2021年4月2日金曜日

とっておきの話97「親切の形は1つじゃない」の裏話

Twitterに,とっておきの話97「親切の形は1つじゃない」の原稿をアップしました。

とっておきの話97「親切の形は1つじゃない」の原稿



あれは2016年の10月,まだ大学院生だった頃。

埼玉県大宮駅へ向かう電車の中の出来事でした。


電車に乗っていると,向かいの席におばあさんが座っていました。

でも,なんだか困っている様子でした。




なんだろう?と思いながら見ていると,どうやら買ったばかりのペットボトルのキャップを開けるのに苦労しているようでした。

自動販売機で買った飲み物ってキャップが硬い時がありますよね。

なかなか回らなくて誰か友達に開けてもらうことはよくあります。




なるほど~おばあさんの手の力ではペットボトルのキャップを開けるのも一苦労だ。


そんなことを思っていたら,近くに立っていたサラリーマンの男性がおばあさんに駆け寄り,

「開けましょうか?」

と声をかけたのです。


笑顔になるおばあさん。

男性の何気ない親切によって,おばあさんは嬉しそうでした。


「ありがとうね。」

おばあさんから感謝してもらった男性も,なんだか照れ臭そうにしていました。


目の前でこんな光景を見た僕は,とっておきの話の素材にしようと思いました。

それは,こんな新しい発見があったからです。


【電車の中の親切というと,「席をゆずる」行動を大体の人が思い浮かべる。

でも,こんな親切の形もあるんだ。親切の形は1つじゃないんだ。】


これは当時の僕にとって大きな発見でしたし感動した出来事でした。




職業柄,「良い言動」「親切の形」について教える立場である教員。

ですが,「こうあるべきだ」という姿を教え込み過ぎると,それ以外の言動は絶対に許さないようなニュアンスで伝わってしまうことがあります。


今回のように,

電車の中での親切の形=席をゆずる




のみに限定されてしまうと,他の親切の形に盲目になってしまいます。


ひどい場合,「電車の中ではとにかく席をゆずればいいんだ」と,言われたことをそのまま実行する思考停止状態で動くことになります。

本来,親切は言われたからやることではなく,相手への思いやりから生まれるものです。


親切の形を1つに限定せず,自分の頭で考えて臨機応変な心遣いができるといいですね。


そのためには,話し手である教師自身が視野を広げておくことも大切です。

日常の光景の中にも,「あ,それ新しいけどステキ」といった景色が広がる瞬間があります。

見つける度に新たなとっておきの話の素材となるはずです。


自分には持っていない感覚で他人の新しい姿を発見できた時,嬉しい気持ちになります。

あなたの身の回りにも,そんな新しい発見をくれる人がいるはずです。


気になった方はぜひ,実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々,ありがとうございました。




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