2021年3月31日水曜日

とっておきの話95「勝ち負けがあるから成長できる」の裏話

Twitterに,とっておきの話95「勝ち負けがあるから成長できる」の原稿をアップしました。

とっておきの話95「勝ち負けがあるから成長できる」の原稿




なぜ,勝ち負けがあると成長できるのでしょう?



それは,勝ち負けがあると,あなたのそばに

ライバル

がいるからです。


ライバルをWikipediaで調べると,

同等もしくはそれ以上の実力を持つ競争相手の意味。

と出てきます。


切磋琢磨できるライバルがいると,良い刺激となり,競争しているうちに自分も実力をつけていけます。


こうした

自分を成長させてくれるライバル

を見つけられているかどうかも,重要なポイントとなることがあります。




昨年度,特別支援学級の担任をしていました。

新1年生に,二人の男の子が同じクラスにいました。

二人とも,最初は塗り絵から学習が始まりました。

しかし,お互いをライバルだと意識し始めてから,二人とも大きく躍進しました。


年度末には,漢字で自分の名前を書いたり,通常学級と同じ程度の計算をこなしたりするようになりました。

ライバルを見つけると子どもは大きく成長できると実感した1年でした。

その裏では,僕自身,ゲーム感覚で「勝ち負け」を意識的に取り入れて指導していたとも言えます。



「勝ち負け」のある出来事は,このご時世では非難されがちです。

僕は小学生の頃,まさに「ゆとり世代」と呼ばれる世代でした。

運動会の徒競走は「勝ち負け」が無いように一緒に手をつないで走っていた時代でした。

確かに,一方的な「勝ち負け」や思いやりのない「勝ち負け」などは非難されるべきです。


とっておきの話44「負ける人のおかげで勝てる」では,勝った人こそ負けた人を尊重して向き合うべきだという話をしました。

勝った人が一方的に勝ちを喜び,負けた人を貶める。

そんな「勝ち負け」は非難されるべき「勝ち負け」です。



一方,とっておきの話48「ノミのジャンプ」では,自分で限界を勝手に決めてしまい,高く跳べなくなったノミたちに新たなライバルのノミを一緒にしたことで,また高く跳べるようになった話を紹介しました。

ライバルの存在によって,自分の限界が取り払われ,もっと高く跳べる(成長できる)ようになるのです。




「勝ち負け」は,全面的に否定されるものではないし,全面的に肯定されるものでもないのです。

こうした「勝ち負け」に対する価値観を伝えてくれるキーワードが「ライバル」です。



「勝ち負け」の結果だけに注目するのではなく,負けてしまったけど悔しい相手。

切磋琢磨しながら「次は負けないぞ!」と素直に競争できる相手。

そんな「自分を成長させてくれるライバル」を探す。

そこに聞き手が楽しみを見出せると良いと思い,こうしたとっておきの話を作りました。



世間的に非難されているからこの話題はダメ。

と決めつけている素材って意外と多いものです。

「本当にダメなのかな?」

と疑ってみるのも,とっておきの話の素材となります。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。



2021年3月30日火曜日

とっておきの話94「おうちの人からのメッセージ」の裏話

Twitterに,とっておきの話94「おうちの人からのメッセージ」の原稿をアップしました。

とっておきの話94「おうちの人からのメッセージ」の原稿



おうちの人=保護者

のことを指します。



昨今の時代では,迂闊に「お母さん」「お父さん」という表現が使えません。

母子家庭や父子家庭,親がいない施設の子もいるからです。

クラスに1人~3人は当たり前にいる時代です。(学校によってはもっと多いかも)


かと言って,「保護者」という表現は聞き手の子どもたちにとってあまりピンと来ません。

なので,「おうちの人」という表現を使っています。


そんな「おうちの人からのメッセージ」,教室の中で一番受け取っているのは誰だと思いますか?




そう,担任の先生です。

連絡帳には毎日,様々な子の保護者からメッセージが届きます。



中には重大な問題を示唆する内容も。。。


でも,「我が子の成長を思って」が前提のメッセージばかりなのです。

こうした保護者の思いは,毎日連絡帳を点検する担任が一番受け取っているように思えます。


しかし,こうしたメッセージは,本来「その子本人」に確実に届けるべきではないでしょうか?

連絡帳に漢字で書いてある大人向けのメッセージも,内容によっては子どもに紹介してもいいと思います。


ましてや,連絡帳ではなく,今回のように

「おうちの人からのメッセージを書くページ(欄)」

のある冊子(夏休み日誌など)やプリントは,その存在を子どもたちに強く意識してもらう必要があると考えます。




今回の話「おうちの人からのメッセージ」を披露すると,分かることがあります。

それは。。。


担任が思っている以上に,

子どもたちは,おうちの人からのメッセージを気にも留めていない。

ということです。


大変悲しい事実ですが,それぐらい

「立ち止まってメッセージを読んでみる時間」

が必要だということです。



こうした時間を設けることで,

・僕のお母さんはこんなことを考えてくれていたんだ。

・私のお父さんはこんな気持ちだったんだ。

というような「おうちの人の想い・気持ち」に触れることができます。

子どもたちにとってそれは大きな発見であり,新しい発見のようです。



時として教師は,子どもとおうちの人をつなげる役割も担うべきです。

今回のとっておきの話も,気になった方はぜひ,実践してみてください。



ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年3月29日月曜日

とっておきの話93「どんな気持ちで書いたでしょう」の裏話

Twitterに,とっておきの話93「どんな気持ちで書いたでしょう」の原稿をアップしました。

とっておきの話93「どんな気持ちで書いたでしょう」の原稿




教員をされている方は,子どもに字を丁寧に書いてほしいと願う時,どんな風に指導されますか?

個別に呼んで「ていねいに書いてね」と声をかけても良いですが,

僕の場合はまず,全体にとっておきの話をして個別指導の伏線を貼ることにしています。


それがこの「どんな気持ちで書いたでしょう」という話です。

僕は,字の評価には4つの要素があると思っています。


① 丁寧な字

② 雑な字

③ きれいな(美しい)(上手な)字

④ 汚い(下手な)字


①と②は相反し,③と④も相反する要素です。

①と②は意識(気持ち)次第,③と④は技能(テクニック)次第です。

技能(テクニック)が上達するには,練習を積み重ねる必要があるので時間がかかります。

でも,意識(気持ち)は少し気をつければ変われます。


これらを組み合わせてみると,字の見方がわかります。


①と③ 丁寧に書いたきれいな字

最高です。気持ちをこめて書いているし,技能も優れている字です。


①と④ 丁寧に書いた汚い字

最高です。技能が足りなくても,一生懸命気持ちをこめて書いた字です。


②と③ 雑に書いたきれいな字

最悪です。自分の技能に甘んじて,気持ちをこめて書いていない字です。


②と④ 雑に書いた汚い字

最悪です。上手になろうという気持ちが全くない字です。当然技能も身につきません。


以上のように,僕は字のきれいさよりも丁寧さを大事にしたいと考えています。

それは,字を丁寧に書き続けた子は自然ときれいな字へと上達していくからです。

気持ちをこめれば技能は後からついてくると信じています。



だからこそ,今回の原稿では,こんな言葉が出てきます。


【字を見れば,書いた人の気持ちがわかる。】


先輩の先生の学級通信から素材のヒントを得ましたが,僕も日頃から感じていたことでした。

プラスの気持ちで書いた字とマイナスの気持ちで書いた字。

見てみると意外にその違いはわかってしまうものです。



「どんな気持ちで書いたでしょう」の話を聞いた子どもたちが,

書いた字から気持ちまで想像できるようになり,

いつかは自分の字を自分の気持ちと照らし合わせながら振り返られる力を身につけてほしいと思います。




ん?今回の内容は国語的だと思った方,鋭いご指摘ですね。

でも,国語的でも「気持ち」にフォーカスを当てた話なので,それは国語的であって道徳的な話なのです。

道徳という枠組みに囚われず,自由なテーマでとっておきの話を作ってみてください。

○○的道徳的な話。○○にはいろんな教科・領域が入る可能性が秘められています。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月28日日曜日

とっておきの話92「最後の最後まで成長できる」の裏話

Twitterに,とっておきの話92「最後の最後まで成長できる」の原稿をアップしました。

とっておきの話92「最後の最後まで成長できる」の原稿



今回も前回に引き続き,先輩の先生の学級通信から得た素材です。

この素材をいただいた当時,甲子園で優勝した作新学院高校の野球部のみなさん。



彼らは,こんな合言葉を大事にしていたそうです。


「最後の1アウトを取るまで成長は可能」


いい言葉ですよね。

先輩の先生は,これをこんな風に言い換えていました。


人は,最後の最後まで成長できる


成長できると信じることが大切だと先輩の先生は学級通信で語っています。


まず,自分が成長できると信じる。

原稿から抜粋してみます。

【〇年△組にいるあなたたち一人一人も,〇年生最後の1時間まで成長できるのです。そうやって成長できる自分を信じることができれば,努力も続けられそうではないでしょうか。】


次に,仲間が成長できると信じる。

原稿から抜粋してみます。

【作新学院高校野球部の強さは,仲間の成長を信じた選手たちの気持ちにあるそうです。人は,最後の最後まで成長できる。これは,自分のことだけではありません。今助け合っている仲間も,成長していくのです。あなたの仲間の中には,成長の遅い仲間もいるかもしれません。でも,その仲間も,最後の最後まで成長できるのです。】


① 最後の最後まで成長できると自分を信じることができるか

② 最後の最後まで成長できると(クラスの)仲間を信じることができるか


この2つの問いかけを柱にしてとっておきの話づくりをしてみました。

どちらも深く考えてみたい問いですよね。


最後の最後まで成長できると自分を信じている人が集まった学級は,最後の最後まで成長できると仲間を信じられる学級になります。

そして,担任の先生自身も,学級の子どもたちが最後の最後まで成長できると信じることが大切です。


信じているよ


このメッセージを伝え合うからこそ,絆が生まれるのです。

信じる力で学級経営。ステキですよね。



原稿の終わりには,

伸びしろ無限大

なんて言葉を付け加えてありますがこれは蛇足かもしれません。

きっと当時の僕は,もっと短い言葉で合言葉になるものを探っていたのでしょう。


もしこの言葉を使うのなら,無限大のマーク「∞」をシンボルアイコンにしてもいいですよね。



合言葉は「最後の最後まで成長できる」にして,「∞」のマークを提示して振り返るのです。

合言葉+シンボルアイコン=聴覚+視覚からの振り返りになります。




さて,「最後の最後まで成長できる」の

「最後」とはいつのことでしょうか?


公開した原稿は,学校の先生が学級の子どもたちに向けて話す想定で作られています。

なので,ここで言う「最後」とは,「学年末」の時期を指します。

1年の終わりまで,この学級は成長できるよ,という意味です。


でも,1年に限定しなくてもいいですよね。

2年後や3年後を「最後」にしてもいいし,

卒業する時を「最後」にしてもいい。

小学校の卒業を「最後」にしてもいいし,

社会人手前の大学卒業を「最後」にしてもいい。


例えば,聞き手を小学生の子どもに限定しないのなら,「最後」のバリエーションはもっと多岐に渡ります。

「最後」はどんな時期に設定してもいいのです。

どんな時期に「最後」を設定するかによって,「最後の最後まで成長できる」の言葉の意味合いが変わってきます。




では,極端な「最後」とはいつでしょう?

僕は「その人の人生が終わる時」だと考えます。つまり,死ぬ時です。


しかし,極端な「最後」にたどり着くまでの間,人はもっと細かな「最後」を経験していくのです。

「最後」を「ゴール」と言い換えてみましょう。

その人の人生が終わる時を大きなゴールだとすると,そこまで走れと言われると辛くなりますよね。

やっぱり給水ポイントが必要になります。

人生をマラソンに喩えると,人生の節目である小さなゴールが設定されているからこそ,人は走り続けられるのだろうと考えます。

この「小さなゴールの連続が,大きなゴールまで走り続けられる力となります。」





なので,今回のように様々な節目に「最後」(ゴール)を設定し,

「最後の最後まで成長できる」と信じることは人の成長に大きく関わる力となるでしょう。

そういう意味で,今回のとっておきの話も『とっておき』だと思いました。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月27日土曜日

とっておきの話91「勝負するのは相手ではなく自分」の裏話

Twitterに,とっておきの話91「勝負するのは相手ではなく自分」の原稿をアップしました。

とっておきの話91「勝負するのは相手ではなく自分」の原稿



2016年ドラフト1位でプロ野球入りした今井達也選手。

高校野球時代の活躍ぶりは話題になりました。


当時はまさに「高校野球で日本一の投手」でした。


そんな今井投手。レギュラーメンバーを外れたこともあったそうです。

それでも,ある言葉を信じて,努力し続けてきたことで,日本一の投手になれました。

どんな言葉だと思いますか?


それは,こんな言葉です。

勝負するのは相手ではなく自分


この今井投手の言葉を受けて,学級通信を作った先輩の先生がいました。

その先生は,通信でこんなふうに語っています。


【その人がどれだけ成長できたかどうかを表したものを,成長率と言います。

成長率が高ければ高いほど,たくさん成長できたという意味です。

今井投手は,自分と勝負することで,成長率がすさまじく高くなったそうです。

なぜ,自分と勝負をし続けている人は成長率が高くなるのでしょうか?


僕も通信を読みながら,なぜだろう?と考えました。

通信では,自分と勝負し続けている人は成長率が高くなる理由は,3つあると続けます。



(1)自分が一番の敵

今井投手も,レギュラーメンバーから外れた時は苦しかったはずです。そんな自分の気持ちに打ち勝ったからこそ,日本一の投手になれたかもしれません。

とっておきの話75「自分と戦う力をつけよう」で紹介したイチロー選手のエピソードとつながりますよね。



【他人の記録をぬりかえるのは7割・8割の力でも可能ですが,自分の記録をぬりかえるには10割以上の力が必要です。】

自分は一番の敵なのです。



(2)自分を助けてくれる人

自分と勝負し続けている人には,助けてくれる人が集まります。


今井投手も,監督や仲間,家族からの助けをたくさんもらったそうです。



(3)自分のための練習

ほかのだれでもない,自分のための練習ができます。

今井投手も,たとえ猛練習でも,自分のためだと思ったからこそ続けていけたそうです。



こうした3つの理由から,自分と勝負し続けている人は成長率が高くなると語っています。

「勝負するのは相手ではなく自分」という言葉だけだと素材として説得力に欠けますが,今井投手のエピソードとともに3つの理由を提示されると納得できる言葉となりますよね。



聞き手に大切にしてほしい言葉があった時,ただ熱意をもって話せばいいわけではありません。

なぜその言葉が大切なのかという根拠をわかりやすく提示できるか。

ここをおさえてとっておきの話づくりができると良いです。


今回の今井投手の言葉と根拠となるエピソードはどれもわかりやすく,納得のいくものでした。

聞き手が自分事として捉えられるのです。

さらに,根拠を3つにまとめてあるのも素敵です。

長々と根拠を説明するよりも,3つに小分けしてエピソードを語った方がわかりやすく伝わります。

ナンバリングの手法がここでも使われていますね。



さて,今回の素材は学級通信から得ています。



学級通信は,教員が素材探しする上で魅力的な素材となりやすいです。

なぜかというと,次の3つの理由があるからです。


① その教員が探し出した素材を得られる。

今回の今井投手の言葉やエピソードを知ったのは,先輩の先生が探し出した素材として学級通信に載っていたからです。


② その教員の価値観も素材として得られる。

ついでに先輩の先生の価値観も素材となり得ます。素材からどのように考えたのかを知ることで,作り手としての視野も広がります。


③ わかりやすく伝える手法を真似できる。

優秀な学級通信には,わかりやすく伝える手法が詰まっています。

今回のナンバリングもそうですが,こうした手法を真似してとっておきの話づくりに活かすことができます。


みなさんがもし教員の方でしたら,自分以外の先生の学級通信を読むことをオススメします。

できれば尊敬できる先輩の先生の学級通信を読ませていただくの良いでしょう。

きっとそこから学べる素材があるはずです。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月25日木曜日

とっておきの話90「お弁当はふるさと」の裏話

Twitterに,とっておきの話90「お弁当はふるさと」の原稿をアップしました。

とっておきの話90「お弁当はふるさと」の原稿



今回のとっておきの話のテーマは,お弁当です。



小学生の頃,お弁当の時間ってなんだか特別に感じたものです。

それは,給食と比べてある決定的な違いがあるからだと考えます。


その違いとは・・・


みんなそれぞれ,味がちがう


ということです。

給食は,みんな同じ味のメニューを食べますよね。

でも,お弁当はそれぞれの家庭で作られたメニューがお弁当箱に入っています。


みなさんは小学生の頃,どんなお弁当を食べていましたか?


・野菜たっぷりのお弁当

・お肉や卵焼きばかりの茶色多めのお弁当

・彩り豊かなお弁当

・自分の好きな物しか入っていないお弁当

・嫌いな物も入っているお弁当

・キャラ弁などの見た目が面白いお弁当

・おにぎりがおいしいお弁当


それぞれのお弁当には,それぞれの味がします。

それは,それぞれに作っている人の存在があるからです。



YouTubeには,お弁当をテーマにした動画があります。

今回の話では,2つの動画素材が使われています。


1つ目は,大人になってからも自分が食べたお母さんのお弁当を覚えているかどうかという動画です。

意外と覚えているもので,そこには愛情いっぱいの思い出が込められていることがわかります。


【CM】〜泣ける!お母さんのお弁当覚えてる?〜「西友 HANDMADE HOMETOWN」(2015年)





2つ目は,お弁当を通して,親は子にメッセージを届けているのだということを考えさせられる動画です。「お弁当メール」という表現が素敵です。


【東京ガスのやっぱり泣けるCM】家族の絆「お弁当メール」編



どちらの動画も,何気なく食べていたお弁当の背景にある作り手の苦労や愛情に気づかせてくれる魅力的な素材です。

今回のとっておきの話では,こんな言葉で締めくくってみました。


お弁当はふるさと


子どもの頃に食べていたお弁当の思い出は,大人になってから思い出すとまるでふるさとのようです。

社会人になった今でも,母の作る味は思い出すものです。

こんな料理,食べていたなぁ,と。


給食が用意されているのが当たり前ではないように,

お弁当が用意されているのも当たり前ではないのです。


お弁当って素敵ですよね。




一方で,今回のとっておきの話の内容には注意点もあります。


学校現場でこの話を実践する時,聞き手である子どもたちのそれぞれの家庭環境に配慮しなければなりません。

経済的理由や家庭的事情により,お弁当を作る人がいない,お弁当がない,という子がいます。

子どもにはお父さんやお母さんがいて当たり前の時代ではありません。

みんなお母さんにお弁当を作ってもらっているでしょ?という前提でこの話をしてしまうと,知らないうちに傷つく子が現れてしまう危険性があります。


聞き手の全員が,だれか家族にお弁当を作ってもらっている家庭環境であるか事前に確認しておく必要があります。



このように,とっておきの話のテーマによっては,事前に聞き手の実態を確認する必要があります。

何気ない表現の違い,使う言葉の違いによって,伝わるニュアンスが変わります。


とっておきの話は,子どもたちの心に響かせる話でなければなりません。

決して,子どもたちの心を傷つける話とならないよう,注意していきたいですね。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月24日水曜日

とっておきの話89「連携は世界一」の裏話

Twitterに,とっておきの話89「連携は世界一」の原稿をアップしました。

とっておきの話89「連携は世界一」の原稿



みなさんは,バドミントンの試合を見たことがありますか?

バドミントンと言えば,この二人の選手が活躍した時代がありました。





「たかまつペア」と呼ばれるこのお二人。

2016年のリオデジャネイロオリンピックで金メダルを取った
高橋礼華さん(左:当時26歳)と松友美咲紀さん(右:当時24歳)です。


バドミントンには,一人で戦うシングルスの試合と,二人で戦うダブルスの試合があります。

たかまつペアは,ダブルスの試合で世界一になったのです。

さぞかしお二人ともシングルスでも強い選手同士なのだろうと思っていましたが,あるテレビ番組でインタビューされている様子を見ているとそうでもないそうです。



二人をペアとして組ませた「たかまつペア」の恩師:田所光男監督は,

【こんなこと言ったら彼女たちに失礼ですけど,たまたま組ませた選手がたまたま良かった。】

とインタビューに答えていました。

シングルスの選手を先に決めた田所監督は,たまたまその時にあまった二人(高橋さんと松友さん)をダブルスのペアとして組ませることに決めたそうです。

そんな決め方で組んだ「たかまつペア」。


田所監督はこんな風に評価しています。

【二人の性格は真反対。お互いに無いものを持っている。】

お互いに無いものをフォローし合った「たかまつペア」は,日本人初の世界ランキング1位のペアになりました。



ある雑誌のインタビューで,松友選手はこんなことを言っています。

【実力的には世界一ではないですが,二人の連携は世界一だと思っています。】

一人一人の力は世界一でなくても,二人の連携は世界一。

相手を思い合って動く連携(フォロー)ができた二人だからこそ,こうした言葉が出てくるのでしょう。




学校現場では,ペア学習がよく取り入れられます。

個で学ぶだけでは育たないものが育ちます。


そんな時,このとっておきの話を聞いて,

「ペアの子を大切に助け合っていこう。」

と思ってもらえたらいいなと思います。


個々の力は小さくても,誰かと力を合わせれば大きな力となる。

人間は社会的な動物だからこそ,大切にしたい考え方です。




こうした連携・フォロー・助け合いの姿が色濃くわかりやすく出てくるのがスポーツです。

特に,スポーツの祭典と呼ばれるオリンピックは見物です。

魅力あるプレーがたくさん出てきます。

ぜひ聞き手の子どもたちにも,オリンピックに興味をもってほしいなぁと思います。


一方,今年度は特別支援学級の児童にパラリンピックの紹介もしました。

こちらも見ていると胸が熱くなるほど魅力あるプレーの連続です。





スポーツ選手のがんばっている姿,助け合っている姿は,魅力ある素材としてとっておきの話づくりに生かすことができます。





気になった方はぜひ,実践してみてください。
ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。



2021年3月23日火曜日

とっておきの話88「まねる力」の裏話

Twitterに,とっておきの話88「まねる力」の原稿をアップしました。

とっておきの話88「まねる力」の原稿



学ぶ=まなぶ

という言葉の由来をご存知でしょうか?


実は,「まねぶ」(まねる=真似る)から来ているのです。

「まねる」が「まなぶ」の元々の意味でした。

良い行動を真似ることができる人は,良い学びができる人なのです。



素材がこれだけだと印象が弱いので,さらにもう1つ,エピソードを付け加えます。


赤ちゃんに関するとある研究結果です。



生後たった47分しか経っていない正真正銘の生まれたての赤ちゃんでも,

新生児模倣

と言って,「見た人の表情をまねすることができる」

という研究結果が出ているそうです。



人は生まれながらにしてまねる力をもっているのです。

それはつまり,まなぶ力をもっていることと同義です。

生まれながらもっている学ぶ力を使わないともったいないですよね。



まねる力,まなぶ力は,個人だけで発揮されるものではありません。

ステキな真似し合いができる学級は,ステキな学び合いができる学級です。

集団として機能された時,まねる力やまなぶ力はさらに大きな作用を生みます。


「〇〇くんの真似をして動いてごらん」

そんな声掛けができるといいですね。

良い行動はこのようにどんどん共有して全体に広げていきたいです。


気になった方はぜひ,実践してみてください。




ここからは余談ですが,教師修行においても「まねる力」は大切です。

教員の方は,

「追試実践」

という言葉をご存知ですか?


教師修行の1つとして有名な言葉です。

まず,自分にとって憧れの先生を決めます。

こんな先生になりたい!を具現化する憧れの先輩を探すのです。

そして,その先輩の先生の実践を追試する(真似る)ことを追試実践と言います。


憧れの先生が特にいない方でも,先生方は自然と何かしらの追試実践をしています。

教科書や指導書を見ずに授業している人はいませんよね?

教員は,全ての授業を一から作っている訳ではなく,あらかじめ用意された実践を真似しながら自分の授業にしていくのです。


ちなみに,この「とっておきの話」も,追試実践されやすいものです。

僕の公開している原稿をそのままに実践された場合は,追試実践です。


追試実践に慣れてくると,自分なりにアレンジしてみたくなります。

すると,追試から離れ,より学びある実践に昇華します。

そして,その人の実践が,また誰かに追試されるのです。


学ぶ力を大切にしてきたであろう教員であっても,未だに真似る力を大切にしているのです。

人はどこまでいっても真似る生き物であり,学ぶ生き物なのです。


全てを一から作っている人は存在しません。

どれだけ天才と呼ばれる人も,必ず誰かの影響を受けて真似ているのです。


真似ることは,決して恥ずかしいことではありません。

真似上手な人は,真似され上手です。

いつか誰かに真似されるような人になりたいですね。



ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月22日月曜日

とっておきの話87「10歳の△は,10年後の〇となる」の裏話

Twitterに,とっておきの話87「10歳の△は,10年後の〇となる」の原稿をアップしました。

とっておきの話87「10歳の△は,10年後の〇となる」の原稿



鳥取県に一人旅をしていた時,駅の改札口前の柱に貼ってあったこのポスターが気になりました。



このポスターがなぜ気になったかというと,言葉の運び方が応用できそうだと思ったからです。


20歳の努力は,20年後の人間力になる

20歳の情熱は,20年後の知力となる

20歳の行動は,20年後の勇気となる


例えば,「20歳」でなくても使えそうな言葉の運び方だと思いました。

また,「20年後」の部分を変えても面白そうだと思いました。


聞き手を小学生の子どもだと想定すれば,


10歳の△は,10年後の〇となる


として,△や〇に入る言葉を考えさせたら面白いと思ったのです。


実際に考えさせてみると,なかなか思いつく子どもは少ないです。

△か〇を先に提示しておき,それをヒントにもう片方を考える方が分かりやすそうです。


考えること自体が大事であって,考えつかなくても,次のことが伝われば良しとします。


今大切にしていることは,必ず将来の自分につながる。



今と将来をつなげるとっておきの話という訳です。




さて,今回は広告ポスターの中でも,駅で見つけたポスターを素材としました。

駅は,たくさんの人が行き交う場所です。



なので,少しでも立ち止まってたくさんの人に見てもらえるよう,印象的なポスターが貼られていることが多いです。

素材探しとしても絶好の場所になります。

時期によって,貼ってあるポスターが変わるので,旅行や仕事で電車に乗る時には必ず確認するようにしています。



今回の素材元は,公立鳥取環境大学のポスターです。


しかし,僕が注目したのは

「大学」でもなく

「鳥取」でもなく

「環境」でもなく

「20歳の△は,20年後の〇となる」という言葉の運び方です。


その広告ポスターが伝えようとしている内容そのものではない角度から,とっておきの話の素材が生まれることがあります。

ぜひ,様々な角度からポスターを観察してみてください。

あなたしか見つけられなかった素材がそこにあるはずです。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月21日日曜日

とっておきの話86「してあげる幸せ」の裏話

Twitterに,とっておきの話86「してあげる幸せ」の原稿をアップしました。

とっておきの話86「してあげる幸せ」の原稿



あなたが幸せだと感じる時はいつですか?


ほしいものを買ってもらえた時

遊びたい遊びができた時

一緒にいてほしい人と過ごせた時

友達と過ごす時間

家族との団欒


これらは全て,「してもらう幸せ」です。


実は幸せには,もう1つの形があるのをご存知でしょうか?



それが「してあげる幸せ」です。



人は,誰かに何かをしてあげることによって,オキシトシンという幸せホルモンが脳から分泌されます。

抱き合ったり握手をしたりして相手の肌に触れると出るようなホルモンなのですが,「してあげる幸せ」とも密接な関わりがあります。




オキシトシンが分泌されるとどんな効果を得られるか。


身体への効果としては,

・血圧の安定

・心臓機能の向上

・治癒力の向上


心への効果としては,

・ストレス減少

・幸福感が高まる

・社交性が高まる


が挙げられます。



まさに幸せホルモンですよね。


このとっておきの話の魅力は,こうしたオキシトシンの効果だけでなく,

オキシトシンが分泌される仕組みが「してあげる行為」にあることへ注目している点にあります。

つまり,幸せは「してもらう幸せ」だけではないという点にフォーカスしているのです。


人は,「幸せ」と聞くと,「してもらう幸せ」の形ばかり思い浮かべてしまいがちです。

しかし,「してあげる幸せ」という幸せの形もあることを知れば,「幸せ」というテーマに対する聞き手の視野が広がります。



まず,話の入り口で「あなたが幸せだと感じる時はいつ?」と聞くことで,聞き手に「してもらう幸せ」の形を想像してもらいます。

この時点で既に「してあげる幸せ」の形に気づいている聞き手もいるかもしれませんが,きっと少数派でしょう。


次に,「してあげる幸せ」の形だからこそ得られるオキシトシンの効果について紹介し,「してあげる幸せ」の価値を高めます。


最後に,聞き手の心に響き,誰かに何かをしてあげられる人になりたいと思えるような呼びかけをして締めくくります。

原稿では,こんな感じで呼びかけています。

【してもらう幸せばかりを追い求めず,してあげる幸せも意識して生活すると,今よりもっと,幸せを感じやすい人になるかもしれませんね。】



今回のとっておきの話の原稿は,個人的にも上手くまとまった原稿になっていると思います。

シンプルでわかりやすく,それでいて新たな発見のある内容。

毎回こんな風に原稿がまとまるといいのですが。。。




「してあげる幸せ」,みなさんは感じたことがありますか?


僕は最近パパになり,より感じるようになりました。

育児は「してあげる幸せ」の塊です。笑

してあげないと生きていけない赤ちゃんが目の前にいるのですから。





でも,嫌ではないのです。

育児は大変だけど,嫌ではない。

してあげる行為に苦労はあっても,それを脳内では幸せと感じているのでしょう。

オキシトシンの仕組みが無いと,育児も上手く機能しないのかもしれません。

人間の体内の仕組みにも,素材となるような神秘的な仕組みが存在します。




気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年3月20日土曜日

とっておきの話85「この世でもっともすばらしい発明」の裏話

Twitterに,とっておきの話85「この世でもっともすばらしい発明」の原稿をアップしました。

とっておきの話85「この世でもっともすばらしい発明」の原稿



発明家と言えばこの人ですよね。


発明王 トーマス・エジソン です。


そんなエジソンが,こんな名言を残しているのをご存知でしょうか?


「この世でもっともすばらしい発明は,子どもの素直な心だ」


発明王が言う「この世でもっともすばらしい発明」は,子どもの素直な心だというのには驚きですよね。



エジソンにとって,発明をするということは,自分以外の宇宙や自然からメッセージを受け取ることだと考えていました。

このメッセージを受け取る力があるのが,子どもの脳だというのです。



大人になると分かることですが,

子どもにしかできない発想力(発明)

ってありますよね。



それはやはり

子どもならではの素直な心

に起因しているのでしょう。



よく,子ども心を忘れるな,なんて言われますが,

大人になるといつの間にかこうした素直な心を忘れてしまうものです。




今回のとっておきの話。

子どもが聞けば「今しかできない発明をしてみよう」と思えるし,

大人が聞いても「子どもだった頃の素直な心を思い出してみよう」とも思えます。


子どもが聞いても大人が聞いても心に響く話って素敵ですよね。




気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。



2021年3月19日金曜日

とっておきの話84「練習は本番のように 本番は練習のように」の裏話

Twitterに,とっておきの話84「練習は本番のように 本番は練習のように」の原稿をアップしました。

とっておきの話84「練習は本番のように 本番は練習のように」の原稿



練習と本番

本番と練習


この2つはそれぞれ,密接なつながりがあります。

こんな言葉があります。


練習は本番のように 本番は練習のように




前半の「練習は本番のように」とは,

本番と同じ気持ちで練習を積み重ねていくと,本番は成功するという意味です。

練習だからといって手を抜いている子に聞かせたい話ですね。


後半の「本番は練習のように」とは。

練習と同じ気持ちでリラックスして本番に臨むと,成功するという意味です。

本番だからといって,必要以上に緊張することはありません。


なぜ前半に「練習は本番のように」なのかというと,

本番と同じ気持ちで練習を積み重ねてきた人こそ,本番はリラックスした気持ちで迎えることを大切にしてほしいからです。

練習から手を抜いてきた人が本番リラックスしていても,それはただの堕落です。


「練習は本番のように」を大切にしてきたからこそ,

「本番は練習のように」の言葉が生きるのです。


どちらか1つよりも,「練習は本番のように」「本番は練習のように」をこの順番でセットにして伝えた方が良いでしょう。



何かの行事前にこうした話をすることが多いです。

試合や大会前でも良いでしょう。



教師としては,本番に向けての練習こそ指導に力を注ぎたいものです。

逆に本番は,子どもたちを信じ,余裕をもって送り出したいものです。



練習と本番,本番と練習。

この2つをどう捉えるかによって,どんな練習,どんな本番になるかが変わります。

つまり,未来の結果が変わるのです。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年3月18日木曜日

とっておきの話83「ごちそうさまの意味」の裏話

Twitterに,とっておきの話83「ごちそうさまの意味」の原稿をアップしました。

とっておきの話83「ごちそうさまの意味」の原稿



普段何気なく使っている言葉。

その意味を知っている人は意外と少ないのかもしれません。


特に,あいさつの言葉は,良しとされていますが,その意味まで知っている人は少ないものです。


おはようございます

「なぜ,おはようございます という言葉なのか。どんな意味があるのか。」

みなさんは答えられますか?


他にも,


こんにちは

こんばんは

ありがとう

ごめんなさい

おねがいします

どういたしまして

いただきます


などなど,良しとされているあいさつの言葉はたくさんありますが,

その1つ1つの意味を調べ,理解している人はほとんどいません。


学校では,子どもたちにこれらの言葉を「良い言葉」として教えますが,

「なぜ良い言葉なのか」まで教えている先生は意外と少ないです。


しかし,「なぜ良い言葉なのか」まで教えないと,「良い言葉」さえ使っていればそれで良しとなってしまい,言葉に気持ちが乗りません。

形式的なあいさつ。形式的な良い言葉。

そんなものに意味はありません。


せっかく良い言葉なのだから,「意味」や「気持ち」を乗せて使いたいですよね。



今回の話では,そんな良い言葉(あいさつ)の中でも

ごちそうさま

の意味について紹介しています。




漢字で書くと

ご馳走様

です。


「馳」は「馬を走らせる」という意味で,その食事を作るためにあちこちに馬を走らせて準備するという意味です。

「走」は「走る」。その食事を作るために走り回って準備するという意味です。


何気なく使っていた「ごちそうさま」の言葉。

こうやって意味を調べてみると,

そんなに必死な言葉だったの!?という気持ちになります。


今の時代では料理する時に,馬を走らせたり,自分が走り回ったりまではしません。

しかし,似たようなことはしているのです。


材料の買い出しをするために,馬ではなく車を走らせていますよね?

走り回ることはしませんが,料理をする時に様々な手間をこめて作りますよね?

今の時代にも,「馳」や「走」があるのです。


さらに言えば,「ご馳走」してくださっているのは料理をする人だけではありません。

その食材を取る人,育てる人,運ぶ人,食器を準備する人,片付けてくれる人。。。

たくさんの人が携わって食事は成り立つのです。


自分が今日もおいしくご飯を食べられたのは,目の前のご飯を用意するためにたくさんの「ご馳走」があったからこそ。

そんな感謝の気持ちを込めて,

ごちそうさまでした!

と言いたいですね。


ご飯を食べた後は「ごちそうさま」と言いましょう。

なんて形式的な指導だけでは意味がありません。

今回のような話を添えることで,「ごちそうさま」に意味が乗ります。


最後にみなさんへクイズです。

「いただきます」にはどんな意味が乗ると思いますか?

調べてみると,こちらの良い言葉も面白いですよ。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年3月17日水曜日

とっておきの話82「啐啄同時」の裏話

Twitterに,とっておきの話82「啐啄同時」の原稿をアップしました。

とっておきの話82「啐啄同時」の原稿



啐啄同時


みなさんはこの四字熟語をご存知ですか?

「そったくどうじ」と読みます。



まずはこの画像をご覧ください。




鶏の雛が卵から産まれ出ようとする時,殻の中から卵の殻をつついて音をたてます。

これを「啐」と言います。

その時,すかさず親鳥が外から殻をついばんで破ります。

これを「啄」と言います。

そしてこの「啐」と「啄」が同時であってはじめて,殻が破れて雛が産まれるわけです。

これを「啐啄同時」と言います。


雛が内側から勝手につついて産まれてくる訳ではないのです。

そして,親鳥が勝手につついて雛を卵から出す訳でもないのです。


両者が息を合わせて内側と外側の両方から刺激を与えることで,初めて卵の殻は破れるのです。


啐啄同時という四字熟語


これは鶏に限らず,

師匠と弟子

親と子

そして,教師と子どもという関係でも当てはまる言葉です。


今回の原稿では,学校の授業を具体例として挙げています。

教師の「教えたい」(啐)と子どもの「学びたい」(啄)がぴったり合う(同時)のが理想の授業ですよね。


みなさんの周りには,上手くいっていない人間関係で悩んでいる方はいませんか?

上手くいかない関係の原因は,もしかしたら啐啄同時にあるかもしれません。


啐啄同時のうち,「啐」に偏っていませんか?

または,「啄」に偏っていませんか?


今どんなバランスかな?啐啄同時できているかな?

と確認してみると,意外と偏っていることが多いものです。


お互いに歩み寄れる関係だと,良い関係が作れますよね。

相手意識を大切にしたいです。



今回の素材のように,

動物の育児

には学べることが多いです。


僕の好きなペンギンは,2・3か月に及ぶ断食育児が有名な話としてあります。

素材になるかどうかはその人の感覚によって違いますが,

少なくとも「えっ?そんなに苦労しているの?」といったエピソードの1つや2つには出合えるはずです。


僕は,鶏の雛がこんなふうにして産まれるなんて知りませんでした。

たまたま耳に入ってきた言葉をネットで検索してみたら,意味が分かり,素敵な言葉だと思えたのです。



みなさんもぜひ,いろんな動物の育児エピソードを覗いてみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月16日火曜日

とっておきの話81「いろんな味わいを楽しむ」の裏話

Twitterに,とっておきの話81「いろんな味わいを楽しむ」の原稿をアップしました。

とっておきの話81「いろんな味わいを楽しむ」の原稿



この画像,可愛くてステキですよね↓


息子が生まれて1児の父になった現在は余計に思うのですが,赤ちゃんってなんでこんなに可愛いのでしょうね。



味の素さんの広告なのですが,一瞬にして目を奪われてしまいました。

まさに「一目惚れ」した素材です。


細かく見ていくと,さらに面白い広告です。


左から順に

柔らかい,粘っこい,甘い,塩っぱい,うま味がある,酸っぱい,苦い,滑らか,硬い

と様々な味や食感を表現する言葉が並んでいます。


それぞれ表情豊かな赤ちゃんによって見事にその様子が伝わります。



そして,その下にはこんな文章が↓


【甘い,酸っぱい,塩っぱい,苦い,うま味がある,粘っこい,滑らか,硬い,柔らかい…。

たくさんの味や食感に出会い,乗り越えることで,子どもの一生は味わい深いものになっていく。



誰しも(ほとんどの人が)毎日「食事」の時間はあります。

学校に通う子どもたちは,毎日給食を食べます。

毎日出会うたくさんの味や食感を楽しめる子になってほしいですね。


好き嫌いをなくして食べ,味わい深い人生につなげていく。

なんだか壮大なことにつながりそうな予感がしますよね。



大人の僕が一目惚れしたように,小学生の子どもに見せても,

「わぁー!赤ちゃんかわいい!」

という反応が返ってきました。

やっぱり赤ちゃんさすがです。


うちの子にもたくさんの味や食感を楽しんでほしいなぁ。

ちなみに赤ちゃんは本当に味や食感によって表情を変えます。

すごくわかりやすく変わるので,離乳食の時間が楽しいです。



みなさんもぜひ,一目惚れした素材でとっておきの話づくりに挑戦してみてください。

勢いで作った話も,案外いいものですよ。



ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月14日日曜日

とっておきの話80「百〇は一△にしかず」の裏話

Twitterに,とっておきの話80「百〇は一△にしかず」の原稿をアップしました。

とっておきの話80「百〇は一△にしかず」の原稿



百聞は一見に如かず


百回聞くよりも,一回見た方が価値のあることだという意味です。

みなさんご存知のことわざですよね。



でも,似たような言葉で,こんな言葉があります。


百見は一行に如かず


百回見るよりも,一回行った方が価値のあることだという意味です。



「百聞は一見に如かず」よりもさらに踏み込んだ言葉ですよね。

聞くよりも自分の目で見る。

見るよりも自分の足で行く。

そんな姿の価値を伝えるのにとっておきの話です。



このように,有名なことわざの一部を変えて新たに言葉を作ると,新しい視点を得られます。


今回の原稿はここで終わっていますが,タイトルにした

百〇は一△に如かず

という言葉には,可能性を感じます。

〇と△に何を入れるかによって,様々な言葉が作れそうだからです。



この際なので,いくつか作ってみました。



① 百練は一本に如かず

百回練習するよりも,一回の本番に価値がある。

逆に,一回の本番のためには,百回以上の練習を大事にすべし。



② 百話は一聞に如かず

百回自分の話をするよりも,相手の話を真剣に聞いた一回に価値がある。

聞く姿勢は大切にしたいですよね。



③ 百知は一調に如かず

百個の情報よりも,自分で調べた一つの知識に価値がある。

受け身で知るよりも,主体的に調べたことの方が大切ですよね。



④ 百他は一友に如かず

百人の他人よりも,たった一人の友達に価値がある。

友達は数ではなく,つながりの太さや関係の深さに意味があります。



⑤ 百群は一団に如かず

百の群れよりも,一つの集団に価値がある。

群れがいくら集まっても意味はありません。

チームワークの取れた集団にこそ価値があるのです。



⑥ 百作は一開に如かず

百の物を作るよりも,一つの物を公開した方が価値のあることだ。

自分の殻に閉じこもって百の物を作るよりも,作った物の中の一つでも公開していろんな人に見てもらう方を大切にしたい。

今,僕のしている「とっておきの話クリエイター」としての活動はそんな心境です。

作成と並行して,公開もしていきます。



⑦ 百哀は一喜に如かず

百の悲哀よりも,一回の喜楽に価値がある。

たとえ悲しいことが重なっても,一回の嬉しい出来事できっと帳消しになるから。



⑧ 百他は一自に如かず

百人の他人のことよりも,たった一人の自分のことを大切に。

自分を大切にできない人は,他人も大切にできません。



⑨ 百手は一傍に如かず

百回手を差し伸べるよりも,一度ただ傍にいる。

それだけで救われる心があるのです。



⑩ 百宝は一命に如かず

百個の宝より,たった1つの命。

命に勝る宝物なんてありません。命は大切に。




いかがだったでしょうか。まだまだ作れそうですね。


みなさんはどんな言葉が思い浮かんだでしょうか?

〇や△に何を入れるかによって,新たなとっておきの話が作れるでしょう。


ネットで調べてみると,こんな画像もありました↓




気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月13日土曜日

とっておきの話79「無知の知」の裏話

 Twitterに,とっておきの話79「無知の知」の原稿をアップしました。

とっておきの話79「無知の知」の原稿



無知の知

という言葉をご存知ですか?

哲学者ソクラテスの有名な言葉です。


知=知っている

無知=知らない


つまり,無知の知とは,

知らないことを知っている

という意味です。


この無知の知という言葉,良い言葉なのですが。。。

今回の原稿は話し手が説明しすぎで簡潔にまとまっていませんね。



なので,ちょっと作り直してみた原稿がこちら↓


【無知の知。自分が今知らないことを知っている人は,次の3つのいいことがあります。

1つ目は,知らなかったことが知れる。です。

知らないことがあるのですから,知る喜びを感じられます。

2つ目は,知っていることがどんどん増える。です。

知らないことに気づけば気づくほど,知っていることはどんどん増えます。

3つ目は,知ったかぶりではなく学ぶ人になれる。です。

人は自分が思っているよりも多くのことを知りません。

無知の知に気をつけられる人は,多くのことを学べる人になれます。

みなさんが今,知らないことは何ですか?それを学びのスタートにしましょう!】


いかがでしょう?

このように,ナンバリングするだけで簡潔にまとまった話ができます。


この原稿を作った自分は未熟でしたね。

しかし,そもそも「無知の知」という言葉自体,子どもには難しい概念であることも事実です。


哲学的な言葉は,大人でも理解しきるのが難しい概念が多いです。

だからこそ,子どもに話をする時には注意が必要です。


これは,慣用句やことわざ,四字熟語でも同じことが言えます。

たとえ良い言葉であっても,相手に伝わらなければただの難しい言葉として受け止められてしまうのです。



さて,原稿にはこんな言葉も素材として貼り付けてありました。



学ぶとは
いかに自らが
知らざるかを
知ること


うーん,良い言葉なのだけれど難しい!!!



みなさんには,誰かに話したい良い言葉はありますか?

上手く料理して話せるか,ぜひチャレンジしてみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年3月12日金曜日

とっておきの話78「小さなことを積み上げる力」の裏話

Twitterに,とっておきの話78「小さなことを積み上げる力」の原稿をアップしました。

とっておきの話78「小さなことを積み上げる力」の原稿



継続は力なり

塵も積もれば山となる

千里の道も一歩より


こうしたことわざがあるように,小さなことを積み上げる力はとても大切です。

イチロー選手も,こんなことを言っています。


小さいことを積み重ねるのが

とんでもないところへ行く

ただひとつの道だと思っています。


「とんでもないところ」という表現からは,一気にはいけなくても地道に続けていけば届かないところはないのだというイチロー選手の想いを感じられます。


「一日の百歩」よりも「百日の一歩ずつ」を大切にできる人は,とんでもないところにだっていけるのでしょう。


手軽に,近道で,とんでもないところへ行ける方法は無いのです。

小さいことを積み重ねる。

それがただひとつの道。

そう言い切るイチロー選手の言葉。

コツコツと続けることは難しいです。決して近道ではありません。

でも,続けていくと見えてくる景色があります。



とっておきの話69「信頼は,積み木」では,信頼は少しずつ積み木のように積み上げていくものだという話を紹介しました。


少しずつ積み上げていくのは,「信頼」だけでなく,「努力」も同じです。

信頼の積み木もあれば,努力の積み木もあるのです。



さて,読者のみなさんの中には,イチロー選手を詳しく知らない方もいらっしゃるかもしれません。

知っている方も,改めて彼の偉業を振り返ってみてください。



イチロー選手の20の偉業


① 通算3089安打,生涯打率3割1分1厘

② 日米通算安打4367本

③ 歴史的なデビューイヤー

④ 史上最高のルーキー

⑤ 年間最多安打記録

⑥ 通算7回の20試合以上連続安打

⑦ 生涯打率が3割を切ったのは1度だけ

⑧ デビューから10年連続200本安打

⑨ 三塁打で3000本安打達成

⑩ 27歳のデビューで3000本安打達成

⑪ 27歳以降の安打数は2位

⑫ 史上2番目の高齢で3000本達成

⑬ ホーム,ビジター問わず安定した成績

⑭ 左打者の対左腕で最高打率

⑮ メジャー全チームから安打を記録

⑯ 1番打者での史上最高打率

⑰ 史上唯一,オールスターでのランニングHR

⑱ 500盗塁&3000本安打を達成

⑲ 盗塁成功率81.3%

⑳ 10年連続ゴールデングラブ賞


詳しくは,こちらのサイトをご覧ください↓

https://news.jsports.co.jp/baseball/article/20190310215984/





イチロー選手の名言を素材にしたとっておきの話。

気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月11日木曜日

とっておきの話77「やらない後悔よりやる後悔」の裏話

Twitterに,とっておきの話77「やらない後悔よりやる後悔」の原稿をアップしました。

とっておきの話77「やらない後悔よりやる後悔」の原稿



やらない後悔よりもやる後悔


僕の中では特に好きな言葉の1つです。


同じ「後悔」でも,やらない後悔よりもやる後悔をしたいものです。

その違いは大きいからです。


やらない後悔は,後になってからやらなかったことを悔やみ,やっておけばよかったと後悔することです。

やる後悔は,その時は恥ずかしかったり辛かったりして後悔しても,後になってやったことが残っているので,やってよかったなと思える時が来るものです。


やらない後悔は,だれにでもできる後悔です。

でも,やる後悔は,やった人にしかできない後悔です。

そして,やる後悔はいつしか,後悔ではなくなっていきます。


やらない後悔よりもやる後悔,大切にしたいですね。



さて,原稿には,こんな素材も貼り付けてありました。




「やっておいてよかった」

「やっておけばよかった」

二文字違いだけれども,

その差はどこまでも大きい。



「やっておいてよかった」は,「やる後悔」を経たからこその気持ち。

「やっておけばよかった」は,「やらない後悔」がずっと続くからこその気持ちです。

差はどこまでも大きい。本当にそう思います。


目の前のことにチャレンジしようかどうか迷っている子。

クラスに一人はいるでしょう。

「やめておこうかな」という気持ちが勝ってしまいそうな時,

この話を思い出して一歩前に踏み出す勇気をもってもらいたいです。

結果的にチャレンジが失敗しても,「やる後悔」には価値があるのです。


「やらない後悔よりもやる後悔」を積み重ねていくと,

そのうち「やる後悔」すらしなくなります。

新しいことへのチャレンジが楽しくなり,目先の失敗に後悔しなくなるのです。

「やらない後悔」をしていた自分は何だったのかと思えるはずです。




みなさんは今,何か後悔していることがありますか?

その後悔は,「やらない後悔」ですか?

もしそうなら,今度チャレンジする時には「やる後悔」を意識してみましょう。

その時は恥ずかしかったり辛かったりするかもしれませんが,

将来的にはきっと後悔しません。


僕のこの「とっておきの話」の活動も,やらない後悔よりもやる後悔で続けています。

既に今,「やっておいてよかった」という気持ちでいます。

続けていくと,そんな気持ちになるのです。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。




2021年3月10日水曜日

とっておきの話76「三つのかけ」の裏話

Twitterに,とっておきの話76「三つのかけ」の原稿をアップしました。


とっておきの話76「三つのかけ」の原稿




小学生のうちから大切にしてほしい三つのかけの話です。


□かけ △かけ 〇かけ

それぞれ何だと思いますか?



まず,最初のかけは

恥かけ

です。


恥ずかしいと思う場面はたくさんありますが,恥をかくつもりで思いっ切ってやってみると気持ちがいいです。




次のかけは,

汗かけ

です。


自分のためや友達のために,汗をかいて動く。

クラスや学校のために動ける人はさらに良し。

単に運動しろと言っている訳ではなく,

汗かくほど行動してほしいという意味です。




最後のかけは,

頭かけ

です。


頭がかゆいわけではありません。

頭をかくほどしっかりと考え悩むことを大切にしてほしいという意味です。

思考停止になっている子がいます。

そんな子にこそ,頭かけを伝えたいです。



恥かけ 汗かけ 頭かけ


合言葉にして,最後は全員で唱えて終えてもいいでしょう。


それぞれみんな三文字で頭文字だけの違い。

音のリズムが良い。

恥は精神面,汗は行動面,頭は思考面を指摘している。


字面で見ても,意味で見ても,合言葉としてステキな言葉ですよね。




今回のとっておきの話をさらに膨らませるなら,それぞれにエピソードを加えたいです。


「最近,先生は恥かけにチャレンジしている子を見つけました。この子です。」

と言って,恥かけを意識している子の様子がわかる写真を提示します。


「あの有名な○○は,汗かけを大切にしてきました。」

と言って,偉人のエピソードと関連させてもいいでしょう。



話自体を膨らませなくても,日常に合言葉として先生も使うようにしても効果的です。


「あ,今みんな頭かくほど考え悩んでいるね~すばらしいです。」

というように褒めてみてもいいでしょう。


合言葉として発信した話し手の教師自身が,その後の日常でも合言葉としてその言葉を使うことで,聞き手の子どもたちにとっても合言葉となっていくのです。





気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年3月9日火曜日

とっておきの話75「自分と戦う力をつけよう」の裏話

Twitterに,とっておきの話75「自分と戦う力をつけよう」の原稿をアップしました。


とっておきの話75「自分と戦う力をつけよう」の原稿




名言を多く残した野球選手と言えば,この人。



イチロー選手です。

日本のプロ野球選手時代,そしてアメリカのメジャーリーグ選手時代,それぞれの時代でいくつもの偉業を成し遂げてきた野球選手です。

彼のことを「努力の天才」と呼ぶ人もいます。

とっておきの話の素材としては,「努力」をテーマに素材になる名言が溢れています。



今回素材にした言葉はこちら↓


【他人の記録をぬりかえるのは7割・8割の力でも可能ですが,

自分の記録をぬりかえるには10割以上の力が必要です。】


聞き手の子どもにもわかりやすく表現すると,

他人に勝つためには70点・80点くらいの力でも勝てるけど,

自分に勝つためには100点以上の力が必要だということです。



人はよく,「他人に勝つ」ことばかり目を向けてしまいがちです。

隣の芝生は青く見えるので,他人に勝とうとします。

でも,本当に目を向けたいのは「自分に勝つ」ことです。


イチロー選手が言うように,「自分に勝つ」ことの方が「他人に勝つ」よりも難しいのです。

その分,勝った時の喜びや達成感も大きくなります。


他人に勝つためには70点・80点ということは,100点満点の力を出さなくても勝ててしまうのが他人だということです。

逆に,自分に勝つためには100点以上ということは,100点満点の力を出しても勝てないのが自分だということです。

今までの100点満点をさらに超えないと,自分に勝つことはできないのです。



こうした「自分と戦う力」を身につけていくことは大切です。

「自分に負けている」人は多いものです。


恥ずかしい

めんどくさい

苦しい

悲しい

やりたくない


といった自分の心の弱さに打ち勝つことは,まさに「自分に勝つこと」です。



心は壊れないように大事にするべきです。

一方,大事にしすぎて自分との戦いを放棄してはいけません。

心の成長が止まり,より壊れやすくなってしまいます。

壊れやすくなった心は,他人の動きが気になります。

他人に負けている点ばかりに目がいき,自信をなくし,心が壊れてしまいます。



人は成長するために,「自分と戦う」「自分に勝つ」ことを避けて通れないのです。


他人と比べるのではなく,自分自身と向き合う


この話をきっかけに,そんな姿勢を身につけてほしいですね。



気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月8日月曜日

とっておきの話74「本物は続く 続けると本物になる」の裏話

Twitterに,とっておきの話74「本物は続く 続けると本物になる」の原稿をアップしました。


とっておきの話74「本物は続く 続けると本物になる」の原稿




一発屋

三日坊主


これらの言葉は,どちらも本物ではない活躍・努力をしている人に向けられた言葉です。


では,本物の活躍・努力とはいったい何なのか。




次の2つの「続」につながることが大切です。


① 本物は続く

本物の活躍というのは,一度きりの活躍(一発屋)だけではなく,活躍し続けることを言います。

本物の努力というのは,一時期だけの努力(三日坊主)ではなく,ずっと努力し続けることを言います。

本物の活躍・努力をしている人というのは,続く人なのです。


② 続けると本物になる

本物の活躍・努力をしている人は,初めから本物だったわけではありません。

続けてきたからこそ,本物になっていったのです。



本物は続く人。

続けてきたからこそ,本物になった。


どちらの視点も大切にしたいですよね。

果たして今の自分の活躍・努力は本物なのか。

これら2つの視点から振り返ってみると良いでしょう。


続いていない人は,その活躍・努力は偽物かもしれません。

逆に,自分の活躍・努力なんて…と思う人は,続けてみると本物になるでしょう。



「すばらしい」とか「すごい」ではなく,

「本物の」活躍・努力という表現がステキですよね。



本物の活躍・努力というのは,自分自身が本気で望んだ努力・活躍です。

自分の本当にやりたいことを見つけるきっかけにもなる話です。



子どもたちの中には,すぐに諦めてしまったり,自分なんてできないと最初からやる気がなかったりする子がいます。

そんな時,この話をきっかけに「続ける」ことの大切さを伝えたいです。

続かないなら本物じゃないよ。

とりあえず続けてみたら本物になれるかもよ。

そんなメッセージが伝われば嬉しいです。



みなさんは,本物の活躍・努力をしていますか?

僕はまだまだ自信がありませんが,これからも努力し続けていきたいと思っています。

いつしかこのとっておきの話づくりの実践が,本物になることを祈っています。




気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月7日日曜日

とっておきの話73「一に努力 二に努力 三に努力」の裏話

Twitterに,とっておきの話73「一に努力 二に努力 三に努力」の原稿をアップしました。





みなさんは,ゴルフはお好きですか?

有名なゴルファーに,ジャック・ニクラスさんという方がいました。


日本では「帝王」と呼ばれるほど有名なゴルファーでした。

アメリカツアーでは70勝もしたことがあります。




そんなニクラスさんがある日,アナウンサーから次のようなインタビューを受けました。

「ニクラスさんのようなものすごい集中力を生むためには,何が大切ですか?」


ニクラスさんは答えます。
「努力です」と。


アナウンサーは,努力以外の答えを引き出したくて,こう質問します。
「では,2番目に大切なことは?」


すると,ニクラスさんはこう答えました。
「努力」と。


アナウンサーは,やっぱり努力以外の答えを引き出したくて,
「それでは3番目は?」
と聞き返します。


ニクラスさんは答えます。
「努力」と。


アナウンサーも諦めません。
「それでは4番目は?」
と聞き返します。



さて,1番目が努力,2番目が努力,3番目が努力と続けて答えてきたニクラスさん。


4番目に大切なことは何だと答えたと思いますか?
僕はここが一番素材として光る部分だと思います。


正解は・・・











「みなさんが想像もできないような努力」

と答えたそうです。




帝王と呼ばれるほどすごいゴルファーも,一に努力,二に努力,三に努力,四に想像できないほどの努力をしているのです。


この話が教えてくれるのは,単に努力の大切さだけではなく,

① 努力はどこまでいっても大切

② 努力し「続ける」ことが大切

という2点を教えてくれます。


前回紹介したとっておきの話72「鴨の水かき」でも触れたように,プロのスポーツ選手は水面下で凄まじい努力をしています。

水面上しか見ていないアナウンサーからすると,「努力」という言葉はありふれていて陳腐に映るかもしれません。


しかし,「努力」という言葉の重みは,ものすごく重いのです。

それをニクラスさんは,「みなさんが想像もできないような努力」と表現したのでしょう。

努力の大切さは,本気で努力してきた人にしかわからないのかもしれません。

逆に,努力の本質を理解している人には,ニクラスさんの「努力」という言葉の重みに共感できるはずです。


とっておきの話43「本当にがんばっている人は」で紹介したように,

ニクラスさんのいう「努力」を突き詰めた姿勢でいると,努力していることすら自分で気づかないくらい努力できるのかもしれません。

そこまでの境地に達したらすごいですよね。


このように,「努力」というテーマの切り口は多種多様にあります。

いろんな視点から切り取った「努力」の素材を持っておくと,深いとっておきの話ができます。




気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月6日土曜日

とっておきの話72「鴨の水かき」の裏話

Twitterに,とっておきの話72「鴨の水かき」の原稿をアップしました。

とっておきの話72「鴨の水かき」の原稿




アヒルや鴨は,パッと見ただけでは,優雅に泳いでいますよね。

でも,その水面の下では,びっくりするくらい速く足をばたつかせているのです。

ご存知でしたか?


水面上の様子からは想像できないほど,水面下は必死なのです。

これを「鴨の水かき」と言います。


人はみんな,ほかの人には知らない苦労をしていることを喩えたことわざです。

どんな人も,苦労をせずに上手くいっている人はいません。


よく,何も努力せずに上手くいっているように見える人っていますよね。

でも,その人だって何か苦労をしてきたからこそ,できる人になっているのです。

見えているところだけを見てうらやましがるのではなく,見えない苦労を意識して自分も努力できる人になれるといいですね。



さて,今回の素材はことわざを活用しています。

正直,公開した原稿はまだ工夫が足りないので,どんな工夫が込められそうかを考えながら,「ことわざのとっておきの話化」についてまとめてみます。


ことわざをただ提示し,意味を教えるだけではとっておきの話にはなりません。


3つの工夫をまとめてみます。


① 画像や動画と合わせて視覚に訴える

鴨の水かきなら,鴨の写真は必要です。

できれば,水面上の様子と水面下の様子どちらもわかる写真がほしいですね。

なので,公開した原稿に貼ってある写真は「アヒル」ですし,水面上の様子しかわからないので工夫が足りません。

さらに付け加えるなら,「びっくりするくらい速く足をばたつかせている」様子のわかる動画があると,尚良いでしょう。

このように,画像や動画と合わせて視覚に訴えることで,わかりやすく,印象に残しやすい効果が得られます。


② エピソードで例示する

あの有名なあの人も,水面下ではこんなに苦労していた。こんなに努力していた。

といったエピソードを例示することで,「鴨の水かき」という言葉がより具体的に提示できます。

言葉だけの提示よりも,エピソードで例示をすることで,聞き手が具体的にイメージできる効果を得ることができます。

ことわざができた由来をエピソードとして例示するのも良いでしょう。


③ 聞き手の身の回りの人を紹介する

実は,あなたの身の回りにいるあの人も,水面下でこんなことをしていました。

といった写真があると,聞き手の興味をひく紹介になります。

どこかの有名人のエピソードだけでは,まだまだ自分からは遠い存在の話のように聞こえます。

しかし,自分の身の回りの人のエピソードが加わることで,

他人事ではなく,自分事として受け止められるようになります。


以上の3つが考えられる工夫です。

少し工夫するだけで,ことわざも十分とっておきの話の素材となります。



今回の話ではことわざを素材とした工夫を紹介しましたが,ことわざでなくても,何か良い言葉に出合った時には同じような工夫をこめることをオススメします。


世の中には,「名言」と呼ばれる言葉がたくさん溢れています。

しかし,次の2つが揃わないと,世の中では「名言」と呼ばれていても,つまらないとっておきの話となってしまいます。


① 話し手が感動した言葉か

② 聞き手が感動する提示の仕方か


まずは話し手が,その言葉に感動しているかどうかが大切です。

「名言」と呼ばれているからといって,感動もしていないのに無理やり素材にしては「迷言」となります。

よくわかっていないのに素材としてしまうと,その言葉の本質は何なのかわからないまま話をすることになります。

言葉が迷走するのです。


次に,聞き手が感動する提示の仕方ができるかどうかも大切です。

ただ意味を教えるだけでは,聞き手は感動しません。

わかりやすく

印象に残り

自分事として考えられる言葉

そう思ってもらえて初めて,その言葉に聞き手は感動するのです。




気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


2021年3月5日金曜日

とっておきの話71「違和感のすすめ」の裏話

Twitterに,とっておきの話71「違和感のすすめ」の原稿をアップしました。

とっておきの話71「違和感のすすめ」の原稿



違和感


漢字で書くと難しい言葉ですが,子どもたちが覚えても良いのではないかと思い,とっておきの話にしてみました。


何かいつもと違う。

気になる・直したいところがある。

こうした感覚は大切です。


例えば,整頓されていない雑巾がけの写真を映す。


いつもより雑巾が上手にかかっていない。

かける場所がおかしい。

ここの雑巾が無い。


違和感をもとに,気づいた意見を取り上げて褒めます。



例えば,廊下にゴミが落ちている写真を映す。


いつもないゴミが落ちている。

こんなところにゴミがある。

他にもゴミは無いかな。


違和感をもとに,行動に移せたなら,それも取り上げて褒めます。



今回使う写真素材は,できれば

聞き手が普段目にする身の回りの写真を使う

ことが大切です。

なぜなら,自分事として思いやすいからです。


いつも見慣れているあの場所の写真だけど・・・

あ!なんかここが違う!

こうした気持ちになるような写真提示にしたいです。


「違和感」という言葉が子どもにとって難しいのなら,

もっと簡単な合言葉にしても良いでしょう。


「イワカン」とカタカナにしてもいいし,

「なんかちがうポイント!」なんて言葉を作ってもいいでしょう。



言葉は難しくても,この「違和感」という感覚は,大切にしたい感覚です。


違和感をもてる人は,非常事態に強いです。

違和感をもてる人は,たくさんの発見ができる人です。

違和感をもてる人は,相手を思いやる心のある人です。


違和感をきっかけにして,危機を脱することも,相手の困り感に気づくこともできます。

要はセンサーが鋭くなるのです。


ただ目の前の光景をぼーっと見る。。。

これでは,違和感という感覚は身につきません。

センサーが鈍っているのです。





では,鈍ったセンサーを鋭くする方法は何でしょう?


それは,違和感をもった人の意見を聞くことです。

だからこそ,今回の話も,聞き手の子どもたちから意見を引き出して褒めることを大切にしています。

気付かないのなら,気付いた人から気付かせてもらえばいいのです。



さて,教師も,目の前の子どもたちに違和感があれば,すぐに動き出したいですね。

この違和感をもてない先生が,学級の違和感に気づけず,学級崩壊を起こすのです。


違和感。大人も大切にしたい感覚です。



今回紹介したとっておきの話は,特にこれといった素材を見つけた訳ではなく,

話し手の考えから生まれた素材です。

こういう形でとっておきの話を作っても良いでしょう。

あなたの内なる考え方を,そのままとっておきの話にしてもいいのです。


気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

2021年3月3日水曜日

とっておきの話70「アリの助け合い」の裏話

Twitterに,とっておきの話70「アリの助け合い」の原稿をアップしました。

とっておきの話70「アリの助け合い」の原稿



今回の素材は「アリの生態」です。



アリの特徴と言えば,小さい動物(虫)で働き者ですよね。

こうした素材には,人間との比較によってとっておきの話を作ると聞き手の印象に残ります。


「アリの助け合い」の話には,次の3つの比較のテクニックが込められています。

① 動物にもできる。人間も負けてられないよね。

 アリにだって素敵な助け合いができるのだから,人間も負けてられないよね。

② 小さい○○もできる。大きな人間にもできるよね。

 小さいアリでもこんな助け合いができる。大きな人間にもできるよね。

③ ○○がこんなことしてる。人間にもできるかな?

 あのアリがこんな助け合いをしているよ。私たちにもできるかな?


特に③には,意外性を話のスパイスとして効かせます。

あの小さなアリがそんな助け合いするの!?

という意外性です。


どんな助け合いかというと。。。

アリは,仲間のために自分の体を使って穴を塞ぎ,道を作るのです。


すごく体を張って助け合っていますよね。

人間がしたら大変そうです。

穴を塞ぐように体を使うのも大変ですし,その上を仲間が歩いていくのですから。


ここで勘違いしてほしくないのは,人間も体を張って助け合いをしろと言っているのではありません。

あのいつも見慣れている小さなアリでもこんな助け合いをしている。

では,私たちはどんな助け合いをしているかな?

というように,自分たちの助け合いを振り返る1つのきっかけとなれば良いと思っています。

その時,アリが「体を張っている」ことに注目するのではなく,それだけ「仲間のために一生懸命になっている」ことに注目させたいですね。



それにしても今回は原稿がシンプル。

画像を変えた方が良いかもしれないですね。

助け合っている様子の画像がなかなか見つからなかったのですが,

できれば助け合っている様子の写真がほしい。。。



動物の助け合いといえば,ペンギンの話もありましたね。

とっておきの話1「先生がペンギンを好きな理由」で紹介しました。

とっておきの話1「先生がペンギンを好きな理由」の裏話


動物の助け合いに学び,人間の助け合いに生かす。

そうした作り手の姿勢があれば,様々な角度からとっておきの話を作ることができます。

これは余談ですが,NHKの『ダーウィンが来た!』という番組は面白いですよ。




今回は,ブログ記事を素材にしました。

こうした何気なく検索して出てきたブログ記事も,時として素材になります。


気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。


とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の裏話

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