2022年3月29日火曜日

とっておきの話382「机上無一物」の裏話

Twitterに、とっておきの話382「机上無一物」の原稿をアップしました。

とっておきの話382「机上無一物」の原稿



「机の上をきれいにしなさい」

という指示は教員なら誰でもしたことのある指示でしょう。


子どもたちの中には、なかなか机の上を片付けられないままの子もいます。

そんな時、単調な指示だけでは子どもの心には届きません。

今回の小話は、ちょっと変わった言葉で表現することで机の上をきれいにするきっかけを作るのがねらいです。


それでは原稿を読んでみましょう⇩



(キジョウムイチブツ と提示)

どんな意味の言葉なのかわかりますか?

カタカナだと難しいと思うので,平仮名にしてみます。

(きじょうむいちぶつ と提示)

平仮名にしてもわからないですか?では,漢字にしてみましょう。



(机上無一物 と提示)

漢字にすると,なんとなく意味がわかってきたのではないでしょうか?

「机上」は机の上のことを言います。

「無一物」とは,物が一つも無いと書きます。

なので,机上無一物というのは,こういう状態のことを言います。

(次の画像を提示)




 

 机の上には何も無いきれいな状態。特に使う物が無い時にはこのことを意識していきましょう。

合言葉は「机上無一物」。

なんだかカッコイイ言葉ですね。】


いかがでしたか?


今回の場合、「机上無一物」という五字熟語自体に興味を惹きつけるパワーがあるので、余計な話はしません。

小話全体としてもシンプルにまとめてあります。


まず、「机上無一物」をあえて平仮名やカタカナ表記で示すことで、これがどんな意味を示す言葉なのかを子どもたちに考えてもらいます。

聞き手の思考を通して受け取った言葉は、聞き手にとって自分事として受け止める言葉になります。


その後、簡単に意味を説明した後、実際に机上無一物とはどんな状態なのかを写真で示します。

視覚的な訴えがあると具体的な行動をイメージしやすいです。

ここで、できれば子どもたちが知っている教室の写真を見せられると尚良いです。

身近な写真であればあるほど、自分事として行動できるのです。


ただ「机をきれいにしなさい」と言うよりも、「机上無一物だね」とかっこよく価値づけすることで、いつもとは違う反応を示す子どもたちに出会えるはずです。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2022年3月25日金曜日

とっておきの話381「ココロを換気する。」の裏話

Twitterに、とっておきの話381「ココロを換気する。」の原稿をアップしました。

とっておきの話381「ココロを換気する。」の原稿



最近のご時世ではよく耳にする「換気」。

ウイルス対策のため、空気を入れ換える行動を意味します。

換気と聞くと、子どもたちがイメージするのは教室や廊下の窓が開けられる様子でしょう。


しかし、今回の素材はそれとは違う新しい窓が開けられる換気を提示してくれています。

それが「心」の換気です。


それでは原稿を読んでみましょう⇩



(換気 かんき と提示)

 いつも換気しているこの部屋。

 換気は,空気を入れ換えると書きます。

でも,換気の気が,空気の気ではなく,気持ちの気だと読むこともできるのです。


 (次の画像を提示)


 これは,先生が最近見かけたラジオの広告です。

最初のこの言葉が素敵だなと思いました。

(ラジオはココロを換気する。 と強調)

部屋の換気も大事だけど,ラジオをつけてココロの換気も大切にしてね。と伝えています。

どうしてココロの換気も大切にしないといけないのでしょう?

(数人を指名する。落ち込む・イライラする等)


 (○○はココロを換気する。 と提示)

 ラジオ以外にも,ココロを換気するものがあるはずです。

 どんなものがあるかな?(数人指名する。本,外遊び,友達とおしゃべり等)

 みなさんの心に問いかけて,それぞれの方法でココロを換気してくださいね。



いかがでしたか?

素材元は、ラジオ番組の広告。ある日の新聞に掲載されていました。


この素材は、次の言葉が最大の魅力だと感じました。

「ラジオはココロを換気する。」


この言葉を生かした小話づくりを心掛けました。

そこでキーとなる問いは、次の問いです。


「ラジオ以外にも、ココロを換気するものがあるはずです。どんなものがあるかな?」


つまり、素材元ではラジオ限定で問いを投げていた言葉を広く一般化するような問いを作るのです。

こうすることで、聞き手である子どもたちの実態に合いやすくなります。


なぜこうした問いを作ることが必要か。

それは、子どもたちが小話を聞いて自分事と思ってほしいからです。


ただのラジオ番組の広告を見せられただけでは子どもたちは自分事と思わず、その後の行動に結び付きません。

ラジオ以外にも心を換気するものを自分で考え、探してみることで自分事となり、行動に結びついていくのです。


ちなみに私の担任する学級でこの小話をした時は、

掃除、給食、話し合い、外遊び、読書

などが心を換気するものとして子どもたちから挙げられました。


みなさんの学級ではどんな意見が挙がるでしょうか。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2022年3月16日水曜日

とっておきの話380「経験泥棒」の裏話

 Twitterに、とっておきの話380「経験泥棒」の原稿をアップしました。

とっておきの話380「経験泥棒」の原稿


「セブンルール」という番組では、働く女性の生き方をテーマに様々な方が出てきます。

その方の7つのルールには、小話として紹介したくなるような新鮮な視点が出てくる時があります。


今回の素材は、20210216放送の「セブンルール」。

湖池屋マーケティング部の野間和香奈さんです。


この番組の良さとして、自分の知らない職業の仕事の裏側を知ることができるのも魅力です。

まだ観たことない方はぜひご覧ください。

最近はテレビ離れが進む時代ですが、まだまだテレビ番組にも良い番組があると思います。

その番組の中では、思わぬステキな素材との出合いが眠っているものです。



 (泥棒の画像を提示)

 


 これは何でしょう?(少し間をおく)泥棒ですね。

 では,泥棒は何を盗みますか?(何人か指名)

 例えば,宝石泥棒なんてよく言われますよね。



 では,こんな泥棒を知っていますか?

(経験泥棒 と提示)

 経験を泥棒するってどういう意味だと思いますか?


 この言葉を教えてくれたのはこの方。(画像を提示)野間和香奈さんです。

 


ポテトチップスで有名な湖池屋のマーケティング部でリーダーの仕事をしている人です。

野間さんは言います。

「リーダーとして,部下のためにと思って自分が代わりにやってあげたことが,実は部下の経験を泥棒していたと気づいた。だから私は経験泥棒にはなりたくありません。」と。



 (やってあげすぎない と提示)

 年下の子には,何でもかんでもやってあげたくなるものです。

でも,やってあげすぎないことが大切です。

経験泥棒にならないように気をつけながら,年下の子のサポートをしてあげましょう。

年下の子が自分で考えるようになったら,あなたにとっても良い経験となりますよ。



いかがでしたか?


良かれと思ってやってあげたことが、実はその人にとっては経験泥棒だったことって意外と多いものです。

例えば聞き手が高学年の子どもたちだとしたら、低学年に対してやってあげる場面が増えてくる時期だと思います。

その時、何でもかんでもやってあげるのが良いことだと無意識に思い込んでいる子もいるでしょう。

そこにストップをかけるきっかけとなるのが今回の経験泥棒の話だと思います。


このように、一見良いと思われるような行動でも、新しい視点で見つめ直してみると必ずしも絶対良いとは言えないという今回の小話のようなパターンはとっておきの話によく出てきます。

そこには聞き手にとっての発見が生まれ、視野が広がるきっかけとなります。


自分にはない新しい視点を受け止め、小話に昇華できるか。

この部分を大事にすると、今回のような素材も上手く小話にできます。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2022年3月10日木曜日

とっておきの話379「時はあなたが刻む」の裏話

 Twitterに、とっておきの話379「時はあなたが刻む」の原稿をアップしました。

とっておきの話379「時はあなたが刻む」の原稿



「時間」「時」をテーマにしたとっておきの話は、これまでも発信してきました。

今回も「時」がテーマです。

この「時」の捉え方も奥深く、哲学的です。


今回の素材は、時計と言えばこの会社「SEIKO」さんの広告コピーです。




タイトルにもあるように、

時はあなたが刻む

がキーフレーズとなります。

いったいどういう意味でしょうか。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(時間 時  と提示)

 時間や時は,あなたたちを待ってくれませんね?時計は進み続けています。

 学校でも,1時間目,2時間目,と,時間がどんどん過ぎていきます。

「あぁ,もう3時間目だ!」なんて,時間に追われている人はいませんか?



 そんな人に,こんな言葉を送ります。

(時間とは追われるものではない と提示)

 時間とは追われるものではないのです。この言葉は,ある時計会社の広告で見つけました。

その広告には,こんな言葉が続きました。(以下を提示)

 

時間とは追われるものではない。

一人ひとりの中にあり、一人ひとりが刻むもの。

この先どうなるか、まだまだわからないけれど。

どうかすべての人が、自分自身の、

かけがえのない時間を過ごせますように。



 そして最後に,こんな言葉で締めくくられていました。(以下を提示)


時はあなたが刻む。

 

 時間に追われるのではなく,自分自身で時を刻んでいくのだという姿勢で過ごしたいですね。

「あぁ,もう3時間目だ!」と言っているそこのあなた,「3時間目の授業はこうやって時を刻んでいくぞ!」という姿勢で授業を受けてみましょう。

時間に追われなくて済みますよ。】


いかがでしたか?


この素材になぜ感動したかというと、何を隠そう私も時間に追われている人だからです。

今回の小話は、時間に追われている人からするとかなり刺さる内容ではないでしょうか。


自分は時を自分で刻むことができているだろうか。

こうした振り返りを促すことができる小話です。


みなさんは、時をあなた自身で刻んでいますか?

あなたの人生なので、あなた自身が時を刻んでいくべきです。

時間に追われている感覚から抜け出したいですね。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2022年3月4日金曜日

とっておきの話378「悔いのない準備をして」の裏話

Twitterに、とっておきの話378「悔いのない準備をして」の原稿をアップしました。

とっておきの話378「悔いのない準備をして」の原稿



新聞を読んでいると、スポーツ選手や芸能人のインタビュー記事が載っていることがあります。

その時、見出しの言葉から素材が見つかることもありますが、内容をよく読んでみると思わぬ素材に出合うこともあります。

今回の素材は、そんな見出し以外で見つけた言葉や考え方です。



テーマは「悔いのない」「後悔」です。


みなさんは、何か後悔をした経験がありますか?

反省とは違って後悔はネガティブなイメージが付き纏いますよね。

しかし、「悔いのない」という表現をすることでポジティブに変換できます。


今回のとっておきの話は「悔いのない」に続く思わぬ言葉を楽しみながら読んでみてください。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


 (悔いのない と板書)

 悔いのない,とは,悔しい気持ちを残さないという意味です。

 この言葉を使う時,悔いのない○○の○○には何が入るでしょう?

(少し間をおく)

 例えば,こんなふうに使います。

(以下のように,いくつか例示する)


悔いのない試合

悔いのない大会

悔いのない試験

悔いのない本番

悔いのない学校生活 など



 では,こんな使い方は聞いたことがありますか?

悔いのない準備 と提示)


みなさんは,準備をする時に悔しい気持ちを残してきたと思ったことはありますか?

意識していないとなかなかそんな気持ちにはなれませんよね。

でも,この言葉を使ったのは,野球の日本代表選手を束ねる監督さんです。

この監督さんは,「いい準備をして」という言葉をよく使っているそうです。



 みなさんは今,○○の準備中ですよね。(実態に合わせて○○の中身を変える)

 悔いのない本番を迎えるためには,悔いのない準備が大切です。

今,みなさんは本当に悔いのない準備ができていますか?

もしこのままだと悔しい気持ちを残しそうなら,もう少し準備を大切にしてみましょう。



いかがでしたか?


僕にとって「悔いのない」に続く言葉が「準備」だったことが一番印象的だったのです。

悔いのない準備をしているかどうか。という視点は確かに大切にしたいですね。


なぜここまで印象に残ったのかと振り返るとまた面白いです。


人はよく、「結果」に対して後悔をしますよね。

この「結果」というものの中に「準備」が入るという発想が無いんですよね。

だから意外に思ったのかもしれません。

「準備」は「過程」に含まれるものだというイメージが強いからです。

「過程」だと思っていた「準備」が実はそれも「結果」の一つとして見ることができ、そこに「悔いのない」という価値づけをすることができるのです。


これは作成当時、僕にとっての大きな発見でした。


この話をきっかけに、稲葉監督のように

「いい準備をして」

と子どもたちに声掛けをしながら、悔いのない準備を意識していきたいですね。


「その準備に悔いはない?」

という問いかけもしていいかもしれません。


とっておきの話はあくまできっかけ。

その後にどう声掛けしていくか、問いかけしていくかが大切です。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2022年3月2日水曜日

とっておきの話377「世界を変えるための○の目標」の裏話

 Twitterに、とっておきの話377「世界を変えるための〇の目標」の原稿をアップしました。

とっておきの話377「世界を変えるための〇の目標」の原稿



タイトルから見て、SDGsが思い浮かぶ方は意識の高い方です。

その通りです。今回の素材は、SDGsの「世界を変えるための17の目標」です。

持続可能な開発目標と呼ばれるものですね。


しかし、今回のとっておきの話は、SDGsがテーマというよりは、「世界を変えるための」という部分に着目し、学級を変えるためにどんな目標を立てたら良いのか?を投げかける小話となっています。

このように、素材本来のねらいとはずらして小話を作ることもあります。

切り取り方は作り手に委ねられています。

こう切り取らなくてはいけないという縛りはありません。

この自由度が、とっておきの話づくりの良さでもあります。



それでは原稿を読んでみましょう⇩


(次の画像を見せる)

 


これは,「世界を変えるための17の目標」という画像です。

SDGs(持続可能な開発目標)と言って,これからの世界で大切にしていきたい17の目標が書いてあります。


 この画像を見て,先生は3つのことが面白いと思いました。

 何だと思いますか?

(少し間をおく)



 1つ目の面白いところは,「世界を変えるための」という言葉です。

 この「世界」を,君たちが身近に感じる世界で置き換えてみましょう。

 例えば,こんなふうに置き換えてみたらどうでしょう?

(学級を変えるための と提示)


 2つ目の面白いところは,「17の目標」という目標の数です。

 君たちが学級を変えるためにはいくつ目標が必要かな?

 とりあえず10個は考えてみましょうか。

(学級を変えるための10の目標 と提示)


 3つ目の面白いところは,それぞれの目標にアイコンと言ってわかりやすい図や絵が載っているところです。みんなで考えた目標を,私たちもこのようにアイコンで表してみませんか?



 では今から,学級の目標を次のようなタイトルで,アイコンで表して掲示物にしてみましょう。きっとステキな見た目の掲示物になりそうです。

(学級を変えるための10の目標 と再提示)

 私たちの目指すゴールを,このように表してみるとわかりやすくなりますね。



いかがでしたか?


この話をきっかけに、「学級を変えるための10の目標って何だろう?」と子どもたちが考え出したら大成功です。


僕はこの素材は、言葉の並びがステキだと思いました。

「~を変えるための○の目標」という表現は、学級だけでなく、様々な場所を当てはめることができるだけでなく、その目標の数も自由に設定できます。

こうした分かりやすい枠があると、小話の汎用性が生まれていきます。


SDGsの話につなげていっても良いのですが、聞き手の子どもたちの実態として難しい話ということであれば、こうした切り口から「変えるための目標」という意識をもってもらうことから始めてみてはいかがでしょうか?


そこからゆくゆくは、SDGsの話につなげていっても良いですね。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2022年3月1日火曜日

とっておきの話376「ありがとうを聞かせたお菓子」の裏話

Twitterに、とっておきの話376「ありがとうを聞かせたお菓子」の原稿をアップしました。

とっておきの話376「ありがとうを聞かせたお菓子」の原稿



当時、1歳の息子がよく食べていたお菓子。

それがボーロでした。みなさんはご存知ですか?

愛知県犬山市で作られている赤ちゃん向けのお菓子です。


こうした赤ちゃんが食べるようなお菓子にも実は、素材が眠っているものです。

お菓子に、というよりは、お菓子のパッケージに気になる言葉がありました。

今回はその言葉を素材に小話を作ってみました。


もちろん、パッケージに書かれた言葉だけで小話を作るのは情報が足りません。

なので、そこからさらにネットで調べ、裏付けとなる情報を得た上で小話にしています。

素材に対する正しい情報収集は探す力を鍛えていく上で欠かせない視点です。



それでは原稿を読んでみましょう⇩


(言葉を隠したボーロのパッケージ写真を提示)

 


 このお菓子の名前を知っていますか?

(少し間をおく)ボーロですね。

 小さい頃、よく食べていたという人も多いと思います。


 このボーロの入っている袋に、気になる言葉が書いてあるのをみなさんは知っていますか?



 こんな言葉です。(以下を提示)


このお菓子にはありがとうを100万回聞かせてあります


どういう意味だと思いますか?それは、ボーロを作る工場内の写真を見ると分かります。

こちらです。(次の写真を提示)

 


幼稚園児50人の「ありがとう」と言う声を録音しておき、工場内のスピーカーから何度も繰り返し流しているのです。

先代の社長がお客さんや従業員に対してありがとうを伝えたい。

そんな思いから、約15年前から始まったそうです。



 この方法が良いか悪いかはあえて言いません。

ただ、勘違いしてほしくないのは、100万回のありがとうは回数が多いから価値があるという単純な話ではないということです。

 もしあなたがボーロを作るお菓子会社の社長だったら、お客さんや従業員に対してどのようにありがとうを伝えますか?ここを考えられる人は、ありがとうの伝え方名人です。



いかがでしたか?


今回のとっておきの話で特に注目していただきたいのは、終盤部分です。

僕自身、作り手として素材信仰は危険だと感じています。


本当にその素材が主張していることが教育的に正しいのか、道徳的に正しいのか。

こうした検証は絶対に怠ってはいけないと思います。


なぜなら、子どもたちにとって教師の発する言葉は絶大な影響力をもつからです。

間違った考え方を植え付ける小話ではむしろ逆効果です。


だからこそ、今回の「ありがとうを100万回聞かせたお菓子」については、インパクトがありながらも扱いには注意が必要だと考えました。


例えば、この話を聞いて、とにかくたくさんありがとうを言えばいいと考える子が続出したのなら、小話の教育的効果としてはいまいちです。

そこで、終盤で釘を刺しています。

「100万回のありがとうは回数が多いから価値があるという単純な話ではない」と。

回数の大きさだけを真似するのではなく、なぜそれだけの回数を重ねる必要があるのか。

その裏にある考え方や想いに寄り添い、自分だったらどうするかを考えてほしいのです。


このように、素材によっては、過度な素材信仰を防ぐために、賛成も否定もせず終える締めくくり方をします。

聞き手に考える余地を与えるのです。

こうすることで、幅広い視野で考えることができます。

せっかくのとっておきの話なのですから、聞き手の視野を狭めずに話してあげたいですね。



気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の裏話

  Xに、とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の原稿をアップしました。 とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の原稿 三方良し という言葉が個人的には好きなのですが、今の時代は「ウィンウィン(Win Win)」という言葉の方が聞き馴染みが...