Twitterに、とっておきの話439「おもちゃ病院」の原稿をアップしました。
絵本はいつ買っても、いつ読んでも良い物です。
本屋さんに行くと、毎回新しい名著に出合うんですよね。
本当に飽きないです。
古くから愛されている絵本もあれば、新しい時代の感覚でセンスを感じる絵本もあります。
今回の素材は割と新しい時代に出た絵本です。
絵本のすばらしいところはたくさんあるのですが、やはり
絵+言葉
という組み合わせが見る人を惹きつけます。
この魅力を存分に発揮できるように小話を作らないと絵本に失礼です。
実はこれがなかなか難しいのです。
絵本の読み聞かせをそのままするのとは違う構成でかつ魅力を失うことなく小話として作り上げる訳ですから頭を使います。
僕はまず、絵本のどのページのどの絵や言葉を切り取って見せるのかということを考えました。
何を話すか、の前に、何を見せるのか、を考えるんです。
そうすると、自然とそこに言葉を添えていくことで徐々に小話として話が出来上がっていきます。
このように、素材によって小話の作り方も変わります。
それでは原稿を読んでみましょう⇩
【(画像Aを提示)これは何でしょう?
(何人か指名)もう少し遠ざかって見てみましょう。
(画像Bを提示)これは最近見つけた絵本の表紙です。
何か気付いたことはありますか?(何人か指名)この子はくまのぬいぐるみの「ぷく」。「モモちゃん」という女の子が遊んでいたおもちゃです。
(画像Cを提示)
ある日、大人になったモモちゃんがおもちゃ病院へぷくを連れていきます。(画像Bを再提示)ぷくの顔を見ると、傷ついているところがあってかわいそうに見えるかもしれません。でも、この物語には次の一文が出てきます。(次の文をゆっくりと読み聞かせる)
おもちゃびょういんには、愛されすぎて、いたんだおもちゃと、すてきなものがたりが、
きょうもとどいていることでしょう。
(「愛されすぎて、いたんだ物」と板書し、次の画像を提示)
ぷくはおもちゃ病院で、モモちゃんとの思い出を話します。その1つ1つがとても温かいエピソードです。例えば、「ねぞうがわるくてさ、いつもボクはモモちゃんのしたじきさ」という話。みなさんもお気に入りのぬいぐるみをしたじきにして寝てしまうくらいそばに置いていたことがありませんか?こうして愛されすぎて、いたんだ物。みなさんにもきっとあるはずです。
ぷくはその後、おもちゃ病院のおじいさんとおばあさんによって、傷を直してもらい、モモちゃんの子どもとまた一緒に遊ぶようになります。
さて、みなさんがおもちゃ病院に連れていきたい物は思い浮かびましたか?あなたが今愛している物を、これからも愛し続けてくださいね。きっとそこには、すてきなものがたりが生まれているはずです。みなさんが愛しすぎていたんだ物、先生も知りたいです。】
いかがでしたか?
この絵本は、「おもちゃびょういん」木島誠悟/白泉社 で出版されています。
たまたま立ち寄った本屋さんで出合いました。
この絵本の魅力は、まず「おもちゃ病院」という興味を惹くタイトルとぬいぐるみの傷んだ絵にあると思いました。
そこからさらに、物語の中身に移っていくと、人と物とのステキな物語や愛の深さに触れることができ、より魅力を感じられます。
この両方の魅力を余すことなく小話で伝えきるのは難しいのですが、どこに着地点を持っていくかを意識しました。
今回は、「あなたにも、愛しすぎていたんだ物があるはず。だからこそ、これからもその物とのステキな物語を紡いでいってほしい」という明確なメッセージを着地点にしています。
物を大切にするきっかけとなれば幸いです。
気になった方はぜひ、実践してみてください。
ここまで読んでいただいた方々、ありがとうございました。
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