の画像を提示)


 みなさんは、インターネットのおかげでできることと言えば、どんなことがあると思いますか?(指名)なるほど。これは先生がお正月で見つけたあるインターネット会社の広告です。

実はこんな風に続きます。(次の画像を提示)


こ?何でしょう?さらに続きがあります。(次の画像を提示)


あれ?やけに「こ」を伸ばしますね。実はこの後に、「こんなにたくさん!」と続いていきます。
インターネットのおかげでできること、いくつ紹介されていると思いますか?

こんなにたくさんあるのですよ。(次の画像を提示)


全部で36。

 気になる絵はありますか?

(子どもたちが気になった絵をもとに、「これは何ができることを示している絵だろう?」と一緒に楽しみながら考えます)

インターネットのおかげでできることって、こんなにたくさんあるのですね。みなさんが想像していたこと以外のものもきっとあったのではないでしょうか。

みなさんは、この36のできること、使いこなす自信はありますか?

インターネットに振り回される人ではなく、インターネットを使いこなす人になってください。


いかがでしたか?

どんな部分を、どのタイミングで見せているか伝わったでしょうか。


基本的には、作り手である自分自身がどこに興味を惹かれたのかを中心に考えていきます。

そこから、なぜ自分はそこに興味を惹かれたのかを考え、逆算するように出合いの演出を生み出していきます。

そうして考えていくことで、どんな部分を、どのタイミングで見せるかが判断できるようになっていきます。



気になった方はぜひ、実践してみてください。
ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2023年2月12日日曜日

とっておきの話472「おもしろいものは必ず」の裏話

 Twitterに、とっておきの話472「おもしろいものは必ず」の原稿をアップしました。

とっておきの話472「おもしろいものは必ず」の原稿


 お正月と言えば必ずやること。

それがコンビニへ行き、新聞全社分買うことです。

今回は、そこで出合った集英社さんの広告を素材にしました。

こんな広告です。




集英社さんのお正月広告は毎年おもしろく、昨年は「進年」という言葉が印象的な広告でした。もちろんこれも、とっておきの話の素材として活用させていただきました。

そんな集英社さんの今年の広告は、

おもしろさ

についての内容。素材にならない訳がありません。


それでは、原稿を読んでみましょう⇩


(おもしろい と板書)

 みなさんは、どんなことにおもしろいと感じますか?(指名)(場合によっては、「先生は最近、こんなことがおもしろいと感じました」と例示する)

 では、自分もそんなおもしろいものを創ってみたい!と思う人?(挙手)



(おもしろいものは必ず と板書)

 絶対にこんなことがおもしろい!というのは無いのかもしれませんね。でも先生は、今年のお正月にこんな言葉を見つけました。おもしろいものは必ず…この後に続く言葉は何だと思いますか?

(おもしろいものは必ずどこか新しい と板書)

 おもしろさと新しさが結び付くなんて思いもしませんよね。でも確かに、今まで自分がおもしろいと思ったものは、どこか新しいところがあったかもしれませんよね。みなさんは、漫画を読んでいておもしろいと思ったことはありませんか?この言葉は、そんな漫画を創っている会社のこんな広告に載っていました。(広告の全体像の画像を提示)



 では、どうやったらおもしろさを生み出す新しさを見つけられるのか。最後にこの言葉を贈ります。

(次の言葉を提示)


回り道をたくさんしよう。

ギリギリで生まれるひらめきを信じよう。

昨日とちがう答えを見つけよう。


新しさを自分たちの力で生み出せるようになったら、みなさんもきっと、おもしろいものを創れるはずです。

一緒にみんなで出掛けませんか?ワクワクで、ドキドキで、ゾクゾクなおもしろさの旅へ。


いかがでしたか?


おもしろさと新しさの結びつきを感じさせる視点を提示してくれる話ですよね。


新しいからと言って必ずおもしろい訳ではない。

でも、おもしろいものは必ずどこか新しい。


これは本当に真理だなと思います。

だからこそ、新しい一歩を踏み出す勇気や挑戦は失ってはいけない気持ちだと思うのです。

子どもたちの中には、新しい変化を嫌う子もいます。

今までの自分から脱け出し、新しい自分に出会うのが怖い子もいます。

そんな子たちの背中を押すような話になればと思います。


ただ単純に「勇気を出せ!」という話ではなく、おもしろいものを創ってみたくありませんか?と優しく呼びかける話であることで、気持ちが動く子もいるのではないでしょうか。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の裏話

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