Twitterに、とっておきの話376「ありがとうを聞かせたお菓子」の原稿をアップしました。
当時、1歳の息子がよく食べていたお菓子。
それがボーロでした。みなさんはご存知ですか?
愛知県犬山市で作られている赤ちゃん向けのお菓子です。
こうした赤ちゃんが食べるようなお菓子にも実は、素材が眠っているものです。
お菓子に、というよりは、お菓子のパッケージに気になる言葉がありました。
今回はその言葉を素材に小話を作ってみました。
もちろん、パッケージに書かれた言葉だけで小話を作るのは情報が足りません。
なので、そこからさらにネットで調べ、裏付けとなる情報を得た上で小話にしています。
素材に対する正しい情報収集は探す力を鍛えていく上で欠かせない視点です。
それでは原稿を読んでみましょう⇩
【(言葉を隠したボーロのパッケージ写真を提示)
このお菓子の名前を知っていますか?
(少し間をおく)ボーロですね。
小さい頃、よく食べていたという人も多いと思います。
このボーロの入っている袋に、気になる言葉が書いてあるのをみなさんは知っていますか?
こんな言葉です。(以下を提示)
このお菓子にはありがとうを100万回聞かせてあります
どういう意味だと思いますか?それは、ボーロを作る工場内の写真を見ると分かります。
こちらです。(次の写真を提示)
幼稚園児50人の「ありがとう」と言う声を録音しておき、工場内のスピーカーから何度も繰り返し流しているのです。
先代の社長がお客さんや従業員に対してありがとうを伝えたい。
そんな思いから、約15年前から始まったそうです。
この方法が良いか悪いかはあえて言いません。
ただ、勘違いしてほしくないのは、100万回のありがとうは回数が多いから価値があるという単純な話ではないということです。
もしあなたがボーロを作るお菓子会社の社長だったら、お客さんや従業員に対してどのようにありがとうを伝えますか?ここを考えられる人は、ありがとうの伝え方名人です。】
いかがでしたか?
今回のとっておきの話で特に注目していただきたいのは、終盤部分です。
僕自身、作り手として素材信仰は危険だと感じています。
本当にその素材が主張していることが教育的に正しいのか、道徳的に正しいのか。
こうした検証は絶対に怠ってはいけないと思います。
なぜなら、子どもたちにとって教師の発する言葉は絶大な影響力をもつからです。
間違った考え方を植え付ける小話ではむしろ逆効果です。
だからこそ、今回の「ありがとうを100万回聞かせたお菓子」については、インパクトがありながらも扱いには注意が必要だと考えました。
例えば、この話を聞いて、とにかくたくさんありがとうを言えばいいと考える子が続出したのなら、小話の教育的効果としてはいまいちです。
そこで、終盤で釘を刺しています。
「100万回のありがとうは回数が多いから価値があるという単純な話ではない」と。
回数の大きさだけを真似するのではなく、なぜそれだけの回数を重ねる必要があるのか。
その裏にある考え方や想いに寄り添い、自分だったらどうするかを考えてほしいのです。
このように、素材によっては、過度な素材信仰を防ぐために、賛成も否定もせず終える締めくくり方をします。
聞き手に考える余地を与えるのです。
こうすることで、幅広い視野で考えることができます。
せっかくのとっておきの話なのですから、聞き手の視野を狭めずに話してあげたいですね。
気になった方はぜひ実践してみてください。
ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。
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