2022年9月25日日曜日

とっておきの話440「〈きもち〉はなにをしているの?」の裏話

Twitterに、とっておきの話440「〈きもち〉はなにをしているの?」の原稿をアップしました。

とっておきの話440「〈きもち〉はなにをしているの?」の原稿



この世界には、見えないものと見えるものがあります。

ホモサピエンス全史において、人間は見えないもの(=虚構)を作ることによって進化を遂げてきたとの主張があります。


人間は、抽象度の高い見えないものを愛することで、進化できるのです。

そういった意味で「心」や「気持ち」というのはある意味では虚構でありながら欠かせない「見えないもの」であると言えます。

見えないものだからこそ、様々な言語化ができるのです。


今回の素材となった絵本も、

「気持ち」が何をしているのか?

というテーマで言語化を試みることで、見えないものが見えるようになり、抽象度を低くして具体的に愛するものとして浮かび上がってきます。




それでは原稿を読んでみましょう⇩


(きもち と板書)

 みなさんは、「きもち」と聞いてどんな気持ちを思い浮かべますか?(何人か指名。出てきた気持ちを1つずつ板書する)ある絵本を読んだ人が、「きもちのすべてを、だきしめてあげてもいいかなと思えた」と言いました。その絵本のタイトルは…

(〈きもち〉はなにをしているの? と板書)


 では、いくつかの〈きもち〉に、何をしているのか聞いてみましょう。

(絵本の絵と合わせて少しずつ言葉を提示。1つピックアップして隠して見せても良い)


よろこびは、トランポリンでとびはねる。

 かんしゃは、きみをあたためる。

 じゆうは、海をわたる。

 かなしみは、毛布にくるまる。

 やさしさは、あらしの夜をなごませる。

 いかりは、バクハツする。

 ゆうじょうは、きみによりそう。きみがころんだときに。

 あいは、光のたね。


 先生のお気に入りは、おもいやりがしていること。何をしていると思いますか?(間をおく)おもいやりは、歩道のかたつむりに手をのばす。だそうです。



 どうですか?何をしているのか想像してみると、気持ちのすべてを抱きしめたくなるかもしれませんね。そのすべての気持ちは、他でもないあなた自身の心の中に住んでいます。心の住人である〈きもち〉を、これからも大切にしてください。


いかがでしたか?


ただ単純に「思いやり」と表現されるのと比べて、

「思いやりは、歩道のかたつむりに手をのばす。」と表現された方がなんだか愛おしい気持ちに思えますよね。


言葉というのは本当に不思議で、少し言い方や語彙が変わるだけで全く違う印象を受けます。

見えないものの言語化はその特性が尚更色濃く表れると思います。


大人でも「なるほど~」と言いたくなる言語表現が詰まった絵本。

この小話の後に読み聞かせをしてみても良いでしょう。


子どもたちと一緒に見えないものを探究する喜びをぜひ味わってください。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2022年9月23日金曜日

とっておきの話439「おもちゃ病院」の裏話

Twitterに、とっておきの話439「おもちゃ病院」の原稿をアップしました。



絵本はいつ買っても、いつ読んでも良い物です。

本屋さんに行くと、毎回新しい名著に出合うんですよね。

本当に飽きないです。

古くから愛されている絵本もあれば、新しい時代の感覚でセンスを感じる絵本もあります。


今回の素材は割と新しい時代に出た絵本です。

絵本のすばらしいところはたくさんあるのですが、やはり

絵+言葉

という組み合わせが見る人を惹きつけます。

この魅力を存分に発揮できるように小話を作らないと絵本に失礼です。


実はこれがなかなか難しいのです。

絵本の読み聞かせをそのままするのとは違う構成でかつ魅力を失うことなく小話として作り上げる訳ですから頭を使います。


僕はまず、絵本のどのページのどの絵や言葉を切り取って見せるのかということを考えました。

何を話すか、の前に、何を見せるのか、を考えるんです。

そうすると、自然とそこに言葉を添えていくことで徐々に小話として話が出来上がっていきます。

このように、素材によって小話の作り方も変わります。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(画像Aを提示)これは何でしょう?


(何人か指名)もう少し遠ざかって見てみましょう。

(画像Bを提示)これは最近見つけた絵本の表紙です。


何か気付いたことはありますか?(何人か指名)この子はくまのぬいぐるみの「ぷく」。「モモちゃん」という女の子が遊んでいたおもちゃです。

(画像Cを提示)


ある日、大人になったモモちゃんがおもちゃ病院へぷくを連れていきます。(画像Bを再提示)ぷくの顔を見ると、傷ついているところがあってかわいそうに見えるかもしれません。でも、この物語には次の一文が出てきます。(次の文をゆっくりと読み聞かせる)

おもちゃびょういんには、愛されすぎて、いたんだおもちゃと、すてきなものがたりが、

きょうもとどいていることでしょう。

(「愛されすぎて、いたんだ物」と板書し、次の画像を提示)



ぷくはおもちゃ病院で、モモちゃんとの思い出を話します。その1つ1つがとても温かいエピソードです。例えば、「ねぞうがわるくてさ、いつもボクはモモちゃんのしたじきさ」という話。みなさんもお気に入りのぬいぐるみをしたじきにして寝てしまうくらいそばに置いていたことがありませんか?こうして愛されすぎて、いたんだ物。みなさんにもきっとあるはずです。



ぷくはその後、おもちゃ病院のおじいさんとおばあさんによって、傷を直してもらい、モモちゃんの子どもとまた一緒に遊ぶようになります。


さて、みなさんがおもちゃ病院に連れていきたい物は思い浮かびましたか?あなたが今愛している物を、これからも愛し続けてくださいね。きっとそこには、すてきなものがたりが生まれているはずです。みなさんが愛しすぎていたんだ物、先生も知りたいです。


いかがでしたか?


この絵本は、「おもちゃびょういん」木島誠悟/白泉社 で出版されています。

たまたま立ち寄った本屋さんで出合いました。


この絵本の魅力は、まず「おもちゃ病院」という興味を惹くタイトルとぬいぐるみの傷んだ絵にあると思いました。

そこからさらに、物語の中身に移っていくと、人と物とのステキな物語や愛の深さに触れることができ、より魅力を感じられます。

この両方の魅力を余すことなく小話で伝えきるのは難しいのですが、どこに着地点を持っていくかを意識しました。


今回は、「あなたにも、愛しすぎていたんだ物があるはず。だからこそ、これからもその物とのステキな物語を紡いでいってほしい」という明確なメッセージを着地点にしています。

物を大切にするきっかけとなれば幸いです。


気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2022年9月10日土曜日

とっておきの話438「アドになりたい」の裏話

Twitterに、とっておきの話438「アドになりたい」の原稿をアップしました。

とっておきの話438「アドになりたい」の原稿


最近、Adoさんの歌にハマっています。



簡単に言えば、流行に乗った訳です。

動機はそんな薄っぺらい始まりでしたが、Adoさんの歌唱力や表現力は凄まじいものがあります。

これでまだ10代という訳ですから、将来が楽しみです。


そんなAdoさんが、オールナイトニッポンのラジオで話していた話が素材になりました。

やはり僕は思うのです。


自分の好きな人や物から素材が生まれてくると。


動機はただ流行に乗っかっただけのものですが、そのおかげでこのような偶然の出合いから素材が生まれる訳です。

動機はどうあれ、好きな人や物を好きでい続けていると、その好きな人や物が自分にプレゼントしてくれるものはあると思います。


それではAdoさんがどんな話をしたのかを注目しながら、原稿を読んでみましょう⇩


(Adoさんの画像と名前を提示)

みなさんは、この歌い手さんの名前を知っていますか?YouTubeの再生回数は億越えが当たり前。ワンピースの映画の主題歌でも話題になったAdoさんです。10代のうちにデビューし、瞬く間に時の人となりました。知っている人?(挙手)

 知っている人も知らない人も、どうして彼女が「Ado」という名前なのか、気になりませんか?


(シテとアド と板書)

 それはある日、彼女が高校生の頃に受けていた国語の授業で閃いたそうです。能や狂言の世界では物語の「主役」を「シテ」、「脇役」を「アド」と呼ぶそうです。当時、Adoさんは音の響きのかっこよさだけに注目して名前をAdoに決めたそうですが、後からその言葉の意味が分かり、ラジオでその頃を振り返ってこんな話をしていました。

(以下の文を提示して読み上げる)

 私は歌い手として、みなさんに曲を届けることで、みなさんがシテ(主役)として歩んでいるそれぞれの人生を彩るアド(脇役)という存在でいられるのかな。そうだったらこんなに幸せなことはありません。


(アド=脇役 と板書)

 アンパンマンにとってのバイキンマン、のびたにとってのドラえもん、ルフィにとってのゾロ、たんじろうにとってのぜんいつ・・・など、脇役はいつも物語の主役を支える大切な存在です。Adoさんが脇役として歌い、曲を届けている姿はとてもかっこいいですよね。

先生は、あなたたちのアドになりたいと思うのです。なぜなら、学校生活の主役はあなたたちなのですから。あなたたち一人一人がそれぞれシテとして学校生活を送っているのです。それを支える存在でありたいです。そして、みなさんも、お互いにアドとしてシテを支える存在になり合えるのなら、お互いにステキな人生の物語が紡がれていくことでしょう。


いかがでしたか?


今や時の人であるAdoさんですが、この作った小話は流行ではなく不易な面で大切にされていくものになるのではないかと思っています。

なぜなら、「大切な誰かの物語の脇役でありたい」という考え方は不易に重要だからです。


「アドとシテ」とAdoさんがまさかつながっているとは思っていませんでしたし、それを受けてAdoさんがこんなステキな考え方をもって歌を歌っていることも衝撃でした。


みなさん教員は、子どもたちにとっては脇役的存在なはずです。

学校生活の主役は子どもたちです。私たちは脇役なのです。

子どもたちは、一人ひとりにそれぞれのストーリーがあります。

そのストーリーにおいて、学校生活を送る上で私たち教員は脇役として非常に重要な存在であるはずです。

そして、さらに言えば、恒久的ではなく、限定的な脇役なのです。

1年経てば担任は変わります。変わらないとしても、数年後には子どもたちは卒業していくのです。

いつかは子どもたちの物語から離脱する登場人物なのです。

もちろん、久しぶりに恩師に再会することはありますが、連続的ではありませんよね。

そんな有限な時間的制約があるからこそ、私たちは脇役として主役の子どもたちを全力で支えたいと思う訳です。


したがって、原稿でも私は

先生は、あなたたちのアドになりたい

と伝えています。


ここで、Adoさんが話していた「歌手とファン」という関係性から「担任と子ども」という関係性に価値が転用されます。

ここから、他の関係性にも転用できると思いませんか?

上司と部下でもいいし、母と子どもでもいいし、友達同士でもいいでしょう。


どの人もシテであり、アドなのです。

しかし、みんなシテになりたがるくせに、アドになりたい気持ちを忘れがちなのです。

お互いに大切な人のアドになりたいという気持ちを伝え合うことで、お互いのストーリーをシテとして胸を張って歩んでいけるのではないでしょうか。


気になった方は実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

2022年9月4日日曜日

とっておきの話437「本当に優しい人は」の裏話

 Twitterに、とっておきの話437「本当に優しい人は」の原稿をアップしました。

とっておきの話437「本当に優しい人は」の原稿


優しい人


と聞くと、良いイメージが思い浮かぶかと思います。




しかし、「本当に優しい人とはどんな人のことを言うか」を深く考えたことのある人は意外と少ないのかもしれません。


そんな時、わかめさんのツイートに「優しいという漢字は百回愛すると書く」というものを見つけました。

素材元⇩

わかめさんのツイート


これだけで「本当に優しい人」の確固たる定義づけはできないですが、考えるきっかけとしてはステキな視点だなぁと思いました。


やはり漢字は様々なメッセージを隠していますよね。

自分だけでなく、言われないと気付かない部分も多々あります。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(やさしいね と板書)

 やさしいねと言われたことがある人?(挙手を促す)

先生もやさしい先生だと言われたことがありますが、本当に優しい人とはどんな人のことをいうのか考えたことはありますか?


 みなさんは、「やさしい」を漢字でどう書くか知っていますか?このように書きます。 

(優しい と漢字を大きめに板書)

この「優」という漢字をよく見ると、

(人偏、百、愛をそれぞれ区別する線を書き加える)

「人を百回愛する」と書きます。(人を百回愛する と提示)

百回は「たくさん」の喩え。

本当に優しい人はたくさんの愛を届けられる人のことを言うのかもしれませんね。


愛だなんて大袈裟な!と思うかもしれません。でも、それぐらい本気で相手のことを思って行動することが、本当の優しさなのかもしれませんね。

もし、そんな行動をしている人を見つけたら、先生に教えてください。

本当に優しい人見つけの始まりです。


いかがでしたか?


愛するという視点が加わることで、表面的な優しさと本質的な優しさの違いに目を向けることができるのではないでしょうか。



さて、今回の話で今までストックしていた小話は全てTwitterに発信したことになります。

ここからが僕自身にとって新たな挑戦です。

これからは新作ができる度に発信していくスタイルに移行していきます。


ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

これからもどうぞよろしくお願い致します。

2022年9月2日金曜日

とっておきの話436「あなただけの花束を」の裏話

Twitterに、とっておきの話436「あなただけの花束を」の原稿をアップしました。

とっておきの話436「あなただけの花束を」の原稿



もともとのきっかけは、昔僕が何気なくつぶやいたこのツイートでした↓

月曜日は種なのかな? Twitter


金曜日が「花金」と呼ばれるのなら、月曜日は種ってこと?

他の曜日にも名前が付いたっていいじゃんという思い付きです。


このツイートを素材に、小話として再編集したのが今回の話です。


それでは原稿を読んでみましょう⇩


(月曜日 火曜日 と板書)

次は何曜日ですか?(指名しながら、水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日 と並列して板書していく)

この中でも、金曜日は「花の金曜日」と呼ばれています。(金曜日の上に「花」と板書)

略して「花金」です。では、他の曜日にもこのような呼び名を付けるとしたら、みなさんならどんな呼び名を付けますか?(少し間をおく)



(月曜日の上に「種」と板書)月曜日は、「種の月曜日」です。一週間が始まる月曜日に、みなさんは誰しも自分の心に種をまくのです。今週もステキな花を咲かせられるようにと願いながら。

(火曜日の上に「芽」と板書)一日がんばると、それが心の水やりとなって芽が出ます。これが火曜日です。(水曜日の上に「葉」木曜日の上に「蕾」と板書)また一日がんばると「葉の水曜日」と迎え、さらに一日がんばると「蕾の木曜日」を迎えます。そして、金曜日には、心の中に一輪の花が咲きます。この花は、一週間がんばった人に咲くステキな花です。(一輪の花の画像または写真を提示)




土曜日は土を耕し、日曜日はお日様に当たります。(土曜日の「土」と日曜日の「日」に○をつける)月曜日に次の新しい種をまく準備をするのですね。(月曜日の上に書いた「種」の文字を指さす)そして、また一週間かけて一輪の花を咲かせます。

こうやって人は、毎週一輪ずつ、自分の心の中に花を咲かせていくのです。この花は、誰かと比べるものではありません。あなたにしか咲かせられなかった花であり、誰も同じ花を咲かせません。色も形も全く違うでしょう。この一輪の花が毎週集まっていくと、どうなりますか?(少し間をおいてから)そう、花束になりますよね。



あなただけの花束が、あなたの人生を彩ってくれるのです。みなさんはこれからどんな花束を作り、どんな人生を送りたいですか?

【月曜日にこの小話を披露するなら】今日からまた、心の中に新しい種をまいていきましょう。

【金曜日にこの小話を披露するなら】今週もステキな花が咲きましたね。お疲れ様でした。


いかがでしたか?


とっておきの話にするとまた別の印象をもたれる方が多いのではないでしょうか。

どちらも同じようなことを伝えているのに、伝え方で印象は大きく変わるのです。


曜日に対する考え方はこれから一生ついてまわります。

なぜなら、曜日を意識せず生きる人はほとんどいないからです。

資本主義社会だからこその縛りを感じてならないのですが・・・


でも、金曜日だけが特別とかではなく、どの曜日でもなるべく縛られずに生きたいですよね。

みなさんもステキな花を咲かせ、あなたの人生にあなただけの花束を作っていってください。



気になった方はぜひ、実践してみてください。

ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。

とっておきの話524「Win WinとLose Lose」の裏話

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