2021年11月7日日曜日

とっておきの話288「毎年腹をこわす先生」の裏話

 Twitterに、とっておきの話288「毎年腹をこわす先生」の原稿をアップしました。

とっておきの話288「毎年腹をこわす先生」の原稿



【ある日、学校で運動会がありました。

他の友達が家族で豪華なお弁当を食べている中、一人教室でおかずのない質素なお弁当を食べている洋七くんに、担任の先生がこんなことを言います。

「おう、洋七、ここにいたのか。

あのな、先生さっきから腹のぐあいが悪くてな、お前の梅干し入りの弁当と替えてくれんか」



交換した先生のお弁当にはエビフライや唐揚げなどの豪華なおかずがたくさん入っていました。



次の年の運動会でも腹をこわした先生。

お弁当を替える洋七くん。

また次の年、担任の先生が変わっても同じことを言われ、

「この学校の先生は腹をこわす先生ばっかりだなぁ」と不思議に思っていた洋七くん。

ある日、そのことをおばあちゃんに話すとこんなことを言われます。

「それは、先生がわざとしてくれたとよ。それが本当の優しさと」


素敵なエピソード素材だと思います。

これは、ベストセラーになり、映画化もされた島田洋七さんの「佐賀のがばいばあちゃん」というお話に出てくるエピソードの1つです。


佐賀のがばいばあちゃんと言えば、

小学2年生だった洋七さんが突然、家庭の事情で「貧乏のスペシャリスト」と呼ばれる佐賀の田舎に住むおばあちゃんの家にあずけられるお話です。

貧乏だということを全く気にせずに楽しく過ごすおばあちゃんから、「お金では買えない大切なもの」を教えられる話です。


こうしたイメージをもつ方が多いと思いますが、実はおばあちゃんのエピソードとは別に、こんな温かい学校の先生のエピソードがあったのをご存知でしたか?





このエピソードが教えてくれるメッセージは、一言でまとめると次のようなことでしょう。


本当の優しさというのは、相手に気付かれずにやること。


相手に気付かれるようなわざとらしい優しさではなく、もっと自然体に優しさを与えられるような人間になりたいと、この素材に出合って思いました。

この一番伝えたいメッセージは、原稿でも話の締めくくりとして次のように使われています。


【相手に気づかれずにやること。それが本当の優しさなのかもしれませんね。】



このように、聞き手に最も伝えたい言葉を最後に投げかけて終える話の組み立て方も効果的です。

聞き手は話し手が思っている以上に話の内容を覚えることができません。

そんな中、最後に投げかけられた言葉というのは受け取る最新の言葉であるからこそ、忘れずに覚えているものです。

そこに最も伝えたい言葉を置く。

これも話し方の工夫の1つです。




気になった方はぜひ実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。

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